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コラム:
完全雇用下の日本、円高が望ましい訳
河野龍太郎BNPパリバ証券 経済調査本部長
[東京 4日] - 最近、自民党のある会合で、円安が本当に望ましいのか、解説を依頼された。円安が株高につながるとしても、有権者や中堅・中小企業からの反発に直面し、自分たちが進めてきた政策が一国全体の経済厚生の改善につながっているのか、心配する政治家が増えているのだろう。
安定した為替相場が望ましいことを前提とした上で、一般的な回答としてどちらが望ましいかは、景気の良し悪しに依存する。不況局面にあり、負の需給ギャップを抱えているのなら、円安が望ましい。そうした経済状況では、金融緩和が望ましく、それが円安を促す。輸出が刺激され、需給ギャップが改善される。
反対に景気拡大が続き、経済が完全雇用に達したのなら、円高が望ましい。そうした経済状況では、金融緩和の手じまいが望ましく、それが円高を促す。供給制約で経済全体のパイの拡大が困難になっても、円高が輸入を促すことで、消費水準を高め経済厚生を改善できる。
アベノミクスがスタートした2012年末の段階では、それほど大きくはなかったとはいえ、日本経済は負の需給ギャップを抱えていた。それゆえ、どちらかと言えば円安が望ましく、アグレッシブな金融緩和の是非はともかく、円安を促す金融緩和は望ましかったと言えるかもしれない。
しかし、2013年の景気拡大の結果、2014年初頭以降、日本経済は完全雇用にある。その後もなんとか景気拡大が続き、人手不足はさらに深刻化している。
もし2014年年初以降、量的・質的緩和の手じまいを開始していたのなら、円高が促されていたはずだ。そうなれば消費増税による実質購買力の悪化を、円高による輸入物価の引き下げがある程度相殺し、消費の落ち込みを避けることができたかもしれない。
だが実際に取られたのは、追加的な金融緩和による一段の円安誘導であり、家計部門はダブルパンチを食らい、消費は大きく落ち込んだ。消費の低迷が続いているのは、消費増税の悪影響が長引いているからではなく、誤って採用した円安誘導の悪影響が続いているからだ。
1990年代末から2000年代初頭にかけて、筆者は、アグレッシブな金融政策による円安誘導が望ましく、国際政治上、可能なら、大幅な円安水準での為替レートの一時的なペッグを行うべきだと考えていた(スイス中銀が近年行ったスイスフランのユーロペッグのような目標相場圏導入)。それは当時、日本経済が深刻な不良債権問題にあえぎ、資産デフレの中で、大きな負の需給ギャップを抱えていたためである。
通貨安に誘導することで、日本で生産される財・サービスを外国人に対して割安にし、輸出を増やすことができれば、国内の生産を増やし、需給ギャップを改善できる。円安は海外で生産される財、サービスが日本人にとって割高になることを意味するが、国内に大きな失業を抱える場合、それを放置するコストは相当に大きい。大きな負の需給ギャップが存在した2000年代初頭は円安が望ましかったのだ。だが、完全雇用にある現在は円高が望ましい。
こう書くと、完全雇用にあると言っても、インフレ率は低いままで、何より厳密な意味での供給の天井に達しているわけではないのだから、金融緩和を続け、円安を促すことには意味がある、と反論する人もいるかもしれない。だが、こうした政策を長期化すると、所得分配、資源配分を大きく歪め、経済厚生を著しく損なうとともに、潜在成長率を低下させる。2%程度のインフレ率を確保することが望ましいとしても、以下論じるように、政策の得失を比較考量すると、デメリットの方が大きいのは明白だ。
<経済厚生を損ねる円高回避の金融緩和>
まず、多くの国がそうであるように、日本でも所得・支出アプローチの視点に立ち、輸出回復を起点にした景気回復を目指してきた。金融緩和による円安誘導が輸出数量の回復をもたらし、それが生産の回復、企業の所得回復、企業の支出回復を喚起し、家計の所得回復、個人消費の回復につながるという図式である。
