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ウーバーにドライバー流れ大手タクシー会社が倒産…遥かに便利なウーバーが選択される日
http://biz-journal.jp/2017/07/post_19802.html
2017.07.17 文=井手秀樹/慶應義塾大学名誉教授 ウーバー台頭で大手タクシー会社倒産 Business Journal
車に対する価値観の変化に影響を与える動きがある。タクシー業界で話題のUber(ウーバー)の登場によって、欧米では車の購入を投資とみなし、投資による収益を得るために高品質で高額な車を購入するようになってきているといわれる。シェアリング・エコノミーは、欧米や東南アジア地域では急成長している。自家用車に他人を乗せるウーバー、Lyft(リフト)などが有名だ。日本では法律で認められていないため、タクシー会社がウーバー的なサービスをこまごまと展開し、LINEが配車アプリに参入するなど、類似サービスも登場している。
また、不足する宿泊施設を補うため旅行者に自宅を宿泊施設として開放するAirbnb(エアビーアンドビー)は、利用者には利便性の高いサービスを提供し、所有者には副業の機会を提供する。スペースを借りるユーザー(ゲスト)と、宿泊物件を持つユーザー(ホスト)を接続するインターネット市場である。
ウーバーもエアビーもネットの発達によって発生した新しいビジネスモデルである。利用者は「ホスト」「ゲスト」どちらもいろいろな手段でプラットフォームに登録する必要がある。
最近では、「UberEATS」という都内のレストランメニューやスイーツを宅配するサービスまでも登場している。マクドナルドもこれを利用していて、東京都内で家だけでなく公園など希望する場所に配達してくれる。配達手数料は一律380円。配達するのは飲食店従業員ではなく、登録した配達員が空いている時間に配達するサービスなので、今まで宅配をしてこなかったレストランなどでも登録が多いという。
これらのシェアリング・エコノミーの台頭は、経済全体の資本や労働を、より効率的に活用する「所有から利用へ」の流れを加速させる。無駄な生産を減らし環境に負荷を与えない新たな経済成長の可能性をもたらすことになる。結果的に社会的厚生を高めることになる。
■「市場の二面性」
こうしたプラットフォームを形成し、支配するか否かが成功のカギといわれる。ユーザーがたくさん集まる場には、多くのホストが集まり、多くのホストが集まる場には、多くのユーザーが集まる。いわゆる「市場の二面性」(two-sided market)である。この言葉は、私の研究分野である産業組織論の研究者のなかで注目を浴び、先の「プラットフォーム」という言葉と対になって多数の論文が生まれ、新たな研究領域が急速に拡大している。
アメリカではウーバーに登録しているドライバーは売上額の80%を収入として得られ、残り20%を仲介料としてウーバーに払う。ドライバーは最高9万ドルの収入を得られるという。ウーバーのドライバーの70%は副業で、自分の空き時間を活用しているといわれる。
こうした状況下で2016年、サンフランシスコの最大タクシー会社が倒産した。原因は競争激化とドライバーがウーバーやリフトに流れてドライバーの確保が困難になったことだ。
その便利さはタクシーをはるかに上回る。そもそもアメリカのタクシーは呼び出すのが面倒で、アテにならないところがある。日本のタクシーとはサービス精神が大違いなことを考えれば、ウーバーが台頭するのもうなずける。
こうしたビジネスモデルは、IT技術が進化した結果可能となったサービスであり、スマートフォンを利用して、配車サービスという業態で事業を行い、タクシー業者に課される規制や要件を満たす必要がなく、料金表に縛られない。
日本でウーバー等が普及するかどうか、シェアリング・エコノミーが回り続け、成長するかどうかのカギは「信頼」である。タクシー業界は法律の規制の想定外のサービスでアンフェアな競争であると主張する。欧米でも車やドライバーの安全性確保、利用者のプライバシーやドライバーや利用者による差別が問題視されている。
タクシー業界はことさらこうした問題を誇張し、ウーバーの参入に抵抗する姿勢を見せているが、創意工夫により新しいサービスを提供し、柔軟な運賃設定や運賃競争が展開されなければ、欧米と同じように利用者によりウーバー等が選択される日が来るだろう。もちろんシェアリング・エコノミーの普及拡大のためには、阻害する制度や行政の見直しと同時に、安心、安全のためのセーフティーネットの確保が重要である。
(文=井手秀樹/慶應義塾大学名誉教授)
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