>>6 >名目でも実質でもGDPは増えているし ド素人の妄想はもういいよ
名目GDPには「消費税によるかさ上げ」分も含まれています。 誰かの所得とは、別の誰かが支出することによってもたらされるもの。 支出は税込価格であることから、その合計である名目GDPには消費税分の金額が含まれ、その分は「政府の所得」ということで、所得の合計としての名目GDPの一部ともなります。 とはいえ、GDPを「経済活動の順調さ」や「国民の豊かさ」を図る指標として用いるなら、 経済活動の結果に対して後から割り当てられる所得税や法人税ならいざ知らず、予め政府の所得であることが決まっている消費税分を含めるのはいかがなものでしょうか。 極端な話、消費税分も含めて良いのであれば、消費税をさらに25%ほど引き上げれば、 一時的に600兆円を達成することは来年にでも可能でしょうが、それでは無意味でしょう。 それは、増税による物価上昇で、統計上デフレが解消されても無意味なのと同じことです。 ということで、名目GDPの季節調整値から消費税分を差し引いたのが、 こちらのグラフの赤い実線です。 【名目GDP(季節調整値及びそこから消費税分を控除した値)の推移(兆円)】 https://twitter.com/sima9ra/status/880030173587841024/photo/1?ref_src=twsrc%5Etfw&ref_url=https%3A%2F%2F38news.jp%2Feconomy%2F10685
なお、各年度の消費税額は、国税分を表示したこちらの数字を基に、 地方消費税分を加味して算出しています。 http://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/condition/010.gif
今回のグラフを見ると、改定された現在のGDP統計基準の下でも、
消費税分を除いた事実上の名目GDPのピークは1997年1−3月期であり、 その後はITバブルやアメリカ住宅ローンバブルの時期に短期的なピークを形成しつつも、 徐々にその水準を切り下げてきたことがわかります。 そして、記録上は過去最高となった2016年度も、 実態としてはそうしたバブル期のピークすら下回っています。
しかも、本メルマガでも三橋貴明さんや藤井聡さんが述べている通り、 2017年1−3月期の名目GDPは、GDPデフレーターと共に前期比マイナス。 https://38news.jp/economy/10685 >海外投資家が儲けたとしても、別に日本のGDPとは関係はない
アベノミクスがもたらした株価上昇による100兆円の損失
アベノミクスの評価は、現時点においてもさまざまである。その中で多くの人たちが認める功績は、株価を上昇させたことであろう。アベノミクスの否定論者でも、アベノミクスは株価を上昇させたこと以外にメリットは存在しないという評価を下す人は多い。
今回は、アベノミクスが株価上昇により巨額の損失を日本経済に与え、最近ではその累計額が100兆円にまで到達したという事実を説明する。
日本という国レベルで、純資産が毎年どれだけ増加、または減少しているかについての会計基準は、事実上、一つしか存在しない。現在、日本で使われている日本の純資産に相当するものは、国民経済計算ベースでの国富(=正味資産)である。この会計基準は、いろいろと問題点が指摘されることが多い。しかし、現在、国ベースでどれだけ資産を増やした、あるいは減らしたかを認識できる統計は、国民経済計算ベースの国富しか存在しない。問題点があることは頭に入れながらも、事実上、一つしか存在しない日本の国富を表すグラフを下記に示す。
国富 http://stockbondcurrency.blog.fc2.com/img/20150510172757912.gif/
国富の大半は非金融資産である。それ以外は、金融資産の一部である対外純資産だけである。国富の大半をしめる非金融資産が減少傾向を示している最大の原因は、地価の下落である。対外純資産は増加傾向にある。
国富には、対外純資産以外の金融資産が存在しない。これは、金融資産が存在すれば、必ずそれに等しい金融負債が存在していると国民経済計算では考えるからだ。この場合、株価が上昇しても、株価の時価総額の増加額に等しい金融負債が増加していると考えるのである。この考え方に基づけば、アベノミクスの結果株価が上昇しても、プラスは発生しない。株価の時価総額と同金額の金融負債が同時に増加すると考えるからだ。株式保有金額の増加額のうち海外投資家による日本株保有分については、海外投資家の資産増加と、国内部門の負債の同金額の増加が発生すると考える。これを日本から見れば、国内の負債の増加分と同金額の国内資産が増えているのではなく、同金額の対外負債の増加だけが発生していると見える。対外負債の増加であるから、対外純資産の減少、すなわち国富の減少を意味する。日本の株価が上昇すればするほど、資産は増えず、対外負債だけは増加し、対外純資産と国富は減少する。 国民経済計算は年1回公表され、最新のものは2013年度版である。非金融資産については国民経済計算が唯一の統計である。しかし、対外純資産を含む金融資産については、国民経済計算に準じるものとして、日銀の資金循環統計が存在する。これは年4回公表、最新のものは2014年版である。両者の会計基準は、主体や項目などの分類の定義に違いがあり、一致しない数字も多いが、理論的には同種のものと考えてよい。そのため、前回と同様に、国民経済計算ではなく資金循環統計の数字を使って、株価上昇による損益を計算する。なお、国民経済計算の株式は未上場株をも含めたすべての株式が対象であり、上場株だけの数字を求めることはできない。ここで使う数字は、資金循環統計における上場株だけの数字である。 2014年末における投資部門別の株式保有金額(上場株だけが対象)を表すグラフを下記に示す。 投資部門別保有金額 http://stockbondcurrency.blog.fc2.com/img/2015051017282459d.gif/
