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日本人の未婚化を語るとき、取りざたされるのは低年収の男性の未婚問題ですが、実は女性の側にも原因がありました(写真:aijiro / PIXTA)
女性が直面する「稼ぐほど結婚できない」現実 未婚化は低年収男性だけが原因じゃなかった
http://toyokeizai.net/articles/-/175446
2017年06月11日 荒川 和久 :ソロ男プロジェクト・リーダー/独身研究家 東洋経済
男性の未婚化はよく話題になりますが、同時に女性の未婚ソロ化も着々と進行しています。
「東京女子」の未婚率は全国平均を大きく上回る!
あまり話題になりませんでしたが、2015年の国勢調査では、東京都の女性の生涯未婚率(50歳時点での未婚率)は約20%もあり、全国女性平均14%を大きく上回っています。全国男性平均の23%とほぼ変わりません(都道府県別の生涯未婚率に関しては「青森で16倍!北日本で密かに進む未婚化の怪」をご参照ください)。
日本人の未婚化が進んだ要因として、いつも取りざたされるのは非正規雇用者の増加などに伴う男性の経済的貧困問題。いわゆる「カネがないから結婚できない現象」です。以前この連載でも、「女性が結婚したがるのは経済的余裕を欲するからであり、男性が結婚したがらないのも経済的余裕を失いたくないからだ」と、双方が結婚にコスパを求めるという記事を書きました(独身男が「結婚コスパ悪い説」を信奉する理由)。確かに、男性の場合は経済的理由で「結婚したくてもできない」という層は一定数存在しますし、年収が低ければ低いほど未婚率が高いことも事実です。
しかし、未婚化が進行した要因は、そうした男性側だけの問題ではありません。女性側の事情もあります。
まず、前提として、働く女性の未婚率が高いということがあります。2015年国勢調査「就業状態等基本集計」によれば、就業者のうち「仕事が主」の女性の未婚率は、各年代で男性よりも高く、パートや非労働の女性と比べて20〜40代の未婚率が抜きんでて高いことがわかります。30〜34歳の働く女性の半数以上、52%が未婚というのは驚きです。
さらに、35〜44歳のいわゆる“アラフォー”男女の年収別未婚率の分布を見ていただきたいと思います。
年収が低いほど未婚率が高い男性とは正反対に、女性の場合は年収が高くなればなるほど未婚率が高くなっています。特に、年収1250万円以上の女性にいたっては、6割近くが未婚です。
女性の未婚率は正規が非正規の2.6倍!
こうした男女正反対の傾向は、正規・非正規雇用の比較でも同様です。男性の生涯未婚率は、正規雇用16.6%、非正規雇用50.7%と圧倒的に非正規が高いのに対して、女性は正規雇用22.1%、非正規雇用8.3%と逆転します。
産業別にみると、「新聞・出版・映像制作・広告制作業」や「法律事務所・会計事務所」「デザイン業・著述家」などは女性の生涯未婚率が特に高い。ここからわかるのは、正規職員としてバリバリ働いている女性ほど生涯結婚しない可能性が高くなりやすく、それも、映像や文字、文章や絵を使いこなし、専門的な資格や知識を持つ女性ほどその傾向は顕著なようです。
東大卒女性は高卒男性と結婚しない
なぜこうした状況が起きるのでしょうか。ひとつには、男女とも「同類婚」を求めがちという点にあります。同類婚とは、同じような学歴、収入、価値観同士が結婚したがる傾向です。大卒男子は大卒女子と、高卒男子は高卒女子とくっつき、年収についても、同じレベルの収入同士の男女がくっつくというものです。そもそも、出会いのきっかけが職場や友人の紹介だとするならば、そうした同類同士が結び付くというのはある意味自然かもしれません。実は、昨今の共働き志向の中で、この同類婚が進むと、世帯同士の格差が広がるという別の問題が発生します。この問題については改めてお話しします。
そして、もうひとつは、男性の「下方婚」志向と女性の「上方婚」志向です。男性は自分より低い収入の相手を希望し、女性は自分より収入の高い人を望む傾向があるわけです。これは、収入だけではなく、学歴にも当てはまります。
極端な例で説明すると、東大卒の男性は高卒女性ともマッチングされますが、東大卒女性は高卒男性とはほとんどマッチングされません。仮に、東大卒女性が高卒男性とマッチングされたとしたら、それは東大卒男性並みかそれ以上の収入を稼ぐ男性である必要があります。また、収入面だけで見ると、高年収男性は相手の女性の収入にはこだわりません。むしろ自分より低くあってほしいと希望します。
一方、高年収女性、たとえば1000万円以上稼ぐ女性の場合は、それ以上に稼ぐ男性しか眼中にないということになります。しかし、単純にそうした高収入の男性は無尽蔵には存在しません。人数に限りがあります。すると、年収の高い女性は対象者がいないという事態に陥ります。理論上、自分より収入の低い男性とマッチングすれば問題ないのですが、当の女性たちはそれをよしとしません。よって、前述したように、低年収男性と高年収女性が未婚のまま残るというわけです。
では、1980年代までの皆婚時代はどのようにして、ほぼ100%のマッチングが可能だったんでしょう?
