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厚労省が「ブラック企業」の公表を本格スタート!(depositphotos.com)
厚労省がブラック企業を実名公表…労働者を軽視する長時間労働、低賃金、安全対策不備の実例
http://biz-journal.jp/2017/05/post_19115.html
017.05.21 文=里中高志 Business Journal
労働現場をむしばむブラック企業の問題をめぐっては、これまでも長きにわたりさまざまな対策が講じられてきた。
悪質な企業に対して、国も手をこまねいていたわけではなかったが、いまいち悪質事例の根絶に向かっている実感がなかったのは、施作の内容は立派でも、やや具体性に欠け、目に見えない効果に止まっていたからかもしれない。
だが、ついに国もブラック企業の撲滅に向けて、本腰を上げてきたというべきか――。
厚生労働省が法令違反のブラック企業をネット上で公表
5月10日、厚生労働省はついに、長時間労働や賃金不払いなど労働関係法令に違反した疑いで送検された企業のリストを、ネット上で公表することを始めた。これにより、真に働きやすい労働環境の実現が近づいてくるのだろうか。
今回公表されたリストは、2016年10月〜17年3月の間に送検された334件の事例をまとめたもの。従来は47都道府県にある労働局のホームページに載せてきたが、報道発表で社名を明らかにしたのにホームページでは伏せた事例もあったほか、掲載期間もまちまちで統一基準がなかった。
今回のリストは、都道府県ごとに設けられている厚生労働省の地方支分部局のひとつである労働局の管轄ごとに分けられていて、各企業毎に、公表日と違反した法律、違反した事案の内容、送検の日時が明記されている。
以下のサイトの「労働基準関係法令違反に係る公表事案」というリンク先で見ることができる。
「労働基準関係法令違反に係る公表事案 」http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/dl/170510-01.pdf
■電通の違法な時間外労働は本当に2名だけ?
具体的なリストの内容を見てみよう――。
聞き覚えのない企業が多いが、東京労働局のリストのなかには、あの電通の名前もある。電通の記載項目は以下の通りだ(以下、企業・事業場名称/所在地/公表日/違反法条/事案概要/その他参考事項)。
(株)電通/東京都港区/H28.12.28/労働基準法第32条/労働者2名に、36協定の延長時間を超える違法な時間外労働を行わせたもの/H28.12.28送検
高橋まつりさんの過労自殺をきっかけとして、労働環境の見直しや制度の再構築が行われつつあることは周知の通りだ。
だが、「取り組んだら放すな、殺されても放すな、目的完遂までは……」などの「鬼十則」という企業哲学のもと深夜労働が常態化していた同社だけに、違法な時間外労働をさせられていたのが本当に2名だけだったのかは疑問が残る。
具体的に立証、送検できたのがその2名についてだけだったということかもしれないが、「鬼十則」も同社の手帳か削除されることが決まったいま、こうして労働局に名指しまでされたことも、企業風土の改善につながっていくかもしれない。
その他の企業と送検理由には、たとえば次のようなものがあがっている。
主な違反事由は「違法な長時間労働」「賃金の不払い」「安全対策の不備」
首都高メンテナンス東東京(株)/東京都中央区/H28.12.27/労働安全衛生法第30条/労働安全衛生規則第637条/特定元方事業者(元請)として、作業日ごとに少なくとも1回、作業場所の巡視を行っていなかったもの/H28.12.27送検
(株)伸光舎/東京都八王子市/H29.1.25/最低賃金法第4条/知的障害のある労働者3名に、東京都最低賃金を下回る賃金しか支払わなかったもの/H29.1.25送検
(株)博仙/東京都中野区/H29.2.10/最低賃金法第4条/介護労働者3名に、1か月間の定期賃金を全額支払わなかったもの/H29.2.10送検
(株)丸建興業/東京都杉並区/H29.2.15/労働安全衛生法第20条/クレーン等安全規則第74条の2/移動式クレーンで作業を行うに当たり、ワイヤロープで1箇所に玉掛けした荷の下に労働者を立ち入らせたもの/H29.2.15送検
こうして見ると、「違法な長時間労働」「賃金の不払い」「安全対策の不備」といったところが主な違反事由のようだ。
これらはたまたま発覚したから適切な処分がなされたものの、表沙汰になっているのは氷山の一角で、実際の労働現場ではもっと悪質な事例が明るみにでないまま横行している可能性は高い。
だが、このように悪質事例が公表される仕組みが整ったこと自体は、歓迎すべきことだ。なにしろ、これまでは報道機関に資料を配布するだけの労働局が大半で、先述のように、多くの都道府県では、ホームページによる公表の仕組みは整っていなかった。
■リストを有名無実化しないために私たちに何ができるか?
今回始まったホームページでの公表の仕組み。これからは月に一度、内容を更新する。一事案の公表機関は書類送検した日から約1年だが、期間中に違法状態を改善した企業の社名は削除するという。
労働局の官僚的な判断基準が、どこまで実際のブラック企業を適切にあぶり出せているものなのか。法律的な抜け穴をうまくすりぬけた企業を摘発することはできるのかなど、これからの課題も多そうだ。
また、リストの公表が、実際にどれだけ企業体質の改善につながるかも、現実点では未知数だ。
このリストを有名無実化しないために、我々ができることはあるだろうか? 一時的な注目に留めず、ブラック企業が<生まれる>背景にも注視していくすべきだろう。そこを解決していかなければ、この国のブラック企業風土を変えることはできないはずだ。
(文=里中高志)
里中高志(さとなか・たかし)
精神保健福祉士。フリージャーナリスト。1977年生まれ。早稲田大学第一文学部卒。大正大学大学院宗教学専攻修了。精神保健福祉ジャーナリストとして『サイゾー』『新潮45』などで執筆。メンタルヘルスと宗教を得意分野とする。著書に精神障害者の就労の現状をルポした『精神障害者枠で働く』(中央法規出版)がある。
※ 初出/健康・医療情報でQOLを高める「ヘルスプレス」
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