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20年で5倍!どんどん儲かる資産ベスト3 景気動向で「強い資産」を見極める
http://president.jp/articles/-/22178
PRESIDENT 2016年6月13日号 ファイナンシャル・プランナー 深野 康彦
結局、一番儲かる資産とは何なのか──。難しい分析は横に置こう。資産別に過去20年間の値動きを調べた結果、ダントツで上がった商品があった!
景気動向をつかむ3つのツールとは
資産運用では、株式や債券など市場で取引され、価格が変動するものに投資をします。では、「世界でいちばん強い資産」は何か。私は米国株だと考えています。代表的な株価指数であるNYダウ平均株価は、多少の上下はあっても長い目で見ると上昇し続けています。国民の株式や投信の保有比率が高い米国では、株高が政治命題でもある。そのため、NYダウ平均株価はよく銘柄を入れ替えますし、米国株は株価を上げるために自社株買いや株主への利益還元にも積極的です。例えば、P&Gは60期連続増配、コカ・コーラやジョンソン&ジョンソンも54期連続で増配を続けています。資産運用をするなら米国株はぜひ組み入れたい資産といえます。相場全体が下げた局面でダウ平均株価などの指数に連動するETFを買うもよし、インデックスファンドを積み立てるのもよしです。
強い資産を見極める前提として、どのようなタイミングで、どのような資産が買われる傾向にあるかを理解する必要があります。
価格変動要因として、経済活動の波、つまり回復→好況→後退→不況→回復と繰り返される景気の動きがあげられます。景気動向を表す指標のひとつが、IMF(国際通貨基金)や世界銀行、OECD(経済協力開発機構)などの機関が「世界経済見通し」で示す経済成長率です。このうちIMFは1月、4月、7月、10月の年4回、世銀は1月と6月の年2回、OECDは5月と11月の年2回、経済見通しを公表しています。世界景気の動向を把握するには、世界全体の成長率の変化に注目します。ちなみに、景気の回復、拡大局面ではGDP成長率が上昇し、後退、収縮局面では下落する傾向があります。
景気が回復し、消費が拡大したら
一般的に、景気が回復し、拡大する局面では消費が拡大するため、企業活動も活発になり、株価も上昇します。商品製造が盛んに行われ、設備投資の意欲も高まるので、原材料となる商品(コモディティ)や原油などエネルギーの需要が高まり、価格も上昇します。企業が債券を売却して資金調達するため、債券価格は下がり、金利が上昇します。
そして、債券のなかでも信用格付けが低く利回りが高いハイ・イールド債は、景気回復によって企業業績が堅調に推移し、倒産のリスクが後退するため買われることに。また、先進国に比べて相対的に成長力が高い新興国や、資源が豊富な国(資源国)の株式も注目され、買われます。
景気が拡大し、過熱化すると物価が上昇します。過度な物価上昇は家計を圧迫するため、各国の中央銀行は政策金利を引き上げるなど金融引き締め政策を実施します。
インド、中国は買いか?
一方、景気後退局面では、企業の業績が悪化し、株価が下がります。中央銀行は金利を下げて景気を刺激しようとします。投資家は、より有利な利回りの債券を保有しようとするので、債券が買われて価格が上昇し、金利が低下する。消費や設備投資の意欲も後退するため、商品や原油、資源国や新興国の通貨や債券、株式も売られます。
より強い資産を探すには、国ごとの経済成長の変化率にも注目する必要があります。例えば、IMFの見通しではBRICsの一つであるインドの成長率は、2012年以降、5.1%、6.9%、7.3%と上昇しています。これに対し、中国は7.7%から7.3%、6.8%と下落。この2カ国を変化率で比べた場合、インドの資産が選好される傾向があるのです。
また、成長見通しでは、今後2年程度の経済成長率の予測に加えて、前回の公表時からどう変化したかを示す「修正値」も発表されます。上方修正された場合には、その国の経済は好調だと言えます。株式も通貨も上昇が期待できるので、買われることになります。逆に、マイナスの修正が行われたり、マイナスの幅が拡大した場合には、株式も通貨も売られます。その国の株式などを保有している場合は、売却するか、保有比率を下げることを考えるべきでしょう。例えば、米国は景気拡大が続く見通しであるものの、成長率は下方修正されています。そのため、米国株は買われるものの、上値は重いかもしれません。なお、経済見通しは、機関ごとに異なるので、IMFと世銀など複数を比較するといいでしょう。
なぜ「金」は強いのか
また、政治的混乱や戦争、経済危機などが起きた場合には、価値がゼロにならず、国籍を持たない通貨とも呼ばれる金が買われます。半面、金には金利がつかない短所もあるため、金利上昇局面では売られる傾向があります。
選好される資産は、市場参加者の心理状態でも変わります。相場の先行きに不透明感が漂うと、投資家がリスクを回避するリスクオフになり、株式や新興国の通貨、商品が売られ、比較的安全とされる米ドル(米国債)や円(日本国債)が買われます。
逆にリスクオンのときには、株式や新興国の通貨、商品が買われます。投資家心理は、VIX指数(恐怖指数)の値動きを参考にするといいでしょう。
(大山弘子=構成)
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