http://www.asyura2.com/17/hasan123/msg/102.html
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日銀の「粘り強さ」が想起させる「あの戦争」
上野泰也のエコノミック・ソナー
日本経済「底力」論と距離がある「前線」の状況
2017年8月8日(火)
上野 泰也
日銀は「物価安定の目標」2%を目指すという短期決戦で失敗しても、勝ち目のすくない戦いを“精神力”で粘り強く続けている。(写真:マリンプレスジャパン/アフロ)
白川前総裁時代、日銀が2%の物価目標を受け入れた理由
金融市場の外だけでなく、中でも徐々に忘れられようとしているように思えるのだが、白川方明前総裁時代末期の2013年1月22日に日銀が、それまでの日銀の考え方からすれば明らかに非常に高すぎる2%の物価目標を受け入れて政府と共同声明を出したのは、積極的な金融緩和だけで2%を達成できるという金融政策万能論的な見方へと突然切り替えたからではなく、政府および企業の努力によって日本の潜在成長率が上昇するのならば2%は達成可能な水準になっていくという説明はできるという苦渋の判断をしたからだったと、筆者は理解している。実態としては、衆院選で大勝した安倍内閣からの政治圧力に屈したのだが、中央銀行としてそれなりに合理的な説明・理屈付けをしないわけにはいかない。
7月23日付で退任した佐藤健裕・木内登英両日銀審議委員(当時)は、この時の金融政策決定会合で、「物価安定の目標」2%の導入に反対した。議事要旨によると、その理由は以下の3つだった。
@消費者物価の前年比上昇率2%は、過去20年の間に実現したことが殆どなく、そうした実績に基づく現在の国民の物価観を踏まえると、2%は現時点における「『持続可能な物価の安定』と整合的と判断される物価上昇率」を大きく上回ると考えられること。
Aこのため、現状、中央銀行が2%という物価上昇率を目標として掲げるだけでは、期待形成に働きかける力もさほど強まらない可能性が高く、これをいきなり目指して政策を運営することは無理があること。
B2%の目標達成には、成長力強化に向けた幅広い主体の取り組みが進む必要があるが、現に取り組みが進み、その効果が確認できる前の段階で2%の目標値を掲げた場合、その実現にかかる不確実性の高さから、金融政策の信認を毀損したり、市場とのコミュニケーションに支障が生じる惧れがあること。
警告通りのことが、その後の4年半で起きた
その後の4年半で実際に起こったことは、この2人の警告通りのことだったと言えるのではないか。「2%の目標を掲げながら大規模な金融緩和を行いさえすれば、インフレ期待が2%に高まり、実際のインフレ率もそれにキャッチアップするはずだ」というリフレ派の考えに沿った2年間という期限を区切った「短期決戦」は、明らかに失敗した。にもかかわらず、金融緩和を「粘り強く」続けている日銀の姿は、太平洋戦争当時の日本と、筆者にはダブって見えてしまう。
山本五十六提督は「1年や2年は暴れてご覧にいれます」と述べたというが、その後の明確な展望が日本にはなかった。「米国の軍事力を大幅に低下させれば有利な条件で講和に持ち込めるはずだ」といった漠然とした構想だけで戦争に突入したものの、ミッドウェー海戦で主力空母の多くを失ってしまい客観的に見ればもはや勝つ見込みがなくなった後も、神風期待や精神論を支えに戦争を続け、多くの犠牲者を出した。
「底力」という言葉は、戦時中の精神論の延長線上にある
日銀生え抜きの中曽宏副総裁は7月26日に広島で行った記者会見で次のように述べて、物価上昇2%は達成可能だと主張した。そこでキーワードになった「底力」という言葉に、太平洋戦争当時のような精神論めいたものを感じてしまったのは、筆者だけではあるまい。時代が変わっても、日本人のメンタリティーには変わりがないことを痛感する。
「私は、日本経済における労働生産性の引き上げ余地はまだ相応にあり、潜在成長率の伸び代もまだ随分残されていると思っています。つまり、日本経済の底力はこんなものではないはずだと思います。日本経済の底力をもってすれば、2%の『物価安定の目標』の達成は可能だと思っています」
「申し上げたいことは、日本経済の底力はもっとある、まだ伸びるという見方を共有して、そのもとで、企業が企業家精神を発揮していくことが、成長期待が幅広い主体で共有されることにつながっていくということです」
人口対策の強化がやはり必須だ
日本経済の「底力」を持ち上げる努力を加速すべき責任を最も有するのは、基本的には自社の収益重視の企業ではなく、公共の福祉に資する役割を担っている政府だろう。人口対策の強化が必須だと、筆者はずいぶん前から主張し続けている。
だが、安倍首相がいま掲げているのは「人づくり革命」であり、日本の国土に滞在してお金を使う人の「数」は増えない。
ちなみに、退任の5か月前、2月23日に木内日銀審議委員(当時)が甲府で行った講演に、下記のくだりがある。金融政策の限界、政府による人口対策の必要性といった、筆者の年来の主張と重なる内容である。
「例えば、潜在成長率が低水準にあり、企業の国内成長期待が低い状況では、企業は将来収益を圧迫する基本給の引き上げなどに対して慎重になるのは自然であり、労働者はそうした企業の姿勢を認知するものと考えられます。こうしたもとでは、家計や企業の中長期の予想物価上昇率は低位に形成され、そのことが現実の物価上昇率を低位に抑えるという側面があると思います」
