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かっぱ寿司が食べ放題という「地獄」を選んだ本当の事情 採算は十分に合うって、ホント!?
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52026
2017.06.17 加谷 珪一 現代ビジネス
回転寿司の「かっぱ寿司」が、期間限定で食べ放題企画をスタートさせた。顧客の反応は上々で、入店待ちで長蛇の列になっているところもあるようだ。同社は回転寿司の老舗だが、スシローなど競合他社に水をあけられた状況にある。食べ放題は同社復活の切り札になるのだろうか。
あっという間に満席になる
かっぱ寿司は6月13日から7月14日までの期間限定で、食べ放題のキャンペーンを実施している。平日の14時から17時の時間限定(70分)で、寿司を中心にサイドメニューなど約80品目が楽しめる。メニューには制限があり、極上大とろや上煮穴子など高級ネタは対象外だが、甘海老などを含む通常メニューの多くが食べ放題となっている。
肝心の値段は、男性は1580円(税別)、女性は1380円、小学生は780円となっており、別途680円を支払えばアルコールも飲み放題になる。ちなみに65歳以上は980円で、小学生未満は無料である。対象となる店舗は、蕨店(埼玉県)、寝屋川香里店(大阪府)、名古屋守山店(愛知県)など20店舗だ。
利用者の反響は大きく、平日の昼間という時間限定サービスであるにもかかわらず、一部の店舗ではあっとういう間に満席となり、入店を待つ長蛇の列ができた。かっぱ寿司ではWebサイトやアプリからの予約が可能だが、混雑が激しいため、食べ放題の予約はできない状況が続いている。
一方、回転寿司の分野で食べ放題を導入してしまうと、事業者が儲からなくなってしまうのではないかと懸念する声も聞かれる。業界内においても、食べ放題の導入については慎重な意見が多いと言われる。
かっぱ寿司では、食事を残した場合には実費としているほか、シャリを残した場合にも一貫につき30円を徴収するなど、コスト負担が大きくならないよう工夫している。それでもたくさん食べられてしまえば、その分だけコストはかさんでしまう。
今回、かっぱ寿司が導入した食べ放題制度は、平日のアイドルタイム限定で、キャンペーン期間も限られている。対象となる店舗は全国347店舗のうちわずか20店舗に過ぎない。表面的には、あくまでアイドルタイムの底上げを狙った実験的な取り組みということになるだろう。
「食べ放題」を始めざるを得なかった理由
だが、かっぱ寿司が置かれている状況を考えた場合、同社が恒久的な戦略として食べ放題を検討している可能性は十分にある。かっぱ寿司が食べ放題を積極的に導入するメリットについて理解するためには、回転寿司の市場や同社のビジネス・モデルについてもう少し掘り下げる必要があるだろう。
一般的に寿司は原価率が高く、客単価を上げないと利益が出ないビジネスである。かっぱ寿司を運営するカッパクリエイトの2017年3月期における原価率は49%だった。
業界最大手のスシローを運営するスシローグローバルホールディングスの原価率は48%、くら寿司を運営するくらコーポレーションは45%と、各社とも同じような水準である。
飲食店の原価率は通常25%程度なので回転寿司の原価はかなり高い。いくら仕入れのコストが高くても顧客が払える金額には限度があることから、コストの積み上げで価格を決めるわけにはいかない。このような業態の場合、ビジネスとして成立させるためには数量で稼ぐ以外に方法はなくなってくる。
回転寿司の業態においては、顧客の回転数が極めて重要なファクターとなっており、出店場所を慎重に選ばないとたちまち業績が悪化してしまう。
かっぱ寿司は回転寿司業界では老舗であり、かつては業界のリーダーだったこともあるが、現在ではスシローやくら寿司などにリードを許している。
スシローとくら寿司が躍進したのは、回転寿司の位置付けが変化し、市場が階層構造になってきたからである。かつて回転寿司は「安さ」だけが売りの市場だったが、時代とともにいわゆる街の寿司屋が激減。回転寿司が寿司店の標準的な業態となった。
そうなってくると回転寿司の中で高級路線と低価格路線が共存することが可能となるが、高級路線を意識したのがスシローやくら寿司であり、結果的に低価格路線を維持することになったのが、かっぱ寿司ということになる。
スシローの1店舗あたりの年間売上高は3億円超とかっぱ寿司(1億9000万円)を圧倒している。スシローは大型店が多いという特徴を考慮したとしても、スシローの客単価の高さは突出している。くら寿司も、4大添加物(化学調味料・人工甘味料・合成着色料・人工保存料)無添加を打ち出すなど、品質の良さを強調しており、やはり客単価は高めだ。
採算は十分に合う
輸入食材を多用し、低価格路線を維持していたかっぱ寿司にとって円高が続いているうちはまだよかったが、アベノミクスによる円安が状況を大きく変えた。
同社の仕入れコストは急上昇し、価格を抑えるために一部の寿司ネタで味が犠牲になり、結果的に「かっぱ寿司はあまり美味しくない」というイメージが出来上がってしまった。
同社は状況を打開するため食材の質を上げたが、これよってコストが大幅に増加。不採算店舗の減損なども加わり、2017年3月期は58億円の最終赤字に陥った。
経営学的に見た場合、同社の業績を回復させるためには、単価を向上させるか、客数を伸ばすか、コストを削減するのかの三択となる。
コストを削減すると、以前の状況に逆戻りする可能性が高いため、選択肢からは外れる可能性が高い。一度、市場で確立したブランドイメージを覆すのは容易ではなく、安易な高級路線の追求もリスクを伴う。残された選択肢は客数の増加であり、同社はここに注力せざるを得ない状況となっている。
仮に今回の食べ放題の評判がよく、全店舗で同じキャンペーンを展開した場合、客数を大幅に増やすことが可能となる。筆者が食べ放題は一時的な措置ではないと予想するのはこうした理由からだ。
ここでもっとも懸念されるのはコストの問題だが、カギを握るのは食べ放題の時間だろう。食べ放題の制度では2時間や90分というケースが多いが、かっぱ寿司の場合には70分となっている。
マルハニチロが行った調査によると、回転寿司では男性は平均11.1皿、女性は8.6皿を食べているという。ごく普通の利用客であれば、70分で食べる量は平均値近辺に収まる可能性が高く、店側は同じ利益を確保できる。一定数の顧客は平均値を大幅に超える量を食べることになるが、全体からすればごくわずかであり、十分に採算は合う。
もっとも、ひとたび食べ放題を始めて、それが支持されてしまうとそこから撤退するのは大変だ。戦略的に正しいとはいえ、かっぱ寿司にとって大きなチャレンジであり、まさに背水の陣を敷いたと解釈することもできるだろう。
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