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大前研一氏が政府案に物申す
政府が上から目線で罰則付き残業規制をするのは的外れ
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170322-00000002-pseven-soci
週刊ポスト2017年3月24・31日号
政府は「働き方改革」の目玉として、長時間労働を是正するために残業時間を制限する罰則付きの労働基準法改正案を検討している。経営コンサルタントの大前研一氏に言わせれば、仕事には「定型業務」と「非定型業務」があり、時間ではなく成果で図る仕事である「非定型業務」は残業規制の対象として適していないという。この政府の「働き方改革」が、いったいどのような意味を持つのか、大前氏が解説する。
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かつて、ナイキの創業者フィル・ナイト氏は、こう述べていた。
「よく『レストランを開きたい』と言う人がいる。しかし、厨房で1日23時間働く覚悟がなければ、やめたほうがいい」
私自身も、マッキンゼーに入社してからの数年間は自宅で夕食をとったのが週末も含めて年に数回だけという状態だった。しかし、若い時はその仕事を覚えたい、インパクトの出せる人間になりたい、とアンビション(野望)を持って夜も寝ずに働くことも貴重な経験になる。そういう人間がいなければ、日本はただの“受命拝命”専門の労働者の集団になってしまう。
たとえば、マッキンゼー時代の部下でDeNA(ディー・エヌ・エー)創業者の南場智子さんは、毎日午前3〜4時まで残業し、寝る間も惜しんで働いていた、と語っている。経営コンサルタントの仕事は典型的な非定型業務だから評価は時間の関数ではないし、ましてや残業代は出ない。そういうきつい仕事を経験しながら成果を出してきたから、南場さんは起業しても成功したのである。
私が起業家養成学校「アタッカーズ・ビジネススクール」を20年間にわたって運営してきた経験から言えば、起業してしばらくは睡眠時間2〜3時間が当たり前だ。事務所や店で寝袋で寝て、昼も夜も土日もなく働く。事業計画の策定も銀行に提出する資料の作成も営業も雑巾がけも、すべて自分でやる。そうした状況が最初の何年かは続くのだ。
それに文句を言ったり、へこたれたりする人間には、そもそも起業はできない。なぜなら、仕事のプロである起業家および社内起業家というのは、他人から命じられた仕事ではなく、自分が自分に命じた仕事をするからだ。つまり、会社の使用人ではなく、自分自身の成功──言い換えれば「プロフィット・シェアリング」(会社の業績に応じた利益配分)を夢見て働くのがプロフェッショナルという職種なのだ。
ホワイトカラー・エグゼンプションの議論で(使用人の象徴である)年収を指標に使ったのは、この点からも全く間違っている。
ビジネスは、商品やサービスを創造して新しい価値を生み出した人間(およびその集団)が勝つ。その新しい価値を生む人間にはいくら給料を払ってもかまわないし、何時間働いたかは全く関係ない。そういう貴重な人材を1人でも多く採用するのが、経営者の最も重要な役目である。
それを政府が“上から目線”で「残業の上限は最大で月60時間・年720時間」「違反したらペナルティ」「年収1075万円以上は例外」などと規制するのは、的外れもいいところだ。この規制を悪用して虚偽の長時間残業をさせられたと訴訟を起こす輩が出てくるかもしれないし、逆にサービス残業が増えるおそれもあるからだ。また、残業が少なくなったら、給料が減って困る人もいるだろう。
要するに、これは企業ごとの労使協議に預けたほうがよい問題であり、政府が杓子定規に全国一律に規制すべき話ではない。ビジネスの現場を知らない政治家と役人に「働き方改革」ができるはずはないのである。
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