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コンビニ業界の「王者」 セブン-イレブンが勝ち続けられる理由(写真=Getty Images)
コンビニ業界の「王者」 セブン-イレブンが勝ち続けられる理由
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170507-00000013-zuuonline-bus_all
ZUU online 5/7(日) 17:10配信
セブン-イレブンの独走が止まらない。
通常なら同じセクターに所属する企業の株価は「同じように動く」ものだが、コンビニ業界にそんな考えは通用しない。実際、セブン-イレブンを擁するセブン&アイHD <3382> とローソン <2651> 、ユニー・ファミリーマートHD <8028> の株価を見比べると同じ業界とは思えないほどバラバラな動きとなっている。
コンビニ業界は競争激化なのではなく、明らかにセブン-イレブンの「一人勝ち」だ。セブン&アイHDの戦略に迫ろう。
■コンビニ3社の業績に明暗分かれる
コンビニ3社で2018年2月期の業績見通しが大きく分かれた。業界トップのセブン&アイHDは、本業の利益を示す営業利益が6%増と7年連続の過去最高益を更新する見通しを発表した。一方、2位のユニー・ファミリーマートHDは26%の減益予想、3位のローソンは7%の減益予想で15年ぶりの営業減益予想となった。
株価も業績通りの動きとなった。セブン&アイHDは、4月6日の決算発表翌日の株価は4%高。その後も堅調に推移し、5月2日時点で年初来の上げ率は7%になっている。ユニー・ファミリーマートHDは、4月11日の決算発表翌日の株価は6%安、年初来からは18%の下げとなった。ローソンも、4月12日の決算発表翌日の株価は6%安、年初来のパフォーマンスは9%の下落だ。
■セブン&アイの利益の「8割以上」がセブン-イレブン
セブン&アイの2017年2月期の決算は、売上(営業収益)が3.5%減の5兆8357億円と減収ながら、本業の利益を示す営業利益が3.5%増の3646億円と増益を保った。2018年2月期の新予想は、売上が4.5%増の6兆1000億円、営業利益が6.0%増の3865億円を見込んでいる。
同社の好業績を支えているのはコンビニ事業だ。セブン&アイの売上構成はコンビニ事業が43%、イトーヨーカ堂などのスーパー事業が34%。営業利益ベースでは、コンビニ事業の寄与度が83%を占めており、スーパー事業は5%程度。スーパー事業の寄与は、セブン銀行などの金融事業の13%よりも低い。
■時代に合わせて成長するセブン-イレブン
コンビニ業界は再編が激しい。ローソンは、ポプラ、スリーエフ、セーブオンと提携した。ファミマはampm、ココストアをそれぞれ買収、さらにサークルKサンクスを統合している。
ところが買収・提携を続けているローソンやファミマはシェアを伸ばせていない。セブン-イレブンのコンビニ業界での市場シェアは、2006年度の34.0%から年々上昇、2016年度には42.7%に達している。
セブン-イレブンのシェアアップは、業界リーダーとして時代の変化に対応し、新しい市場を開拓してきたからだ。2009年には「近くて便利」政策を開始。人通りの多いところでなく女性や高齢者をターゲットに近くの買い物や食卓需要を取り込みはじめた。2012年からは総菜などの「チルド売り場」を、2013年からは「7カフェ」で新しい需要を切り開いた。そして、2014年からはJR西日本との提携でまた新しい市場を深耕している。
戦略変化に合わせ、セブン-イレブンの女性比率は2007年度の42.3%から2016年度には47.4%に、50歳以上の比率は同期間に25.8%から40.0%に増えている。商品別では2006年と2016年を比べると、冷凍食品の売上は4.7倍、お総菜(カウンター商品)は2.6倍に急増している。
セブン-イレブンの成長のドライバーは、コンビニ間の市場シェアを奪い合うだけでなく、中食市場でのコンビニの存在感を拡大してきたところにある。同社の中食市場におけるシェアは2008年度の9.2%から2015年度には13.3%まで上昇している。(※すべてのデータは同社の決算説明会の資料による)
■米国の中堅コンビニを買収 「過去最大級」のM&A
セブン-イレブン・ジャパン(国内)の店舗数は2017年2月末で1万9422店舗。売上は4兆5156億円。北米の「7-Eleven, Inc.」の店舗数は2016年12月末で 8707店。売上は 2兆7351億円。当然、日本がメインだった。
そうした中、同社は4月6日の決算発表時に米国の中堅コンビニの買収を発表した。Sunoco LP社から、コンビニとガソリンスタンドの1108店舗を33億ドル(約3700億円)で譲り受けるというものだ。国内市場の伸びが鈍化するなかで、米国に中長期的な成長を求めての戦略といえる。セブン-イレブンとしては過去最大級のM&Aであり、早急にサプライチェーンを構築し、2019年度には米国店舗数で1万店を目標にしている。
海外に注力するにあたり、事業セグメント管理を変更することも決めた。コンビニ事業を成長の柱と位置づけ、国内と海外に分けて管理する。新セグメントによる2018年2月期の売上予想は、国内コンビニが9013億円、海外が1兆6585億円を見込む。つまり、Sunocoの買収で米国コンビニ事業の売上が国内売上を超えることになる。
営業利益は国内が2438億円、海外が674億円を見込んでいる。海外は国内と比較するとまだ利益率も低く改善の余地が大きい。ちなみに、2019年度の1万店達成目標時の営業利益は10億ドル(約1120億円)を見込んでいる。
コンビニ業界の王者、セブン-イレブンの新たな挑戦に注目したい。
平田和生(ひらた かずお)
慶應義塾大学卒業後、証券会社の国際部で日本株の小型株アナリスト、デリバティブトレーダーとして活躍。ロンドン駐在後、外資系証券に転籍。国内外機関投資家、ヘッジファンドなどへ、日本株トップセールストレーダーとして、市場分析、銘柄推奨などの運用アドバイスをおこなう。現在は、主に個人向けに資産運用をアドバイスしている。
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