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なめている!東芝幹部 この期に及んで「それでもウチは潰れない」 「なんとかなるだろう」が蔓延…?
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51839
2017.05.30 週刊現代 :現代ビジネス
一度ならず二度までも、「監査を受けない」業績を発表した東芝。ところが、経営陣は完全に開き直り、目前に迫るリスクにも、「最悪の事態にはならない」と目をつぶる。驕った名門の内情に迫る。
また損失額が増えた
5月15日、東芝本社39階の会議室で開かれた会見は、「前代未聞の事態」が交錯する舞台となっていた。
午後2時、100人超の記者が詰めかけた会場に現れた綱川智社長は、
「('16年度)通期業績の数値は、期末から45日を経過することも考慮した上、情報開示の観点から重要であると判断し、本日公表させていただくことといたしました」
と頭を下げた。
そう、この日の会見は、あくまで'16年度の業績の「見通し」を伝えるもの。正式な決算を発表する際に必要な監査法人の「意見表明」を受けていない、その場しのぎの業績発表に過ぎなかった。出席者のひとりが言う。
「会見前の段階で、監査法人の意見表明を得られていないことはわかっていましたが、それでも会場にはどよめきが広がりました。監査法人のPwCあらたが東芝の業績に『お墨付き』を与えなかったのは、第3四半期の業績に続いて2回目ですから。
何度も『新たな損失』を重ねる東芝に煮え湯を飲まされてきた監査法人は、『もはや東芝の決算に対してまったく責任を持てない』と表明したということ。東芝は『監査法人不在』のまま自暴自棄のように突っ走っているのです」
こうして異常な状況下で発表された「数字」も、尋常ではない。'16年度の当期純損益が9500億円の赤字。株主資本は5400億円の赤字、つまり、同額の債務超過となるという。9500億円の純損益は、製造業では過去最大の損失である。
この数字を受けて綱川社長は、「このように、大きな当期純損失を計上する見通しとなったことを重く受け止め、早期に財務基盤立て直しを図ってまいります」と、謝罪。しかし、表面的には殊勝さ、誠実さをアピールしているものの、この会見で東芝経営幹部たちが実際に「やっていたこと」は、誠実さとはかけ離れていた。
前出の出席者が言う。
「東芝の混乱の原因は、粉飾決算やウエスチングハウス(WH)の赤字の隠蔽。だからこれまでも記者やアナリストは、しつこく『WH破綻後のリスクの規模がこれ以上膨らむことはないのか』と質問し、東芝も『それはない』と説明してきました。
ところが、3月29日の段階で約8250億円と説明されていたWHの破綻処理による貸し倒れ引当金が、今回の会見では約9800億円であると発表されたのです。わずかこれだけの短い期間で、1550億円も増えたんです。こんなのあり得ない」
他人事のような経営陣
何度も何度も損失額の上乗せを続けてきた前科がある東芝だが、ことここに至っても、損失が「上方修正」されるというめちゃくちゃぶりだ。
経済ジャーナリストの磯山友幸氏が言う。
「東芝の態度は、もはや『開き直り』と言ってもいい。監査法人の意見表明を受けない異常事態についても、『自分たちなら許される』『どうせうちのような大企業を上場廃止にはできないだろう』『ましてや潰すことなんかできない』という『甘えと驕り』をこの会見には感じました。
東証の自主規制法人の理事たちには、『自分たちが東芝の上場廃止の引き金を引きたくない』という雰囲気がある。それを察知してか、東芝の今回の会見でも、上場廃止になるかもしれないという緊張感は見られなかった。
市場をなめているようにしか見えないし、もう上場企業の体をなしているとは言えません」
実際、こんな状況下にありながら、綱川社長も平田政善CFOも淡々と能面のような表情で発表を行い、平気な顔で異常な数字を並べたてる。質疑応答でも、「いまの東芝は上場適格と思うか」という問いに対して、
「上場につきましては、東証さんが決めること。我々が決めることではありません」
と他人事のような発言をする。
今後、正式な決算を発表できるか否かについて問われると、「今回の年度に関しましては、まだ監査手続きが完了していないので、今後も調査を続けます」と、淡々とした口調で「努力する」「頑張る」と、壊れたテープレコーダーのように繰り返した。
こうした当事者意識の欠落には、東芝が置かれた環境も影響している。
「'90年代後半から、経産省は世界的な温暖化対策の流れに乗り、経産省主導で原発ルネッサンスを演出し、東芝は原発事故後も経産省とともに『原発は世界で売れる』という『幻想』を持ってやってきました。
そうした中、東芝側もその『国策』に甘え、一部の事業では、自ら必死に企業努力をしなくても、待っていれば仕事がやってくる状況ができていた。そこに安住していた社員たちは、ある意味『官僚化』していたと言えます」(前出の磯山氏)
そうした「ぬるま湯」に慣れた社員たちに、こうした未曾有の危機に対応しろといっても無理な話だ。
WDとも完全決裂
