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東大新卒が入社する50人以下の中小企業は何が違うのか
http://diamond.jp/articles/-/122834
2017.3.29 ダイヤモンド・オンライン編集部
近年の就職戦線は「売り手市場」。学生側にとって有利な就職活動ができる一方、企業側の新卒採用担当者にとっては悩ましい状況だ。そんな中、従業員50人以下の中小ベンチャー企業でも、東京大学をはじめとする超難関校から新卒者を連続で採用できている企業がある。他の中小企業とは何か違うのか、どんな採用をしているのか、取材してみた。(ダイヤモンド・オンライン編集部 山本猛嗣)
自作のLED蛍光灯に
目を輝かせた東大生
名古屋に本社を置くITベンチャー、ネオレックス(総勢31人、うち役員4人)の駒井研司CEOは、現在でも2011年度に初めて東大生が入社するきっかけとなった当時の様子を思い出す。
駒井氏によると、就職活動のサイト運営会社から勧められ、新卒採用に試しにサイトを利用してみたら「たまたま興味を持ってくれた東大生が会社に見学に来た」という。その時、すぐに東大生が興味を持ったのが、自社の天井に設置された166本のLED蛍光灯だった。
「御社は凄いですね。こんなにたくさんのLED蛍光灯があるなんて」と驚く東大生。無理もない。当時、LED蛍光灯は非常に高額であり、1本3万円程度で売られていたからだ。しかし、その質問に対する駒井氏からの回答は常識をくつがえす、衝撃的なものだった。
「いやあ、全部、手作りだよ。自分たちで作ったんだ」
天井にあるLED蛍光灯がすべて手作りと聞いた途端、その学生の目がみるみる輝き始め、駒井氏と学生は意気投合した。
「その帰りに、その学生が秋葉原に直行して材料を集め、早速、LED蛍光灯を自作したと聞きました。つい、うれしくなった私は彼に『君はもう、ウチの会社に来るしかないんじゃないか』と叫んでいました」(駒井氏)
ネオレックスが本格的に新卒採用を始めたのは2010年(20011年4月入社対象)からだ。この年は先述した東大生1人のほか、名古屋大学生1名も採用できた。近年の新卒採用者の主な出身大学を見れば、地元の名古屋大学からの8人を筆頭に、京都大学4人、名古屋工業大学3人、東京大学2人、東京工業大学1人と超難関校の学生18人(17年度入社予定者含む)を採用している。
難関校や有名校の全学生が必ずしもビジネス面で優れた人材とは限らないが、50人以下の規模の企業で、これだけの人材を集めるのは目を見張るものがある。本社が名古屋ということもあり、地元の出身者が多く、新卒採用では競合する会社が少ないことも大きな要因ではあるだろう。
特徴ある事業や技術
魅力がなければ入らない
とはいえ、就職は自分の人生を左右するほどの重大なイベントだ。それなりに特徴ある事業や技術力を持ち、学生が会社や経営者に魅力を感じなければ、わざわざ新卒では入らないだろう。
ネオレックスの場合、クラウド勤怠管理システム「バイバイ タイムカード」を企画・開発しており、1000人以上の規模の企業を対象としたクラウド勤怠管理システム市場で国内トップシェアを持つ。「受託仕事は一切せず、自社企画の製品の開発・提供にこだわってきた」というだけあって、非常に技術志向が強い会社であり、先述したように自社事業とは無関係なLED蛍光灯さえも自作してしまうような会社である。このため、「自分がやりたいことを自由にやりたい」と考える技術志向の強い学生に好まれるようだ。
「やりたい仕事ができる」「仕事に魅力を感じる」「仕事や職場が楽しい」――。
今回、近年連続して難関校の新卒者を採用している中小ベンチャー企業の採用者や学生に聞いてみたところ、やはり、要因として、仕事や職場の楽しさや魅力について語る人が多かった。
例えば、日本初かつ最大のクラウドファンディングサービス『Readyfor』を運営するREADYFOR(正社員が役員含めて38人)は、会社創業の14年度から17年度まで16人の新卒を採用。16年度は東大、横浜国立大学などから5人。17年度は東大院生や横国院生、中央大、立教大など8人を採用している。
