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シムズ理論が日本政府のご都合解釈で「悪魔の経済学」になる理由 
http://www.asyura2.com/17/hasan120/msg/477.html
投稿者 軽毛 日時 2017 年 3 月 26 日 19:50:31: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 

シムズ理論が日本政府のご都合解釈で「悪魔の経済学」になる理由=斎藤満

2017年3月23日 ニュース

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浜田宏一内閣官房参与に「目から鱗」と言わしめたシムズ理論。日本はこれをご都合主義で活用しようとしていますが、その実態は、日本国民にとって受け入れがたい理論です。(『マンさんの経済あらかると』斎藤満)

※本記事は、『マンさんの経済あらかると』2017年3月22日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:斎藤満(さいとうみつる)
1951年、東京生まれ。グローバル・エコノミスト。一橋大学卒業後、三和銀行に入行。資金為替部時代にニューヨークへ赴任、シニアエコノミストとしてワシントンの動き、とくにFRBの金融政策を探る。その後、三和銀行資金為替部チーフエコノミスト、三和証券調査部長、UFJつばさ証券投資調査部長・チーフエコノミスト、東海東京証券チーフエコノミストを経て2014年6月より独立して現職。為替や金利が動く裏で何が起こっているかを分析している。

シムズ理論の「良いところ取り」が、日本経済を窮地に追い込む

浜田宏一氏も「目から鱗」シムズ理論の正体とは?

安倍総理の経済アドバイザーを務める浜田宏一内閣官房参与(米エール大学名誉教授)。彼をして「目から鱗」と言わしめたのが、いわゆる「シムズ理論」です。これは2011年にノーベル経済学賞を受賞した米プリンストン大学のクリストファー・シムズ教授の「物価水準の財政理論」を言います。

これはざっくり言えば、物価目標を達成するには金融政策では限界があるとして、財政支出を拡大し、増税は先送りして、国民に「政府は債務を返済できない」と不安がらせ、返済しきれない分を物価上昇で穴埋めする、という考え方です。つまり、政府の無責任によって国の信用を低下させ、通貨価値を下落させることで物価を押し上げようというものです。

【関連】アベノミクスの主犯・浜田教授が執心する「シムズ理論」の何が危険か=田中徹郎

これがなぜ「目から鱗」なのか理解に苦しみますが、早い話がアフリカの例えばジンバブエのように、政府は財政赤字を出しても、その債務返済ができないために、誰もその国の通貨を信用せず、持ちたがらず、従って天文学的なインフレが生じる状況を先進国の日本でも再現せよ、と言っているようなものです。インフレになれば、これを抑える引き締め手段はあるから大丈夫と言います。

先進国の間ではすでに財政による成長支援、インフレ率引き上げが採用されつつあり、その流れの中にあって、日本も積極財政に転換しました。そこへこの「シムズ理論」が入ってきたために、政府は公然と「2020年度もプライマリーバランスは均衡せず、8兆円以上の赤字が残る」と言ってはばかりません。

国民を不安にさせるのが「シムズ理論」のミソ

この「シムズ理論」の核心は、政府の「いい加減さ」にあり、国債も全部は償還できない、財政赤字を増税などで穴埋めもしない、と言って国民を不安に陥れることにあります。そして2017年度予算が通りました。歳出が97兆4500億円、税収は57兆7100億円で、前年に比べて税収が1000億円増加する一方、歳出は7000億円増加し、「いい加減さ」は見せました。

ところが、この2017年度予算に対して、財務省幹部は「管理された財政拡張」つまり、歳出増大によって借金は増えるが、まだ財政当局のコントロール下にある、と言っています。これは、ある意味では「シムズ理論」の「邪魔」になります。国民に不安にさせるのが「シムズ理論」のミソですが、当局の管理下にあると説明しては、いずれ赤字削減策がとられると期待させてしまいます。

そうなると、将来の増税、歳出削減などを国民が予想するので、結果的にデフレになる、とシムズ教授自ら指摘します。日本はこれまでさんざん財政赤字を拡大し、世界の主要国の間でも最もGDP比で債務残高が大きな国となりました。それでもインフレにならない理由として、シムズ教授は「いずれ増税で穴埋めされる」との期待がデフレをもたらしていると説明しているのです。

Next: 中途半端な「シムズ理論」の採用で日本国民が犠牲になる
中途半端な「シムズ理論」の採用で日本国民が犠牲になる

シムズ理論自体に大いなる疑問を持ちますが、今の日本は、このシムズ理論を中途半端に利用しようとしているように見えます。財政赤字拡大を正当化する裏付け理論としてシムズ理論を使いながら、その処方箋に従わず、財政赤字は当局の管理下にある、としています。これでは不安からくる通貨価値の下落にはつながりません。