「しかし、金融政策が前向きな経済構造の変化を直接もたらすことは難しく、そうした変化の実現のためには、イノベーション向上に向けた企業の努力と、それを最大限引き出すための規制緩和や人口対策などを含む、政府の構造改革の取り組みが必要です。そして、国民が持続的に生活の質を向上させるためには、生産性上昇率や潜在成長率の改善を通じて成長力を強化することが不可欠です」
物価の「前線」の状況を観察すると…
では、日銀が焦点をあてている物価の「前線」の状況はどうなっているだろうか。ファミリーレストランの客単価など、日常生活と関連しているさまざまな指標を筆者はウォッチしており、このコラムでもときどき紹介しているのだが、今回は上がりにくい「もやし」「豆腐」「納豆」の値段を取り上げたい。
人口減・少子高齢化を主因とする国内需要の減少によって中長期的に悪影響を受け続ける業界は数多い。衣食住のうち「食」の分野では、よほどしっかりした付加価値がついている製品以外、コストプッシュ型インフレには持続性が伴わないと考えられる。
スーパーマーケットで特売の対象になりやすいことなどから店頭販売価格が押さえ込まれやすく、生産・製造業者がコスト高の中で赤字に苦しむ事例が断続的に報じられているのが、「もやし」「豆腐」「納豆」である。これらは消費者物価指数の採用品目になっている<■図1>。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/248790/080200104/ZU01.jpg
■図1:全国消費者物価指数 「もやし」「豆腐」「納豆」
(出所)総務省
値段が安すぎて、100社以上のもやし生産者が廃業の現実
もやしについては、国内消費の大半を占める緑豆もやしの原料の高騰で赤字になり、生産者団体が取引先のスーパーなどに対して値上げを求めていると報じられている。原料が高騰する一方で商品価格が上がらず、10年足らずで100社以上が廃業。もやし単独では赤字で、付加価値の高い「カット野菜」などで利益を確保しながらしのいでいる企業も多く、新規投資が難しい零細企業などで廃業が相次いでいるという(6月5日 朝日新聞夕刊)。
筆者は1981年、大学1年の時にスーパーの野菜売り場でアルバイトをしたことがあるのだが、その時に最初に任された仕事が、特売用の袋入りのもやしを店頭にうず高く積み上げることだった。36年後の今になっても、もやしは特売の対象である。
豆腐については最近では、「豆腐業界 激安で疲弊 適正取引へ 食品初の指針」と題した記事が出てきている(6月28日 毎日新聞)。原料である大豆の価格は昔よりも高くなっているが、豆腐1丁の販売価格は以前よりも安くなっており、量販店の特売対象にもなりやすい。経営者の高齢化に安売りが追い打ちを掛け、廃業も後を絶たないという。豆腐を製造する事業所数は2015年度末時点で7525となり、2006年度末から4割減った。
また、納豆業界では2009年に1社が経営破たんするなど、業界再編が断続的に進んでいる。
「過少需要・過剰供給」構造が変わらぬ限り、物価上昇は困難
「どのような分野にせよ、高い付加価値をつけることで企業は価格水準を維持すべきであり、それが物価全体の底上げにつながる」という意見を耳にすることがある。だが、そうしたことができる少数の企業はいわば「勝ち組」であり、業界全体さらには国全体について一般化できる話ではない。
日本経済のベースにある「デフレ構造」(過少需要・過剰供給状態)が抜本的かつ持続的に変わらない限り物価上昇は困難だという、筆者の持論は不変である。
(※ 編集部と筆者の都合により、当コラムは8月15日・22日は休載となります。次回は8月29日に配信する予定です)
このコラムについて
上野泰也のエコノミック・ソナー
景気の流れが今後、どう変わっていくのか?先行きを占うのはなかなか難しい。だが、予兆はどこかに必ず現れてくるもの。その小さな変化を見逃さず、確かな情報をキャッチし、いかに分析して将来に備えるか?著名エコノミストの上野泰也氏が独自の視点と勘所を披露しながら、経済の行く末を読み解いていく。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/248790/080200104/
木内氏:緩和の効果強調「非常に危うい」、日銀総裁任期が修正の好機
日高正裕、藤岡徹
2017年8月7日 08:38 JST
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仮に再任でも5年で2%達成の公算なく、2期目で変わる可能性も
債務超過に陥る可能性、通貨発行益があるから大丈夫とは言えない
日本銀行審議委員を5年間務めた木内登英氏は先月の退任後初のインタビューに応じ、異次元緩和の副作用が懸念される中で、効果ばかり情報発信するのは「非常に危うい」との見方を示した。黒田東彦総裁の来年4月の任期満了のタイミングがそうした姿勢を軌道修正する「一つのチャンスだ」と述べた。
野村総合研究所のエグゼクティブ・エコノミストに就任した同氏は4日のインタビューで、「いろいろな副作用があることを人々が心配している時に、効果だけ強調する情報発信は問題が大きい」と指摘。こうした姿勢を軌道修正するきっかけは「人が変わること」であり、仮に黒田総裁が再任されても、次の5年で物価目標が達成される可能性は低いため、「2期目になれば変わる可能性がある」と期待する。
日銀は2%の物価目標の実現を「安定的に持続するために必要な時点まで」現在の政策を継続するとしている。木内氏は、昨年9月の長短金利操作の導入で長期国債の買い入れペースはある程度柔軟化したが、2%の物価目標の位置付けを変えてこのコミットメント(公約)を見直さない限り、金利とリスク資産買い入れについては正常化が進まないと指摘する。