クラウドファンディングとは、インターネットを通じて不特定多数の人から幅広く事業やプロジェクトの資金を集める仕組みのことだ。さまざまなボランティア活動の資金集めに利用されることが多い。このため、同社の採用担当者によると、「人や社会の役に立つ仕事がしたい」という学生が多く、就職活動先を見ても、NPO法人や日本財団、国際協力機構(JICA)など、社会貢献活動を前提としているケースが目立つという。
また、15年度から3年連続で東大生の新卒採用(計4人)に成功しているWACUL(社員数40人)は、人工知能(AI)を使ったウェブサイトのデータ解析と改善提案ツールを開発・提供している。人工知能という最近技術を運用したウェブマーケティングの仕事に魅力を感じる学生が多いようだ。偶然ながらも新卒採用はすべて東大生という。
社員数がわずか14人と少数のシェルフィーも、14年の創業から現在まで筑波大学や横国大、中央大、高知大から6人の新卒者を採用。同社は、店舗と内装会社をインターネットでマッチングさせるサービス『SHELFY』を運営しており、B to Bの手堅いビジネスながらも、社員は建築業界とIT業界の双方に関係する事業に面白さを見出しているようだ。
新卒採用には
長期インターンを活用
それでは、肝心の「採用活動」はどのようにやっているのだろう。それには、ほぼ共通した方法が見られた。
通常の大企業に見られるような、「募集の告知」→「筆記試験」→「複数回の面接」というような採用方法ではなく、多くの中小ベンチャーでは、長期のインターンやアルバイトを経て採用しているのだ。
例えば、前述したREADYFORやシェルフィーは、長期インターンからのみ新卒を採用している。大企業の場合、通常、インターン期間は1日、あるいはせいぜい1週間程度が多いが、READYFORでは「週3日以上で半年」、シェルフィーでは「週4日・半年以上」となっており、担当者らは「お互いが不幸にならないように、本人の希望だけでなく、仕事ぶりや適性などのマッチングをよくよく考えた上で、声をかけている」と説明する。
仕事内容についても「インターン学生向けにわざわざ業務を切り出したりすることはなく、社員と同じ業務をやらせている」(READYFOR担当者)としている。
WACULの場合、インターンという形式ではないが、長期で働いているアルバイトから採用している。同社は以前に本社が本郷三丁目にあったこともあり、東大生のアルバイトが多く、常時、10〜15人程度の東大生アルバイトが在席し、「社員並みの業務をこなしている」という。
学生にとって刺激的な経験
大企業の内定を辞退する人も
こうした長期のインターンやアルバイトの経験は、学生にとって刺激的であり、面白い。自分の仕事による「企業の成長」も肌身で感じられる。経営者や社員らとの仲間意識も芽生える。既にビジネスの第一線で“社会人”として働いている学生らにとって、大企業に入ってから、改めて「名刺の渡し方」などのありきたりの社内研修を受けた後、新入社員として一から働くのは非常に退屈なものとして感じられるのだろう。
このため、大企業の内定を取っているのにもかかわらず、「大企業側を辞退して入社する学生もいる」(シェルフィーやWACULの担当者)という。
昔に比べ、学生側の意識も変化している。大企業に固執する学生も減っているようだ。その理由は明白で、昔のように必ずしも「大手企業なら安心」という時代ではなくなっているからだ。東芝のような大企業でさえも、倒産寸前を思わせるような経営危機を迎える時代である。
実際に、インターンの学生やベンチャーの新入社員らに話を聞けば、「父親がリストラされた姿を見て『大手なら安心』ではないという現実を見た」「自分で何らかのスキルを身につけたほうが安心。それには仕事を身につけられるベンチャーのほうがいいと思った」などの声が聞かれた。傍目から見た限りだが、自分でしっかりとした考えを持った前向きな若者が多いという印象を受けた。
失業率で見れば「完全雇用」といわれ、人材確保に悩む中小企業は少なくない。だが「どうせ中小だから」と諦める前に、今一度自社の特色を見直し、こうした意識を持つ学生たちにアピールする工夫を試みてはいかがだろうか。
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