http://www.asyura2.com/17/hasan123/msg/107.html
Tweet |
休みなしにアルバイトを続けた20代の末路 “断捨離”で労働時間を減らす
http://president.jp/articles/-/22702
2017.8.8 大原 扁理 PRESIDENT Online
年収目標を持たず、週2日しか働かない。大原扁理さんは25歳から31歳までの6年間、東京でそんな「隠居」生活を送ってきた。年収は100万円以下。だがそれ以前は、毎日忙しく働いていたという。目標もなく働き続ける中で体調を崩し、生き延びるために“断捨離”を実行。その結果分かった、「隠居」に向く人・向かない人の違いとは?
25歳〜31歳まで6年間、東京の片隅で隠居生活をしていました。2016年の秋からは、拠点を台湾に移し、引き続きのんびり暮らしています。
もともとは23歳のときに、特に目的もなく上京してきたのですが、生活費が高すぎて毎日休みなくアルバイトをしていました。当時は杉並区のシェアハウスに住んでおり、家賃が7万円。水道光熱費、食費、税金、この時はまだ持っていた携帯代を払うと、稼いだお金はほとんど消えていきました。
毎日休みがなく、金銭的にもギリギリで内心かなりつらかったのですが、周囲に話すと「そんなのフツーだよ」と返ってきます。私は人生に目標がなかったので、なんのためにそんなに頑張って働かなければいけないのか、早々に自分を見失っていました。
そんな生活を1年半ほど続けていたら、ストレスでじんましんが。「どれくらい働けば、世間ではなく自分が納得するのか」を探すきっかけになった出来事でした。
働かないために必要ないものを捨てる
収入をアップして生きづらさから脱出するという発想が思いつかず、まずは支出をできるだけ減らそうと考えました。最低限いくらお金があれば生きていけるのかを確かめるべく、必要ないものをひとつずつ切り捨てて行きます。
激安アパートに引っ越し、携帯を解約し、親しい友達以外からのお誘いはすべてスルー。買い物は欲しいものでなく、必要なものだけ。3食自炊を心がけて、本は図書館、映画は無料の動画サイトを活用。ちょっとしたプレゼントなども、スコーンとジャムなどを自分で作るようになりました。
こうして、がんばって切り詰めれば6万円で生きていけるようになったのですが、たまには外食をするような余裕もほしいので、7万円くらいあるとちょうどよい。そうとわかったら、忙しすぎるアルバイトを辞めることができました。その後も少しずつ調整して、最終的に行きついた理想的な生活が、「週に2日介護の仕事をして、5日は何もしない」というものでした。
私は好きでこういう生活をしていますが、もちろん良いところも悪いところもあります。参考までにいくつかご紹介します。まずはメリットから。
(1)より早く季節を知る
例えば1月の半ばに、散歩の途中で他人の家の庭を眺めて、梅がほころび始めていたり、窓から差し込むひだまりにかげろうが立ち上っていたりするのを見ると、誰よりも先に季節を先取りしているようなお得感があります。四季の中でも特に、長く厳しい冬が終わって春がそこまできているという実感は格別です。
摘んできたフキを炒めて食卓に(写真:著者提供)
都心で働きまくっていたときは、気がついたら桜が散っていた、という感じだったので、こうした余裕はかけがえのないものです。
(2)お金に対する依存が減る
お金が使えないと、自分でやらなければならないことが増えます。すると、強制的にお金に頼らず済まさざるを得ません。
散髪は市販のバリカンを使って自分で切りますし、高い化粧水の代わりに質のいいエクストラバージンオリーブオイルをお風呂あがりに塗っておけば、肌をダメージから防げます。
お金に頼らなくても自分でできることや代用品がたくさんあると知るのは、お金に対する依存度を減らすことにつながり、精神衛生上とても良いです。
(3)他人を助ける心の余裕ができる
収入が少ないので、金銭的に助けることはできませんが、時間がありあまっているので、ちょっとした助けがたくさんできます。
例えば、友人の引っ越しや看病を手伝えるとか。街中でも、店の券売機の前で困っているご老人に使い方を教え、ベビーカーを持ったまま階段を下りようとしている母親に手を貸すなど、しょっちゅうです。
働きまくっていた時は、こんな些細なこともできなかった。自分だけがつらいような気がして、街中で困っている人がいてもほぼ無視していました。自分の生活だけで精いっぱいなんだから、みんな自分でなんとかしろ、と。