日銀は先月公表した展望リポートで、2%物価目標の達成時期を「2018年度ごろ」から「19年度ごろ」に先送りした。達成時期の先送りは13年4月の異次元緩和導入から6度目だが、新たな見通しも「下振れリスクの方が大きい」としており、次期総裁の5年間の任期で達成できるかどうかも不透明感だ。一方で、異次元緩和の長期化でさまざまな弊害も指摘されるようになっている。
2%目標に根拠はない
木内氏は、もともと2%の物価目標にはっきりした根拠はなく、日銀はその点で「思考停止になっている」と指摘。本当に2%が妥当なのか「根本から問い直すことが非常に重要だ」と言う。
超低金利が非常に長期化する中で、「追加的な金利低下の効果は小さくなっている」との見方を示す。日銀は実質長期金利の低下を強調しているが、「効果が出たのは14年くらいまでで、それ以降は副作用ばかり積み上がる局面に入っている」と語る。
副作用が強まっている筆頭として国債市場を挙げる。長期国債買い入れペース(保有残高の年間増加額)は「約80兆円」のめどとは裏腹に足元で60兆円前後に減速しているが、木内はそれでも「来年中ごろには限界が来る」と予想。その時は流動性が極度に低下した状況で金利が大きく振れ、国債市場だけでなく金融市場全体、ひいては経済の混乱につながる恐れがあるという。
債務超過は十分あり得る
木内氏が次に挙げる副作用は日銀の財務への影響だ。異次元緩和の出口で日銀は短期金利を引き上げるが、支払金利が保有国債の利回りを上回る逆ざやとなり、債務超過に陥るとの試算もある。黒田総裁は6月の会見で、日銀が赤字に陥る可能性を認めた上で、債券取引損失引当金を拡充していることや通貨発行益(シニョレッジ)があることを理由に、信認が失われることはないという考えを示した。
木内氏は引当金は「焼け石に水」であり、短期金利引き上げのペース次第で「債務超過に陥る可能性は十分ある」と指摘。仮に政府による資本注入が行われれば、国民負担を伴うことから政治問題化するのは必至で、日銀法が改正されるなどして「独立性が制限されることを覚悟しないといけない」と語る。
債務超過に陥っても金融政策運営に影響はなく、資本注入の必要もないとの主張もあるが、「国民の間で、日銀が債務超過になって通貨価値は大丈夫かという議論が高まったら、政府は資本注入せざるを得ないだろう。その時は日銀は拒めないだろう」と言う。
そうした事態を避けるため自力で何とかしようとすれば、物価が上がっても短期金利を低く抑える一方で、長期金利の上昇を容認し通貨発行益を稼ぐという選択肢もあると木内氏は言う。その場合、物価の安定という使命を放棄することになり、急激な円安が進んだり、長期金利が不安定化し、国民生活は打撃を被る。「長期的にはシニョレッジを稼げるので大丈夫だという議論は全く成り立たない」としている。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-08-06/OU5IW06KLVR901
日銀は再度の総括検証必要、国債・ETF減額を=岩田一政氏
[東京 8日 ロイター] - 岩田一政・日本経済研究センター理事長(元日銀副総裁)はロイターとのインタビューで、物価2%目標の実現が依然として遠い中、日銀はイールドカーブ・コントロール(YCC)政策や量的緩和の効果などについて、あらためて総括的な検証を行うことが必要と語った。その際、信頼できる物価見通しを示したうえで、長期国債や上場投資信託(ETF)の買い入れを徐々に減額し、政策の持続可能性を高めることが重要とした。
物価1%程度が確実な状況となり、デフレに後戻りしないことが確認された段階で、ゼロ%程度としている10年国債利回り(長期金利)の操作目標の見直しに着手してもいいと指摘。具体的にはゼロ%の対象年限を現行の10年から5年などに短くすることが有効との認識を示した。
来年4月に任期を迎える黒田東彦総裁の後任については、出口政策を円滑に進めるためにも、大規模緩和を推進してきた黒田氏の続投が最適と語った。
インタビューは7日に実施した。主な内容は以下の通り。
──日銀は7月の金融政策決定会合で物価2%目標の達成時期を「2019年度ごろ」に1年先送りした。
「金融政策はフォワード・ルッキングが極めて重要だが、日銀が物価安定目標2%の達成時期を6回も先送りしたことによって、展望リポートの数字を誰も信用しなくなってしまった。経済や物価の予測は、正確で信頼できるものにすることが重要だ」
「失業率がここまで下がっても賃金・物価がなかなか上がらないのは、労働市場の構造変化やIT技術の進歩などが重なっていると思う。今の情勢では19年度中の2%達成はなかなか難しい。物価2%を中長期の目標として置いておくことはいいが、まずは物価1%(の実現)をきちんと確認することが重要だ」
──目標達成が遠い中で、今後の金融政策運営はどうあるべきか。
「昨年9月のYCC政策の導入から間もなく1年が経過するが、物価2%の実現は遠いとみられるため、再び総括的な検証を行うことが必要。具体的には、量的緩和とマイナス金利を含めた現行政策の効果に加え、1%と2%の物価上昇率がどの程度の期間で実現可能なのかを正確な予測をもとに示すべき。そのうえで、持続可能なかたちに国債やETFなどの資産買い入れの減額を検討すべきだ」
──国債・ETF買い入れの減額の進め方は。
「YCCは金利政策であるにもかかわらず、年間80兆円の国債買い入れという量も同時に掲げていることに無理がある。すでに60兆円程度に買い入れを減らしており、金利政策主導であることを強調しながら、徐々に新規国債発行額程度の40兆円ペースに減らすべき」
