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年収1,000万円 vs. 貯金1,000万円、どちらが幸せへの切符なのか
http://www.toushin-1.jp/articles/-/3502
2017.06.16 06:00 投信1編集部
1,000万円の大台。年収にしても貯金にしても1,000万円は多くの人が一つの目標としている数字ではないでしょうか。では、年収と貯蓄で1,000万円を達成するのはどれくらい難しいのでしょう? 今回は、それぞれどの程度の人が達成しているのかを見ていきたいと思います。
年収1,000万円超は全国に約200万人
2016年9月に国税庁より公開された「民間給与実態統計調査」によれば、1年を通じて勤務した給与所得者4,794万人のうち、年収が1,000万円超の人は全体の4.3%の約200万人です。
「年収が1,000万円を超えるのが200万人もいるのか!?」と意外に思うかもしれません。
ただ、該当する層が全体の約4%なので、たとえば高校時代の1クラスが50名だったとすると、その中の2人が年収1,000万円超をもらっているにすぎません。そう考えると年収1,000万円はそう簡単に達成できる水準ではないと言えるでしょう。
世帯別貯蓄の全国平均値は1,820万円
一方、貯金で1,000万円以上を実現する難易度はどれほど高いのでしょうか。
総務省が2017年5月に発表した「家計調査報告(貯蓄・負債編)」では、2人以上世帯における2016年の1世帯当たり貯蓄現在高の平均は1,820万円とされています。
「はて、みんなそんなにお金を持っているのか?」と思われる方もいらっしゃるでしょうが、実はこの数字をちゃんと理解するためにはいくつか注意点があります。
まず「貯蓄」の定義には、預貯金の他に有価証券や生命保険、個人年金なども含まれています(社内預金や勤務先の共済組合などは含まず)。したがって、「貯金」と「貯蓄」が異なるということはあらかじめ認識しておきたいところです。
統計上の注意点とは
とはいえ、「株式投資等はほとんどしていないし、保険を加えても1,800万円はいかないぞ」という方も多いでしょう。
そこで2つ目の注意点ですが、統計上、平均値と中央値とは分けて理解する必要があるのです。
平均値とはデータの値の合計をデータの数で割った数字ですが、中央値というのは、データを順番に並べてちょうど真ん中にくる数値です。今回の貯蓄の「中央値」は貯蓄保有世帯で1,064万円、貯蓄「0」の世帯を含めると中央値は996万円となっています。
こう言うと、「なに? 貯蓄の中央値でも1,000万円なのか!」と驚かれるかもしれません。
ただ、最頻値と呼ばれる最もデータの数が多い層は「貯蓄100万円以下」です。「みんなそんなに持っていないでしょう?」というイメージは、おそらくこの最頻値からくるものでしょう。
年収1,000万円 vs. 貯金1,000万円、どちらの達成が難しいのか
こうしたデータからすると、年収1,000万円よりも「貯金」1,000万円の方が簡単なのでは?と思いがちですが、ここでも注意が必要です。
貯蓄水準が高いのは高齢者です。現役のビジネスパーソンではなく、60歳から69歳、70歳以上の貯蓄水準が全体を大きく引き上げています。
つまり、現役世代が資産をいきなり貯めるのは簡単ではないのです。現役世代としては、まずは年収1,000万円という目標にチャレンジするのが現実路線でしょうか。
年収1,000万円と貯金1,000万円はどちらが幸せか
ここまで見てきたように、現役世代にとってはまず年収1,000万円を達成しようと努力する中で資産形成をしていくのが第一歩ではないでしょうか。
仕事で自分が評価され、市場価値が上がるプロセスを体験・体感することには大きな充実感があるものです。ただし、収入が増えるにつれ、所得税、住民税、社会保険料も増えていきます。
年収1,000万円の満足度は、税金等の額とそれらを差し引いた手取り金額、そしてそれで実現できる生活水準など、様々な要素を考え合わせた上でのバランスに過ぎません。
年収が上昇する中で生活水準を極端に上げてしまうと、年収1,000万円をもらっていたとしても、貯金に回したり運用に向けたりする資産が残らないという残念なケースもあります。年収が1,000万円あっても、ゆとりのある生活は必ずしも保証はされていないのです。
では、貯金1,000万円の場合はどうでしょうか。
貯金が1,000万円あったら何ができるのか
資産形成をするのには、当然ながら運用する資産が必要です。ここで認識しておきたいのは、初めにそこそこの規模の運用資産がなければ、それに対するリターンには大して満足できないという点です。
たとえば、株式投資で年間に20%のリターンを上げるのは簡単ではありませんが、仮に運よく20%のパフォーマンスが出たとしましょう(ここでは手数料や税金などは考慮しません)。すると、100万円の投資なら1年のリターンが20万円、1,000万円なら200万円になります。20万円と200万円では、当然使い道も違うものになるでしょう。
「200万あっても、それだけでは生活できないぞ」という方もいると思います(一人暮らしの自分はできる、という方もいるとは思いますが)。ただ、現役世代であれば、ほとんどの場合は仕事を持っていて、そこからの所得があると思います。この所得に加えて、投資・運用で資産形成していくというのは悪い話ではありません。
株式投資以外に、住宅ローンや不動産投資の頭金にする人もいるでしょう。それによって自分の住みたい家を建てて満足度を高めることもできますし、配当収入を手にすることもできます。
このように、貯金1,000万円という水準があれば様々な資産運用に挑戦できますし、自分の生活スタイルを変えることも含めて、選択肢が増えることでしょう。
まとめにかえて
いかがでしたでしょうか。統計上の数値で年収1,000万円、貯金1,000万円をどれくらいの人が手にしているのかを見てきました。決して多くはありませんが、それらを実際に手にしている人もいます。
収入を(できれば)増やして、支出を減らし、余った分を資産形成に向ける。この基本動作を意識して個人個人で工夫する余地を増やしたいものです。
参考:投信1『サラリーマンの到達点「年収1千万円プレーヤー」になって何が変わった?」』『世帯別平均貯蓄1,820万円のカラクリ「みんなそんなに持ってるの?」』
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