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年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)
GPIF、「株主優待」はどう始末? 運用益10兆円
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170329-00519185-shincho-bus_all
「週刊新潮」2017年3月23日号 掲載
株式投資で配当金以外の楽しみの1つが株主優待。日本独自の商慣習で目下、実施しているのは国内上場企業で3割超の1348社だ。実は年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)もその恩恵に与っているというのだが、いかに利用しているのか。
GPIFの高橋則広理事長(59)は3月3日、昨年10月から12月までの運用実績が約10・5兆円の黒字だったと発表した。全国紙の経済部記者が解説するには、
「2001年の自主運用以降、四半期ベースで過去最高の実績。黒字の要因は、就任前のトランプ大統領への“期待”による世界的な株高でしょう。ちなみに国内株式の運用益は4兆6083億円で、こちらも過去最高を記録しました」
GPIFの運用資産額は144兆8038億円で、国内最大の機関投資家だ。直接投資が法律で禁じられているため、信託銀行など38社の金融機関を通じて購入。3年前に“日本株”の比率を12%から25%へ引き上げている。
「株主優待は個人株主に限定されたものではなく、機関投資家もその対象。事実上、多くの上場企業の“大株主”になっているGPIFも、当然受け取る権利があります」(同)
株主優待を実施する企業の多くは3月決算。投資家は一定の株式を保有して、3月末時点の株主名簿に載っていれば権利が確定し、主に6月の株主総会以降に株主優待を受け取ることができる。ニッセイ基礎研究所の井出真吾・チーフ株式ストラテジストによれば、
「株主優待は自社製品の割引券やお食事券が一般的ですが、なかには超高利回りのものもある。例えば、自動車ディーラーのVTホールディングスは4万円分の割引券で、利回りは70%以上になります」
■専門業者に売却
株主優待の中身は様々。変わったところでは新日鐵住金の自社工場見学招待(抽選)、テレビ朝日ホールディングスのスタジオ見学(抽選)、そして防水工事を請け負う「マサル」はサマージャンボなどの宝くじを年2回提供している。
GPIFは、国内株式の現時点での保有銘柄を公表していない。が、過去には「ディズニーランド」を運営するオリエンタルランドの株を保有していると報じられたことも。ちなみに、株主優待はディズニーランドか、ディズニーシーの1デーパスポートだ。よもや、高橋理事長はそれを使って“夢の国”で部下たちと祝勝会を開こうというわけではあるまい。
「株主優待は受け取っていますが、GPIFで使っているわけではありません」
こう語るのは、GPIF企画部企画課の担当者だ。
「議決権の行使は委託先の金融機関に委ね、配当金は全額運用益に組み込んでいます。また、株主優待の割引券などは、専門の業者に一括で売却して現金化し、配当金と同じように処理しています」
株主優待には、食品や生活用品なども少なくないが。
「現金化できない食品や生活用品などは、日本赤十字や東京都社会福祉協議会への“寄付”という形で対応しています。ただ、生鮮食品などの“ナマモノ”は、寄付した後に何か問題が発生するといけないので“廃棄”処分にせざるを得ません」(同)
GPIFが優待を懐に入れていないことはわかった。で、今回の黒字は手放しで喜んでいいものなのか。
「株式投資ですから、儲けることもあれば損することもある。昨年4月から6月期の運用実績は5兆2342億円の赤字。市場の動き次第では、逆に巨額の損失を抱え込む危険も孕んでいます」(先の井出氏)
我らの願いは、年金が1円でも増えること。期待してますよ、GPIFサン。
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