http://www.asyura2.com/17/hasan122/msg/137.html
Tweet |
中国経済は9月以降が危ない
http://diamond.jp/articles/-/130705
2017.6.7 宿輪純一:経済学博士・エコノミスト ダイヤモンド・オンライン
中国の経済は“一見”好調そうに見える。しかし、それは5年に一度、この9月に開催される共産党大会のために、いわば人為的に安定させているのだ。
共産党大会前に経済(金融)の乱調は許されない。中国の政治制度上の重要イベントとしては、毎年3月に開催される全人代(全国人民代表大会、日本の国会に相当)もあるが、共産党大会は共産党の人事を決めるだけに重要度が違う。組織では人事が重要で、人事さえ決まれば政策は自ずと見えてくるものだ。
さらに今回の共産党大会は、中国共産党にとって重要な意味がある。旧ソ連は中国にとって共産主義の「先輩」国家だが、69年で崩壊した。共産党大会では、通例“5ヵ年”経済計画を作成するが、その期間中に旧ソ連の69年を超える。つまり、共産主義国家として最長の歴史を持つことになるわけで、共産主義の歴史においての意義も深い。
まもなく64歳になる習近平に対しても、昨秋から中国の国家主席の中でも最高位とされる「核心」という呼称を使い始めた。核心と呼ばれた指導者は、歴代のうちでも毛沢東、ケ小平、江沢民の3人だけだ。2013年から国家主席を務め、憲法の規定では任期は2期だが、早くも3期とのうわさも出ている(奇しくも、日本の安倍首相も例外的な3期目が約束されている)。
共産党大会まで経済はひたすら「安定」
共産党大会を念頭に置いた経済政策の基本方針は、とにかく「安定」である。様々な経済的問題で不満を持った人々が天安門広場に結集するなど、“革命的”な動きは困るのだ。中国は欧米の先進国などと違って一党独裁なので、複数政党で政権交替することで国民のガス抜きをするような発想はできない。革命になってしまうのである。
経済政策としては、胡錦濤前国家主席が決めた「GDP2倍計画」の達成を経済成長のベースとしており、そこから逆算して今年の経済成長率を6.5%としている。この経済目標自体も現在の中国にはきつい目標だ。ちなみに昨年の経済成長率の目標は6.7%で、通常、GDPは4半期ごとに発表するが、4回とも6.7%にピタリとそろった。中国の経済統計にはこうした“特徴”があるのだ(日本は2020年のGDP600兆円にせよプライマリーバランスの黒字化にせよ、政策目標は達成しないのが常だ)。
この経済成長目標を達成するために、中国政府は財政政策をフル活用している。逆に以前、李克強首相が「ゾンビ企業」を認定して構造改革を進めようとしたが、これも失業者を増やすことになり社会に不安を与えるので、筆者の調べた限りでは1社しか潰していない。それも数回の預金残高不足を経たあとにだ。さらには大規模に企業の債務の株式化も実施し、表面上は借金が減っている。
他方、金融面では近年、上海株の暴落(チャイナショック)が起こったが、こうした事態を引き起こさないよう細心の注意を払っている。金融政策を緩和的ではなく、“管理”し運営しているのだ。一部にこれを「金融引締め」と見る向きもあるが、これは違う。まずバブルを起こさないようにコントロールしているのである。山高ければ谷深し、の発想だ。
資本流出には規制をかけたが、最近、人民元の通貨制度もまた変更し、中国人民銀行がある意味、意図的に基準値を決められるようにした。これまで変動相場制に向かっていただけに逆行とも考えられるが、下落リスクを封じ込めたのである。さらにいえばこの制度改革で、人民元下落のリスクは消えたとも考えられる。すると人民元を売ってビットコインを買っていた動きは逆行し、最近のビットコイン暴落の一因となった。足許、人民元は一年ぶりの高値となっている。
外交も無難第一、だがその後が怖い
対外政策にも安定を求めている。米中首脳会談は曖昧な譲歩で無難にこなし、北朝鮮問題ではアメリカと協力している。アメリカからは原油も輸入し、最大の輸入国になっている。経済協定についてはRCEP(東アジア地域包括的経済連携)を主導している。開発計画についても、ユーラシア大陸全体を意識して「一帯一路」を唱え関係各国と経済連携開発を強めている。ドイツまでの鉄道も整備して、今まで2週間かかった貨物が3日で届くようになった。主として新興国向けのインフラ開発に対してはAIIB(アジアインフラ投資銀行)を活用している。なお、誤解も多いが、一帯一路とAIIBは別の案件で、相互にカネは流れないし、担当省庁も違う。
歴史的に名を残すような行為もある。ケ小平が深センを作ったように、北京の南西100キロの位置に新都市「雄安新区」を作っている。計画では規模は深センよりも大きい。すでに中央企業(国有大企業)が40社は移転している。
ありとあらゆる経済政策をこれだけ活用し、9月の共産党大会では習近平核心の指導体制が固まることになるだろう。しかし、問題はその後である。目標を達成したあとは、無理して行っていたこのような経済政策は、転換を余儀なくされる。その時こそ中国経済(金融)が不安定化する可能性があるので注意が必要だ。
(経済学博士・エコノミスト 宿輪純一)
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 経世済民122掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。