所得・支出アプローチに立つ人は、生産回復による雇用者所得の改善ばかりにこだわるが、企業から家計への回復の波及メカニズムはそれだけではない。需給ギャップが改善すれば、本来、市場金利が上昇し、円高が進むことで、家計の利子所得は増え、輸入物価の下落による実質購買力の改善も享受できる。これが新古典派的な均斉成長の波及メカニズムであり、負の需給ギャップが解消されれば、所得・支出アプローチに沿った金融緩和による円安誘導政策の手じまいを開始しなければならない。
だが、景気拡大が最終局面に入っても円高による輸出企業の業績悪化を恐れ、いつまでも金融緩和が続けられる。利子所得の回復や実質購買力の改善が阻害されるから、個人消費はいつまでも回復しない。本来、個人消費の回復を伴う均斉的な成長を目指すのなら、金融緩和の手じまいを開始し、円安誘導を修正しなければならない。
一般に、円安が進めば、輸出セクターには2つの選択肢が生まれる。1つは、円安を原資に、現地での販売価格を引き下げ、輸出数量を増やし、国内生産を増やすことで、利益を拡大させることだ。もう1つは、輸出数量や国内生産の拡大を狙わず、現地での販売価格を据え置き、円安による利益率の向上によって、利益を改善させることだ。2012年末以降の円安局面で日本の輸出企業が選択したのは後者であり、その背景には、人手不足で供給制約に直面していたことがある。
もちろん、当時、輸出数量が増えなかったのは、生産拠点の海外シフトが加速したことや、2014年末の新興国バブル・資源バブルの崩壊も影響しており、円安の輸出刺激効果が消滅したわけではない。しかし、遊休資源がほとんど残されていない以上、今後、輸出数量が大きく拡大しても、経済全体のパイの拡大は限られる。円安によって実質購買力が抑制されるため、輸入とともに個人消費が抑制され、内需セクターの設備投資もあまり伸びないのだ。輸出を増やすために、円安を甘受し、輸入が割高となって個人消費が抑制されていたのでは、経済厚生は改善しない。
そもそも私たちが貿易をしているのは、輸出を増やし、貯蓄を溜め込むためではない。多様で安価な財・サービスを国内外から購入し、消費水準を高め、経済厚生を改善させるためだ。ただ、不況局面では、失業を放置するコストは経済的にも政治的にも大きい。このため、国内生産を増やすべく、金融緩和で円安に誘導し、内外の需要を国内の財・サービスに惹き寄せることは大きな意味を持つ。しかし、経済が完全雇用に達した後も円高回避のために金融緩和を続けていたのでは、所得分配が大きく歪み、経済厚生はいつまでも改善しない。重商主義的政策とは決別する必要がある。
<製造業の生産性上昇率も低下させる円安誘導>
さらに、円安に誘導することは、内需セクターに広く薄く課税し、輸出セクターに補助金を与えることを意味する。少なからぬ政策当局者が生産性上昇率の高い製造業をサポートするために、生産性上昇率の低い内需セクターが多少犠牲になるのはやむを得ないと考えているが、これは明らかに誤った考え方である。
確かに製造業の生産性上昇率は高く、非製造業のそれは低い。製造業は1990年代が年率2.7%、2000年代も2.7%、2010年代は2.0%、非製造業は1990年代が0.7%、2000年代が0.2%、2010年代が0.6%である。また、2015年度における付加価値のシェアは、製造業が20.4%、非製造業が79.6%だった。
仮に製造業のウエイトを高めることで、経済全体の生産性上昇率を0.5ポイント高めようとするなら、計算上、製造業のウエイトを35ポイント高めなければならない。だが、現実には不可能だろう。製造業が生み出す財・サービスに対する需要が限られる中で、同部門は生産性上昇率が高いからこそ、労働投入量は減り、経済全体の付加価値に占めるシェアも増えない。
加えて、日本では引退年齢を迎える人が増える一方で、若年人口は年々減少している。輸出企業からすれば、日本では安価な若年の労働力を安定的に確保することが難しいがゆえに、生産工程を海外にシフトさせている。一国全体で見れば、生産年齢人口の減少が続いているのだから、さまざまな経済メカニズムを通じ、限られた労働力が貿易可能財の生産から非貿易財の生産にシフトすることは極めて自然な動きだ。貿易可能財であれば、付加価値の高い工程を国内に残した上で、収益性の低い生産工程は海外に移し、完成品を輸入すればよい。