「ETFについても、どのくらいまでリスクプレミアムが縮小すれば買い入れを止めるのか、条件が明確ではない。そもそもETFの買い入れには、銀行株が入っていることによる利益相反の可能性や、市場の流動性への影響、コーポレート・ガバナンス上の問題など弊害がいくつもある」
「現在の1万9000円から2万円という日経平均株価の水準は、ファンダメンタルな株価に近いと考える。それなのに、年間6兆円ものETF買い入れを続ける必要があるのか。減額によって株価にマイナスの影響もあると思うが、多少下がってもファンダメンタルな株価の範囲内に収まるのであれば、大きな問題にはならないだろう」
──長短金利の操作目標はどうするのか。
「物価が1%よりも大きく下がらない、デフレに戻らないことが確実な情勢になれば、現在のゼロ%程度という長期金利の操作目標を見直してもいい。金融機関収益に与える影響としては、マイナス0.1%の短期金利よりも、10年までゼロ%になっていることの方が大きい。金融庁が地域金融機関にビジネスモデルの転換を促しているが、すぐに転換はできない。このままゼロ%の長期金利を続ければ、地域金融機関の経営に問題が出てくる可能性がある」
「長期金利の操作目標を見直すには2つの方法がある。1つは現在の0.1%の許容範囲(上限)を0.5%などに拡大すること。もう1つは、ゼロ金利の年限を現在の10年から、5年などに短くすること。私は後者が有効だと思う」
「今後、金融正常化の局面では、短期金利の将来のパスと整合的になるように長期金利を調整していくことが自然。そのために日銀がやるべきことは、コミュニケーションと透明性の改善という観点からも、米連邦準備理事会(FRB)のように短期の政策金利の見通しを示すことだ。これも次の総括的な検証の議題に設定すべきだと思う」
──黒田総裁は来年4月に任期を迎える。
「これまでの経緯をよくご存じの黒田総裁に最後までやっていただくのがいいのではないか。金融緩和の出口をきちんと見届ける、アベノミクスを最後までやり遂げるのに最適なのは黒田総裁だろう」
(伊藤純夫 木原麗花)
https://jp.reuters.com/article/iwata-interview-idJPKBN1AO0AY?sp=true
円来月にも対ドル100円へ、際立つ割安さと円売り投機−野村AM
野沢茂樹、Chikafumi Hodo
2017年8月7日 09:36 JST更新日時 2017年8月7日 15:18 JST
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? ドルは歴史的に3度目の下落局面、円は主要通貨で最も割安
? 投機的な円の売越高は14年1月以来の水準まで膨張
円相場は対ドルで、早ければ来月にも100円程度へ急騰する可能性がある−。そのきっかけは、米国の政治的な混乱や金融政策見通しの揺らぎだが、底流にはドル相場が歴史的な規模の下落局面に入りつつある中で、円がまだ割安な水準に放置され投機的な売りも膨らんでいることがあると、運用資産が約44兆円に上る野村アセットマネジメントは指摘する。
野村AMの榊茂樹チーフストラテジストは2日のインタビューで、ドルの総合的な強さを内外の物価格差を考慮して算出した実質実効為替レートを例に挙げて、1985年と2002年に続き、今年初めから大きな波動の3度目の下落局面に入りつつあると説明した。過去の例では「いったんドル安局面に入ると相当の年数にわたって続く。最初は主要国、その後は新興国の通貨がドルに対して上昇することが多い」と話した。
ドル売りの受け皿になる可能性のある通貨については、「経常収支の黒字が大きい国・地域のうち、中国の人民元や韓国ウォンの実質実効為替レートは歴史的に高い水準にある一方、ユーロや円はかなり低い」と指摘。「ユーロの割安感は最近の上昇でやや薄れているが、円は主要通貨でいま最も割安感が強い」ため、内外金利差などの円安要因にもかかわらず、「どこかで円高になるリスク」が高まっていると読む。
ユーロは先週、1ユーロ=1.1910ドルと2015年1月以来の高値を記録した。一方、円は対ドルで108円−114円程度の一進一退から抜け出せない状態が約5カ月間続いている。榊氏はドル・円の長期的な適正水準を測る購買力平価で見ると「100円前後、95円から100円程度だ」と指摘。過去にはこの水準を超えた円高が「しばしば」起きており、先行き米国で利上げ打ち止め観測が浮上すれば、90円程度も「あり得ない話ではない」とみる。
国際決済銀行(BIS)の統計によれば、ドルの実質実効為替レートは6月に113.81。トランプ米大統領が就任した1月に付けた約13年半ぶり高値118.93から下げたが、2000年以降の平均の109.01を上回ったままだ。ユーロは92.33と15年4月に付けた15年ぶり安値86.88から上昇基調をたどっている。平均は98.74だ。一方、円は76.76で、15年6月に付けた1972年以来の安値67.86から反発したが、なお平均の94.82には距離がある。
円は長期的に見た割安さが際立っている上、投機的な売り越し残高も足元で急速に拡大している。榊氏は売越高が膨張する過程でも円相場は横ばい圏に踏みとどまっていたと指摘。「蓄積された円ショートが何らかのきっかけで巻き戻されると、かなり急激な円高になり、100円程度まで割と簡単に上昇してしまうリスクもある」と読む。円高の到来時期も「これだけ蓄積すると、案外早いかもしれない」とみる。
米商品先物取引委員会(CFTC)の統計では、ヘッジファンドや大口投機家によるユーロの買越幅は11年5月以来となる9万1321枚。昨年11月初めから23万枚近く買い越し方向に動いた。榊氏は「ユーロは年末にかけて1.20−1.25ドル程度まで上昇し得るが、やや頭が重くなる可能性がある」と予想。一方、円の売越幅は先月18日時点で12万6919枚と約3年半ぶりの高水準。3カ月足らずで10万枚超も増えた。
