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日本はなぜ、ここ20年「ほとんど成長していない」のか?(写真=PIXTA)
日本はなぜ、ここ20年「ほとんど成長していない」のか?
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170501-00000016-zuuonline-bus_all
ZUU online 5/1(月) 17:28配信
本書では、世界経済を読み解くためのキーワードとして、「為替」「物価(デフレとインフレ)」「金利」「株価」「GDP」「BRICs」「商品(コモディティ)」の7つを挙げてそれぞれ説明をします。この7つのキーワードは「基本情報」として押さえておいてください。そのあとは自分の興味に沿って情報を分別し、情報を増やしていっていただければと思います。
(本記事は、菅下清廣氏の著書『10年後に差が出る! 富を作るために「お金」と「経済」を学びなさい』(かんき出版 2013/2/27)の中から一部を抜粋・編集しています)
■GPDとはどれだけ活発に経済活動が行われているのかを示す
「GDP」は「Gross Domestic Product」の略で、日本語では「国内総生産」と言います。定義は「国内で新たに生み出された付加価値の合計金額」ですが、「付加価値の合計金額」とはいったい何でしょうか?
GDPは、「国内で新たに生産されたモノやサービスの合計金額」であり、国内でどれだけ活発に経済活動が行われているのかを表す指標です。GPDが増えていれば、その国の経済は成長していると言えるでしょう。
実はGDPには「名目GDP」と「実質GDP」の2種類があります。
「名目GDP」とは、「物価の変動を考慮しない」付加価値の合計金額で、「実質GDP」とは、「物価の変動を考慮した」付加価値の合計金額になります。ちなみに「経済成長率」という場合、通常は「実質GDP」を使って求めた「実質経済成長率」のことを指しますので、覚えておきましょう・
さて、本題に戻りますが、日本のGDP(名目、金額ベース)は、いったいどのように変化しているのでしょうか? 2011年の日本のGDPは約468兆円ですが、実はここ20年、だいたい500兆円前後で推移しており、増えても減ってもいません。つまり、ここ20年、日本はほとんど経済成長をしていないのです。
一方、アメリカのGDPは1991年が約6兆ドル、2011年が約15兆ドルとなっており、ここ20年で約2.5倍になりました。そうした中で2011年、日本はついに中国に抜かれ、GDPの規模で世界第3位の国へと後退したのです。
なぜ、ここ20年、日本のGDPは伸びていないのでしょうか?
日本のGDPは伸びていない理由はデフレによって、GDPの6割を占める個人消費が、まったく伸びていないからです。では、こうした中で個人消費を増やし、日本のGDPを増やすためには、いったいどうしたらいいのでしょうか? 日本の企業はどのような商品を作ればいいのでしょうか?
私は、国内の富をどんどん増やすために、日本の商品はどんどん「ガラパゴス化」するべきだと考えています。「ガラパゴス化」というのは、日本で生まれたビジネス用語の1つです。ガラパゴス諸島で独自の進化を遂げた生物のように、技術やサービスを日本市場に特化し、世界基準から離れていってしまう現象のことを言います。
「日本の商品はガラパゴス化しているから、世界では売れない。世界基準(ワールドスタンダード)」の商品を作れ!」
そう主張するエコノミストもいますが、私は反対です。なぜなら、世界標準の商品を作ると、最後は価格競争になって負けてしまうからです。
■日本のGDPはどのように推移するのか
今後、日本のGDPはいったいどのように推移していくのでしょうか?
ゴールドマン・サックスが、2003年に出した予測によると、2030年のGDP世界ランキングは、1位アメリカ、2位中国、3位日本、4位インド、5位ロシア、6位ドイツとなっています。さらに2050年になると、1位中国、2位アメリカ、3位インド、4位日本、5位ブラジル、6位ロシアとなります。
一般的に先進7カ国と言われているG7(日本、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、カナダ)のうち、ランキングに残るのは日本とアメリカの実です。そして、中国がアメリカを抜いて、GDP世界第1位になると、ゴールドマン・サックスは予想しているのです。
■商品(コモディティ)とは?
「商品(コモディティ)」とは、いったい何でしょうか? これは「商品先物取引所」で取引されている商品のことです。
具体的には、「原油」「天然ガス」といったエネルギー、「金」「銀」「プラチナ」といった貴金属、「小麦」「大豆」「とうもろこし」といった穀物、「銅」「アルミ」といった非鉄金属などです。
では、なぜ、これらの商品は「取引所」で取引されるのでしょうか?
それは、2国間のやり取りだと、適正な価格になりにくいからです。取引をする際に、「基準価格」がなければ、お互いに疑心暗鬼になってしまうでしょう。だから、売り手と買い手を一カ所に集めます。そうすることで、みんなが公正な値段で取引をすることが可能になるのです。これを「市場」と言います。
■先物取引とは?
先物取引は「約束した日にちに、事前に約束した価格で売買する取引」のことです。例えば、先物市場で、金が1オンス=1700ドルの時に、「3か月後に金10オンスを受け取れる権利」を買ったとしましょう。支払いは1万700ドルですが、先物取引の場合は、証拠金(手付金)だけを支払えばOKです。このように少ない自己資金で、何倍もの大きな取引をすることを「レバレッジ取引」と言います。
さて、仮に一か月後、金が1オンス=2000ドルになったとしましょう。この時点で「2か月後に金10オンスを受け取れる権利」を売ることも可能です。売れば、その時点で金の値上がり分、3000ドルを儲けることができます。これが「先物取引」です。
例えば最近、小麦、とうもろこし、大豆など穀物の値段が上がっています。その背景には確実に「BRICsの経済成長」があります。例えば中国では、経済成長によって所得水準が上がり、今まで肉を食べなかった人たちが、肉を食べるようになりました。ちなみに、牛、豚、鶏を育てるためには、体重の何倍もの大量の飼料が必要です。では、それらを飼育するために使われる飼料は、いったい何でしょうか? それは「とうもろこし」や「大豆」です。
また、2011年には、世界の人口がついに70億人を突破しました。世界の人口は、今世紀中に100億人を超えるという試算もあります。人口が増加するということは、それだけの人間が生きていくための食料が、今後必要になるということです。
また、世界各国で成長しているのは、BRICsだけではありません。これらの国の人たちが豊かになったら、世界はいったいどうなるでしょうか? そう考えると、今後20〜30年、商品の価格は上昇せざるを得ないのです。
菅下 清廣
スガシタパートナーズ株式会社代表取締役。国際金融コンサルタント、投資家。立命館アジア太平洋大学学長特別顧問。
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