だが、円安誘導がこうした流れを阻害する。あまり認識されていないが、製造業をサポートしようとする政策が、非製造業の足を引っ張るだけでなく、その意図に反し、製造業の足も引っ張る。
まず、円安によって課税される非製造業では経済資源が奪われ、過少な雇用、過少な設備となる。既存企業の成長が抑制されるだけでなく、消費者の支出が抑制される結果、消費者が欲する新たな財・サービスの誕生につながるようなイノベーションの可能性を秘めた成長企業の出現も阻害される。
一方で、円安によって補助金を獲得する製造業では、過剰な雇用や過剰な設備が蓄積される。この結果、経済資源を奪われた非製造業だけでなく、恩恵を受けた製造業の生産性上昇率も低下し、経済全体の生産性上昇率も低下、ひいては潜在成長率も抑制される。
<100円割れ回避の金融緩和は本末転倒>
では、製造業のウエイトを引き上げようとすることが経済全体の生産性上昇率を引き下げるとするなら、どのようにして生産性上昇率を引き上げるか。まず、経済が完全雇用に達したのだから、円安誘導のための金融緩和の手じまいを開始することだ。資源配分、所得分配の歪みを抑え、製造業、非製造業の生産性上昇率への悪影響を緩和できる。
また、経済全体の生産性上昇率を0.5ポイント引き上げるには、非製造業の生産性上昇率を0.6ポイント引き上げるべく、規制緩和を追求すべきだ。もちろん、それも決して簡単だとは言えないが、製造業の付加価値ウエイトを35ポイントも引き上げるより、はるかに実現性は高く、弊害は小さい。非製造業が生み出す法人向けサービスは製造業にも投入されており、非製造業の生産性向上は、製造業の生産性上昇にもつながる。
現在、日本のドル円レートの適正水準を100―120円程度と考える人が少なくない。しかし、実質実効円レートで見ると、現在は、2014―15年のボトムほどではないものの、相当な超円安水準で、1977―82年のボトム圏と並ぶ。プラザ合意以前の為替レートは相当に割安だったという認識はコンセンサスだと思われるが、現在は、当時よりもさらに円安水準にある。
内閣府が発表する「企業行動に関するアンケート調査」で見ると、2016年度における輸出企業の採算レートは1ドル=100円程度だった。採算レートと言っても、足元の為替レートの水準に左右されるため、真の採算レートはさらに円高の水準にあると考えられる。
人手不足でどこも困っているのだから、1ドル=100円を割り込んだ途端に存続が難しくなると悲鳴を上げるような輸出企業を、金融緩和による円安誘導で守る必要はあるだろうか。もしそうした企業が解散すれば、生産性の高い企業が雇用を吸収し、経済全体の生産性上昇率も改善するはずだ。
1ドル=120円に達する前に家計部門から悲鳴が上がってくることを考えると、やはり多くの人が円高の上限と考える1ドル=100円が過少なのではないか。購買力平価の視点で考えるなら、控えめに見ても、1ドル=100円を中心に、90―110円が均衡的なレートだろう。もちろん、短中期的な均衡レートは金利に大きな影響を受けるが、現在の金融政策そのものが経済ファンダメンタルズと必ずしも整合的とは言えない。
このまま1ドル=100円を円高の上限と考え、100円割れを回避するためにいつまでも金融緩和を続けていれば、資源配分や所得分配が歪み、消費も回復せず、潜在成長率は低下が続くばかりだ。こうした大きな犠牲を払ってまで、2%インフレを早期に達成する必要はあるのだろうか。それでは本末転倒である。
*河野龍太郎氏は、BNPパリバ証券の経済調査本部長・チーフエコノミスト。横浜国立大学経済学部卒業後、住友銀行(現三井住友銀行)に入行し、大和投資顧問(現大和住銀投信投資顧問)や第一生命経済研究所を経て、2000年より現職。
*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。(こちら)
