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緩和強める状況でなくなった、今は極端な円高でない=浜田参与
[東京 7日 ロイター] - 安倍晋三首相のブレーンで内閣官房参与を務める浜田宏一・米イエール大名誉教授はロイターとのインタビューで、雇用情勢の改善などアベノミクスは好調とし、物価上昇は鈍いものの、日銀がさらに金融緩和を強化する状況ではなくなった、との認識を示した。
浜田参与は、景気回復が持続し、2月の完全失業率が2.8%と22年ぶりの水準に低下するなど雇用も改善が続いており、「アベノミクスは物価目標以外はうまくいっている」との認識を示した。
消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は2月に0.2%上昇と2カ月連続のプラスとなったが、物価2%目標にはほど遠い状況。
それでも、雇用情勢がひっ迫する中で、業種によっては賃上げの動きも目立ち始めるなど「経済はインフレ方向に少しずつかじを切っているのではないか」とし、「金融政策が、これ以上アクセルを踏む状況ではなくなった」と語った。
そのうえで「完全雇用で生産が好調であれば、もはや物価は根本的な目的ではない」と言明。物価目標の実現は「第1の経済目的ではなく、国民生活により重要な雇用と生産を高めるためのあくまで2次的な目標」と位置づけた。
日銀が推進するイールドカーブ・コントロール(YCC)政策では、物価目標達成前に現行の長短金利の目標を引き上げることも可能だが「引き上げのタイミングは難しい」とし、利上げは経済が過熱する局面で検討されるべき、との見解を示した。
トランプ米政権への政策期待のはく落などを背景に、足元で為替相場が円高気味に推移していることについては「今の110円強くらいは、日本のビジネスにとって、それほど極端な円高ではない」との認識を示した。
<日米経済対話、自動車・農業も議論に>
トランプ政権は、日本や中国などとの二国間における貿易不均衡の是正に強い意欲を示している。
浜田氏は、こうした米政権の姿勢を「国際貿易論の基本を全く理解していない」と批判しながら、4月中旬の日米経済対話では米国が重視する自動車や農業分野が議論になるのは「当然」と指摘。「お互いがウィンウィンとなる条件は何か、そういう交渉は当然あるだろう」と語った。
貿易問題を巡っては、かつてトランプ氏が円安批判をしたことがあるが「日本は為替市場介入もしていないし、為替操作をしていない」と述べ、そうしたことを日本政府として「強く主張すべき」と訴えた。
*インタビューは、6日に行いました。
(伊藤純夫 金子かおり 編集:田巻一彦)
http://jp.reuters.com/article/abe-hamada-idJPKBN1790VT
配信日:2017年4月7日
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緊急レポートPART2 不確実性との付き合い方
「耳のある者は聞きなさい」と聖書にあるが、「聞く気のある者」だけが聞くのである。(イーヴァル・エクランド『偶然とは何か ー 北欧神話で読む現代数学理論全6章』)
昨日のレポートのフォローアップ
昨日、緊急レポートを出した。主旨は、北朝鮮リスクが高まっているので、売れるものは売ってキャッシュポジションを高めておくにこしたことはない、というものであった。
ところが例によってツイッターをはじめネットの世界では、僕のレポートに対する批判や悪口、揶揄などが散見された。批判を集約すると、「4月から5月にかけて好業績を織り込めば日経平均は2万円などと吹聴していたくせに、いまさら売れとはどういうことだ!」という怒りの声が多い。どうにも、いいたいことが伝わらないもどかしさがある。
これまで何度も「期待値」で判断するということを述べてきた。相場シナリオの予想に賭けるのではなく、各シナリオの生起確率とそのシナリオが起きたときのリターンを掛け合わせて、「期待値」がプラスなものに賭けることを繰り返せば長い目でみて成功する可能性が高い。
昨日のレポートでは、「株が下がるから売るべきだ」とは一言も述べていない。「株が下がる可能性が高い」とも言っていない。万が一のことが(朝鮮半島の有事を想定)起きた場合は半端な下げにとどまらない。暴落となる危険性がある。そのようなリスクが高い状況ではポジションを落とすなりヘッジをするなり、エクポージャーを下げることが賢明だと述べたのである。
相場の先行きについては決算発表で好業績を織り込んで日経平均は2万円をつけるだろう、というのがメインシナリオで変わらない。だが、(くどいですけど、当たり前ですけど)メインシナリオは「絶対起きる」シナリオではなく、いくつかある可能性のひとつでしかない。真に「Most Likely」シナリオであるかさえ定かではなく、僕が主観的に割り振った確率がもっとも高いシナリオでしかない。
それに対して朝鮮半島の有事が起きる確率というのは低いだろう(と僕の主観はとらえている)。しかし、確率の低いそのシナリオが起きた時には大惨事となる。だったら、どういう投資行動、どういうポジション調整をするのが賢明ですか?という話である。
フランク・ナイトの不確実性
前段で「期待値」とか生起確率とか述べたが、そもそもその「生起確率」がわからない。では何もしようがないのか。そうではない。昨年6月、英国の国民投票を前に書いたレポートを引用するのでご一読いただきたい。
<ギャンブルの定義を、「期待値がマイナスなものに賭けること」としてきた。世論調査の結果も当てにはならない。そうなると、そもそも確率を合理的に見積もることができないのだから、「期待値」をはじきようがない。サイコロの丁半博打やコイントスなら(いかさまがなければ)確率は5分5分なのでまだ賭けようがあるが、Brexit のYes/No に賭けるのは丁半博打より難しい。