こうしたポジションの蓄積が崩れるトリガーは何か。榊氏は「その時々で何になるか分からない」としながらも、ドル安が加速する「一つのリスクは9月ころにある」と読む。9月は米金融当局が追加利上げの是非や約4.5兆ドルに上るバランスシートの縮小方針を決めるとみられている上、ムニューシン米財務長官は政府債務の上限を引き上げないと同月29日に資金が底をつくと上下両院に訴えていると指摘した。
ムニューシン米財務長官
Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg
米国が政治的な混迷の中で追加の利上げをすれば「インフレ圧力が高まっていないのに大丈夫かとの懸念が広がる」可能性がある一方、利上げやバランスシート縮小の決定を先送りすれば、ハト派化したとして「それ自体がドル安要因になりかねない」と、榊氏はみている。
ドル安の受け皿としてユーロなどに後れをとっていた円が買われ始めた場合、日本の当局が円高懸念を訴えても国際的な理解を得るのは難しいだろうと分析。完全失業率は約24年ぶりの水準に低下するなど景気は堅調さを維持している。
榊氏によれば、円高対策として日本銀行ができることは限られる。金利コントロール策で日銀当座預金の一部に課すマイナス金利や10年債利回りの誘導目標を引き下げたり、国債買い入れ額を増やすのは、現実問題としては非常に難しく、「せいぜいできること」は、10年債利回りで「ゼロ%程度」の事実上の下限であるマイナス0.1%程度までの範囲内で抑制するくらいだと読む。
榊氏は、国内勢の外債買い越しが続いている背景について、日本と米欧との金融政策見通しの格差から円安基調になるとの見方が背後にあると指摘。それでも円安が進まないのは、顧客に円建ての支払い義務を持つため、「機関投資家の外債投資はほとんどがヘッジ付き」だからだと説明した。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-08-07/OU9S5T6K50XS01
コラム:ドル110円割れ定着を阻む2つの防護壁=植野大作氏
植野大作
植野大作三菱UFJモルガン・スタンレー証券 チーフ為替ストラテジスト
[東京 8日] - 2017年度がスタートしてから4カ月が経過。この間のドル円相場は110円を割ると下値が堅い一方、115円の手前では上値が重く、難解なレンジ取引となっている。
現在、筆者が在籍する為替アナリスト業界では、「ドル高派」と「円高派」の意見が分かれているが、今のところ、双方ともに明確な勝利宣言を許されず、欲求不満の溜まる日々が続いている。
果たして今後、どちらの陣営に軍配が上がるのだろうか。以下、現時点における筆者の見解をまとめておく。
まず、当面のドル円相場は上値の重い状況が続くだろう。モラー米特別検察官が指揮するロシア疑惑関連捜査は今も水面下で進行中だが、最近は捜査の対象が大統領の娘婿、長男、関連企業へと拡大しており、この先どこまで広がっていくのか見当がつかない。
この手の政局絡みのイベントは、経済指標のように結果が判明する日時を特定できない。そのため、いつ、どのような展開をみせるのか、部外者の予断を受け付けない怖さがある。
一般に、多くの市場関係者は、そのような不透明感を非常に嫌う。当面、ドル円相場の上値が目立って軽くなるとは思い難い。断続的に110円を割り込む可能性はまだ残っているとみるのが無難だろう。
ただし、目先のドル円相場が110円割れの水準に差し込んだ場合でも、長く定着するレベルではないとの判断は堅持している。理由は主に2つあると考える。
<淡々と進む米金融政策の正常化>
第1に、トランプ政権が迷走する中でも米国経済は堅調に推移、米連邦準備理事会(FRB)は金融政策の正常化を進めている。米財政出動の財源となる医療制度改革法案の成立に何度も失敗したことで、現在トランプ財政への期待はほぼ消滅しかかっている。
にもかかわらず、ドル円相場が昨秋の米大統領選の当確発表前の安値である101円台に押し戻されていないのは、米国で財政出動への期待がしぼむ中でも金融政策の正常化が淡々と進んできたことが背景にあると思われる。
米国でトランプ新政権が発足した後、日を追うごとにホワイトハウスの機能不全は鮮明になったが、それによる悪影響が民間の企業業績やマクロ経済に及んだ痕跡はほとんど認められない。米大統領選後にFRBは3回も利上げを実施した。
為替相場に「たら」や「れば」はないが、もしも米大統領選後に経済が失速、FRBがこの間に1回も利上げができないような経済状態だったなら、今ごろドル円相場は101円前後に戻っていたのではなかろうか。
最近の米国の経済指標を俯瞰すると、一部に弱めのデータも散見されるが、経済全体の強弱を示す雇用情勢は良好であり、早期失速の気配は漂っていない。米国の金融政策運営について、FRBによる今秋からの保有資産の縮小開始や年末以降の利上げ再開を見込む向きも決して少なくない。
イエレンFRB議長は、金融政策の正常化を進める条件として、経済状況が「予想通り」であることを挙げており、「予想以上」に強くなければいけないとは言っていない。今後の米国経済が「そこそこの強さ」を維持していれば、「金利」と「量」の両面で金融政策の正常化が進むとの期待は根強く残存するだろう。
<G7中銀で日銀だけ出口論を封印>
第2に、日本の金融政策に目を転じると、異次元緩和の開始から4年以上が経過してなお「物価目標2%」が視野に入っていない。「短期金利=マイナス0.1%、長期金利=ゼロ%程度」という異例の低金利政策は非常に長期化するとの観測が強まっている。
