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静岡市の新幹線通学費貸与事業のチラシ
静岡市、未曾有の人口減少で「静岡市総合戦略」発動…あらゆる手立て講じて人口流出を歯止め
http://biz-journal.jp/2017/05/post_19076.html
2017.05.14 文=山田稔/ジャーナリスト Business Journal
世界遺産・富士山を抱え、お茶の産地としても有名な静岡県。県内に熱海、三島、新富士、静岡、掛川、浜松と新幹線の駅が6つあり、東京へも名古屋へも1時間ほどで行くことができる。2009年には富士山静岡空港が開港した。地理的には申し分ない土地柄であるが、ちょっとした異変が起きている。
政令指定都市で静岡県庁所在地でもある静岡市の推計人口(4月1日現在)が70万人を割り込み、69万9421人になったというのだ。静岡市が政令市に移行したのは05年4月。当時は市町村合併を支援するため政令市の人口要件が100万人から70万人に緩和されていた。この緩和措置のおかげで政令市になったものの、進学や就職で首都圏などに転出する若者が多く、18歳から22歳の人口減が目立つという。
静岡市の人口の推移を見てみよう。静岡市は03年4月に旧静岡市と旧清水市が合併し、05年4月に政令市となった。当時の人口は70万980人。以降、09年に71万7207人まで増加したものの、その後は漸減傾向にある。13年に70万9561人と71万人台を割り込み、今年ついに70万人台を割り込んでしまった(いずれも国勢調査の結果を基に算出している推計人口で、毎年4月の数値)。現在、全国に20ある政令市で人口は最下位。ジリ貧傾向から抜け出せないのが現状だ。
■「2025年に総人口70万人を維持」が目標
人口減少という事態に直面し静岡市は15年10月、「オール静岡で人口減少問題に取り組む」との決意のもと、「静岡市人口ビジョン」と「静岡市総合戦略」を策定し、具体策に取り組んでいる。
「人口ビジョン」を見ると、静岡市は国・県よりも20年早い1990年の73万9300人(静岡市域における旧市町村の合計人口)をピークに人口減少に転じた。国立社会保障・人口問題研究所の推計では、25年には65万2514人、40年には55万8931人となるという数字を紹介。「あらゆる手立てを講じる必要がある」としている。
総人口の減少だけでなく人口構造の変化にも着目。生産年齢人口は90年の51万9833人をピークに減少し、10年には44万7624人となった。一方、老年人口は90年の8万6043人(人口に占める老年人口の割合は11.6%)が05年には15万人を超え、20年には20万8676人(同30.7%)と増加していくとしている。
人口減の要因として、大学進学や就職に伴う18歳から22歳までの若者の流出が目立つこと、主な転出先が東京都、神奈川県、愛知県であると指摘している。
この「人口ビジョン」を受けて策定された「総合戦略」では、「まちの存在感を高め、交流人口を増やす」「ひとを育て、まちを活性化する」「しごとを産み出し、雇用を増やす」「移住者を呼び込み、定住を促進する」「女性・若者の活躍を支え、子育ての希望をかなえる」「時代にあったまちをつくり、圏域の連携を深める」といった6つの基本目標、重点事業を掲げ、「2025年に総人口70万人を維持」との人口目標を掲げている。
現在、市は県外の大学へ進学した学生を対象に、新幹線定期代の一部(上限1カ月3万円)を補助するという対策を昨年4月から実施中だ。卒業後、返還期間(貸与期間の2倍)に相当する期間、市に居住し市民税の所得割を完納した場合、返還は免除される。市によると昨年度の申請者は178人、今年度は4月下旬時点で71件の申請があった。卒業後の地元就職が狙いだという。
また、東京・有楽町の交通会館内に静岡市移住支援センターを開設し、移住希望者の相談に乗ったりセミナーを開催したりしている。
人口減少問題は、一朝一夕に解決する問題ではない。若者にとって、いかに魅力ある街にしていくか。また、住みやすい街、働きやすい街にしていくか。目に見えるかたちでの成果が表れるのは、まだ先になりそうだ。
■全国に20ある政令市の人口推移をチェック
全国には現在、政令指定都市が20ある。歴史的に見ると大阪市、名古屋市、京都市、横浜市、神戸市の5市が1956年に政令第254号で指定された。以降、北九州市、札幌市、川崎市、福岡市、広島市、仙台市までが昭和時代の指定。平成になって千葉市、さいたま市、静岡市、堺市、新潟市、浜松市、岡山市、相模原市、熊本市と続いた。
直近の国勢調査(15年)による20都市の人口(確定値)と5年前調査の人口を比較してみた。結果は次の通りである。
※以下、市名 15年の人口(10年からの増減数)
大阪市 269万1185人(+2万5871人)
名古屋市 229万5638人(+3万1744人)
京都市 147万5183人(+1168人)
横浜市 372万4844人(+3万6071人)
神戸市 153万7272人(−6928人)
北九州市 96万1286人(−1万5560人)
札幌市 195万2356人(+3万8811人)
川崎市 147万5213人(+4万9701人)
福岡市 153万8681人(+7万4938人)
広島市 119万4034人(+2万191人)
仙台市 108万2159人(+3万6173人)
千葉市 97万1882人(+1万0133人)
さいたま市 126万3979人(+4万1545人)
静岡市 70万4989人(−1万1208人)
堺市 83万9310人(−2656人)
新潟市 81万157人(−1744人)
浜松市 79万7980人(−2886人)
岡山市 71万9474人(+9890人)
相模原市 72万0780人(+3265人)
熊本市 74万0822人(+6348人)
増加が14市、減少が6市となっている。このうち福岡、川崎、さいたま、札幌、仙台、横浜、名古屋、大阪、広島の9市は全国の人口増加都市ランキングのトップ10に入った。ちなみにトップは東京都特別区部。逆に、北九州市は全国の人口減少ランキングのワースト1位、静岡市は10位となっている。同じ政令市でも、人口の増減で見る限り明暗はくっきり分かれる。
もちろん、人口が増加したからといって、待機児童の問題や住宅問題など政策課題は多く、喜んでばかりはいられない。
深刻なのは、合併で政令市になったものの、人口減少と高齢化がセットで続く自治体だろう。新たな産業が育たず、雇用も増えない。税収が減り行政サービスが低下すれば、さらなる人口流出につながっていく。少子化対策、若者定着化対策、移住者受け入れ対策など、今後の課題は山積みだ。
(文=山田稔/ジャーナリスト)
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