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残業時間削減の一方で「隠れ残業」が横行
残業時間削減策導入も「隠れ残業」横行、強制的に止めるには
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170621-00000001-moneypost-bus_all
マネーポストWEB 6/21(水) 7:00配信
長時間残業をしていた電通社員が自殺した件が労災認定を受けるなどの影響などもあり、残業抑制に取り組む企業が増えている。政府が推し進める「働き方改革」の潮流もあいまって、在社を禁止してみたり、早く帰る人を褒めるなど、様々な方法で労働時間の短縮と業務の効率化を取り組む動きが生まれている。
三井住友海上火災保険では、社員全員が自分で決めた終業目標時刻を「宣言」する取り組みを4月から始めた。宣言をすることで自ずとその時刻を守ろうという意識が働き、上司も終業間際に仕事を頼みづらくなるため、全社で仕事の効率化を考えるようになるという狙いだ。
また、「紳士服のはるやま」を展開するはるやまホールディングスは、月間の残業時間がゼロだった社員に対して1万5000円を支給する「No残業手当」制度を2017年4月から導入している。残業した場合でも、残業代が1万5000円未満の社員には、差額を上乗せして1万5000円を支給する。自発的に残業をなくすようにするにはどうしたらいいかと考え、残業をしない社員が得をするような制度を発案するに至ったという。
ただ、こうした企業努力によって“表面上”の残業が減っても、心配されるのが、仕事の持ち帰りと企業が把握していない「隠れ残業」の存在だ。IT企業のアイキューブドシステムズが、一都三県のオフィスワーカーを対象とした調査によると、仕事を家などに持ち帰っている人は全体の44.8%で、そのうちの83.4%は、会社に申告していない「隠れ残業」があるという。
同社は、モバイルデバイス管理のためのアプリケーション「CLOMO MDM」の新機能として、業務時間外になると、電話以外の機能が画面から消え去り、使えなくなるという「ワーク・スマート」機能をリリースした。
それ以降に業務のメールなどをするためには、管理者へ利用の延長申請を出す必要がある。リモートワークの利便性は損なわずに、社外の残業までも可視化することで、「隠れ残業」で社員が健康を害するリスクを軽減できるという。産業医の三宅琢氏は、アイキューブドシステムズのプレスリリースにおいて、以下のコメントをしている。(※注:ICT=情報通信技術)
〈残業を抑制しようとする社会的な流れがある一方で、近年のICTの普及により、仕事を持ち帰る状況が起こりやすくなっています。管理側やデバイス側で使用におけるルールを作らないと、ICT導入が「持ち帰り残業」や「隠れ残業」を助長する温床になりかねないのですが、ルールの整備が十分にできておらず、運用・管理が本人や現場のモラルやリテラシー任せになってしまっているのが実態です。〉
ICTは現代人の働き方を大きく変え、もはやそのメリットを手放すことは難しいだろう。一方で、過去には、大量の持ち帰り残業が過労死の原因として、労災認定された例もある。こんな時代だからこそ、在社時間の削減努力以上に、在宅も含めた“総労働時間”の正しい把握がまずは重要だろう。
厚生労働省は、仕事を終えてから次の日の仕事を始めるまでに一定の休息時間を確保する「勤務間インターバル」の普及のための検討を先月から本格的に始め、大手ビールメーカー各社では導入を進めているという。生きるための仕事であるにもかかわらず、仕事に殺されては身も蓋もない。
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