2014年末における最大の大株主は海外投資家であり、その金額は165兆円、全体の31%を占めていた。
次に、アベノミクス相場の開始以降、上記の株式保有金額がどれだけ増加したかを表すグラフを下記に示す。 投資部門別保有金額の増加額 http://stockbondcurrency.blog.fc2.com/img/201505101728253d4.gif/
アベノミクス相場の開始日は、野田前総理が衆議院解散を明言した2012年11月14日である。しかし、その日からの統計は存在しないので、代わりに2012年9月末を基準にした。保有金額にだいたいは比例しており、海外投資家による株式保有金額の増加額が95兆円と一番大きい。
次に、アベノミクス相場開始以降の投資部門別の売買状況を表すグラフを下記に示す。 投資部門別売買 http://stockbondcurrency.blog.fc2.com/img/201505101728224f6.gif/ このグラフの起点も、2012年9月末にした。見てわかるとおり、買いの大半は海外投資家である。2014年から公的資金が買い始めたので、信託銀行が少し買い越しになっている。最大の売り越し主体は家計、すなわち個人である。
次に上記の2つの表で示される金額の差を表す投資部門別の調整額というグラフを下記に示す。 調整額 http://stockbondcurrency.blog.fc2.com/img/20150510172758332.gif/ 調整額の定義は、資産の変動金額と売買金額の差である。具体的には、調整額の大部分は株価の値上がり益であり、かなり広い意味ではあるが統計上の不突合が一部に含まれている。最大の大株主である海外投資家が一番大きな株価の値上がり益を獲得している。
最初に示した国富の中の対外純資産は、フローベースでは「経常収支+資本移転等収支」の累積金額になる。一方、ストックベースではそれ以外のさまざまな資産価格の変動の影響を受ける。さまざまな資産価格の変動の中で最も寄与度が高いのは、為替レートと株価の変動分である。 日銀の資金循環統計ベースの対外純資産は、2012年9月末の277兆円から、2014年12月末の376兆円まで98兆円の増加となっている。このうち、海外投資家の日本株投資残高は、先のグラフで示したとおり95兆円、うち買越金額は20兆円、調整額、すなわち株価の値上がり益は75兆円である。海外投資家は日本の株価上昇により、75兆円前後の値上がり益を獲得した。このため、日本の株価が2012年9月と2014年末が同じであったと仮定するならば、対外純資産は376兆円より75兆円多い451兆円になっていたはずである。株価が上昇したがために、75兆円もの対外純資産と国富が減少したことを意味する。 しかし、アベノミクス開始以降の対外純資産は、株価上昇によるマイナス効果以上に円安によるプラス効果の方が大きかった。フローベースの「経常収支+資本移転等収支」の金額は小さかった。そのため、主として円安の結果として対外純資産は増加し、株価上昇によるマイナス効果は見えにくかった。 株価上昇によって海外投資家が獲得した75兆円の調整額は、2014年末の金額である。2015年に入ってからも、日本の株価は上昇している。ここで海外投資家の保有株式金額はTOPIXと同じ動きをすると仮定する。今年に入って、海外投資家は現物株を買い越しているが、残高との比率では大きな数字にならないので、ここではゼロと仮定する。この仮定に基づいて、2014年末からの海外投資家の日次の調整額累計を表すグラフを下記に示す。 海外投資家の調整額 http://stockbondcurrency.blog.fc2.com/img/201505102339329ee.gif/
調整額の起点である2012年9月末の株価は、2012年11月14日の株価より少し高い。従って、基準点が2012年11月14日のグラグが作成可能であったと仮定したならば、その金額は上記のグラフの金額を少し上回ることになる。それ以外の調整額についての仮定も、実際の調整額より少なく算出される仮定になっている。ただし、統計上の不突合は上下のどちらにも存在する。それでも、より正確なデータが存在すれば、上記のグラフの少し上を進んでいる可能性が高い。
少しばかりの仮定をおいて算出される累積調整額は、2015年4月22日に100兆円に到達した。この金額は、アベノミクス相場開始以降、日本の株価上昇によって失われた国富の金額にほぼ等しい。アベノミクスによる株価上昇が原因で失われた国富は、4月22日についに100兆円に到達してしまったのである。4月22日は実に悲しむべき日である。しかし、4月22日という日は、2000年4月14日以降、日経平均株価の終値が2万円台で引けた記念すべき日でもある。株価が上がってめでたし、めでたしの日でもあった。私が悲しむべきと考える日と、みんながお祝いをしている日が、同じ日になってしまった。 アベノミクス相場の開始以降の株価上昇による(上場株だけから発生した)国富の損失100兆円という数字は、多少の誤差があるとしても、ほぼ正しい金額である。
国民経済計算という基準、中でも、ストック統計の会計基準についてはいろいろな批判が存在する。しかし、日本という国レベルで、純資産、あるいは国富が毎年どれだけ変動しているかを知るための会計基準は、事実上、一つしか存在しない。その唯一の基準とも言うべき国民経済計算という基準を使えば、アベノミクスによる株価上昇で失われた国富の累計額が、4月22日に100兆円前後に到達したという事実を動かすことはできない。
株価上昇はアベノミクスの最大のメリットというのは正しくない。国民経済計算という有力な会計基準を使った場合、アベノミクスは、株価上昇の結果として日本の国富を100兆円も失わせた。 http://stockbondcurrency.blog.fc2.com/blog-entry-184.html
[32初期非表示理由]:担当:混乱したコメント多数、規定違反多数により全部処理
|