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財務省の悲願「消費増税達成」のカギを握る大物政治家の名前 「延期論」が強まる中で…
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51921
2017.06.11 ドクターZ 週刊現代 :現代ビジネス
財政状況は最悪?
自民党の野田毅前税制調査会長は「財政・金融・社会保障に関する勉強会」と銘打った会合を開いた。その内容は「反アベノミクス」を掲げるもので、自民党議員約20人が集まったといわれている。
代表発起人の野田氏は財務省OBの財政再建派で、消費税増税にも賛成と財務省色が強い人物だが、この勉強会の発足はどのような意味を持つのか。
この勉強会で野田氏は「財政破綻の足音が聞こえている」と強調した。消費増税が2度延期されていること、債務残高がGDPの2倍を超える状況であることから、いまの財政状況は「最悪」であるとして、今後財政再建に向けた具体案を提案していくという。
この指針は財務省が望む方向性とかなり近く、実際、この勉強会の設立にあたり、財務省の協力もあったといわれている。「盤石」であるはずの自民党内に働きかけることで、安倍政権に揺さぶりをかける思惑があったのかもしれない。
安倍政権は、財務省の「悲願」である消費増税に積極的ではない。'14年4月に5%から8%へ、'15年10月に8%から10%と2段階の消費増税は、国会で一度承認されているにもかかわらず、安倍政権は2度も延期。このことに財務省はしびれを切らしている。
そもそも安倍政権が消費増税の延期を決めたのは、'14年の増税後に消費が落ち込んでしまったからである。2段階目の増税を危惧した安倍首相は「増税延期」を公約に'14年12月の総選挙に打って出て、圧勝した。
安倍政権への「牽制球
'13年末の閣議決定で増税が決まってから、メディアや学者の多数は財務省に忖度したのか、「増税しても景気は悪くならない」と主張していた。だがこの総選挙の結果を見れば、世論はまったく違う評価をしていたということがわかる。
'17年4月に予定されていた「消費税10%」は、'19年10月まで延期となっている。財務省としては、この10月を迎えるまで、気が気でない毎日を過ごすことになる。
しかも'19年に増税を実行するためには、少なくとも'18年末には態度を固めておかなくてはいけない。ところが'18年9月には自民党の総裁選がある。任期が「3期9年」となった自民党では、安倍首相は最大'21年まで総裁を務めることになる。
また'14年12月に当選した衆院議員は任期満了を迎えるため、'18年末までに必ず衆議院は選挙を迎えることになる。
となると、「二度あることは三度ある」ということで、なんらかのタイミングで自民党政権が再度消費増税を延期する可能性は高い。
最近の安倍首相は'20年に憲法改正を実施すると目標時期を設定し、また教育無償化を提案するなど、積極財政の方向を固めてきている。支出を抑え赤字は増税で補填するべきと考える財政再建派とは、真逆の向きへ向かい始めたのだ。
財務省としてはこの動きをただ野放しにしているわけにはいかない。だから、これまで財政再建派として育ててきた自民党の政治家を使って、安倍政権へ「牽制球」を投げているのかもしれない。今後、この輪にどのような政治家が追加されるのか見物である。
「週刊現代」2017年6月17日号より
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