(編集:麻生祐司)
http://jp.reuters.com/article/column-ryutaro-kono-idJPKBN176058?sp=true
国債市場の波乱避けられず、黒田総裁は「あうんの呼吸」を
島本氏
野沢茂樹
2017年4月3日 00:00 JST更新日時 2017年4月3日 12:36 JST
Koji Shimamoto Source: Societe Generale
• 実体経済の改善を受けた金融緩和の縮小観測が引き金−島本氏
• 欧州ではECBの出口をにらんだ動きが進行
日本の国債市場は世界的な景気と物価の改善を背景に今年後半にも波乱に見舞われる、と仏銀2位のソシエテ・ジェネラルは予想する。日本銀行の黒田東彦総裁に求められるのは、金融緩和の修正をめぐる市場との「あうんの呼吸」だと言う。
ソシエテ・ジェネラル証券の島本幸治副社長は、「行き過ぎたグローバル化の反省として、過去30年にわたって金融政策に任せ過ぎた分配政策で政府の役割が増していく流れは変わらない」と指摘。足元の国際金融資本市場はトランプ米政権の財政拡張など「リフレ的な政策の実現には時間がかかると気づく『反動の反動』の局面にあるが、年後半にかけて景気と物価の回復が進む実体経済にテーマが移っていく」と言う。
黒田総裁は、日々の国債買い入れオペ運営を通じた政策見通しの示唆や海外長期金利の上昇に応じた誘導目標の引き上げを明確に否定する。ただ、市場は経済成長とインフレ率の上昇につれて、金融緩和の修正を「自ずと意識してくる」と島本氏は予想。米国経済の改善を背景に円相場が年末に1ドル=123円まで下げ、TOPIXが足元から1割近く上がる中で、新発10年国債利回りは0.15%に上昇するとみている。
島本氏は先月のインタビューで、国債利回りは当面は長期・超長期ゾーンが下げるブルフラット(平たん)化が続くが、その後は国内外の大規模で迅速な景気刺激策などを背景に長期ゾーン以降が上がるベアスティープ(傾斜)化にはならないと予想。実体経済の改善と金融緩和度合いの見直しを織り込んで短期中ゾーン主導で上昇するベアフラット化が進むとの見方を示した。
市場との対話が重要
日銀の金利コントロール策は国債買い入れを通じて利回りを望ましい水準に誘導する仕組みなので、金融緩和の縮小観測は国債市場での不透明感とボラティリティ(相場変動率)の大幅な上昇につながると島本氏は指摘。長期金利の水準に直接関与するという歴史的な金融緩和策に「踏み出した以上は避けて通れない道」であるとし、「市場との対話が非常に重要になる」と述べた。
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金融緩和の縮小観測を受けた国債利回りのベアフラット化は、日銀と似た量的緩和とマイナス金利下のユーロ圏で進行しつつある。欧州中央銀行(ECB)は9日の定例理事会で、責務の範囲内で「あらゆる手段」を駆使するとの文言を声明文から外し、域内銀行向け長期資金供給(TLTRO)の延長を見送った。量的緩和の終了前に利上げがあり得るかについても検討したと伝わった。
域内金利の指標となるドイツ国債利回りは短中期ゾーンが上昇する一方、長期金利は低下。2年物と30年物の利回り格差はECB会合の当日に209ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)と2014年7月以来の水準に拡大したが、その後の3週間足らずで約25bp縮んだ。
米国でもトランプ政権の大規模な景気刺激策を先取りして長期金利が大幅に上昇したにもかかわらず、2年債と30年債の利回り格差は大統領選直後の204bpをピークに、連邦準備制度理事会(FRB)が2四半期連続で利上げする中で徐々に縮小。足元では170bp台で推移している。一方、日本国債の同利回り格差は市場がオペをめぐる混乱の最中にあった2月中旬と比べても10bp弱しか縮んでいない。
