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株式市場と、日銀と
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/52949797.html
2017年05月09日 在野のアナリスト
安倍首相が述べた「憲法学者の9割が自衛隊を違憲」という数字、今日の国会答弁で「7、8割が…」と数字が変わりました。結局、数字の根拠はないことがここから分かります。根拠があれば数字が変わることはありませんし、アバウトな数字を述べた点をみても、単に個人的な感想、印象のみでそう語っただけでしょう。しかし自分から「読売新聞を読んで」と述べておいて、その根拠とした数字が曖昧では主張の正当性すら揺らぐ、というものです。自分の主張を正当化するためなら、平気でうそをつく。今回もまた、そんな事例の一つとして記憶されることになりました。
最近、株式市場が活況です。昨日は売買代金が3兆円を超え、今日も2.6兆円、5月は比較的商いが低下する月ですが、連休明けの特殊事情とはいえ、海外勢が資金を日本に振り向けてきている様子がうかがえます。一部では、英国の不動産市場の伸びが鈍化したように、先進国向けの投資資金のうち、英国に振り向けていた分を日本へ回す、といった動きがあるのでは? ともされますが、仏国大統領選挙は予想通りの結果、とはいえ議会選挙を待たねばならず、かつ今が経済は絶好調。ここから落ちていく一方であるなら、資金の振り向け先として欧州には不安も残る。
米国もNASDAQは最高値を更新しつづけていますが、高すぎて買うには怖い。お隣の韓国も、国政は混乱中にもかかわらず株式市場は高値をつづけている。OPEC減産合意を上回るシェールオイルの掘削で、原油相場も下落。どうも今、世界はおかしくなっている。リスクはあるけれど、運用して収益をださないと機関投資家や個人投資家が納得してくれない。政治状況や経済情勢など、まったく無視して上げられそうな市場を、ただ上げているだけにすぎない。以前も述べたように、世界はいくつもバベルの塔のようにより高く、より高く、そう動いていることになります。
そんな中、日銀の黒田総裁がアジア開発銀行(ADB)の年次総会で、金融政策について「(経済の)教科書を文字通り適用できない」と、こぼす場面がありました。しかし残念ながら、黒田氏が読んでいる教科書は算数ですが、今の経済は数学で動いているのであり、対応がつかなくて当然です。マネタリーベースを拡大すればインフレ、算数ではそう書いてありますが、数学では金融政策の方向性、資金の流出入量、人口動態からの消費動向など、様々なものが加味されます。日本ではいくらマネタリーベースを増やしても、消費が弱いので物価が上がらない。買わないからモノの価値が上がらないのです。
3月の毎月勤労統計は、実質賃金が前年同月比で0.8%減。これで消費が盛り上がるわけもありません。しかも深刻なのは、パート労働者の時間当たり賃金は2.1%増なのに、実質賃金は2.2%減。つまり単価は上がったけれど労働時間が減ったために、手取りが減った。企業が労働力を確保しよう、とするために薄く広く集めた結果、一人一人には恩恵が行きわたりにくい。そして恐らく、増えた部分は年金を減らされる高齢者の補填に回っているのであり、これでは経済がうまく回るはずもありません。
日銀のある幹部が、金融緩和を止めてインフレ目標が未達となったとき、支払うコストが膨大、として金融政策をつづける、と述べました。簡単に言えば、ここで止めると景気も回復していないから、日銀が抱えた資産のネガティブな部分にかかるコストが日銀の経営を圧迫するから、つづけるしかない。というダメ経営者の典型のようなことを言い出したのです。残念ながら、日銀が東芝と重なってみえます。失敗した政策を見直しもできず、泥沼に嵌まっていく。平気で数字のうそをつく安倍政権といい、数字すら正しく読み解けない日銀といい、この国では数字がすでにおかしくなり始めているのでしょう。「経済学者の9割が安倍ノミクスは危険」という中での、爆騰する市場が示す数字、何を信じるか、さえこの国ではおかしくなり始めてしまっているのでしょうね。
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