それでも賭けようがないわけではない。「賭ける」というのは一種の意思決定であり、われわれは意思決定をするときに理論的・客観的な根拠を必要とする - と思い込みがちである。しかし、意思決定の理論は、未来の出来事に確率を割り振るとき客観的な根拠を要求してはいない。当たり前だが、確率が主観的でも意思決定はできる。フランク・ナイトの定義する「不確実性」と「リスク」の話だ。
ナイトの言う「リスク」とは確率計算である程度予想できるものであり、それに対してまったく予想もつかないものを「不確実性」とナイトは定義した。世の中一般的には「不確実性」を忌み嫌う傾向があるが、賭け、あるいはギャンブルとは、この「不確実性」というほうのリスクを厭わずとるという行為に他ならない。>
(2016年6月21日付ストラテジーレポート)
フランク・ナイトの不確実性の話は何度も書いてきたけど、これも読者にじゅうぶん伝わっているか確信が持てないでいた。そんななか、密かに私淑している小幡績・慶應義塾大学准教授がナイトの不確実性について書いている文章を読んで、僕自身本当に腹に落ちたので紹介したい。
<ナイトの不確実性とは、一般のリスクと異なり、確率分布を描けない不確実性のことだ。だから、平均や分散はもちろん計算できないし、何が起こるか、分布の範囲ですらわからない。分布しているかどうかもわからない。一度限りのものであるから、経験則も成り立たない。そういう不確実性である。
したがって、いわゆる金融危機後(リーマンショック後)は、リーマンショックは想定外で、ナイトの不確実性だといわれたり、2011年の震災や津波も原発事故も想定外でナイトだと言われた。
しかし、ナイトの不確実性とは想定外という意味では全くない。もともと確率分布が描けないのだから、何が起きてもある意味、想定内である。想定外が起こることこそ想定内だからこそナイトの不確実性なのである。>
(小幡績「新・経済発展理論体系(4)経済発展のエンジンである新結合の源泉は何か?」)
何が起きても、想定内である。想定外が起こることこそ想定内なのだ。
朝鮮半島で、中東で、フランスで、世界の至る所で、「想定外」は起こり得る。それを想定して投資行動をとるべきである。
今後の展開
売れるものは売るべき、と述べたが、実際に何を売るかはひとそれぞれであろう。デリバティブが使える投資家なら先物なりオプションなりでヘッジすればよい。インバース型のETFを買ってもいい。実際にポートフォリオの銘柄を売却するのがもっとも基本的な投資行動だ。全部売らないまでも、株数を半分に減らすとか3分の1にするとか。儲かっているとか含み損があるとかは関係なく、買い戻すことも想定して流動性を第一に考えたい。その意味ではインデックス・ファンドで株式のエクスポージャーを持っているひとは個別銘柄は置いておいて、まずインデックス・ファンドのポジションを落としてはどうだろう(僕自身はこのパターン)。
今後を展望すると、地政学的リスクの高まりやFRBのバランスシート縮小議論など不透明材料が多いなかで来週末はイースターのグッドフライデーで海外市場の多くは休場、欧米投資家はイースター休暇に入る。そのロング・ウィークエンドのど真ん中、15日(土)は金日成生誕105周年で軍事パレードがあるとみられている。それに合わせたミサイル発射も十分可能性があり有事勃発のリスクが高い。
自分がトレーダーやファンドマネージャーで巨額のポジションを管理する立場だったらどうするか?イースター休暇前にはポジションを落とすなり、ヘッジをかけるなりするだろう。こんな局面で無理に勝負にはいかない。よって、下値を無理に売り込むような動きにはならないと思うが、そうした売り圧力で上値は重いだろう。今晩の雇用統計を確認したあとは、すでにポジション調整の動きが出始めると思う。
https://info.monex.co.jp/report/strategy/index.html
原油先物が一時2%超上昇、米軍のシリア攻撃で
[シンガポール 7日 ロイター] - 米軍によるシリア空軍基地へのミサイル攻撃を受け、原油先物が一時2%超上昇し1カ月ぶり高値をつけた。ただ、その後は供給への直接的影響はないとの見方から伸び悩んでいる。
北海ブレント先物LCOc1は攻撃の報道に反応し一時1バレル=56.08ドルに急伸。その後上昇は縮小し、0623GMT(日本時間午後3時23分)時点では1.1%高の55.51ドルで推移している。
WTI先物CLc1も一時2%超の上昇となり52.94ドルまで上昇した後、1.26%高の52.35ドルに伸び悩んだ。
どちらも3月以来の高値を更新した。
http://jp.reuters.com/article/global-oil-idJPKBN179082
ロシア・ルーブル急落−米国のシリア空爆が米ロ関係改善期待に冷や水
Ksenia Galouchko、Olga Voitova
2017年4月7日 17:10 JST
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7日のロシア金融市場で、通貨ルーブルが急落。国債利回りは上昇した。米国のシリア空爆がトランプ新政権下での米ロ関係改善への期待に冷や水を浴びせた。
モスクワ市場の取引開始時にルーブルは対ドルで前日比1.1%安と、約1カ月ぶりの大幅下落。ロシアのプーチン大統領は米国の攻撃は侵略だと断定、米ロ関係にダメージを与えると言明した。ルーブル建て国債の利回りは、2月以来の大きな上昇。
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/i2aDglhi375U/v2/-1x-1.png
原題:Ruble Tumbles After U.S. Syria Strikes as Politics Eclipse Carry(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-07/OO14SM6JTSE801
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