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JR東海は鉄道中心 リニア戦略で突っ走る〈AERA〉
http://www.asyura2.com/17/hasan120/msg/701.html
投稿者 赤かぶ 日時 2017 年 4 月 05 日 18:13:45: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

山梨リニア実験線で2003年、世界最高時速581キロ(当時)を記録したリニアのMLX01−1。リニア・鉄道館(名古屋市)に展示されている(撮影/写真部・堀内慶太郎)


JR東海は鉄道中心 リニア戦略で突っ走る〈AERA〉
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170404-00000052-sasahi-soci
AERA 2017年4月10日号


 国鉄が解体し、7社のJRが発足して30年。株式上場を機に、脱テツドウにシフトする会社があれば、お先真っ暗な未来にアタマを抱える会社あり。現在のリストラなど働く人たちの労働環境悪化は、国鉄解体に原点があるとの指摘も。「電車の進化」などさまざまな切り口で30年を検証していく。AERA4月10日号では「国鉄とJR」を大特集。

 地域会社のような名前ながら、創業以来、「日本を背負う」意識を育ててきたJR東海。総額9兆円のリニアプロジェクトを進める原動力は、国鉄時代にはなかった、あくなき「利便性追求」の姿勢だ。

*  *  *
 東海道新幹線・東京駅。ピーク時には西に向かう列車が3〜4分おきに発車する。民営化のころは多くて1時間10本。30年を経て東海道新幹線は「待たずに乗れる」存在となった。

 JR東海は、グループ会社の中でも特色が際立つ。鉄道運輸収入の比率が最も高く、その9割を東海道新幹線(東京─新大阪)が稼いでいるからだ。発足から30年の歴史は、東名阪の輸送力強化と利便性向上をひたすら追求し、「東海」という名前だが、単なる地域会社にとどまらないアイデンティティーを確立していく歴史でもあった。

 まず冒頭のように、東海道新幹線は民営化後大きく姿を変えた。1964年の開業以来の黒字路線だったが、国鉄時代にその収益は全国に散らばる赤字路線の穴埋めに使われ、新幹線の増強に還元されることはなかった。東京─新大阪間の所要時間も開業2年目以降、最速3時間10分から長年変わらなかった。この壁を一気に打ち破ったのが、JR東海が92年に登場させた「300系」。最高時速が従来の220キロから270キロになり、「のぞみ」導入と東京─新大阪間の2時間半運転が実現した。

 国鉄時代から新幹線設計に関わってきた同社執行役員で、新幹線鉄道事業本部副本部長の上野雅之氏(60)は、「300系で車両設計の発想がジャンプアップした。民営化直後のエネルギーがあったからこそ実現したことです」と振り返る。

 JR東海発足直後の87年12月、270キロ運転を目指すプロジェクトがスタートした。スピードアップの最大の障害は騒音や地盤振動対策。徹底的な小型、軽量化に取り組んだ。車体を鋼鉄製からアルミ製にしたことに加え、「3両1ユニット」という考え方を導入。一般人にはわかりにくいが、変圧器のある車両の隣接号車にモーター車を配置する3両1ユニットの方式で機器類を分散し、床下へ高密度に機器を収納することで車体の小型化に成功。100系に比べ重量を25%削ることができた。

●豪華さよりも機能重視

 300系導入にあたってもう一つ進めたのが、「標準化」だ。300系以降の東海道新幹線はどの列車もすべて16両編成で定員1323人、1〜16号車の定員、座席の位置も同じになるよう決められている。トラブルで使用車両が変わっても、指定した席に座れるようにするためだ。100系の時は存在した2階建て車両や個室車両なども、300系導入以降はすべて1階建てに統一された。乗客の利便性に直接結びつくわけではないが、「装置の組み合わせが標準化されることで、同じ品質で安定した車両製造やメンテナンスが可能になる」と上野氏は言う。

 カモノハシのように年々伸びる東海道新幹線の先頭車の車体デザインだが、このデザインコンセプトも「機能重視」。北陸新幹線などに導入されている「グランクラス」のような高級シートの導入も、標準化という発想からすれば「ない」という。

