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<アジア開発銀>AIIBとの主導権争い激化へ
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170502-00000132-mai-bus_all
毎日新聞 5/2(火) 21:47配信
アジア太平洋地域の貧困解消や経済開発支援を目的とし、半世紀にわたってアジアの経済発展に貢献してきたアジア開発銀行(ADB)。日本は初代から現在の9代目まで総裁ポストを独占し、米国とともに運営をリードしてきた。だが、中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)が開業わずか1年強で加盟国・地域数でADBを抜き去り、存在感を高める。AIIBにはまだ融資ノウハウは乏しいものの、インフラ投資などを巡るADBとAIIBとの主導権争いが今後激しくなる可能性がある。
ADBは、加盟国・地域の出資を元手に域内のインフラ整備などの資金を低利で貸し付けるほか、貧困問題を抱える国に無償で資金支援する活動を展開してきた。2016年末時点での最大の出資国は日本と米国で、出資額はともに223億ドル。また、ADBが低所得国向けに融資するための「アジア開発基金」への拠出額は日本が120億ドルで単独首位。同基金は感染症対策などの保健分野などにも活用されている。
事業の中心は16年から30年までに計26兆ドルと推計される膨大なインフラ需要だ。アジア太平洋地域は急激な経済成長によって電力などエネルギー供給網や高速道路などの交通インフラ、上下水道などの需要が高まっている。ただ、途上国にはADBは手続きに時間がかかるなどの不満もあり、中国が欧州主要国も引き入れ15年に設立したのがAIIBだ。
AIIBは、発足当初こそ「既存の国際金融体制への挑戦者」との強い警戒にさらされたが、国際融資のノウハウはほとんどなく、発表済み融資の大半はADBや世界銀行などとの協調融資が占める。「体制、実績面でADBとの格差は歴然としている」(国際金融筋)のが実情だ。
他方、AIIBには中国の習近平国家主席が提唱する現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」の推進を金融面で支援するというもう一つの顔がある。総加盟国・地域数などで「ADB超え」をアピールすることで、世界経済における中国の権威確立につなげたい狙いも見え隠れする。そうした中で支援を引き出したい新興国や、事業受注などビジネス拡大を狙う先進国がAIIBに押し寄せている状況だ。日米は参加を見合わせているが、AIIBの金立群総裁は先月24日、米ワシントンで「双方がウィンウィン(相互利益)になる協力方法を模索している」と述べ、米国政府や米企業との連携に強い期待を示した。【中島和哉、北京・赤間清広】
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