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金融緩和の終わりは近い!欧州の決定が日本の進路を変える 金融政策の正常化へ舵を切るECB
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52173
2017.06.03 真壁 昭夫 信州大学経済学部教授 現代ビジネス
■金融緩和の調整を始めたECB
今、日本を除く主要先進国の金融政策は、金融緩和から政策の正常化や引き締めに移りつつある。
米国ではイエレンFRB議長が株価の割高さに言及するなど、相場過熱への警戒感は高まっている。それだけに、早いタイミングでバランスシートの縮小が開始されるのではないかとの見方は増えている。加えて、英国、カナダ、ユーロ圏でも中央銀行の総裁が緩和的な金融政策に修正が必要との認識を示し始めた。
注意すべきはECBだ。金融市場では、ECBの金融政策は限界を迎えているとの見方が多い。ECBのドラギ総裁も、金融緩和の度合いを調整する可能性があると発言している。
ECBの政策は、日銀が金融緩和を強化する際の参考にもなったと考えられる。ユーロ圏での金融政策が変更されるとの見方が増えた時、わが国にどのような影響があるかは冷静に確認するべきだ。
■緩和縮小か継続か、決断のときは近い
6月に入ってからのドラギ総裁の発言を確認すると、基本的には物価が目標水準である2%近傍に届いていないことを理由に、金融緩和が必要だと主張している。同時に、ドラギ総裁は、政策の微調整が必要との認識も示した。
事実、ECBは現状の国債買い入れ策をいつまでも続けることができない。すでに、4月からは一月あたりの国債買い入れ額が減額された。金融市場が落ち着く中、ECBが金融政策の正常化を念頭に置き、量的緩和策の段階的な縮小(テーパリング)を進めようとすることは十分に考えられる。過度なリスクテイクが進まないようにするためにも、政策の調整は必要だろう。
問題は、ユーロ圏の景気回復にばらつきがあることだ。それだけに、ドラギ総裁には繊細な判断が求められる。ECBのマイナス金利と量的緩和策はユーロ安につながった。それがドイツの輸出競争力を高め、ドイツを中心に域内の景気が回復した。しかし、社会全体でインフレリスクへの警戒心が強いドイツはECBの金融政策が緩和的すぎると批判している。
一方、銀行システムに不安を残すイタリアなどへの配慮が必要であることも確かだ。このような状況の中、金融緩和の正常化、あるいは現状維持、どちらを進めるにしても決定は容易ではない。ドラギ総裁は微妙に言い回しを変えつつ、市場の反応を探ろうとしている。そこには、市場が落ち着いている間に政策の正常化を進めたいとの思惑が見え隠れする。
■ECBの緩和の限界が日本の潮目も変える
今後の展開として、ECBが早期の金融政策の正常化を目指す可能性はある。それがわが国の経済にどのような影響をもたらすか、少し冷静に考えておいたほうがよい。なぜなら、日銀はECBを一つのお手本として扱い、マイナス金利を導入する際の参考にしたと考えられる部分があるからだ。
ECBと同様、日銀の金融政策も限界に直面している。日銀は国債発行額の4割程度を保有している。マイナス金利政策が続いていることもあり、国債への投資妙味は乏しい。実際、国内の銀行は国債の保有残高を減らしてきた。ECB同様、いつまでも現状の金融政策を続けることはできないはずだ。
物価が目標水準に届かない中でECBが政策の正常化に着手すれば、市場参加者はECBが金融政策の限界を認めたと解釈するだろう。その時、金融市場では日銀も過度な金融緩和策の継続よりも、正常化に向けた出口を確保すべきとの見方が広まるかもしれない。それは、金利の上昇圧力につながり、イールドカーブコントロール政策の運営を難しくする恐れがある。
足許、米国の景気は伸び悩みつつあるようだ。国内では、安倍政権の先行きがどうなるか、不透明感が増している。そこにECBの金融政策の正常化観測を受けた国内金利の上昇が加われば、円の買い戻しが進みやすい。それは、わが国の景気下押し圧力を高めるだろう。
一般的には、海外での金融政策の引き締めや正常化は円安につながりやすいと考えられがちだ。しかし、そうとは限らない部分が増えつつあることに留意が必要だろう。
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