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シリーズ「待機児童はなぜ減らないのか?」
共働き世帯の増加と長時間労働の実態
待機児童が減らない本当の理由C
2017/04/13
小林美希 (労働経済ジャーナリスト)
「夜勤をしてもしなくても長時間労働は避けられない」
都内の病院に勤める看護師の原野美知恵さん(仮名、35歳)は、不妊治療を経て待望の子どもを授かった。上司である病棟の師長に妊娠を報告し「すみません。つわりが酷いし、お腹が張って流産が心配なので夜勤を免除してもらえないでしょうか」と申し出た。すると、師長から「急に言われてもシフトを調整できない。人手が足りなくて皆が夜勤を頑張っている。あなただけ特別扱いできない。夜勤ができないならパートになって」と、暗に退職かパートになるかの選択を言い渡された。
妊娠を理由にパートにさせるなど労働条件の切り下げ(不利益取り扱い)も、男女雇用均等法によって禁じられているが、美知恵さんは「看護師はやりがいのある仕事で辞めたくはない。けれど、みんなに迷惑をかけてまで夜勤免除を強くいえない。不妊治療でせっかく宿った命。ここで争って居づらくなるより、いったんパートになって出産まで無事に過ごしたほうがいいのかもしれない」と悩んだすえに、やむなく労働条件の切り下げに応じた。
美知恵さんは非正規でも育児休業を取って職場復帰できることになったが、出産直前には切迫早産(早産しかかる状態)のため、休みが多くなって勤務実績が足りず認可保育所に子どもを入れることができなかった。病院の院内保育所に子どもを預けながら、認可保育所に空きが出るのを待つうち、師長から「そろそろ常勤に戻って夜勤に入れないか。それが無理なら、土曜の勤務に入ってほしい」と詰め寄られている。
「看護師として技術を高めていくには、私は病棟勤務がいい。しかし、看護師で病棟にいる以上、夜勤から逃れられない。かといって、夜勤をしない代わりに土曜も仕事では、さすがに子どもがかわいそう」と、美知恵さんは悩んでいる。
(iStock)
ワークライフバランスは絵に描いた餅
民間企業で働く夫は長時間労働で、ほとんど子どもと接する時間がない。夫による保育所の送り迎えは全く期待できない。頼ることのできる実家も近くはない。院内保育所なら夜勤の間も子どもを預けられるが、利用できるのは3歳まで。もし地域の認可保育所に入ることができても、夜勤や遅番に対応できる延長保育は実施していない。
「ワークライフバランスなんて、人手不足の業界では絵に描いた餅でしかない。今の病院で看護師を続けられたとしても3歳まで。これ以上働くなら、辞めてクリニックのパートになるしかない。女性は子育てしながら、やりがいを感じて働いてはいけないのか」と、不条理さを感じている。
共働き世帯が増えるにつれ、当然、保育の需要は高まる。1980年代は専業主婦世帯が主流で、80年の専業主婦世帯は1114万世帯、共働き世帯はわずか614万世帯だった。しかし、バブルが崩壊した91年から両者は拮抗するようになり、山一証券が破たんし金融不安が襲った97年には、完全に逆転。2000年のITバブル崩壊、2008年のリーマンショックなどをきっかけに共働き世帯が増加していき、2013年の共働き世帯は1065万世帯、専業主婦世帯は745万世帯となっている。不況期には「手に職つけて働き続けられる」と、医療や福祉業界への就職人気が高まった。
2007年には団塊世代が定年を迎えて大量離職が始まった。2010年頃からは、労働力人口の激減を目前として、どの業界でも人材確保に躍起になり、新卒採用は売り手市場になった。学生のなかには、「一生働き続けたいから」「働きながらきちんと子育てもしていきたい」と、男女を問わずに、子育てとの両立支援に手厚い企業を調べて採用試験を受ける姿も多くみられるようになっている。「男女共同参画」や「男女平等」という意識が高まり、当然のこととして共働きは増える傾向にある。
これまで、女性が働き続けることについて経済的な理由が多かったが、その意識の変化も鮮明になっている。連合の「マタニティ・ハラスメント(マタハラ)に関する意識調査」(2013年5月)」では、妊娠未経験者への質問で「働くことと子育て」について、「できるならば自分の希望として働きながら子育てをしたいと思う」が51.0%と、「経済的な理由で働きながら子育てをしなければいけないと思う」(27.4%)を大きく上回った。女性も当たり前のように、結婚しても出産しても働き続けたいと思うようになったことが、保育の需要を高めている。
そして、製造業からサービス業へと産業構造が転換した今、雇用の受け皿となっている産業や職種が長時間労働や不規則な働き方を強いられがちで、保育の多様性も求められるようになってきた。
文部科学省「学校基本調査」(2016年度速報)の「卒業後の状況調査」から、就職先で多い産業を見てみよう。男性は、多い順に「卸売業・小売業」(17.0%)、「製造業」(14.8%)、「情報通信業」(10.5%)となっている。小売業では24時間オープンしている店舗もあり、情報通信業ではシステムエンジニアなど超長時間労働が目立つ業界でもある。女性のトップは「医療・福祉」(19.5%)、次いで「卸売業・小売業」(15.2%)、「金融業・保険業」(10.7%)、「教育・学習塾」(9.8%)となる。
「社員=親」ということが理解されない職場
