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「中堅コンビニ」が消えてゆく、大手3社シェア争奪戦の陰で
http://diamond.jp/articles/-/122684
2017.3.28 清談社 ダイヤモンド・オンライン
今年1月、大手コンビニエンスストアの「ローソン」は、群馬・栃木など北関東を中心に展開する中堅コンビニエンスストア「セーブオン」との経営統合を発表した。2018年中に、セーブオン全店舗はローソンの看板に掛け替えられる予定だ。セーブオンは“消滅”の時を静かに待つことになる。再編の進むコンビニ業界の現状について、コンビニ評論家の田矢信二氏に聞いた。(取材・文/清談社)
街中から続々と消えていく
地元民に愛された“中堅コンビニ”
中堅コンビニが続々と“消滅”している。今回ローソンとの経営統合が発表されたセーブオンは、群馬県前橋市に本社を置き、北関東を中心に約500店舗を展開してきた“中堅”コンビニ。ローカルコンビニとして愛されていたセーブオンの“消滅”に、ネット上では嘆きの声が相次いだ。
セーブオンのみならず、am/pmやスリーエフやポプラなど、地域に愛された中堅コンビニが過去数年で次々に大手と経営統合し、店舗が消滅している。規模が小さいと生き残っていけない時代なのだ。さらに大手同士はPB開発合戦に余念がない(写真はイメージです)
「セーブオンは、オリジナル商品の『39円アイス』や税込100円の発泡酒『黄金(こがね)』など魅力的な商品も多く、地域に愛されていたコンビニでした。今回の結果は、経営母体にそれを維持していけるだけの体力がなかったということでしょう」
こう話すのは、コンビニ評論家の田矢信二氏だ。
「コンビニ再編の動きは近年拡大を見せており、独自価値を生み出せない中堅コンビニは相次いで統合の憂き目に合っています」
2010年、ファミリーマートが「am/pm」の吸収統合を発表。かつて1000店舗以上存在したam/pmは、それからたった1年で消滅した。さらに15年には、中堅コンビニの「スリーエフ」、「ポプラ」とローソンが資本提携。現在は、一部店舗をそれぞれ「ローソン・スリーエフ」、「ローソン・ポプラ」という看板に掛け替え、共同店舗として営業している。
街から馴染みのチェーンが消えていく現状には、消費者として寂しさを感じるものだが…。
「セーブオンやポプラ、スリーエフの500店という規模は、企業組織としては決して小さくはありませんが、いまや全国各地に5万店超まで拡大したコンビニ業界においては事情が違います。各1万5000店と、“大手3社”が強大な規模を持つ業界で、中堅チェーンが共存共栄を図るのは、並大抵の努力では厳しいでしょう」(田矢氏)
常に進化するコンビニ業界地図
大手といえども安泰ではない
このような激しい再編の背景にあるのは、大手3社の熾烈を極めるシェア争いだ。
16年9月、業界3位のファミリーマートが「サークルKサンクス」と経営統合。千葉や埼玉などの都市近郊に多く店舗を持つ業界4位のサークルKサンクスを傘下とすることで、店舗数は1万8125店と急増。業界2位に浮上したファミリーマートが“絶対王者”セブン-イレブン(1万9422店)を射程圏内に捉えた。
その一方で、2番手のポジションを長年維持してきたローソン(1万3111店)は、3位に転落。業界地図は大きく塗り替えられた(店舗数は全て17年2月末現在)。
「コンビニはここ10年足らずで、1万店舗も増加しています。これだけのスピードで成長する業界はまずほかにはない。それだけに、5年後、10年後も容易には予測できないのがコンビニ業界です。“トップ3社”といえども、決して安泰ではない立場を自覚しているはず。そんな状況下に置かれたコンビニ各社の真剣な生存戦略が、この再編劇に表れているといえます」(田矢氏)
強大な流通網や商品開発力を持つ“大手3社”に中堅コンビニが対抗するためには、確固とした経営戦略や、安定性のある経営母体という武器を持つ必要がある。しかし実際問題として、それはなかなか難しい。かくして中堅コンビニは、厳しい局面に立たされているのだ。
身近な商品を観察すれば
大手コンビニの戦略が分かる
大手3社の動向は、私たち消費者の身近なところで実感できる。
3月9日、セブン−イレブンは自社プライベートブランド(以下、PB)「セブンプレミアム」の刷新を発表した。現状の3600品目に、生鮮食品など新たに約600品目を加え、さらなるラインナップの強化を図る。
07年の発売以降、好調を極めている「セブンプレミアム」。チルド品の「金のハンバーグ」、冷凍食品の「具付きつけ麺」などのヒット商品を連発し、コンビニ商品の新たな価値と可能性を切り開いてきた。品目は次第に拡大し、現在は冷凍食品やスイーツ、アイスクリームまで幅広く展開。セブン-イレブンに追随する各社とも、PB商品開発に注力している。コンビニ商品におけるPB率は、いまや5割を超えているという。
「当初、PB商品は“安いだけで低品質”というネガティブなイメージがありましたが、その認識はすでに過去のもの。今、消費者がPBに求めるものは、“安かろう悪かろう”ではなく、“確かな品質+美味しさ=ハイブリッド商品”へ変化しています」(田矢氏)
こうした変化は、11年の東日本大震災がターニングポイントだという。
「震災時の被災地で、コンビニがライフラインとして機能したことにより、コンビニ食品も安心・安全かつ美味しいということが認知され、PB商品の評価につながりました。PB商品のラインナップがここまで飛躍的に増えたのも、震災以後数年でのことでした。これは、コンビニ商品の新たな進化へのターニングポイントになっているほどです」(田矢氏)
コンビニ各社とも、将来的にPB商品率7〜8割を目指していく見込みだ。こうした商品トレンドからも、業界の現状が垣間見える。
「コンビニATMやカウンターコーヒーの登場、イートインコーナーの併設など、コンビニという業態は常に進化を追求してきました。しかしこれからは、文字通りのコンビニエンスという価値だけでは生き残れません。ただの“便利”のみであれば、消費者はわざわざ外に出かけることもなく買い物できる時代において、“その店に足を運ぶ価値”としていかに魅力的なオリジナル商品を提供できるかが勝負の分かれ目です」(田矢氏)
PB商品には、スピーディーに変化していくコンビニ業界の内情がダイレクトに反映されている。行きつけのコンビニでも、商品棚のラインナップや移り変わりをチェックすることで、日本経済とコンビニ業界の現状が見えてくるはずだ。
◆田矢信二(たや・しんじ)
コンビニ評論家。セブンイレブンとローソンでの現場経験を活かし、出店調査・インバウンド調査等に関わり、企業講演・セミナーなどにも呼ばれる。独自の情報をブログで発信。その口コミが評判で、テレビ・ラジオなどにも出演。代表著書『セブン-イレブン流98%のアルバイトが商売人に変わるノート』『ローソン流 アルバイトが商売人に育つ勉強会』。調査会社のサーベイリサーチセンター所属。
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