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日本の新車市場は「500万台・世界3位」を維持できるか
http://diamond.jp/articles/-/122339
2017.3.24 佃 義夫:佃モビリティ総研代表 ダイヤモンド・オンライン
日本自動車工業会(自工会)は、2017年度の自動車国内需要見通しを500万300台(前年度比2.0%増:内訳は登録車が325万8300台[同1.9%減]、軽自動車が171万4200台[同1.3%増])と予測した。
一方、今年度の見通しは503万8300台(同2.0%増:内訳は登録車が331万1930台[同6.2%増]、軽自動車が171万9000台[同5.2%減])の見込み。西川廣人(さいかわ・ひろと)自工会会長は「税制の影響がここ数年続いたが、緩やかな経済プラス成長とともにようやくこれを脱してきた」との見方を示した。
これにより日本国内の新車市場は2年ぶりに500万台超えとなり、次年度も500万台乗せを見込んでいる。世界の自動車市場は、9000万台から1億台を睨んで新興国市場を中心に伸びる傾向にある。その中で市場規模は、中国2800万台、米国1700万台で2大市場となっている。
世界の自動車各社のグローバル戦略も、圧倒的に市場の大きい中国と米国での販売拡大と収益力強化が大きなポイントとなっている。国別で見ると、日本市場は中国、米国に続く世界3位の座にあるが、国内需要のピークはバブル末期1990年の777万台。それ以降は低迷が続き、現在では500万台の攻防だ。
自工会は今年度の500万台の回復と次年度の500万台の確保の見通しを発表したが、今後、日本の自動車市場は中長期的に見て500万台を維持できるのだろうか。
4月1日付けで日産社長となる西川自工会会長は、これについて「足元の直近4ヵ月は増加傾向にあり、昨年9月に行った年度見通しから20万台ほど上振れして500万台超えとなった。来期は秋に東京モーターショー開催もあり、後半に各社から魅力ある商品が投入される予定だ。2017年度も500万台超えする」と見ている。
確かに国内新車販売は、昨年11月から連続して前年実績を上回る流れを見せている。各社が投入した新型車が牽引した登録車が好調に推移し、軽自動車増税の影響と燃費問題で低迷が続いた軽自動車も回復傾向にある。これは、2016年の暦年(1〜12月)実績では497万台となり、逆に5年ぶりに500万台をわずかに割る水準にとどまっており、昨年後半から今年にかけての回復傾向が顕著になっていることを物語っている。
■日本の自動車市場は低迷が続く中で
世界の自動車市場は新興国市場中心に拡大
日本の自動車市場は、1970年代以降のモータリゼーション進展、日本経済の高度成長とともに拡大の一途を遂げたが、バブル経済と言われた1980年代後半からバブル末期の90年までが国内新車市場のピークだった。90年が777万台となったが、それ以降は停滞し低迷期が続く。
高齢化社会と若者の車離れが象徴しているように、登録車と軽自動車を合わせた新車市場は500万台前後で推移し、ピーク時から約270万台も減少している。一方、世界の自動車市場は、中国の急激な拡大を筆頭に新興国市場中心に成長を示し、およそ9000万台規模となっている。
国別で見ると、21世紀に入ってから急成長を示した中国が2010年以降に首位に躍り出て以来、昨年は2802万台にまで拡大した。2位が米国で昨年は1786万台と一時の減退から回復傾向を示した。中国と米国が断トツの2大市場となっている。
それでも日本市場は、中国と米国に次ぐ3位であり、以下、ドイツ、インド、イギリス、フランス、ブラジル、イタリア、カナダがベスト10だ。日本の500万台に次ぐドイツ、インドは370万台前後でカナダまでが200万台となっている。注目すべきは中国とともに5位に入ってきたインド。インドは新興国市場として将来性があり、販売拡大に期待が高まっている。
世界の自動車各社は、グローバル戦略を進める中でグローバルカーの開発に力を入れ、必然的に2大市場の中国、米国への重点展開と将来性ある新興国市場に戦略を絞る傾向が強まるだろう。
日本市場は、そのグローバル戦略のはざまにある。新型車投入もかつての日本市場のための開発からグローバルカー開発に移行するという中で世界の一市場に変わり、その分国内向けの新型車投入が遅れ気味になる傾向も出ている。例えば、昨年夏に日産が新型セレナを発売したが、日産の国内新型車投入は実に2年半ぶりだったのだ。