もっとも、当局が言うほど、今の日本では財政赤字が当局のコントロール下にあるとも思えません。そうなると、都合の良い所だけシムズ理論を使って財政赤字を正当化し、それでも将来の赤字補てんをイメージさせるために、かえって赤字がデフレ要因となり、従ってインフレ目標はいつになっても達成されず、ずるずると財政赤字だけが拡大する形になります。

ガスに火をつければお湯も沸き、料理もできますが、ガスを全開にしながら火をつけなければ、ガス中毒になって倒れてしまいます。抗生物質も菌が死ぬまで飲み切らずに、中途半端に止めてしまうと、抗生物質の利かない菌が発生して手に負えなくなります。

シムズ理論に絶対的な評価をするのであれば、とことんその処方箋に従って使う必要があり、インフレの実現が見えれば早急に引き締め転換する必要があります。逆に、シムズ理論が望ましい成果をもたらさないとの疑問があれば、中途半端にこれを使わず、つまり安易に財政赤字を拡大しないことです。

財政赤字の縮小に目途が立ち、年金など将来の不安もなくなれば、消費者も安心して消費を拡大し、需要の拡大、成長促進となり、デフレも心配なくなります。そもそも、国民は物価が上がらない状況に不満はなく、逆に賃金が上がらないままインフレになることこそ、国民の敵です。国民生活を犠牲にして政府の債務負担だけ軽減されるインフレは誰も望んでいません。

理論の実態がわかれば、日本では「シムズ理論」は国民が受け入れないと思います。インフレにして財政の実質負担を軽くすることは、汗水たらして蓄えた貯蓄の価値がインフレで減少することの裏返しで、国民を犠牲にした財政再建で、それに使われる「シムズ理論」は「悪魔の経済学」とも言えます。それよりも、国民にとっては今のインフレ・ゼロの方がはるかにましです。
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※本記事は、『マンさんの経済あらかると』2017年3月22日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

【関連】なぜ浜田宏一氏はスティグリッツやクルーグマンでなくシムズに説得されたのか?=内閣官房参与 藤井聡

【関連】黒田日銀の「永久緩和」が引き起こす日本財政破綻、衝撃のデータ=東条雅彦

【関連】「第2の電通問題」を回避する方法。日本のサラリーマンを殺すな!=斎藤満

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『マンさんの経済あらかると』(2017年3月22日号)より抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

http://www.mag2.com/p/money/161563?  

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コメント
 
1. 中川隆[7346] koaQ7Jey 2017年3月26日 19:59:20 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[7822]
これは御用学者が流している悪質なデマ


シムズ理論とアベノミクス


脚光を浴びるシムズ理論

日経新聞がまたキャンペーンめいた特集を始めた。3月6日から5回続いた「日本国債・・描けぬ出口」というものである。いわゆる日銀の出口戦略に関わるものである。さらにこれに関連すると思われるように、14日から3日間「経済教室」で経済学者の「転機の財政金融政策」という特集が掲載された。

久しぶりに日経が力を入れたキャンペーンをまた始めたのではないかと感じられた。ひょっとすると政府内で財政に関し新しい動きが生まれそうなのかもしれない。筆者はこれらにほぼ共通する論調は「シムズ理論」への牽制と捉えている。


シムズ理論とはクリストファー・シムズ米プリンストン大教授(2011年にノーベル経済学賞を受賞)らが構築した「物価水準の財政理論」(FTPL=Fiscal Theory of the Price Level)である。これは政府が財政支出を増やせば民間は将来の財政悪化を懸念し、その国の貨幣価値が押し下がりやすくなり、インフレ(物価上昇)が起り、そのインフレによって名目的な返済原資が増えるので国の借金が返せるという理論である。また教授は政府の財政悪化よりインフレの方が先に働くと説いている。

シムズ理論が注目されるようになったのは、先進各国(特に日・欧)が金融緩和政策を極限まで実施して来たが、この効果が思っていたより小さいという現実にぶつかっているからと筆者は考える。やはりここは財政政策しかないという雰囲気が世界的に出ている。特に注目されたのが昨年8月米ジャクソン・ホールで評判になったシムズ教授のこの「物価水準の財政理論」(FTPL)の講演である。

日本からこの会議に参加していた浜田宏一内閣官房参与は、シムズ理論に対して「目からウロコ」という感想を持ったと言う。黒田日銀総裁も興味を示しているという話である。またシムズ教授は今年の2月初旬に日本に訪れ講演を行った。ここ一ヶ月以上、シムズ理論は日本で脚光を浴びている。ただ教授が安倍総理に会うという話もあったが、さすがに財務省あたりの強い反対がありこれは実現していない。