日銀が先月に開いた金融政策決定会合では、一部の政策委員が現時点で望ましい利回り曲線は「若干スティープであるべき」「金融政策の転換が必要となるまでには相当に時間がかかる」などと発言。ただ、日銀の見通しに沿って物価の基調が高まれば長期金利の上昇圧力が強まると見込まれ、「長短金利操作の手順や政策反応関数について、今のうちから議論しておく必要がある」との意見も出ていた。
次期総裁人事に影響も
金融緩和の縮小をめぐる議論は今年後半から広がってくるー。島本氏がそう読むのは「物価は上昇していくが賃金はなかなか上がらない状況が、かなりの確度で生じる」とみるからだ。「黒田緩和もアベノミクスも世論主導で出て来た面がある」ので、さらなる金融緩和ではなく、最低賃金や企業の協力も含めた分配のあり方が焦点になると言い、「世の中、国民の期待を映す」来春の次期総裁人事も緩和の行方に影を落とすとみる。
インフレ率は原油価格の持ち直しによる押し上げ効果が剥落した後も、日銀が重視する基調的な部分は上昇基調が続くと島本氏は予想している。金利コントロールは国債利回りに直に働きかける政策なので「市場との対話がなおさら重要だ。黒田総裁はどこかで緩和姿勢に関する発言のニュアンスを変えないといけなくなる」と言う。
例えば、金利を低く抑える方針を強調し続ける一方で、名目金利からインフレ率を差し引いた「実質金利」という言葉に軸足を移していけば、物価が上がっていく局面では名目金利の緩やかな上昇も容認すると示唆できると、島本氏は説明。国債相場のボラティリティが高まる中で、日銀は市場と「あうんの呼吸」が通じるように対話の工夫を図る必要があると言う。
国債買い入れオペの運営に関しては、巨額の保有国債の一部であっても「売りオペを実施するのは難しいので、市場へのコミットメントとテーパリングを穏やかな形でミックスするしかない」と指摘。「金利の誘導目標を徐々に上げていった後は、どこかの時点でコミットメントをぼかしていく」のも有用だと言う。
日銀の金利コントロール策は第2次世界大戦中と戦後の米国に類例がある。FRBは1942年から51年まで、長めの米国債の利回りが2.5%以下になるよう買い支える事実上の金利ペッグ制を実施。米政府の借り入れコストを抑え、戦費調達と戦後の債務安定化を支えた。大恐慌の研究家であるバーナンキ前FRB議長が、日銀の導入直後に「米国の先例がある」と指摘したゆえんだ。
金利キャップ制
FRBが推進した事実上の金利キャップ制は、政府支出の増大と予想インフレ率の上昇を受けたインフレ加速で最終的には機能不全に陥り、米金融当局は51年に米財務省との間で金利の上限維持策の終了を宣言するアコード(共同声明文)の発表に追い込まれた。島本氏は、「日銀はかつてのFRBと同様の過程をたどり、利下げと量的緩和を経て、国債利回りという市場価格のコントロールに至っている」とみる。
当時のFRBが置かれた状況との「根本的な違いは自由に取引できる巨大な為替市場の存在だ。政府は全く管理できない」ー。島本氏は「トランプ政権の国境税は為替相場に直に効くので、政治的な合意が加速すれば一気にドルが上がりやすくなる」と言い、この場合には「円安・ドル高が日本の物価上昇を通じて日銀の金利コントロール策にも影響を及ぼしていく」と読む。
黒田総裁は先月の講演で、現時点で金融緩和の度合いを緩める理由はないとあらためて表明した。ただ、その後の質疑応答では、為替レートは変わらないのが物価見通しの前提であり、円安は他の条件が一定なら物価の押し上げ要因になるとし、物価の状況が変わってくれば長短金利操作が議論になるとの見解を示した。
島本氏は「日銀にとって想定外の円安は振り上げた拳を降ろす良い口実になる」と指摘。「金利機能の正常化はいずれ避けて通れない。本来操作すべきは翌日物の金利だ。市場機能をうまく使っていかないと金融・財政政策とも所期の効果を生まない。デフレ脱却を最優先する政策判断があったわけだが、必要がなくなれば、国債利回りをコントロールする非常手段は採らない方が良いのは自明だ」と言う。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-02/ONMBE46KLVRC01
