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プレミアムフライデー導入に備えて、社内向けイベントの企画にいそしんでいる企業がある。社員のプライベートまでもなぜ干渉してしまうのか?そこには「指示待ち社員」という大きな問題が隠されている
私生活まで社畜化される日本人、「プレ金」に社内行事の企業も
http://diamond.jp/articles/-/126449
2017.5.2 山口 博 ダイヤモンド・オンライン
プレミアムフライデーで、金曜日の15時以降に、社内イベントを企画し社員を参加させる取り組みに、私は耳を疑った。30年変わらぬその発想に、社員の消費行動を阻害するだけではない、社員の自律性を損ない続けてきたトンデモ人事部の元凶を見た。(リブ・コンサルティング人事部長兼組織開発コンサルティング事業部長 山口 博)
社員の個人生活に
干渉せずにいられない会社
今年2月から導入されたプレミアムフライデー。経済産業省流通政策課が旗振り役になり、経団連をはじめとする各経済団体が名を連ねるプレミアムフライデー推進協議会が設立され、生活スタイルの変革、地域コミュニティの一体感醸成、デフレ的傾向からの克服を目指していくという。いわゆる個人消費拡大運動だ。
百貨店のイベント、飲食店の割引、ホテルの宿泊プラン、スーパーやコンビニの企画商品、旅行会社のツアー、鉄道の割引、遊園地の入園パス、ネット通販の特典など、協賛企業が目白押しだ。画期的なアイデアで、消費を劇的に拡大するヒット企画が打ち出されることが期待される。
私には、こうした企画のヒット度合いが、プレミアムフライデーの成否を左右するように思えてならない。降って湧いた、給与日後だろう月末金曜の午後の自由な時間を使ってみたいと思わせる、ビジネスパーソンを誘引するアイデアだ。
そのような中で、耳を疑う取り組みに直面した。就職人気企業トップになったこともある、わが国を代表する某企業が、プレミアムフライデー導入に呼応して、社員向けの社内イベントの実施を打ち出したのだ。
社員のために、金曜日の15時以降、趣味の会、スポーツサークル、勉強会、読書会、社内ネットワーク会合、社内情報交換会などの会合を会社主導で企画して実施するというのだ。
顧客向けのイベントも実施すれば、社内向けの社員への対応も行う…読者の中には、ごく自然な取り組みだろう、何が悪いのか、と思う人もいるに違いない。しかし、私は、とても大きな危惧を持っている。15時退社ということは、15時からは会社の制約から離れて、自由なプライベートの時間を過ごしてくださいということだ。にもかかわらず、これでは社員に、業務からは解放したが会社にいてくださいというメッセージを送っているようなものだ。それでは消費は拡大できない。
会社が社員の個人生活に、なぜ、そこまで干渉しなければならないのか。生活スタイルの変革、地域コミュニティの一体感醸成、デフレ的傾向からの克服に貢献しないどころか、逆行していると言わざるを得ない。
人事部の考えることは
30年間進歩していない
今を去ること30年前、それまで土曜日は1日勤務や午前勤務だった大手企業が、土曜日休日に移行し始めた。週休2日制の始まりだ。その際に、多くの企業の人事部が実に真面目に行ったことは、やはり土曜日の社内イベントの企画だった。
趣味の会、スポーツサークル、勉強会、読書会、社内ネットワーク会合、社内情報交換会…。その理由が、「社員は土曜日が急に休日になって、時間を持て余すはずだ。会社として受け皿を用意しなければならない」ということなのだ。そう、先述した、プレミアムフライデー対策で某有名企業が行ったことと、内容も動機もよく似ているのだ。
30年の月日が流れた今でも、社内イベントのメニューが同じであることも、そして、会社の制約の中に社員を閉じ込めようとする思想も、何も変わっていないことに愕然としつつ、人事領域で仕事をしてきた自分の無力さを感じる。
会社の制約の中に社員を閉じ込めて、いわば社員を指示待ちの、枠組みの中だけで生きる人間にしてしまう企業がいかに多いことか。自分の会社に、いかに指示待ち人間が多いか知りたければ、災害時に注目するといい。
台風が発生して、公共交通機関に影響が出ることが予想されることは、よくあることだ。そうした天気予報が流れたり、風雨が強まったりしてくると、人事部長に「早く、一斉帰宅するように全社メールを出してください」「いつごろ帰宅命令が出るのですか」という問い合わせが殺到する。
人事部長として着任した会社で、初めてその問い合わせを社員から受けた時は、私は反射的に「自分で判断してお帰りください」と答えていた。相手は怪訝そうな顔をしていたので、言葉が足りなかったと思い、「帰宅経路の交通機関の運行状況を判断して、影響が出ないように、早めにお帰りください」と言い直したのだが、相手の懸念はそこではなかった。
自己判断しない社員を
増殖させた人事部の罪
その社員は、「自分で判断することなどできません。人事から一斉帰宅のメールが出ないと帰れません」、さらに「前の人事部長は、人事部から指示があるまで帰ってはいけませんと言っていました」と言うのだ。そして、同様の意味のことを言ってくる社員が、次々に現れた。
やむなく、「台風が近づいてきていますので、各自、帰宅経路の交通期間の運行情報に注意し、影響がありそうな場合は各自判断して帰宅時間を調整してください」という意味の文言に加えて、「以後、その都度連絡はしないので、同様に判断して行動していきましょう」というコメントを添えて、一斉メールを発信した。
しかし、台風が接近したり、大雨洪水警報が発せられたりするたびに、人事部への問い合わせは繰り返されたので、一斉メールも繰り返された。おまけに、ひとたびメールが届けば、マネジャーにも職場の誰にも何も言わないで帰ってしまう社員が続出したので、「マネジャーとしっかりコミュニケーションをとった上で」という文言を付け加えざるをえなかった。指示に従うことだけを念頭に置いている社員たちは、指示しか見ていない。だから、必要最低限のコミュニケーションをすっ飛ばすことには、何の疑問も感じない人たちらしいと知った。
繰り返すが、こうした企業は決して少なくない。そして、もしかしたら本当に、指示なくして行動をしてはならぬというトンデモ人事部の掟にがんじがらめにされ続け、それを疑問にも思わなくなった社員たちにとっては、プレミアムフライデーで自由なプライベートな時間を謳歌することは、土台無理な話なのかもしれない。
もしそうなのだとしたら、人事部は社内勉強会などの枠組みを、相変わらず提供し続けるしかないのだろうか。
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