リフレ派は、ずっと金融緩和を行えば資金が経済に流れ経済活動が活発化し物価も上昇し、デフレ経済からの脱却ができると主張してきた。これを意図したのが黒田日銀の13年からの「異次元の金融緩和」と言える。当初、このリフレ派は、リフレによる円安効果や株価の上昇があり勢いがあった(実際には補正予算の大幅増額の効果が大きかったが)。極端なリフレ派の中には、金融政策は万能であると思い込み財政政策を否定する者までいた。

したがって14年度からの8%への消費増税にリフレ派は強く反対していない。ところが増税後の日本経済の歩みは思わしくない。日銀は金融緩和を一段と進めマイナス金利も導入したが、目標の「2%の物価上昇」には遠く及ばない。リフレ派への不信感も広がり、これに対してリフレ派の一部からはやはり消費増税が金融緩和の効果を消し去ったという声が上がるようになった。さすがにその後は消費税の再増税に反対する者も出て来た(浜田参与など)。


リフレ派の唱える金融緩和政策は行き詰っている。ここに登場したのがシムズ理論である。シムズ理論は金融政策の効果を否定していない。しかし教授は金融政策には限界があり、金利がゼロになった段階では財政出動をすべきと主張している。また日本などには消費税の再増税を行うべきではないと提言している。

シムズ理論は本国の米国でも注目され、トランプ政権の減税政策や大規模公共投資にも影響を与えていると言われる。積極財政派(財政出動派)の筆者にとって、リフレ派のシムズ理論容認は心強い。後はこのシムズ理論を現実の経済政策にどのように取込むかということになる。


日本でシムズ理論は既に実施済み

筆者は、シムズ理論を15/11/9(第867号)「小黒一正教授の文章(論文)」や16/12/19(第921号)「ヘリコプターマネーに関するQ&A集(モラルハザード他」で言及した「インフレ税」に近いか、もしくは同じものと理解している。そして次に考えることは財政出動の財源とこの理論に沿った政策の効果である。シムズ理論ではとにかく財政赤字が発生しても(財政赤字を大きくしても)、将来の税収がそれ以上に増えるので財政状態はむしろ良くなると言う。

このシムズ理論では、財政支出の増加に対して乗数効果が働き名目GDP(国内総生産)が大きくなり、この結果税収が増えることを前提にしている。またGDP(ここからのGDPは全て名目)増加に対する税収の増え方、つまり税収の対GDP弾性値というものが問題になる。縦軸に税収をとり、横軸にGDPをとった場合、右肩上がりの税収関数の線が描かれる。特に日本のような累進課税を基本にする税体系を持つ国では、GDPが増える(均衡点が右側に移動)ほど税収の伸びは大きくなる。数学的に言えば、1次微分値が「正」であるだけでなく2次微分値も「正」ということである。つまり財政赤字を思いきり大きくした方が税収の伸びはより大きくなるという理屈になる。このように税収関数の形状が重要なポイントとなる。


シムズ理論は日本でも各所に影響しているだけに、これに警戒する人々もいる。特に財政再建を強く主張してきた財政再建派や財政規律派は、もしシムズ理論に沿った政策が実行され予想通りの成果が出ると自分達の立場がなくなることを分かっている。それどころかこれまでさんざん嘘(例えば財政が破綻し誰も国債を買わなくなるといった類の嘘)を言って財政支出を削減して来たことや、無理な増税を行って来たことに批難が集中することになる。

財政再建派の攻撃目標は単純に「シムズ理論に沿った政策をひたすら阻止すること」である。一旦実施されたなら「アウト」と言うことを彼等も理解しているようである。しかし実際に行われているシムズ理論への攻撃の多くは、シムズ理論について深く考察するのではなく「シムズ理論はいい加減な考え」といったイメージを振りまくことである。これについては来週号でも取上げる。


振返って見れば、アベノミクスの初年度(13年度)はまさに「シムズ理論」に沿った政策であったと筆者は考える。13/11/25(第775号)「アベノミクスの行方」などで指摘したように、金融緩和だけでなく真水で10兆円の補正予算が組まれていた。このアベノミクスの効果で実際に税収も増えた。ところが「税と社会保障の一体改革」を御旗にした消費増税(増税分の8〜9割は財政再建に回している)と補正予算の大幅な減額が実施された翌14年度から、日本経済は途端におかしくなったのである。

