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「時は金なり」は真っ赤なうそ ビジネスで時間より大切なもの
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170623-00016687-forbes-soci
Forbes JAPAN 6/23(金) 7:30配信
ビジネスシーンで頻繁に繰り返されるうその一つが「時は金なり」という格言だ。
この言葉の意味を考えてみてほしい。あなたを含む全ての労働者が一刻も早く仕事を片付けなければならない、時間を無駄にすれば会社にコストがかかるので急げ、ということだ。
私たちは何の理由もなしに、早く仕事を済ませるよう人々に圧力をかけてしまう。時は金ではない。
人生はあなたが持つ中で最も貴重なものだ。ミリ秒が無数につながって水平線上に延び、その行きつく先は誰にも分からない。そうしたミリ秒の一つも買い戻すことはできないのに、金銭に貴重な時間と同じ価値があるわけがない。
金銭は、健全な企業から得られる最高の成果物というわけでもない。だが、たとえ収入と利益を最大限得たいのであっても、仕事のスピードアップを従業員に強いるのは、誤ったアプローチだ。
早急な決断は、最悪の決断であることが多い。人は時間的なプレッシャーがかかるとそれに負け、判断力が損なわれる。時間に基づいた基準を設定してしまうと、従業員はそのペースについていけなければ懲罰・解雇の対象になると恐れ、職場に恐怖感が生まれる。
急げ、急げ、急げと圧力がかかる中で最高の仕事ができる人などいるだろうか?
ジェイ・グリフィスによる素晴らしい本『A Sideways Look at Time(時間を斜めに見る)』では、人の考え方や期待がどのように時間を屈折・延長させ得るかを説明している。
時間が果てしなく長く感じることがどれだけ惨めかは、皆さんも知っているはずだ。退屈し、働く意欲のない従業員が終業ベルを待っている状態が最もよくありふれた例の一つだろう。頭が疲れ切ってしまった従業員に、少しでも長く職場に残っていてほしいと思う人などいるだろうか?
恐怖が職場を支配していることは、時間に関する就業規則を見れば分かる。多くの職場で、遅刻は最も深刻な規則違反の一つであり、「時間通りに出社する」という規則を破った時点で「月〜金の朝8時から夕方5時まで、あなたの時間をささげてもらう」という暗黙の了解を破ってしまったことになる。
もしあなたの仕事が早く、すぐに終わらせてしまうようであれば、上司は短い時間でも満足する。しばらくすると、上司がそのまた上司から、なぜ他の従業員はあなたほど仕事が早くないのかと聞かれる。そうすると、上司はあなたに少しペースを落とすように言うだろう。
■強い組織は「人間時間」で稼働している
全ての人間活動を、仕事の場合と同様に切り刻んで測るのは健全ではない。人間は総合的な存在であり、仕事も同様に総合的なものになることを望んでいる。人というものは、1日42人の顧客に電話することや、1週間に120通の請求書を承認すること以上の何かにつながっていたいものだ。
そのつながりを許されるだけでも、より楽しく良質な仕事ができるだろう。従業員がリラックスして楽しめるような環境であれば、イノベーションや斬新なアイデア、コラボレーション、アイデアの共有など、リーダーが求めることは全て実現される。一方で従業員が時間に追われてストレスを感じていては、良いことは一つも生まれない。
仕事は芸術だ。時間と生産性に執着すると、仕事から得られる楽しみと芸術性が損なわれ、退屈な骨の折れる作業に成り果ててしまう。仕事は、人間の体・精神・心を表現するもの。仕事が単に金銭を得るための手段になってしまうと、地球上での人と仕事の神聖なつながりが断たれてしまう。
仕事でも家庭でも、自分の時間との関わり方を新しく作り直すことはできる。私たちが下す決断の中には、考えが芽生えて固まるまで時間がかかり、スケジュール通りに進められないものもあることを受け入れよう。そうした決断は花開くまで時間がかかるので、焦ってはいけない。
私たちが目指す素晴らしい成果、つまり物理的なものと形に残らないもの(顧客・業者・同僚との温かい関係のようなもの)の両方を実現する方法が、全ての仕事をできる限り迅速に行うことであるはずがない。
信頼の構築度は計測不能だが、会社にとってはあなたが行う他のほぼ全てのことよりも大切のもの。年や月、ナノ秒という単位で測れるようなものよりは確実に重要だ。
強い組織は「人間時間」で稼働している。そうした組織が持つ力は、人間の力だからだ。一方、弱いリーダーは「機械時間」で組織を動かし、素晴らしい人間のチームメンバーを機械の部品として扱うことに注力している。しかし、こうした方法が大成功につながったことは決してない。
Liz Ryan
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