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東芝「逆ギレ」決算会見全内幕〜この期に及んで経営陣は「被害者面」 こんな会社を税金で助けて大丈夫か?
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51514
2017.04.25 週刊現代 :現代ビジネス
巨大上場企業でありながら、監査法人のお墨付きを得ない決算を公表してなお、「自分たちは悪くない」というのだから、これは究極の開き直り……。名門・東芝の経営陣が袋小路に追い込まれた。
われわれは最善を尽くした
監査法人の「意見表明」が得られないまま、決算を発表する――。
4月11日、東京・浜松町の東芝本社39階の会議室で開かれた決算会見は、異常な様相を呈していた。
会見が始まる直前まで、出席していた記者、アナリストたちは、東芝経営陣が異例の決算にいたった事情について謝罪し、きちんと背景説明をするものだと待ち構えていた。
しかし、18時45分頃からいざ会見がスタートすると、まったく「想定外」の展開に発展し、会場は奇妙な静寂に包まれることになった。
「登壇した東芝の綱川智社長、監査委員会委員長を務める佐藤良二取締役らが、『逆ギレ』したかのように、自分たちは悪くないという発言を連発し始めたのです」
と、出席者の一人は言う。
「最初にマイクの前に立ったのは綱川社長でしたが、はなから自分たちの責任に触れるどころか、驚くことに『最善を尽くした』などと語り出した。
さらに、これまでは監査法人に納得してもらうために2度も決算延期をしてきたが、今回ばかりはこれ以上延期しても、『適正意見の表明をいただける目途が立たない』と本音を吐露したのです。
つまり、自分たちは監査法人から求められるがままのことを実行しているのに、彼らがどういうわけか決算を認めてくれないという主張を繰り出したわけです。
続けて綱川社長は会社の経営状況について『実質的には十分な財務的基盤を保持している』と堂々と語り始め、その資金繰り改善のために『役員の報酬返上、役職者の給与減額、諸手当・日当などの削減といった施策を実施してまいりました』と主張。
年収カットを受け入れていると強調することで、自分たちがまるで被害者であるかのようにアピールし出した」
債務超過にある企業トップの発言とは思えないものだが、大きな声を張り上げるわけでもなく、無表情で淡々とこうした発言を繰り出すので、余計に不気味さが際立つ。次にマイクを受けた佐藤氏も同じく感情を表には出さないながら、逆ギレ発言を連発していった。
「3ヵ月以上にわたり独立監査人(監査法人)からいただいた度重なる示唆、ご指摘に対して監査委員会としては、真摯に調査を実施したうえで、すべて回答しております」
「調査の結果、連結財務諸表の数値に影響をおよぼす事象はなかったとの結論に至っております」
それなのに監査法人は決算を認めてくれないって、おかしいと思いませんか、みなさん――そう訴えかけんばかりに語り続けたのである。
会見2日前に起きた「事件」
会見では社長や監査委員長などが話し終えると、質疑応答の段に入った。出席者からは堰を切ったように、「監査法人の承認がないのに決算を公表するのは無理がある」
「これが決算と呼べるのか」などの質問が飛んだが、綱川社長らは、
「(監査法人とは)ズレがある」
「これ以上、同じことを続けても意味がない」
などと答えるばかり。経営陣の責任を問う質問を浴びても、「被害者」の立場を貫いた。
別の出席者も言う。
「綱川社長は今回の決算について、『自信のある数字』だと言い張り、それをどうして監査法人が認めないのかさっぱり理解できないという態度を隠そうともしなかった。
東芝は5月に本決算を発表しなければいけませんが、綱川社長はこの本決算ですら、監査法人の承認を得ないまま発表する可能性があるとほのめかす始末。
しかし、株式市場に上場している巨大企業が、このまま監査法人の承認を得ないで本決算まで済ませようとするのはあり得ない話。もはや開き直っているようにしか映らなかった」
結局、要領を得ないまま、会見は終了。納得ができない出席者からは「質問!」などと声が飛び交う中、その声を無視して質問は打ち切られ、綱川社長はどこかやり遂げたような表情で会見場を後にしたのである。
ただでさえ監査法人の承認を得ないで決算をするのは異例のうえ、その決算会見で経営陣が開き直る「超異常事態」。実はその裏では、この会見の2日前、週末の日曜日に起きていた「事件」が伏線になっていたことはほとんど知られていない。
複数の関係者によれば、この日(4月9日)、東芝は監査法人であるPwCあらた有限責任監査法人側に、重要な報告書を提出していた。
昨年12月27日に、アメリカの原発会社ウェスチングハウス社(WH社)で巨額損失が発生したことが明るみに出て以来、降ってはわいて出てくる疑念に対して、東芝側が調査した結果をまとめたものがそれである。
WH社の経営陣は以前から損失を知っていながら隠していたのではないか、原発会社の一部の幹部が従業員にプレッシャーをかけて損失額を少なく見せかけようとしたのでは……。東芝はこうした疑惑が出るたびに、監査法人からの示唆をもとに、年始頃から直近まで3ヵ月以上にわたって、水面下で調査してきた。
調査の中身は、WH社の役員や従業員など合わせて累計50人以上へのインタビューから、さらには関係者のメール約60万件の調査にまでおよぶ難作業。その集大成となる調査結果をこの日、「包括報告書」という形で提出していたのだ。
東芝関係者が明かす。
「監査法人が気にしていたのは、WH社の経営陣はいつ損失を認識していたのか、そして従業員にプレッシャーをかけたことで決算数値が誤魔化されているのではないか、ということです。