ほとんどの経済学者やエコノミストは、消費増税を行っても「平気」とか「影響は軽微」と増税に賛同していた。中には増税によって将来の社会保障が充実することによって人々は安心し、むしろ消費は増えるといった大嘘をつく者までいた。この結果、日本の財政当局と経済学者などの信用は地に落ちた。この状況で「シムズ理論」が脚光を浴びているのだから、彼等の危機感も相当なものであろう。

よって冒頭に述べたように、彼等は「シムズ理論」に一斉攻撃を始めた。ところが前述のように主な攻撃手段は幼稚なイメージダウン戦術しかないのである。そして最近ようやく理論めいた「シムズ理論」批判が出始め日経新聞にも掲載されるようになった。ところがこの論文らしき文章の内容がまたボロボロなのである。


シムズ理論とシムズ教授


コンピューターの計算能力の進歩

脚光を浴びているシムズ理論であるが、当然ながらこれを否定する意見や批判が出ている。そこで筆者自身のシムズ理論に対する見解を示す。先週号で話をしたように筆者はシムズ理論の結論にほぼ納得している。

ただシムズ理論の弱点や突っ込まれる所を筆者なりに考える。まず「物価水準の財政理論」(FTPL)の結論は、シムズ教授達のシミュレーション分析から導き出されたものと筆者は見ている。シムズ教授の専門は、シミュレーションによって経済を分析する計量経済学である。そもそもノーベル賞もシムズ教授の新しいシミュレーション分析手法に対し与えられたと筆者は理解している。この重要な点に、シムズ理論を批判するマスコミやエコノミストは何故か触れない。


シミュレーション・プログラムは、経済現象の変化の予測に使う便利な道具である。しかしその反面、プログラム自体やプログラムの設定が過っている場合には、シミュレーションの結果も間違うことになる。したがってプログラムに問題がある時、もし政府がこれを信じると経済政策でミスリードする危険性がある。筆者もこの点は承知しているつもりである。

実際、11/12/19(第691号)「シミュレーションモデルの話」などで取上げて来たように、マクロ経済に関するシミュレーション・プログラム(モデル)はいくつもある。モデルが異なると、同じ条件でプログラムを走らせても結果は異なる。極端なケースとして、04/11/1(第365号)「妄言・虚言の正体」で取上げたように「私のシミュレーションプログラムでは1兆円も財政支出を増やすと日本でハイパーインフレが起る」と言って引下がらないA教授という経済学者もいた。


100パーセント正しいマクロ経済モデルというものは存在しない。せいぜい「これは比較的正しいモデルでは」と言った程度であろう。ただA教授のモデルなどは話にならないと言える。

筆者は、シムズ教授達が使っていると考えるモデルは「まとも」と見ている(ただし絶対に正しいとまでは言えないが・・これはシミュレーション分析というものの宿命)。この根拠として、日本経済復活の会(会長小野盛司氏、顧問宍戸駿太郎筑波大学名誉教授)が14年前行ったシミュレーション分析の結果とシムズ理論の結論が似ていることが挙げられる。財政政策に伴って財政が悪化しても、むしろ最終的に財政状況は良くなると両者は同じような結果が出ている(財政状況が良くなるの意味合いに違いがあるようだが・・来週これを説明する)。ちなみに小野さんは宍戸駿太郎教授の奨めもあって、03/1/27(第282号)「所得を生むマネーサプライ」の後がきで述べたように、この結果をサミュエルソンに送ったところ賛同する返事が来た(これについても来週も取上げる)。

ただ小野さんが使ったシステムとシムズ教授のプログラムでは、当然、後者の方がより優れたものと筆者は考える。これはこれはコンピューターの計算能力が時代と共に格段に進歩しているため、より複雑なプログラムであっても瞬時に結果が得られるようになったからである。したがってより現実に則したシミュレーション分析が可能となっている。例えば固定されていたパラメーターも変数として扱うことができる。これによって中央銀行の金融政策の変更などもシステムに取込むことができるようになったと考える。


シムズ理論とシムズ教授の提言の間の「裏」

ただシムズ理論の核心とされる「政府は財政再建に取組まない」という宣言だけでインフレが起るとは筆者も思わない。当然、財政支出の増加や減税による財政悪化というプロセスが必要と筆者達は考える。ところがシムズ理論では、新規国債は発行しないことになっている。シムズ理論では「通貨価値を大きく毀損」することでインフレを起こし、このインフレによって返す政府債務が減価し財政問題が解決することになっている。