7月7日に日銀は約5カ月ぶりに「指し値オペ」を通知、海外発の金利上昇圧力の国内への波及を許さない姿勢を改めて示した。現在、主要通貨圏の金融政策を比べてみると、すでに利上げを4回実施した米国が金融緩和の出口レースで先頭を走っており、7月12日に6年10カ月ぶりに利上げを行ったカナダがこれに続いている。
昨年6月の国民投票における欧州連合(EU)離脱選択後のポンド安でインフレ圧力が強まっている英国でも、中銀幹部が利上げの可能性をほのめかしているほか、7月の定例会見で欧州中銀(ECB)のドラギ総裁は今年秋に来年以降の量的緩和について「議論する」と明言、多くの市場関係者が年明けからの量的緩和縮小(テーパリング)開始の可能性を意識し始めている。主要7カ国(G7)の中央銀行で金融緩和の出口論すら封印しているのは日銀だけだ。
金融緩和の量的側面に注目しても、日銀による最近の国債購入実績は技術的な限界もあって当初の年80兆円から60兆円前後まで落ちている。だが、日銀は国債以外の資産も購入しており、「インフレ率の実績が安定的に目標2%を超えることを目指す」という「オーバーシュート型コミットメント」の下、金額の多寡にかかわらず、マネタリーベースがオープン・エンドで増え続ける仕組みは堅持している。
昨年夏場に市場を騒然とさせた「総括的な検証」を経て、日銀による現在の金融政策の主な操作目標は「量」から「金利」に変更されており、国内金利の上昇を制御可能な範囲内で日銀の国債購入額が変動するのは自然な現象である。
民間金融機関が保有している国債を手放すのにも限度があるため、日銀による国債購入額は今後も受動的に減り続ける可能性はある。だが、「フローの資産購入額をゼロにすることを目指して減額する」という本来の意味でのテーパリングは日銀内でまだ議論されている様子はない。
誰も日本国債を売っていないのに、ひとりでに金利が上昇することはあり得ない。民間金融機関が「もうこれ以上は売れない」ところまで日銀が国債を買えば、それまでよりも少ない国債購入金額で金利の上昇を抑え込むことは可能だろう。
<年末に向けて1ドル115円突破か>
蛇足になるかもしれないが、民主党政権下で任命された日銀審議委員2人の任期が7月23日に切れており、現在は安倍内閣による任命比率100%の日銀会合が完成している。9月下旬に開催される次回の日銀会合における多数決の結果は、これまで市場が慣れ親しんでいた「賛成7、反対2」から「賛成9、反対0」に近づく可能性が意識されている。
洋の東西を問わず、「金融政策絡みの人事異動」はマーケット・トークの題材として好まれやすい。日本における異次元緩和の長期化観測は、今後一層強固になる可能性があり、米国と比較した金融政策の方向格差だけでなく、その他の先進国と比較しても日銀緩和の特異性が際立ってくるだろう。
アベノミクスの初期段階で猛威を振るった「日銀緩和による円安ストーリー」は、古くて新しいマーケット・トークのテーマとしてクロス円市場を中心に蒸し返されつつある。米金融政策の正常化観測が消えない限り、ドル円市場にもやがて伝染してくる時期が訪れるのではなかろうか。
その時期を特定するのは容易ではないが、早ければ9月20日の米連邦公開市場委員会(FOMC)、21日の日銀会合と続く日米金融政策の発表イベントの頃になりそうだ。毎年10―12月期はドル需要が高まりやすいこともあり、年末に向けては115円突破を予想している。
*植野大作氏は、三菱UFJモルガン・スタンレー証券のチーフ為替ストラテジスト。1988年、野村総合研究所入社。2000年に国際金融研究室長を経て、04年に野村証券に転籍、国際金融調査課長として為替調査を統括、09年に投資調査部長。同年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画、12月より主席研究員兼代表取締役社長。12年4月に三菱UFJモルガン・スタンレー証券入社、13年4月より現職。05年以降、日本経済新聞社主催のアナリスト・ランキングで5年連続為替部門1位を獲得。
*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。(こちら)
(編集:麻生祐司)
*本稿は、筆者の個人的見解に基づいています。
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今回の内閣改造は、サプライズを狙って支持率回復を目指す手もあった。だが、ふたを開けてみれば、そうした加点よりもさらなる失点をしたくないという安倍晋三首相の考え方がにじんだものになったと言えよう。 記事の全文
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http://jp.reuters.com/article/column-forexforum-daisaku-ueno-idJPKBN1AO0AE
ドル上昇、新興国市場では通貨より株式の痛手大きい可能性
George Lei
2017年8月8日 11:10 JST
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• ドル高は通常、新興国通貨により大きな打撃に
• ドルの上昇が長期化すれば株式が最も危険にさらされる恐れ
ドル高は最近、新興国の通貨よりも株式にとって大きな悩みの種になったようだ。
新興国株の指標のMSCI新興市場指数は今年24%上昇し、年率では2009年以来最大の値上がり。一方、ドルは約8.5%下落している。