まず、男女雇用機会均等法施行前であり、女性が総合職としてバリバリ働ける環境ではなかったことが挙げられます。自ら働いて経済的自立を果たす女性は少なかったし、女性にとっては、「結婚こそが人生最大の就職」という位置づけにされていたということがあります。極論すれば、女性にとって結婚とは「死活問題」で、「結婚をしないという選択肢はなかった」ともいえます。
さらに、当時は、結婚すれば性別役割分担が明確で、基本的に男性が家族を養うものという考えが常識でした。当然、そうした男性側の役割は、高度経済成長や年功序列・終身雇用というあの時代特有の「昭和の安定」に支えられていたものです。だからこそ、ほとんどの男性は結果として経済的に「下方婚」であり、女性は「上方婚」だったわけです。
かつて、結婚とは、生きていくうえで必要な社会的共同体システムであり、結婚する個人の責任というより社会の責任という意識がありました。だからこそ、適齢期の若者に対しては、地域や親族が釣り合いの取れる相手をマッチングしてくれるお見合い結婚が有効に機能していたのです。
お見合い結婚が恋愛結婚に逆転されるのは1960年代ですが、その後大きな構成比を占める職場結婚も、恋愛結婚というより、「社会的お見合いシステム」の一環でした。つまり、企業によってお膳立てされていた結婚だったのです。男性社員が早くから結婚し、家族のために粉骨砕身働く気になってくれたほうが、企業側からしてみても望ましかったわけですから。
ところが、そんな職場結婚も1990年代以降激減します。それは、結婚の意思決定の自由を個人が獲得した反面、社会的な共同体の支援が失われたことを意味します。そうなると、特に女性側が自己の最適化を考えて相手の男性を一層吟味するようになり、条件がより厳しくなるのは当然です。
これは、経済学における「マッチング理論」でもいわれていることですが、お互いが自己の最適化を図ろうとすると、かえって全体のマッチング数は少なくなってしまうのです。お見合い結婚は、情報量が限定されていて個人の選択余地が少なかったのですが、だからこそ当時の驚異的な皆婚が実現できていたといえるのです。
「女性活躍」するほど女性の未婚化が進む皮肉
このように、未婚化の要因は決して男性の経済問題だけではなく、女性の経済的自立や選択自由度の拡大が影響しています。特に働く女性とっては「無理や妥協してまで、条件の悪い下方婚をする必要がない」というところでしょう。
「結婚したい」「子どもを産みたい」と思っている働く女性は大勢いるでしょう。しかし、バリバリ働く女性であればあるほど、仕事の優先順位を下げてまで結婚に貪欲に突き進むモチベーションが喚起されないのではないでしょうか。そのうち、自分自身が仕事で成果を上げれば上げるほど、自分の年収も上昇し、ますます「上方婚」として結婚相手のハードルが高くなってしまうという悪循環に陥ります。そうして、気づけば40歳。独身女性の場合、出産を諦めた時点で、結婚もまた諦めるという傾向があります。
そう考えると、現在、政府が掲げる「女性が活躍する社会」が実現すると、皮肉にも生涯未婚の女性が増大することになるのでは? そう思わざるをえません。
幸せになるために、一生懸命勉強して、いい会社に就職して、仕事でも成果を出せば出すほど、女性が結婚から遠のいていくのです。もちろん、幸せの形はさまざまですが、仮にいつか結婚したいと思っていたとしたら、いったい何の罰ゲームでしょうか? 一生懸命働く女性が、その働く意欲のために、結婚という道を閉ざされてしまうのだとしたら残念でなりません。
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