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メルカリで現金出品という「究極の貧困ビジネス」が生まれた背景 銀行カードローンの「次」がない!
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51687
2017.05.11 現代ビジネス
「急ぎのカネ」に迫られる人たち
フリーマーケット(フリマ)アプリの代表として急成長しているメルカリに、5万円の現金が5万9500円で出品されていたのはなぜか――。
メルカリは、硬貨などの出品を禁じていなかった。それは希少価値がある硬貨や紙幣の出品を期待してのことだったが、実際は「ただの現金」が出品され、2割前後の高値で取引が成立。その原因は、「急ぎのカネ」に迫られた利用者が、クレジットカード決済との“時間差”を利用するものだった。
普通の感覚なら、「なぜ、そんな面倒なことを」となるのだが、それだけ無担保で緊急の資金を必要とする人が増えている“証”であり、その背景には貸金業法改正から10年を経て表面化した“歪み”がある。
現金出品の背後にあるのは、「カードの現金化」であり、これは「カードでお金」というキャッチフレーズで街にあふれ、ネット検索すれば、「現金化業者ランキング」のような形で、いくらでも探すことができる。クレジットカードのショッピング枠を使ってブランド品などを買い、それを引き取ってもらい現金化するシステムだ。
それがメルカリと連動しているわけで、資金業法改正から10年が経過、多重債務者を減らすという狙いとは裏腹に、今は銀行カードローンの急増、過払い金請求の急減という事態を生み、多重債務者予備軍の「カードの現金化」につながっている。
以下に説明しよう。
2006年1月の過払い金返還を認めた最高裁判決をきっかけに貸金業法が改正され、グレーゾーン金利がなくなって年利20%以下となり、完全施行の10年以降は、年収の3分の1超の貸し付けは禁止された。
これによって消費者金融業者は淘汰され、最大手の武富士は倒産、アコムは三菱UFJフィナンシャルグループの子会社となり、プロミスは三井住友フィナンシャルグループの傘下に入り、社名をSMBCコンシュマーファイナンスに改めた。
06年度末に約1万1800社だった貸金業者数は15年度末で約2000社となり、銀行系列以外は小口金融業者として生き残るなど選別が進み、金融庁が主導する金融秩序のなかに組み込まれた。
貸付残高は、約4兆4400億円(15年度末)と06年度末の4分の1に激減。武富士1社で年間の経常利益2000億円を誇った小口無担保の消費者金融業というひとつの業態が、なくなったに等しい。
そこには、独自性と独立性を誇り、その分、“行儀”が悪く、金融庁の思い描く金融秩序に従わなかった消費者金融業界を、多重債務者問題を追及する弁護士界が、弱者救済のマスメディアと一体となって攻撃・排除したという歴史があった。
好悪はあれ、消費者金融業界が急成長したのは、そこに需要があったからで、それを06年以降は寸断したのだから「明日のカネを今日借りたい」というタイプの人間は困る。
07年以降、一時、自己破産が急増したのはそのためだが、一方で、救済策も備えられていた。それが、過払い金返還請求であり、メガバンクが行う銀行カードローンと系列貸金業者を通じて行う過剰貸付だった。
06年1月、最高裁が過払い金返還を認めて以降の弁護士界と司法書士界の「過払い金バブル」は、今更いうまでもないだろう。
テレビCMなどを使って、グレーゾーン金利の返還訴訟を呼びかけ、全国展開する過払い金専門の法律・司法書士事務所が、マニュアルに従って消費者金融業者に返還を求めていった。民法の時効は10年だが、それまでに消費者金融・クレジット業界が返還に応じたのは6兆円にのぼる。
ひとつの業態がなくなるのも当然だが、この過払い金バブルが、多重債務者を救済、新たな借金を重ねて、自己破産するような事態を妨げていたのは否めない。つまり過払い金返還は、「計画的な借金ができない債務者」を救済もしていた。
銀行ローンの次がない、という問題
一方、専業消費者金融業者が次々に脱落した“穴”を埋めていったのは、銀行だった。前述のように消費者金融業者は年収の3分の1以下しか貸せないという総量規制があるが、銀行は除外された。
「すべて規制すると、信用収縮が発生する」という金融庁の判断からで、このために銀行カードローンは、消費者金融利用者の“受け皿”となった。
複数の借金を一本化するカードを使った「おまとめローン」は、規制の消費者金融から規制外の銀行に移す“抜け穴”で、これを利用してまとめたうえで、他の銀行や消費者金融から借金を重ね、年収の2倍、3倍も借りて、身動きが取れずに破産したような事例も少なくない。
規制外の銀行カードローンも過払い金返還も、貸金業法改正がもたらした「業者不在」のショックを和らげる効果があったが、今はもう役に立たない。
まず、過払い金返還の急減である。時効は完済から10年なのだが、改正後に完済したものもあり、あと3〜4年は過払い金返還が続くと見られる。ただ、06年以降の過払いはなく、いずれは消滅する。
過払い専門でやってきた弁護士や司法書士事務所のなかには、今、業態変換を図るところがある。しかし、最大手のなかには一事務所で2000億円以上を手がけたところもあり、仮に平均20%が収入として入ってくるとすると400億円。それだけの“旨み”のある新しい仕事を探すのは容易ではなく、事業縮小を図っている事務所は少なくない。
そして、過払い金返還の縮小が、余裕を失った利用者の銀行カードローン急増につながっており、貸付残高が増え、この5年で60%増の約5兆4400億円に達し、消費者金融業界を大きく上回っている。過払い金返還で“救済”されていた多重債務者が、総量規制のある消費者金融から弾かれて、銀行カードローンに駆け込んだ。
それだけに、銀行カードローンの利用者には“次”がない。カードローン利用者の自己破産が急増、それが社会問題化し、4月12日のNHKの「クローズアップ現代」で取り上げられるなどメディア報道が増えた。
メディアが伝える時は、危機がかなり進行した時であり、銀行カードローンにも消費者金融業者にも頼れず困窮している層が、現在、「手っ取り早い現金取得法」として利用しているのが「クレジットカードの現金化」である。
つまり、こういうことだ。
貸金業法改正は、多重債務者を生みだす貸金業システムに改編を迫るものであり、同時に、グレーゾーン金利で不労所得を得た業者に“懲罰”を与えるものだった。その結果、消費者金融業界は打撃を受けたが、多重債務者は減らず、銀行カードローンは急増、破産が増えて、社会問題化している。
同時に究極の貧困ビジネスである「カードの現金化」が急増。それはメルカリを利用するなど身も蓋もない低レベルだが、それが逆に、切羽詰まった状況を伝えるわけで、10年を経た「先祖返り」のような問題噴出は、単なる規制強化では多重債務者問題は解決できない。
これを機に銀行カードローンも合わせ、小口無担保金融をどんな法体系のもと、どう規制し、どう緩和するかという全体ビジョンが求められている。
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