以下のチャートは、2つの資産に密接な関係を示しており、30日ローリング相関はマイナス約0.4。
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iS0pOnEbbJ2g/v2/-1x-1.png
一方、ドルと新興国通貨の関係は一般的見方に一致していない。30日ローリング相関では、MSCIの新興国通貨指数がドル指数にほとんど相関がないことが示されており、マイナス0.8だった1年前とは対照的だ。
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/ia6IT4yYyYhY/v1/-1x-1.png
過去1年半の間にドルと新興国通貨の相関がほとんど存在しなくなったのは2、3回しかない。こうした状況になると相関関係は、ドル高が新興国通貨全般と株式を圧迫するという通常のパターンに戻る傾向がある。
備考:ジョージ・レイ氏はブルームバーグ向けに執筆する為替ストラテジスト。同氏の見解は個人的なもので、投資助言を意図したものではありません。
原題:Stronger Dollar May Hurt Developing Stocks More Than Currencies(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-08-08/OUCDZV6S973Z01
米債券市場はインフレ見通しを誤解−ブラックロックとバンガード
Liz Capo McCormick
2017年8月7日 13:43 JST
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債券市場の大手2社は依然、インフレが盛り返すという見通しを堅持している。
インフレ論者の中にはトランプ大統領の成長促進公約をうのみにした人も多く、弱い内容の経済指標発表で何度となく面目をやや失ったように見える。
それでもバンガードとブラックロックはインフレ率が数カ月後には2%に戻ると予想している。ワシントンの動静にかかわらず、労働市場ひっ迫が賃金を押し上げ、それに伴って米国民の消費が増加、消費者物価の押し上げにつながるという図式だ。さらにドル安などを考慮すれば、債券市場がインフレに関して悲観的になりすぎている可能性が高いと両社は受け止めている。
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/ipIVJCUTO_W8/v2/-1x-1.png
バンガードのシニア・マネーマネジャー、ジェンマ・ライトカスパリウス氏は、「コアインフレの基本的なトレンドは上向きだろう」と述べた。
米金融当局による低金利策や大規模な量的緩和にもかかわらず、インフレ率は健全な米経済に沿った水準に回復していない指標の1つとなっている。6月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比1.6%上昇と、4カ月連続で伸び率が低下。米金融当局が重視するインフレ指標はさらに弱まり1.4%に低下している。
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iVj..nkA2ZuU/v2/-1x-1.png
バンガードは10年物ブレークイーブンの水準を2−2.25%付近と見込んでおり、7月にライトカスパリウス氏はインフレ連動債(TIPS)を購入した。インフレ率が市場の見通しを上回るときに利益の出るTIPSのポジションを同氏は向こう数カ月、増やす意向だという。
ブラックロックでインフレ連動債ポートフォリオの責任者を務めるマーティン・へガティー氏は、英国や欧州のインフレ連動債よりもTIPSを有望視しており、米国のインフレ率の低迷が続くと予想する債券トレーダーは間違うことになると予想。「TIPSは非常に割安だ」とみている。
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/ipmX4xAj39KI/v2/-1x-1.png
原題:BlackRock, Vanguard Say Bond Market’s Got This Trade All Wrong(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-08-07/OUAQWT6TTDS001
米短期国債利回り、市場の不安示す−債務上限引き上げで期限設定受け
Alexandra Harris
2017年8月8日 11:26 JST
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• 10月5日償還債利回りは1.078%、11月2日償還債の1.05%を上回る
• 米財務長官は議会に9月29日までの行動を呼び掛け
トランプ米政権は付帯条件を付けない形の債務上限引き上げを議会に呼び掛けているが、米短期国債のイールドカーブはそれを反映したものになっていない。
法定債務上限引き上げに向けた進展が乏しい中、10月5日償還の国債利回りは1.078%と11月2日償還債の1.05%を上回っている。テクニカルデフォルトにさらされかねない証券の保有を避けるため、償還期限が10月より後の債券が買われている。
ムニューシン米財務長官は7月28日付で米議会に書簡を送り、9月29日までに議会が行動することが「極めて重要」との認識を示した。債務上限を巡る警告で具体的な期日を挙げたのはこれが初めて。
一方、米下院はすでに休会に入り、上院はこの1週間で債務引き上げ問題に取り組む公算は小さく、神経質な展開が続く可能性がある。議会が再開する9月5日からだと同問題の解決に向けて残された会期は12日程度となる。