これに対して、東芝の調査ではまず、プレッシャーの存在は間違いなくあったという結果が出た。具体的には、『損失額をこれくらいの数値にできないか』という経営陣の発言があったということでした。
しかし、過去のメールを復元するなどして物証を調べても、それによって財務諸表が『お化粧』されていたという証拠は見つからなかった」
監査法人のホンネ
つまり、内部統制に一部問題はあったが、「決算上は問題なし」というのが東芝側の結論。決算を提出しないと上場廃止が決定する4月11日の期限にギリギリ間に合う形で報告書を提出できたことで、東芝経営陣はほっと胸を撫でおろしていた。これで、監査法人も納得してくれるだろう。4月11日には晴れて決算を発表できる、と。
しかし、そんな東芝経営陣の楽観はもろくも崩れることになる。
「適正意見は出せません」
監査法人からの返答は、当該の調査結果についてはいまだ証拠不十分で「評価」を決定できないので、決算にお墨付きを与えられないというものだったという。
「当然、東芝の経営陣は唖然としました。東芝がいくら調査しても『ない』ものを、証明不十分だと言われても、『ないことの証明』はもうできない。
しかも、すでに決算会見を予定している4月11日が間近。この期限に間に合わせるために必死に調査をしてきたのに、いまからこれ以上なにを調べればいいのかと、途方に暮れた」(前出・関係者)
もうやることはやったのだからこれで十分とする東芝と、頑として首を縦に振らない監査法人の両者が互いに譲らないまま、ついに期限の4月11日が到来。
上場廃止をなんとしてでも避けたい東芝経営陣らが窮余の策として選択したのは、すべてを監査法人のせいにして決算発表をするという決断だった――これが「逆ギレ」会見にいたる全内幕だ。
それにしてもどうして、互いにここまで「対立」する事態となってしまったのか。
「監査法人としては、前任の新日本監査法人と同じ轍は踏めないという事情があった」と言うのは、東芝問題の取材を続ける経済ジャーナリストの磯山友幸氏である。
「東芝の前任の監査法人だった新日本監査法人が、東芝の粉飾決算を見抜けなかったことで、重い処分と莫大な損失を被ったことは監査業界では一大事件でした。
あの一件で、新日本監査法人は金融庁から行政処分を受け、20億円以上の課徴金支払いを命じられたうえ、理事長が辞任する事態にまで追い込まれた。
さらに、行政処分がくだされた後、新日本監査法人と契約を打ち切る企業が続出。富士フイルムホールディングス(HD)やANAHDなどが監査法人を変更するなど、顧客を失うことになった。
当然、PwCあらたとしてはこの教訓があるから、慎重に慎重を重ねる必要が出てくる。仮に東芝の調査をそのまま鵜呑みにした後で、粉飾などが発覚すれば、莫大な損失リスクに直面しかねない」
株主集団訴訟が怖い
かといって、東芝経営陣にしても、決算発表を絶対に回避できない事情を抱えていた。
それは一瞬にして、彼らの人生を暗転させかねない「株主訴訟リスク」の存在である。
「今回、東芝経営陣が監査法人の適正意見をもらえなかったという理由で決算発表を再々々延期していたら、上場廃止は避けられない事態に陥っていたでしょう。そうなれば東芝株は市場で投げ売られて、紙くず同然になってしまう。
株を保有している個人投資家から機関投資家までが、『不当な損失を被った』として東芝経営陣を訴える訴訟ラッシュになる可能性があった。
実際、東芝の粉飾決算をめぐっては、損害を受けたとする個人株主が前経営陣に対して5億円超の損害を求める集団訴訟をすでに提起。
海外でも株主が同じように訴訟を起こしていて、仮に敗訴すれば個人としては支払いきれない額の賠償を負うことになる。場合によっては賠償額も何十億円、何百億円に膨らみかねない」(経済ジャーナリストの町田徹氏)
そんなことになれば、経営陣は個人破産へまっしぐらである。綱川社長らが会見でやたらと「株主にご迷惑をおかけすることはできない」と語っていたのも、こうした背景事情があった。
いずれにしても、今後も東芝、監査法人両者の「歩み寄り」は困難で、このままいけば本決算もままならない。東芝の経営は窮地に追い込まれたわけだが、さらにここへきて、東芝の経営にとって重大な影響を与えかねない「新しい巨大リスク」が急浮上してきたのだから、たまったものではない。
「東芝は今後、インフラ事業とエネルギー事業を会社の柱にしていくと表明していますが、その事業の一部を行えなくなるリスクが出てきたのです。
というのも、これらの事業を行うには特定建設業の許可を国から受ける必要があるが、東芝がいま保有する許可の有効期限が12月で切れてしまう。許可の要件には財務条件があり、財務状況が悪化しているいまの東芝は条件をクリアできず、12月以降は許可を更新できないリスクが浮上してきた。
これは最悪の場合、インフラ事業、エネルギー事業の売上高全体の4分の1を失うほどのインパクトがある」(大手証券会社アナリスト)
すでに資金繰り危機にある東芝が、いよいよ追い詰められかねない事態というわけだが、それだけではない。
東芝は現在、半導体事業を売却して2兆円ほどの巨額資金を確保しようと画策しているが、実はこの半導体事業の売却に大きなハードルが出てきた。
「東芝と半導体事業で提携している米ウエスタンデジタル(WD)が、半導体事業の他社への売却は認められないとの意見書を東芝側に提出したのです。東芝にとっては、売却益の2兆円がなければ債務超過から抜け出せず、これまで描いてきた再建案が白紙にすらなりかねない」(前出・アナリスト)
そんな最大のピンチが訪れているのに、経営陣たちが悠長に「被害者面」をしていられるのは、最後は国が助けてくれるとでも高をくくっているからかもしれない。こんな会社を税金で助けて大丈夫なのか――。
「週刊現代」2017年4月29日号より
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