黒田日銀総裁、ETF買い入れ「株式相場をゆがめてはいない」 国会答弁
2017/4/4 10:32
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日銀の黒田東彦総裁は4日午前、衆院財務金融委員会に出席し、上場投資信託(ETF)の買い入れについて「株式相場をゆがめているものではない」とし、「2%の物価目標の早期達成に必要な政策だ」と述べた。民進党の鷲尾英一郎氏の質問に答えた。
ETFを購入することの目的はリスクプレミアム(リスクに応じた資産価格の割引幅)に訴えかけることであり「(日銀の買い入れで)投資家の先行きへの安心感を高めて、適切な株式の価格形成を促すのが目的だ」とした。また「特定の株価水準を念頭に置いてはいない」とも強調した。
一方でETFや株式の購入については「金融政策の目的で主要先進国の中央銀行が実施した例はない」と話し、異例の政策であることを認めた。ETF買い入れによって日銀のバランスシートは膨張している。金融政策の正常化に向けた出口戦略については「その時々の経済物価情勢によって変わる」と述べ「現行の金融政策全体で出口を議論するのは時期尚早だ」と、これまでの考えを強調した。〔日経QUICKニュース(NQN)〕
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFL04H8S_U7A400C1000000/
3月末の資金供給量、447兆2678億円 3カ月ぶり増
2017/4/4 9:14
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日銀が4日に発表した3月の資金供給量(マネタリーベース、月末残高)は2月末から13兆6082億円増の447兆2678億円だった。3カ月ぶりに前月を上回った。
3月の平均残高は前年同月比20.3%増の436兆2634億円だった。内訳は日銀の当座預金が26.4%増の332兆877億円、紙幣の発行高は4.5%増の99兆4636億円、貨幣(硬貨)の流通高は1.0%増の4兆7121億円だった。
マネタリーベースは市中に出回るお金(紙幣、硬貨)と金融機関が日銀に預ける当座預金の合計。日銀は消費者物価指数(生鮮食品を除く)の前年比上昇率が安定的に2%を超えるまで、マネタリーベースの拡大を続ける方針をとっている。〔日経QUICKニュース(NQN)〕
ドバイ原油・4日午後、反落 51.10ドル前後
2017/4/4 16:54
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アジア市場で原油の指標となる中東産ドバイ原油のスポット価格は4日、反落した。取引の中心となる6月渡しは1バレル51.10ドル前後と、前日に比べて0.80ドル安い。3日のニューヨーク市場で原油先物が下落した流れを引き継いだ。
「不況」にもがくアパレル ユニクロ、3月売上高は前年割れ
2017/4/4 16:21日本経済新聞 電子版
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衣料品市場の減速が続くなか、アパレル企業が生き残りをかけてもがいている。ファーストリテイリングが4日に発表した3月の「ユニクロ」の国内既存店売上高は前年同月比1%減、カジュアル衣料のアダストリアも経常減益となる決算を発表した。しまむらが3日に発表した決算は好調だったが、インターネット通販の拡大など経営環境の変化は激しくなっている。今後は優勝劣敗がさらに鮮明になる可能性がある。
ユニクロの既存店売…
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ04HEP_U7A400C1000000/
韓国株4日、反落 現代自動車が大幅安、サムスンは高い
2017/4/4 16:25日本経済新聞 電子版