財務長官が引き上げ期限を9月29日に設定したことで、10月の早い時期に償還を迎える米国債でいずれもヘッドラインリスクが高まることになると、ライトソンICAPのチーフエコノミスト、ルー・クランドール氏は7日のリポートに記した。
原題:Treasury Bill Curve Shows ‘Red-Letter’ Date Causing Anxiety(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-08-08/OUCDHB6S972W01
銀行融資8年ぶり伸び 7月3.4%増、不動産けん引
2017/8/8 12:24
日銀が8日発表した7月の貸出・預金動向(速報)によると、融資残高は449兆円となり、前年同月比で3.4%増えた。伸び率は2009年4月以来、約8年ぶりの大きさだった。日銀が大規模金融緩和を続けていることで、貸出金利が大きく低下している。不動産向けやM&A(合併・買収)向けの融資の増加が目立っている。
http://www.nikkei.com/content/pic/20170808/96958A9E93819594E2EA9AE2E78DE2EAE2EAE0E2E3E5979394E2E2E2-DSXMZO1976619008082017EAF001-PB1-2.jpg
09年当時は、リーマン危機の直後だったため、政府が融資への支援をしていた時期だった。この時期を除くと、バブル期以来の伸びとなる。残高でみても、01年4月以来、約16年ぶりの高水準となった。
日銀によると、足元の銀行の貸出金利は平均で約0.7%と過去最低の水準だ。日銀が大規模な金融緩和を続けていることで、民間の貸出金利にも低下圧力がかかっている。日銀は金融緩和の一環で金融機関から国債を大量に買っており、銀行が余剰資金を多く持っていることも影響している。企業や家計にとっては、過去に例がないほどお金を借りやすい環境になっている。
融資の内訳では、不動産向けの伸びが目立つ。特に相続税対策を中心としたアパートローンの融資は、都心部と地方を問わず高水準だ。大手銀では、大型のM&Aの際に必要な手当てとしての融資も伸びている。
融資増はこうした不動産融資やM&Aに偏っており、アパート建設は過熱しているとの指摘も多い。設備投資向けの資金など企業向けの一般的な借り入れは徐々に増えてはいるものの、金利が極めて低い状況の割には、借り入れ意欲は鈍い。
日銀が昨年マイナス金利政策を導入したことで銀行の運用先が少なくなり、貸し出し競争が一段と激化している面もある。地銀を中心に利ざやは細り続けており、銀行経営の面でも課題は残る。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGF08H05_Y7A800C1EAF000/
7月の企業倒産、前年比微増の714件 2カ月ぶり上回る
2017/8/8 13:30
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民間調査会社の東京商工リサーチが8日発表した7月の全国企業倒産件数は前年同月比0.2%増の714件となり、2カ月ぶりに前年同月を上回った。7月としては2011年以来6年ぶりに前年を上回った。倒産件数は3月以降に前年比で増加と減少を繰り返しており、低水準に変わりはないものの、企業倒産の減少は底打ちの兆しをみせ始めている。
7月は「人手不足」関連倒産が24件と3カ月ぶりに前年同月(28件)を下回った。内訳の「後継者難」型が16件と前年同月(27件)から減ったためだ。一方で、人手不足が解消されていないことを背景に「求人難」型の倒産は今年最多の7件となった。「求人難」型の倒産を1〜7月の合計で見ると23件と前年同期(10件)から倍増している。
産業別では10産業のうち5産業で倒産件数が前年同月を上回った。サービス業他は前年比2.6%増の191件と5カ月連続で増加した。卸売業は同4.4%増の117件と4カ月ぶり、建設業は同3.8%増の135件と3カ月ぶり、不動産業が同21.0%増の23件と2カ月ぶりに増加に転じた。
負債総額は前年比11.3%減(141億3400万円減)の1098億8500万円と2カ月ぶりに前年比で減少した。負債100億円以上の大型倒産が2カ月ぶりに発生しなかった。〔日経QUICKニュース(NQN)〕
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFL08HCC_Y7A800C1000000/
7月の街角景気、現状判断指数は4カ月ぶり悪化
2017/8/8 14:02
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内閣府が8日発表した7月の景気ウオッチャー調査(街角景気)によると、街角の景気実感を示す現状判断指数(季節調整済み)は49.7で、前の月に比べて0.3ポイント低下(悪化)した。悪化は4カ月ぶり。企業動向と雇用が悪化した。
2〜3カ月後を占う先行き判断指数は50.3で、0.2ポイント低下した。低下は4カ月ぶり。家計動向と企業動向が悪化した。
内閣府は基調判断を「持ち直しが続いている」に据え置いた。〔日経QUICKニュース(NQN)〕
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFL07HW6_X00C17A8000000/
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