今は損得など度外視で、さっと助けることができますし、「助けたら損」みたいに考えていたあの頃のギスギスした心情には、できれば戻りたくないと思います。
今度はデメリットをあげてみます。
(1)時間がありあまる
隠居生活はとにかくヒマです。来る日も来る日もやるべきことがひとつもなく、誰かが指示してくれるわけでもない。でも自分で作っていくしかありません。
創造力を使い倒して、白紙の1日をどんなふうに過ごそうかと考えるのは、私にとってはワクワクすることです。しかし、そのような「ヒマ耐性」がないと、かなりつらいと思います。
(2)将来の保証がない
お金がないと保険にも入れませんし、老後の蓄えもない。病気や事故にあったときのことを考えると、心配性の人には向かないかもしれません。
私は不安や心配はキリがないし、あまり遠くを見すぎないようにして、いざとなったらあきらめようと割り切っています。
とはいえ隠居をしていると、ヒントに気がつくこともあります。将来のことを考えてもらちがあかないので、今日この1日を生きることに集中するしかない。すると、死ぬということがただそれだけのこととして、ストンと腑に落ちることがある。なぜ死ぬことがそんなにいけないと思っていたのか。よく考えたらみんないつか死ぬんだし、良い悪いというものではないな、死なないように必死になることもないか、という感じです。
(3)贅沢ができない
お金がないなら時間を使えばいいとはいえ、時間とは引き換えられない贅沢もあります。高級レストランやホテル、ブランド品、パーティー、旅行、ジムやエステ、習い事などは、ほぼ諦めることになります。
ただ、こうしたことから離れていると、贅沢にもいろいろな種類があることに気がつきます。たしかにお金はないのですが、会いたくない人に会わなくていい、行きたくないところに行かなくていい、やりたくないことをやらなくていい。そういった生活はある意味、ものすごく贅沢なことなんじゃないか、とも思います。
よりよく生きるということは、自分がどういうふうにありたいのかをいつも考え、主体的に選択し続けること。隠居を始めてから、そんなふうに思うようになりました。それは、もし失敗しても親や社会のせいにはできないし、全部自分の責任だし、怖いことでもあります。それでも、自分で選びとった毎日というのは、何物にも代えがたいものです。
以下、私が毎日をよりよく生きるために気をつけていることを紹介します。
(1)年収目標を持たない
私は年収100万円以下で5年間過ごしていましたが、それを目指していたわけではありません。自分が必要ないと思うものをひとつずつ捨て、快適だと思うものを選んでいったら、結果として年収100万円以下で小さく生活できるようになってしまいました。
目標を立てると迷わない、という利点はありますが、それしか見えなくなってしまう可能性も。私は年収に限らず、将来の目標がまったくなく、こだわりもありませんでした。だから想像もしなかった方向へ事態が転がっていくことを楽しめて、結果、隠居という生活にたどり着けたのだと思っています。
(2)自分にとっての幸せを見極める
正直、自分の生活がこれでいいのかなぁ、と思うことも、なくはないです。そんなときは、何が自分にとっての幸せなのかを確認することにしています。
私の場合は、毎日息が吸えて、痛いところがなくて、お茶を飲みながら読書できたら幸せ。それを実現するために最低限だけ働くのは厭(いと)わない。
上京したばかりで、贅沢しているわけでもないのに生活のために休みなく働いていた頃を思うと、これが幸せじゃないなら何が幸せなんだろう、という感じです。
(3)これがベストだと思わない
私は自分の生活スタイルを、ベストだとは思いません。自分が好きで納得してそれを選んだだけなので、良い悪いの判断はナンセンス。だから他人に押し付けたり薦めたり、という気も起こりません。「やってみたらできましたよ」と、ただ紹介してるだけのような感じです。
私も、もし働くのが好きだったら会社員として週5日でも働くと思います。結果がベストかどうかよりも、自分の意志でそれを選んだということのほうが大切です。
私は現在は隠居をしていますが、いつかやめたくなる時がくるかもしれない。スタイルだけが先行して、流行や常識に流されてしまったり、自分がそのときやりたいことを見逃してしまったりしないように、緊張感をもって生きていきたいと思います。
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 経世済民123掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。