この東芝の「なめた態度」は、4月の半ばから燃え上がっていた「新たな危機」に対してもまったく変わらない。同社の「最後の切り札」メモリー部門の売却ができないかもしれないという危機である。
東芝はこれまで、巨額の債務超過のリスクを、メモリー部門を分社化した「東芝メモリ」を売却し、資金調達することで乗り切ろうと考えていた。
しかし、東芝と半導体、メモリーに関して合弁事業を行っていたウエスタンデジタル(WD)が、「契約違反だ」としてメモリー事業の売却に待ったをかけたのだ。
両社の主張は真っ向から対立しており、5月10日にはスティーブ・ミリガンCEOと綱川社長による「トップ会談」も行われたが、ほとんど議論は進展しないまま物別れに終わる。
さらに、5月15日にはWDが国際仲裁裁判所に、売却の差し止めを申し立てる事態に至った。
「このままトラブルが長引いてメモリー部門の入札が失敗すると、東芝は債務超過を解消することができない。来年3月までに売れなければ2期連続の債務超過。東証のルールによって自動的に上場廃止になります。
それどころか、資本不足を解消する必要から、部門別に売却される事実上の解体も視野に入ってくる」(元共同通信経済部記者で名古屋外語大教授の小野展克氏)
ところが、この件についても会見で綱川社長は、「WDが(入札の)そのプロセスを止めるような根拠はないと考えていますので、東芝の主張の正当性をご説明いたしまして、懸念を払拭します」と、
「誠意を見せればうまくいく」という楽観的な態度を見せ、うまくいかなかった場合の「プランB」についても「今現在決まったことはない」と明かした。
社長以外の東芝の経営陣も楽観的だという。東芝の関係者が明かす。
「ある経営幹部は、裁判所でのやりとりについて、『3週間くらいでケリがつくだろう』と言っていました。それに、明言しないまでも、『なんとかなるだろう』と考えている幹部は少なくない」
こうした楽観視の背景には、「最後は国に頼ればいい」という考えがある。前出の東芝関係者が言う。
「WDが売却差し止めを申し立てた後、世耕弘成経産相が同社に矛を収めるよう、『お願い』の言葉を述べたり、最終的に否定されたものの、政府が東芝の債務保証、つまり借金の肩代わりをすることが示唆されたりしています。
東芝の幹部たちに『政府が東芝を潰せるはずがない』という思いがあるのは間違いない」
だが実際のところ、東芝メモリは売れないのではないか、少なくとも交渉は混乱を極めるのではないかと見ている識者は多い。東芝メモリへの入札を検討している産業革新機構の関係者がいう。
「WDは、売却について事前通告をしなかった東芝に強い不信感を抱いていますし、5月10日にトップ会談が行われた後には、同社の幹部が『銀行や政府が間に入ってくるせいで、東芝に主体的な力がない』と言っていた。
態度は強硬です。裁判で仲裁が行われる場合にも時間はかかる。フォルクスワーゲンとスズキの裁判では4年かかりました。両社の話がまとまらないなら、東芝メモリの売却は非常に困難。
実際、売却をスムーズに行わせようと画策している経産省の職員も、メインバンクであるSMBCの幹部も諦め顔になっています」
社員がどんどん辞めていく
そんな中、新たな問題まで浮上してきた。キャッシュの問題である。全国紙経済部記者が明かす。
「東芝は、子会社の資金を本社に預け入れさせるという形で、資金繰りをスムーズにしていました。
しかし、子会社の東芝プラントシステムは、'16年3月期末時点で855億円あった預け金をすべて引き出した。『昨今の事情を考慮した』と言っています。子会社に投資をしている投資家が、リスクのある本社にお金を預け入れさせることを嫌がったためです。
差し当たって東芝がキャッシュ不足に陥ることは考えにくいですが、今後、資金調達をしにくくなるのは確かです」
迷走する組織からは人が逃げ出すのが必定。今回の会見でも、これまではなんとか東芝の「味方」に留まっていた人物が、ついにサジを投げたのではないかと見られている。
前出とは別の出席者が指摘する。
「これまで東芝の会見では、同社社外取締役の佐藤良二監査委員会委員長が必ず出席し、キチンとフォローしてきました。佐藤さんは4大監査法人のひとつ、トーマツの出身で、これまでは東芝の業績を承認してきました。
ところが今回の会見では、ついに佐藤さんが欠席したのです。もはや『撤退』したのではないかと、記者たちの間に動揺が広がりました」
さらに、東芝社内は「虫食い」状態になりつつあるという。全国紙経済部記者が言う。
「これから会社の中核を担っていくはずの中堅どころの社員がどんどん転職している。能力の高い社員は多いですから、東芝の1.5倍の給与を約束する企業もあるそうです。
残っている社員の不満も大きい。少し前、自社の株を買うように指示するメールが流れてきたそうですが、ある社員は『上場廃止かどうかというこの時期に、株を買う社員がいるわけないだろ』と憤慨していました」
長年の間、「国策名門企業」の地位に安住してきた東芝は、泥沼から抜け出す力を失っている。
「週刊現代」2017年6月3日号より
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