「東海道新幹線の使命は、いつでも安全・正確・快適にお客様を輸送することであり、特等席を作ることではありません。新幹線の父・島秀雄さんたちによって培われた東海道新幹線のDNAや安全にかかわる設計思想は、これからも脈々と受け継がれていくでしょう」(上野氏)

 さて、東名阪輸送の利便性向上のためJR東海が重視したもう一つの戦略が、「中央新幹線と東海道新幹線の一元経営」だ。

 JR発足当時、中央新幹線は70年施行の「全国新幹線鉄道整備法」上の整備計画路線の一段階手前である、基本計画路線の一つに過ぎなかった。また、中央新幹線の経営主体は決まっておらず、仮に、JR東海以外が中央新幹線を経営する場合、東海道新幹線の輸送量の50%以上が中央新幹線に移転するとされていた。これではJR東海の経営は立ち行かなくなる。

●夢のリニアに形が

 取締役専務執行役員で中央新幹線推進本部長の宇野護氏(62)は、「東海道新幹線の将来的な経年劣化や地震に対する抜本的な備えとして、中央新幹線によるバイパスを実現し、中央新幹線と東海道新幹線を一元的に経営することは、当社の使命を果たすためには必要だった」と話す。JR東海は会社発足3カ月後の87年7月、国鉄時代から研究が進められてきた超電導リニアによる中央新幹線の実現を目指し「リニア対策本部」を立ち上げた。運輸省(当時)の旗振りもあり、2千億円の自己資金を投入して山梨県に約20キロの実験線を建設。97年から実用化に向けた本格的な試験走行に取り組んだ。国鉄時代は「夢物語」だったリニア新幹線は、都市間輸送を最大の使命ととらえるJR東海によって次第に形を与えられていった。走行中に列車を浮かす磁石の超電導機能が失われる「クエンチ現象」も、研究の末、乗り越えた。

 技術的には完成の域に達しても、リニア中央新幹線の実現には巨額の費用が必要だ。当初決められていた北陸や北海道などの「整備新幹線」のスキームで順番を待つ余裕はないと考えた。

「東海地震などの自然災害のリスクも高まりつつある中で時間的余裕はないとの結論に至り、07年に自己負担による建設を表明しました」(宇野氏)

●南アルプス下の難工事

 14年12月、ついに工事に着手。土木的なハードルの一つは品川駅、名古屋駅のターミナル建設だ。品川駅に関しては東海道新幹線品川駅の直下に巨大な地下空間を建設するため、地下を掘り進めて柱を埋め込む工事が発生する。これも日本最大級の挑戦だ。「土被り(どかぶり)」(トンネルの上の土の厚さ)が1400メートルと、日本トンネル工事史上最も大きい南アルプスのトンネル工事も難工事が予想される。

「堆積(たいせき)岩というやわらかい地質を掘り進む未経験の工事になる。また、深い山中での工事で、トンネルを掘るためにアプローチできる箇所が少ないので、一つの工区が非常に長くなるのも難しくなる要因の一つ」(宇野氏)

 数々の困難が予想されるリニア中央新幹線。人口減少時代にはいらなくなるとの批判の声もあるが、宇野氏はこう語った。

「国力をしっかり維持していくためには首都圏、中京圏、近畿圏の“日本の背骨”を強化していく必要があります。人口は減っていくでしょうが、人と人とがコミュニケーションをして生産性を高める必要性は逆に増すと考えています。東京─大阪間の都市間輸送を使命とするJR東海だからこそ、このプロジェクトは動いたのです」

 21世紀屈指の大プロジェクトを動かすエネルギーは、民営化後30年かけ独創的な個性をつくってきたJR東海だからこそ生まれたと言えるのかもしれない。

(編集部・福井洋平)


 

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コメント
 
1. 2017年4月06日 19:02:26 : hUkJW5PNLO : vS5oQ06@H3c[753]
採算を 無視し暴走 「夢」追って

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