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「バター値上げ」で消費者に負担増、不足なぜ?(ZUU online)
http://www.asyura2.com/17/hasan121/msg/444.html
投稿者 赤かぶ 日時 2017 年 4 月 29 日 20:59:00: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

           「バター値上げ」で消費者に負担増、不足なぜ?(写真=PIXTA)


「バター値上げ」で消費者に負担増、不足なぜ?
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170429-00000004-zuuonline-bus_all
ZUU online 4/29(土) 10:10配信


乳業大手の明治は家庭用バター2商品を6月から5円、値上げする。バター不足による値上げは過去にも何度か行われていて、「またか」との印象も拭えないのだが、その理由はどこにあるのだろうか。

■生乳価格の値上がりは「企業努力の範囲外」

明治が値上げするのは、家庭用の「明治北海道バター」(200グラム)と「明治北海道バター食塩不使用」(同)で、それぞれ405円から410円に、440円から445円となる(いずれも税抜き)。

同業他社では雪印メグミルクが5月から「雪印北海道バター」(200グラム)「雪印北海道バター 食塩不使用」(同)をそれぞれ5円値上げする。森永乳業も近く、追随するという。

明治はプレスリリースで「国内の生乳生産量は、離農や乳牛飼育頭数の減少などから厳しい状況が続いております。このような状況の中、弊社は生乳生産者団体との交渉により、生産者所得の確保および国内乳製品受給の動向を踏まえ、2017年4月より加工向け生乳取引価格(脱脂粉乳・バター等向)が引き上げられました。(中略)現状の価格設定による販売の継続が厳しい状況となったため(中略)価格改定を実施させていただきます」としている。

つまり、生産者数と乳牛の飼育頭数が減少していて、生乳の生産量も減っているので、需給バランスの結果、バター用の生乳価格が上がった。これでは生産販売を続けられないので、消費者に負担を転嫁する、という主張だ。

雪印メグミルクもプレスリリースで同様の理由を述べているが、生乳価格の値上がりは「企業努力による範囲を超えるもの」と訴えている。

■農水省「バター不足は生乳不足が原因」

農林水産省のデータを見ると、確かに2003年頃まではほぼ横ばいだった生乳生産量は右肩下がりに転じている。同省は2003年までは酪農家の戸数は減少していても生産効率化によって生産量をキープすることができたが、労働時間の加重や飼料費の上昇などにより、それも限界に達したという。

結果、ピーク時から1割以上も減少した2013年度には初めて750万トンを割り込んだ。こうした状況にもかかわらず、乳製品に対する国民の需要は堅調なままだ。生産量が増えないならば価格が上がるというのは一応、市場原理にかなったものといえる。

ではその価格はどのように決まるのか。ホクレン農業協同組合連合会(北海道)など「指定団体」と呼ばれる各地域の生産者団体と乳業各社が毎年、交渉して決まる仕組みとなっている。生乳の9割が北海道産のため、乳製品の価格は、ホクレンの卸値が基準になる。

2017年度のバター、チーズ向けの生乳卸値は2年ぶりに値上げになる。幅は前年度比1キロあたり1〜2円で、ホクレンは取引先のメーカー15社と2016年12月、合意に達した。新価格はこの4月からの取引分から適用されるため、今回のメーカー各社のバター値上げはこの決定を受けたものだ。 

■バター不足の構造と国の対策

バターが不足する理由は、その生産構造にある。原料である生乳は腐敗しやすく、まずは最も鮮度が求められる牛乳や生クリーム用に一定量を確保し、残りがバターや脱脂粉乳への加工に回される。なので、生乳の生産量が減ってしまうと、牛乳が減った分よりも余計に減ってしまうことになる。

「スーパーに並んでいる牛乳の量は減っていないのに、バターが不足するのはおかしいじゃないか」という声がよくあるが、その理由はここにある。バターは牛乳・乳製品の「最終調整弁」と呼ばれているゆえんだ。

また、生乳の量はそもそも安定していない。国内の乳牛はホルスタイン種が主に飼われているが、寒さに強いが暑さに弱いという性質がある。このため、8月から11月は最盛期から1割ほど減ってしまうなど、猛暑続きの近年は在庫が不安定化している。猛暑続きだった2010、2013年のほか、東日本大震災があった2011年は大きく影響を受けた。最近、よくバター不足が報道されるのも、こうした不安定要素が大きく影響しているためといえる。

こうしたことから、バターは国家による独占貿易品目として管理されている。これまで生乳の生産量が減少したとき、業務用バターは輸入で必要量を確保してきた。2017年度も1万3000トンの輸入を予定している。その分、生乳を家庭用バターの生産に振り分けてもらうことで、供給不足を解消してきた。

■農水省の説明には異論も

こうした農水省の説明に、異論も存在する。「バターが買えない不都合な真実」(幻冬舎新書)を書いたキヤノングローバル戦略研究所の山下一仁・研究主幹は2016年7月に都内で行った講演で、バター不足が生まれる背景として「バターと脱脂粉乳は水を加えれば加工乳になる。バター向けの乳価は飲用向けより非常に安く、加工乳は飲用牛乳より安くなる。バターや脱脂粉乳が増えると加工乳が増え、飲用牛乳の値段が下がり、酪農家に払う飲用乳価も下がってしまう。業界はこれを心配し、バターや脱脂粉乳を余らしてはいけないという需給計画となる」と指摘している。

このほかにも、さまざまな点で乳価を下げないようにして業界の保護に国を挙げて画策した結果、バター不足が生まれているという。

コメと同じく、国を挙げての業界保護の体質が、バター不足にも表れているのだろうか。(フリーライター 飛鳥一咲)

 

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