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日本の保険業界動向をPwCが解説(© aza – Fotolia)
日本の保険業界、6割が「顧客体験をきちんと定義できていない」危険性
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170328-00033414-biz_plus-bus_all
ビジネス+IT 3/28(火) 6:45配信
日本の消費者は保険に複数の不満があり、その一方で保険会社の大半は業務変革に消極的――。最近PwCが行ったサーベイではこのような結果が導き出された。このままでは、日本の保険業界はデジタル化時代の競争に取り残されてしまいかねない。デジタルを活用して消費者の課題を解決し、優れた顧客体験を提供するためには何をすべきなのか。PwCコンサルティング 金融サービスチームがデジタル変革の重要性を説いた。
●情報収集から保険金請求まで…消費者が保険に感じる不満
「日本の消費者は、保険に関してさまざまなフラストレーションを抱いている。最近、PwCが行った消費者調査の結果をまとめるとこのような結論になる」と語るのが、PwC Japan主催セミナーに登壇したPwCコンサルティング 金融サービス部門 ディレクター 森誠一郎 氏だ。
日本の消費者は、保険に対して具体的にどのような不満を抱いているというのだろうか。
まずは、保険商品に関する情報収集に関する不満である。インターネット時代においては、消費者は情報過多の状態に陥ってしまい、「どの保険会社を信じていいかわからない」「どの情報を信じていいかわからない」と感じているようだ。
森氏は「ここには、保険会社が顧客と信頼関係を構築する上での難しさがある」と語る。顧客と接する営業担当者や募集人には、売り上げのプレッシャーがかかる。
まったく中立の立場から情報を提供できているか。これは保険会社が単独でコントロールできる問題ではないというわけだ。
2つめは、加入段階の不満である。すすめられて保険に加入したものの、実際に自分に合った保険だったのかという点に関して、消費者はいまひとつ納得しきれていないという。
「保険会社には『お客さまは正しい商品を選択されました』とはっきり言えるような、保険選択の透明性が求められています。また、保険加入の手続きが面倒であることも、消費者が不満に思っていることの一つです」(森氏)
そして3つめは、保険金請求時の不満だ。このプロセスでは何よりも、「速やかなオペレーション」が要求されていることは想像に難くないが、これに不満を感じているという。
●消費者が保険に求めるニーズは確実にシフトしている
また、保険に求められる要件も確実にシフトしている。消費者は、何か起こったあとの金銭的な補償から、リスクを予防するソリューションやリスクを回避するための処方せんを保険に求めるようになっている。
個別に見ていくと、生命保険分野では自分に合ったサービスを受けたいという要望が高い。一方で損害保険分野では、センサーデバイスを使ったソリューションが注目を集めている。事故が起きないようにするのはもちろん、起きたとしてもそれを最小化するというニーズにいち早く応えられる保険会社が選ばれると言えるだろう。
「顧客が興味を持っているのはリスクを回避可能なソリューションです。また、カスタマーサービスはシンプル、かつ透明性が重要です」(森氏)
まとめると、現代の消費者は「今の保険は複雑すぎる。ほんとうに自分にぴったりの保険をかけられるのであれば、生活習慣や健康状態といった情報を提供してもかまわない」と感じている状況なのだ。
●フィンテック、インシュアテックを様子見する保険業界
こうした課題を解決し、デジタル化時代の競争に勝っていくために何が重要なのか。森氏は「FinTech(フィンテック)、InsurTech(インシュアテック)を活用しながら新しい能力を獲得していく必要がある」と警鐘を鳴らす。
日本の保険会社は、こうしたテクノロジー活用、いわゆるフィンテック、インシュアテックをどのようにとらえているのか。最近PwCが行ったDigital FinTech活用調査の結果を発表したのは、PwCコンサルティング 金融サービス部門 シニアマネージャー 久保康 氏だ。
まずフィンテック、インシュアテックについての印象だが、この領域で出現したベンチャーについて、「競争上脅威である」という回答が1/3、「ビジネスモデルに破壊的な影響を与える」という回答が1/3を記録した。それを久保氏は「若干警戒心を抱かれているようです」と分析する。
●顧客体験を定義できていない保険会社が6割
次に、デジタル戦略の策定とその責任部門を尋ねたところ、デジタル戦略が明確に存在するのは全体の1/4で、3/4は「戦略というレベルではなく施策レベル」にとどまっていた。
その責任部門はというと、40%は「ない」で、そのほかは「ユーザー部門が個々に取り組みを行っている」「そもそもデジタル戦略が定義されていない」といった回答だった。
デジタル時代を迎えて、顧客との関わり方には変化が生じている。そうした中で、保険会社は顧客の理解を深めたり、質のよいサービスを提供したりする必要がある。
日本の保険業界は、そのために何を行っているのだろうか。これについて実際に多かった回答は「顧客の声や苦情を収集、分析して活用している」というものだった。
対して、ユーザー会などを立ち上げてそこから出てきた意見を商品開発に反映させたり、専任部門を組織して分析しているといった企業は少数だったという。
顧客満足度の向上という点では、顧客体験の改善も重要なテーマだ。しかし、この取り組みに関しては、「プロセス構築やシステム開発で検討している」という声は少数ながらあったものの、「そもそも顧客体験という定義がないか、不明確」という回答が60%近いという結果になった。
この結果は、彼らがテクノロジーに関心がないことを示しているわけではない。なぜならば今後の投資の方向性としてAIを重要と考えるところは多く、1/3強の企業は「先行技術企業との提携」でそれを実現させたいと考えていたのだ。
●選ばれ続けるために「顧客エンゲージメント」を強化せよ
デジタル化時代、保険業界も先進テクノロジーを活用することはもはや避けて通れない。それをどこに活用すべきなのか。
PwCが今もっとも重要だと考えているのは、顧客エンゲージメントの強化だという。
「顧客との関わりにポイントを置いて、御社のバリューを伝えていくべきです。そういう意味で、より深い顧客の観察、分析をもとに変革を進めていくというのは必須の取り組みになるでしょう」(久保氏)
「初めてのチャレンジで何をどう変えればいいかわからければ、グローバルベースで十分な情報と経験を有しているPwCがお手伝いします。ぜひそこからデジタル化時代適応への第一歩を踏み出してください」と締めくくった久保氏。保険業界の未来をより良いものにしたいと考える、PwCからの提言だった。
吉田育代
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