サービス業は土日祝日に働くことも多く、男女ともに夜間や早朝、休日のニーズの高い就業が増加しており、ワークライフバランスを図ることが難しい。冒頭の美知恵さんのように、医療・福祉は夜勤を伴うことがほとんどだ。
育児介護休業法の「短時間勤務制度」では、子が3歳未満の社員は1日6時間労働が認められている。労働基準法でも、1日に30分を2回「育児時間」を取得できるはずだが、実際どうなのか。厚生労働省の「雇用均等基本調査」(2015年度)によれば、育児のための「短時間勤務制度」が「ある」企業は57.8%で、約4割の企業には制度すらない。制度があっても、最長利用可能期間が最も多いのが「3歳に達するまで」(59.7%)で「小学校就学の始期に達するまで」は19.8%に留まる。また、国立社会保障・人口問題研究所の「第15回出生動向基本調査」(2015年実施)では、「育児時間制度・育児短時間勤務制度」を利用した女性は、わずか7.1%に留まる。
子育て世代の雇用環境は厳しく、「社員=親」ということが理解されない職場では、ワークライフバランスを図ろうとすれば降格、左遷され、クビになりかねない。子どもとの時間をもちたくても、延長保育や土曜保育を使わなければならない状況だ。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/9307
アフリカ移民が「奴隷市場で売られている」=国際機関
2017/04/12
BBC News
https://ichef-1.bbci.co.uk/news/624/cpsprodpb/12FDB/production/_94878777_migrant-routes-624.png
国際移住機関(IOM)は11日、アフリカから欧州を目指す人たちがリビアの「奴隷市場」で売られていると警告する報告書を発表した。特殊技能をもつ人はより高値で売られるという。
IOM報告によると、密航業者や民兵組織に拘束された移民たちは、リビアの町の広場や駐車場で売られている。特にサハラ砂漠以南から欧州を目指す若者数百人が、いわゆる「奴隷市場」に巻き込まれているという。
IOMリビア事務所のオスマン・ベルベイシ代表はBBCに対して、中でも塗装やタイル張りなどの技術があると高値が付くのだと話した。
リビアは2011年に北大西洋条約機構(NATO)の支援を受けた反政府勢力によってカダフィ政権が崩壊して以来、混乱状態に陥っている。
「飢え死にさせられ」
IOM報告では、身の安全のために匿名のセネガル人男性が、リビア南部サブハの「奴隷市場」で売られた体験を話している。
この男性によると、移民約100人が人質にとられ、にわか仕立ての監獄に閉じこめられ、家族が呼びよせられた。拷問される様子を家族に聞かせるため、家族に来てくれるよう電話する際に叩かれることもあったという。
監獄の中は「恐ろしい」状況で、食べ物は限られ、家族が身代金を払えないと殺されるか、飢え死にさせられたと男性は話している。
9カ月かけて身代金を工面したという別の男性は、重度の栄養失調になり、入院時の体重はわずか35キロだったという。
この男性によると、一般リビア人に買われた女性たちは性奴隷にさせられていると話す。
IOMのベルベイシ代表はBBCに、奴隷としての値段は能力によって決まると話した。
「自分も家族も身代金が払えない移民について、業者は奴隷としてできるだけく売って最低限の利益を上げようとする。能力や資格次第で、値段は確実に変わる。たとえば塗装やタイル張りなど特別な技能があれば、値段は高くなる」
ニジェールのIOM事務所スタッフは、逃げ出した複数の移民からリビアで行われている奴隷競売について確認したと話す。
「リビア・サブハの広場やガレージで、奴隷として売られる危険があるとみんな口を揃えた。奴隷として彼らを売るのは密航業者や、町の日雇い仕事の手配師だ。移民がありつけるのは建設現場の仕事が多い。日給を払う代わりに、別の業者に奴隷として売りつける」
ナイジェリア、ガーナ、ガンビアなどの出身者は、他の移民が閉じ込められた家や奴隷市場そのものの警備員として働かされることもあるという。
IOMは、こうした奴隷市場の出現は「リビアでただでさえ厳しい状況におかれている移民にとって非常に気がかりな、新しい動きだ」と指摘する。
今年2月には国連児童基金(ユニセフ)が「子供たちの命をかけた旅」と題して、リビアからイタリアへ渡る大勢の子供たちがどのような危険にさらされるか、報告書を発表。時に恐ろしいほど詳細に、子供たちが奴隷にされたり、暴力や性的虐待を受けている様子を報告した。
このユニセフ報告書によると、2016年には約2万6000人の子供が地中海を渡った。そのほとんどは保護者の付き添いがなく、多くが密航業者によって虐待されたという。
昨年は北アフリカから地中海を経て数万人の移民がイタリアにたどりついた。移民の多くは最大6日間をかけて酷暑のサハラ砂漠を渡る危険な旅路を経て、ようやくリビアに到着し、さらにそこから欧州を目指す船に乗り込んでいる。
(英語記事 African migrants sold in Libya 'slave markets', IOM says)
提供元:http://www.bbc.com/japanese/39574661wedge.ismedia.jp/articles/-/9366
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