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敷金は返金を明文化、飲み屋のツケは時効延長――民法大幅改正(写真=PIXTA)
敷金は返金を明文化、飲み屋のツケは時効延長――民法大幅改正
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170528-00000006-zuuonline-bus_all
ZUU online 5/28(日) 10:40配信
商品売買などの契約ルール定めた規定(債権法)を大幅に見直す民法改正案が参院本会議で賛成多数で可決、成立した。企業が消費者に示す契約条項(約款)が無効となる基準を示すことが柱で、契約分野の大幅改正は明治29年の民法制定以降初めて。人々の生活に直結する改正も多々ある。2〜3年の周知期間をおいて施行される。
生活面では、飲み屋のツケの時効消滅が1年から5年に、金銭賃借などの契約を交わした当事者同士が金利を特に定めなかった場合に適用される「法定利率」が、5%から3%になる。さらに事業の融資に個人保証は原則無効、欠陥商品には修理や代金減額を請求できるなど、消費者が看過できない改正が多い。
■民法特に商取引面で初の120年ぶり大幅改正
民法は1896(明治29)年に制定、施行以来、大きな改正なく120年経過した。近年は特に、コンピューターの出現とインターネット上の商取引が広がって、人々の社会生活は大きく変化した。そのような背景から法務省は、新たなルールを大幅に盛り込んだほか、判例で処理されてきた部分も条文に入れて、初めて抜本的な大幅改正案を2015年3月末に国会に提出した後、ようやく承認された。
今回の改正は、消費者生活に金銭面で大きくかかわる条文が多い。消費者は法律だからと敬遠せず、骨子ぐらいはしっかり理解しておかなければ、いざという時、慌てることになりかねず、損害を被ることさえあるだろう。
■改正の柱、債権の消滅時効は早まる
改正の柱となる(例えばネット上の取引など)のは、企業が消費者に示す契約条項(約款)が無効となる基準である。債権の消滅時効の起点や期間について、これまでの10年間から新たに原則として5年間に統一され、消滅時効が早まった。小売店の売掛代金など短期消滅時効は廃止され、上記一般債権に準じる。
企業が一般消費者などと定型的な取引をする際の約款は、契約としての拘束力が認められた。事業のための借り入れに個人が保証人となる場合、事前に公正証書で保証の意志を表示しないと、保証は無効。また「法定利率」が5%から3%に引き下げられるほか、変動制にすることが明文化された。
■借金のツケは5年有効、敷金は原則返ってくる
判例などでこれまであったルールを条文で明文化したのは、認知症など意思能力がない状態で結んだ契約は無効とすること、賃貸の敷金の原則返還すること。さらに賃貸物件が年月を経て生じた自然な劣化は、貸主側の負担で修繕することなど、消費者の生活に直接関係するルールが明文化された。
支払いを請求できる期間(債権の消滅時効)は5年に統一。これまでは飲食代のツケ払いは1年、弁護士の報酬は2年、医師の診療報酬は3年、個人同士のお金の貸し借りは10年など、業種によってバラバラだった。
改正は約200項目に及ぶが、ポイントは消費者と中小企業の保護の強化だ。(1)法定利率を3%に引き下げた上で変動制導入(2)欠陥品の対応多様化(3)賃貸契約の敷金ルールの明確化(4)中小企業融資で求められる個人保証を原則禁止――などを盛り込んだほか、カネの支払いに関する時効を5年に統一することなども打ち出した。(長瀬雄壱 フリージャーナリスト、元大手通信社記者)
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