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6月からお財布直撃? お酒の安売り禁止法が成立
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170531-00003360-toushin-bus_all
投信1 5/31(水) 20:20配信
■「改正酒税法」施行でビールの激安売りがなくなる?
「夏になるとビールを飲む機会がぐっと増える」。そんな人にはお財布直撃の痛い法改正が昨年成立し、いよいよ今年6月からその「改正酒税法」が施行されます。これにより量販店などでのビールの激安売りが事実上できなくなります。
というのも、この法律では酒類の販売価格に「公正な取引の基準」を新たに定め、従わない製造業者には財務相が業務改善命令を出したり、販売免許を取り消したりすることが可能になるからです。
法改正の目的は町の酒屋さんを救済するためと言われますが、「いまさら感」を指摘する声も多いのです。
2003年に行われた規制緩和でコンビニやドラッグストアが相次いで酒類販売に参入し、価格競争が激化。その結果、町の酒屋さんは大幅に減少してしまったからです。「今さら救済するといっても、もはや手遅れ」という意見も少なくないのです。生活者には家計のやりくりに影響が出るのは必至ですから、とんだとばっちりというわけですね。
さて、ここで「あーあ〜、激安ビールが買えなくなるのか…」とため息で終わるのはもったいない! 「損して得とれ」という大阪商人の格言に習って、「そうなると何がどうなる?」と考えてみましょう。これが経済シナプスの強化に役立ちます。
経済シナプスを鍛えれば、ピンチこそチャンスに変えられ、巡り巡ってお得なものに遭遇するかも?
■“経済シナプス”を鍛える――この改正法で誰が得をするのか?
考える手がかりとして、この「改正法」で誰が得するのか? を考えてみましょう。
今回の法改正は町の酒屋さんの組合、全国小売酒販組合中央会へのウケを狙ったもので、選挙票田を意識したものだという見方があります。
ほかには国の財政赤字の軽減策としてアベノミクスが目指している年率2%の物価上昇が日銀政策だけではなかなか達成できないので、そのサポートのため、という見方もありそうです。何しろ6月からは郵便料金(はがき52円→62円に)も値上げされますから、物価の値上がり=インフレ実現にはもってこい、というわけです。
もう一点は日本のビール安売りが規制されると外国産ビールとの価格差が縮小する可能性が高まります。外国のビールといえば、ベルギーやドイツ、アメリカ、メキシコなどにおなじみのブランドがありますが、輸入ビールの販売価格は関税、酒税以外に為替が影響します。つまりドル安・円高が進行すると輸入ビールが安くなる可能性がぐっと高まるわけです。
為替といえば代表的通貨米ドル・円ですが、この数か月、1ドル108〜114.70円のレンジを行き来しています。為替がこれから先、どう動くかはわかりませんが、2017年1月、「アメリカ・ファースト」を政策課題に掲げたトランプ氏が第45代アメリカ合衆国大統領に正式就任し、以降、精力的にアメリカ国内産業活性化に動いているのはご存じのとおりです。
アメリカのビールといえばバドワイザーが有名ですが、その創業者はトランプ大統領の祖先と同じくドイツ系アメリカ移民のアドルファス・ブッシュ氏。バドワイザーは全米に12か所の生産工場があり、日本では現在のところ、麒麟麦酒(キリンビール)がライセンス生産および米国製バドワイザーの輸入を行っています。
トランプ陣営における対日貿易のキーパーソンはライトハイザー通商代表です。同氏はおもに鉄鋼分野において30年近く反補助金や反ダンピング関連の訴訟を担当した経歴を持つ共和党所属の弁護士で、今後、日本に強く市場開放を求めてくるものと予想されています。ライトハイザー氏はかつて共和党レーガン政権下でも日米貿易摩擦問題に辣腕をふるったことで知られます。
レーガン大統領といえばトランプ大統領が政治家のお手本として尊敬している人物。1981年から8年間続いたレーガン政権で、日本は貿易摩擦解消ための市場開放、資産バブル、超円高、という経済環境の大変化に見舞われました。
トランプ陣営は議会承認が遅れたことによる政権の実質的稼働が万全ではありませんが、さすがに今年後半から来年にかけてはトランプ色が鮮明になってくるでしょう。「アメリカの中間所得層を金持ちにする」という政策を掲げて大統領に当選したトランプ氏は「とらえどころがない」「くるくる変わる」といわれますが、選挙中も選挙後も一貫しているのはアメリカ国内産業が元気になることなら何でもやるという姿勢です。就任後の各国外交でもさっそくアメリカ国内主要産業の一つ、防衛品を売りまくりました。
となると、今後はアメリカ国内に12か所あるバドワイザーにもトランプ・パワーの恩恵が及ぶかもしれません。ライトハイザー通商代表のターゲットは農産物の市場開放で、飲食品にもその影響が及ぶかもしれません。
為替には政治介入しないという国際ルールがありますが、貿易摩擦解消にドル安・円高圧力が高まる可能性は大です。
すると今夏、今年後半はひょっとして円高? そんな予測のもと、資産運用は円高メリットのありそうなものへの注目が報われるかもしれません。夏のボーナス運用のヒントにしたいですね。
■“経済シナプス”の強化は資産運用のヒントにも
今年6月から施行される「改正酒税法」から、派生させてあれこれシナリオ・メイキングを試み、その可能性がゼロではないとすれば、降水確率によって傘を持って出るかどうか検討するように資産運用のヒントにしてみる。
経済シナプスを強化する癖をつければ今夏のビールの味もぐっと味わい深くなるのではないでしょうか?
木村 佳子
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