前段でシムズ理論を導いたモデル自体は「まとも」と筆者は述べたが、いざこの理論を現実の経済政策(財政政策)に適用するとなると、たちまち非現実的な事態に陥る。例えば財源がない状態で政府は歳出を行うという奇妙なことになる。ここは「シムズ理論」と「シムズ教授の政策提言」は別物と理解する他はないと筆者は考える。要するに「通貨価値を大きく毀損」しても良いといった覚悟で極端な政策を実行せねば、デフレ経済から脱却し財政再建を実現することは到底無理とシムズ教授は言いたいと筆者は理解する。シムズ理論とシムズ教授の提言の間にはどうも「裏」が有りそうである。


財政を悪化させることによってむしろ将来の財政状況が良くなるというシムズ理論は、財政再建一辺倒の日本の財務当局や周りの御用学者やマスコミに衝撃を与えている。これに対し「シムズ理論はいい加減な考え」というキャンペーンを彼等は始めたと筆者は見ている。日経新聞にもこの類の批判が掲載されている。その代表が先週号で紹介した「日本国債・・描けぬ出口」と「転機の財政金融政策」の特集である。今週はその中から池尾和人慶大教授の「シムズ理論」批判を取上げる。


まず池尾教授は、現行の日銀の異次元の金融緩和政策が行き詰っていると指摘する。マネタリーベース(資金供給量)を日銀が責任を持って増加させれば、予想インフレ率が上昇するという論理は池尾教授が言うように破綻状態である。つまり金融政策だけでは予想インフレ率をコントロールできず、リフレ派の主張が無効であることが証明されたと池尾教授は強調する(これに対して一部リフレ派は消費増税がリフレ政策の効果を消し去ったと反論)。

一方、政府は財政収支を悪化させる手立て(財政支出増や減税)を持っていることで有利であると池尾教授は認めている。つまりシムズ理論に沿った政策によってインフレが起る可能性があるかもしれないと言う。ところがこれはあくまでも可能性であり、実現しないことも有り得ると中途半端である。もしいずれ財政収支の悪化を相殺する措置がとられるという見方がされると予想値は据え置かれたままで(例のポンコツのリカードの中立命題)、何も起らない事態も有ると指摘する。

逆に財政悪化宣言によって、国債の暴落が起って(特に国債がバブル化している場合)予想値が急速に下方修正され、急激な物価上昇を招くかもしれないと教授は指摘する。これは国債暴落によって金利が急上昇し財政悪化が加速しシムズ理論で想定している以上に予想値が下がることを念頭に置いている。つまり予想値引下げによってインフレが一段と激しくなるという事態を前提にした理屈らしい。しかしこれは中央銀行がハイパーインフレが起っても何もしないという非現実的な想定である。


いずれにしても池尾教授は、財政政策でインフレ率をコントロールすることは不可能と結論付けている。この論理は、筆者が見かけたシムズ理論批判のほとんどに共通する。つまりシムズ理論に沿った政策はインフレを起こす力が全くないか、あるいはハイパーインフレを招くかのどちらかと決め付ける。

これらのシムズ理論批判に対する筆者の反論を一つだけ挙げておく。シムズ教授は、中央銀行デフレ脱却するためのインフレターゲット政策は否定するが、インフレ時のインフレターゲット政策(要するに金融引締め政策)は有効と見ていると筆者は解釈している。現実に英国のようにインフレターゲット政策で成功している国はある。残るシムズ理論の最大の課題はどのような手段で「通貨価値を大きく毀損」させるかである。


2. 2017年3月26日 21:31:47 : mINW8bMxUQ : 4BobKM9F48E[208]

 これは 愛が すでに 論じている

 金利 + : 赤字国債は 国家の破たん

 金利 0 : 赤字国債を 発行し続けることはできるが 経済が どうなるのか不明

 金利 − : 赤字国債を 発行しても 国家は破綻しない うまく行く

 ===

 金利が + なら 「悪」  であるのなら 金利 − なら 「善」 になるということ

 ===

 シムズ理論が 0金利を 論じているのなら マイナス金利まで 拡張して 考えるべきだよね〜〜
 
 ===

 現実問題として 日本は マイナス金利に すでになっているが 日本が 壊れる兆候はない
 


3. 2017年3月26日 22:31:56 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[595]

>>01

http://blogs.yahoo.co.jp/akiomu423/40778747.html
ネット右翼の自習室
日本に巣食う反日左翼対日本を救う愛国保守の戦い

アメリカの分断を考える
シムズ理論とアベノミクス 記事をクリップするクリップ追加
2017/3/20(月) 午前 8:48 日記 練習用 

0320 シムズ理論とアベノミクス

経済コラムマガジン
17/3/20(931号)
http://adpweb.com/eco/


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