■日本市場で受け入れられるビジネス
展開をすればグローバルで通用する
しかし、一方で日本市場は、トラックを含め12社の自動車メーカーがひしめき合い、登録制の小型車以上クラスと、日本独自の届出制の軽自動車のジャンルがある。ここに輸入車が入って競い合う構図となっており、世界で最も競争の厳しい自動車市場と言われる。輸入車法人のトップも「日本市場はユーザーの目も肥えており、ここで受け入れられるビジネスを展開することはグローバルで通用することになる」と見ている。
今年度の新車需要は、年度ベースで3年ぶりのプラスに転じ、500万台を回復した。これは2014年4月に消費税を5%から8%に引き上げた影響に加え、2015年4月以降に届け出される軽自動車の増税の影響からようやく脱したことで、自動車各社の先進技術搭載車などの新型車投入効果が進んだことによる。とくに環境対応としてのハイブリッド車(HV)はすでに市場の主流となり、自動運転のレベル2搭載車も国産・輸入車と相次いで投入された。
一方、軽自動車は2014年度に217万台で全体の41%を占める市場を示したが、2015年4月からの軽自動車増税で駆け込み需要が起きた反動が予想以上に大きく一気に減少の流れとなり、加えて昨年前半の燃費不正問題が影響した。結果、2015年度が181万台、さらに今年度は172万台程度にとどまる。
ただし、軽自動車については、クルマ社会の地方では生活の移動手段として車を複数保有することが中心となってきており、軽自動車各社も新型車を昨年後半から相次いで投入したことで、ここにきて回復傾向にある。また、輸入車もドイツ勢を中心に販売を伸ばしており、昨年の外国車販売は29万5000台(3.4%増)を示し、国内登録車に占める輸入車シェアは9.1%に上がった。
2016年の国内市場の車種別販売を見ると、1位トヨタ「プリウス」、2位ホンダ「N?BOX」、3位トヨタ「アクア」、4位ダイハツ「タント」、5位トヨタ「シエンタ」、6位日産「デイズ」、7位ホンダ「フィット」、8位ダイハツ「ムーヴ」、9位日産「ノート」、10位スズキ「アルト」がランキングベスト10である。やはりトヨタのHVが強さが光るが、軽自動車もベスト10に5車種も入っており根強い人気だ。一方で、スバルやマツダの新型車の評価が高まり、日産もセレナ以降国内市場強化への動きが今年1月の登録車販売1位、2位を占める結果となっている。
次年度については、秋の東京モーターショーが隔年開催年にあたり、各社の新車投入が計画されている。西川自工会会長も「東京モーターショーの年であり、各社のアピールも高まる。また、新たなモビリティ社会への訴求も焦点となりそうだ」と、東京モーターショーでの国内活性化に期待を寄せる。
■日本自動車市場の
中長期的な見通しは?
それでは、日本自動車市場の中長期的な見通しについて、このところ悲観的な見方が多いが、果たしてそうだろうか。
確かに、日本の高齢化社会はさらに進行し、若者の車離れも有効な打開策を見出せない状況である。このままいくと、2020年には460万台程度まで落ち込むという予測もある。だが、国内の自動車保有台数は昨年12月末現在で7791万6289台とほぼ横ばいが続いている。
日本のクルマ社会は、大都市部を除くと移動手段としての車が欠かせない生活必需品だ。エントリーカー(入門車)としての軽自動車需要が根強いのもその現れだろう。
また、自動車産業の底辺構造の広さからグローバル化が進む中、自動車メーカー各社は、雇用も含めて国内生産の確保(トヨタの300万台、ホンダと日産の各100万台)を大きな前提とする。
将来的には、日本独自の軽自動車の規格(660CC以下など)を海外からの非関税障壁の声にも対応して外すのかどうか気になるところだろう。また最近の一連のAセグメント(軽自動車に近いコンパクトカー)とBセグメント(Aセグの上のコンパクトカー)の開発・投入の動きも進んでいる。
HVからPHV、EVへの電動化の動き、自動運転の進化とつながるクルマ(コネクティッドカー)というように、新たなモビリティ社会に向け、日本の自動車市場は世界に先駆けて変貌する転換期にきている。
そのためには、車の保有だけでなく、ライドシェア(相乗り)といった新たな方向も模索するとともに、行政とも連携して日本国内自動車市場の500万台確保のために、市場の活性化をしっかりと進めていかねばならない。
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