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今やGDPでは日本の2.5倍に達した中国経済。いまだに中国を軽んじている日本人は少なくないが、真摯に中国を学ぶ時代が到来したのではないだろうか。そのための入門書としてうってつけの一冊が出版された。
日本人が中国経済を真摯に学ぶ時代に、『現代中国経営者列伝』を読む
http://www.recordchina.co.jp/b176381-s0-c60.html
2017年4月27日(木) 14時20分
2010年、中国は国内総生産(GDP)で日本を追い抜き、世界第2位の経済体の座を獲得した。それから7年、今や中国のGDPは日本の約2.5倍となる11兆3910億ドル(約1240兆円)に達している。マラソンに例えるならば、追い抜かれた後にみるみる差を付けられ、今や背中すら見えないといったところだろうか。
ところが日本ではいまだに現状を理解していない人が少なくない。「中国のGDPは捏造(ねつぞう)だ」「中国経済は単なるバブルで間もなく崩壊する」「技術など底力ではまだまだ日本が上だ」などなど、根拠のない楽観論を聞くことが多い。中国の大小説家・魯迅は名著『阿Q正伝』において、「精神勝利法」なる思考法を描いている。どんな敗北を喫しようとも、都合良く取りつくろって自分の中では勝ったことにしてしまうという都合のいい発想だ。当時の中国を風刺したものだが、今の日本人も「精神勝利法」を身につけつつあるのかもしれない。
「日本は進んでいる、中国は遅れている」という思い込みを捨て、まずは中国経済の現状について冷静に知ることが求められる時代になったのではないだろうか。
その意味では、先日出版された高口康太『現代中国経営者列伝』はうってつけの入門書だとうならされた。中国の怪物経営者8人の伝記を一冊にまとめた内容だが、彼らの人生を追っていくだけで改革開放政策以来の中国経済の歴史が透けて見える構造になっている。
筆者は、中国経済は改革開放によって「明治維新と高度成長が一緒にやってきた」状態になったと説く。つまり、日本では近代の2度に分割されていた高成長が、1度に起きたとするのである。
確かに、本書で取りあげられている経営者たちも、不動産(ワンダ・グループ)、食品(ワハハ)、白物家電(ハイアール)、パソコン(レノボ)、ECサイト(アリババ)、スマートフォン(シャオミ)、動画サイト(Youku)と多分野にわたり、あらゆる分野の発展が短期間に起きたことを象徴している。
日本では長らく、松下幸之助や本田宗一郎などの伝説的経営者たちのマインドを学ぶための本が、ビジネスマンに読まれてきた歴史がある。しかし、近年では国内にそういった大物経営者がめっきり減ってしまった。しかし、隣国の中国では、今まさに辣腕(らつわん)経営者たちが伝説を作り続けている。
勉強が苦手だった腕白少年(アリババの創業者・馬雲)が一念発起して英語を学び、不屈の精神で世界一のECサイトを作り上げていくさまは、『三国志』や『水滸伝』の英傑のようで、読み物としても痛快である。
中国経済の急成長を担った立役者たち──彼らの伝記を通じ、中国経済史の流れが見えてくる。そして、今日よりも明日の生活がよくなる「成長の時代」の熱狂も伝わってくる一冊だ。(記事/増田聡太郎)
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