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4日の韓国株式市場で総合株価指数(KOSPI)は反落した。終値は前日比6.41ポイント(0.29%)安の2161.10だった。前日の米国株の下落を受け、投資家心理が悪化した。
3月に中国での新車販売が急減したと伝わった自動…
http://www.nikkei.com/article/DGXLASB2IDE22_U7A400C1000000/
運用者は業界統合を予想、パッシブへの流れで将来に暗い見通し−調査
Charles Stein
2017年4月4日 07:18 JST
マネーマネジャーらは将来に明るい見通しを抱いていない。運用会社数もその利益も、運用者に活躍の場を与えるアクティブ投資ファンドも減少傾向だとみている。
世界的な業界団体のCFAインスティチュートが昨年12月に業界リーダー1145人を対象にまとめた調査で、圧倒的多数が将来について厳しい見方を示した。84%が向こう5−10年の業界統合進展を予想。70%はパッシブ運用への一段の資金の流れを見込んでいる。そして52%が資産運用会社の利益率低下を予想した。
CFAが3日、「投資専門職の将来の状態」というリポートを公表した。モーニングスターのデータによると、2月28日までの1年間にはアクティブ運用ファンドから3070億ドル(約34兆円)が流出、パッシブ運用ファンドには6140億ドルが流入と明暗を分けた。
CFA調査による、回答者の57%は機関投資家が社内での運用を増やすことも予想した。
リポートの筆者の1人、レベッカ・フェンダー氏は、投資家が入手できるデータが増えたことがアクティブ運用者の優位性を失わせたと分析した。調査は世界の5地域の資産保有者や資産運用者を対象に実施した。
原題:Money Managers See Consolidation as More Cash Flows to Passive(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-03/ONU7KR6TTDS301
債券トレーダー、17年の4回利上げなど信じず−3月雇用統計見極めへ
Brian Chappatta
2017年4月4日 06:48 JST
4−6月(第2四半期)が始まり、債券トレーダーらは米連邦公開市場委員会(FOMC)のどの当局者が米経済を最もしっかりと見定めているかを、最新の雇用統計から見極めようとするだろう。
10年物米国債利回りは3月31日、同月の最低付近で終了した。ニューヨーク連銀のダドリー総裁は同日、2017年に3回の利上げという予想は「妥当」であり、景気は過熱していないと述べた。一方、ボストン連銀のローゼングレン総裁はその2日前、過熱のリスクに言及し17年の4回利上げが妥当になることもあり得るとの考えを示した。サンフランスシコ連銀のウィリアムズ総裁も4回利上げの可能性を排除しなかった。
しかし債券市場はニューヨーク連銀のダドリー総裁を信じた。リフレトレードへの疑念も深まる中で、市場に基づくインフレ期待は今年の最低水準からあまり高まろうとしない。経済指標が予想を上回る度合いもシティグループのデータによると、14年来の高水準から離れつつある。
アリアンツ・インベストメント・マネジメントの投資ストラテジスト、ジョン・ブレデマス氏は「米国債市場はより慎重な見方をし、『証拠を示せ』と言っている」と指摘。「いろいろな約束があるが、インフレ加速が金利上昇を正当化することについてわれわれはここ数年に何度も失望させられている」と話した。
7日発表の3月の米雇用統計が、いずれかの証拠になる見込みだ。ブルームバーグの調査では中央値で、雇用者数17万5000人増が見込まれている。
原題:Bond Traders Are No Fools, Dismissing Bluster of Four Rate Hikes(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-03/ONU0TE6K50XZ01
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