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エネルギー地殻変動:東芝、米国産LNG長期引き取り契約で最大1兆円の損失発生可能性
http://www.asyura2.com/17/hasan120/msg/367.html
投稿者 あっしら 日時 2017 年 3 月 22 日 02:41:25: Mo7ApAlflbQ6s gqCCwYK1guc
 


エネルギー地殻変動

(上) 売り手優位の構図に一石 米国産LNG 調達拡大の好機

 日本のエネルギー調達先を示す世界地図が、塗り替わるかもしれない。米国などが液化天然ガス(LNG)や原油の輸出に力を入れるようになり、中東に偏ってきた輸入先を多様化するチャンスが生まれたからだ。ただ、エネルギーの売り手と買い手を巻き込んだ地殻変動を見誤れば、好機はピンチにも変わりうる。


 来日したサウジアラビアのサルマン国王は、13日の安倍晋三首相との会談で次のひと言にひときわ力を込めた。「日本企業の投資を歓迎する」

 日本は原油の3割をサウジからの輸入に頼る。黙っていても石油を買ってくれるから、サウジはこれまで日本に対して殿様商売を続けられた。

 そのサウジの国王が46年ぶりに来日し、日本企業の投資を呼びかけた。「石油立国」としての地位が盤石でなくなり、新産業を育てなければ経済が立ちゆかなくなったからだ。

米政権、輸出に力

 米テキサス州のフリーポート。メキシコ湾に面した広大な土地に、ガスを液体に変える処理施設を核とする巨大な建造物群が姿を見せつつある。2018年の稼働を目指し、急ピッチで建設が進むLNGの輸出基地だ。稼働すれば、世界の取引量の5%にあたる年1320万トンを生産できる。

 この地域はもともと南米や中東からLNGを運んでくる輸入基地だった。「シェール革命」を機に米国内の原油や天然ガスの生産量が拡大し、フリーポートは「輸入」から「輸出」の拠点へと衣替えする。

 「エネルギー強化策にはLNGの輸出も含む」(ペリー米エネルギー長官)。トランプ政権は国産エネルギーの輸出にオバマ前政権以上に前のめりだ。

転売可能が利点

 米国がLNGの輸出国に転じつつあることは、日本にとって朗報だ。いまの最大の輸入先であるオーストラリア産などのLNGの売買契約には、転売を禁じる条項がついている。余ったときに第三国に売るといった柔軟な戦略が取れない。

 日本は1月に初めて米国産LNGを輸入した。米国産は豪州産と違って余った場合に転売できる。米国産の調達が増えれば、転売禁止条項がついた他国のLNGを無理してたくさん買う必要がなくなり、売り手優位の構図を変えられる。

 しかし、米国産のLNG調達には危うさも伴う。

 経営危機に直面する東芝は13年、米フリーポートLNG社が生産するLNGを19年から20年間引き取る契約を結んだ。火力発電設備と燃料のLNGをセットで販売するためだ。

 だが、原油価格の下落に連動して米国産のLNGは足元で割高になっている。LNGは世界的に余っており、東芝が想定どおりに売れる保証はない。売れなかった場合の損失は最大で1兆円に膨らむとみられる。

 新たなLNG調達先として浮上する米国。トランプ政権のエネルギー政策が見通しにくいこともあり、期待と不安が混在する。

[日経新聞3月16日朝刊P.5]

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(下)中東「日の丸」油田、中国が猛攻 外交力、安定確保のカギ

 1月、アラブ首長国連邦(UAE)を訪れた世耕弘成経済産業相は、ジャベル国務大臣の言葉にひとまず胸をなでおろした。


 「国際石油開発帝石(INPEX)の権益を延長しましょう」。ジャベル氏は来年3月に期限が切れる海上油田の権益のうち、2つの延長を認めた。

 しかし、まだ安心はできない。今回延長で合意したのは日本がUAEに持つ権益のうち、わずか数%にすぎない。残り9割超の権益は延長が決まっておらず、中国や韓国、インドも触手を伸ばす。これらの国に権益を奪われれば、日本は世界に持つ自主開発油田の約4割を一気に失う。


自主開発40%目標

 1970年代のオイルショックで痛い目に遭った日本は、原油の全調達量のうち日系企業が権益を持つ油田から確保する割合を示す「自主開発比率」の向上に力を入れてきた。70年代に10%前後だったこの比率は2015年度に27.2%まで上がり、30年には40%以上という高い目標を掲げる。

 産油国の協力がなければ、目標の実現は難しい。

 政府は相手国のニーズに基づいてさまざまな経済協力策を用意する。46年ぶりに国王が来日したサウジアラビアとは13日に覚書を結び、自動車の現地生産の検討から都市インフラの整備まで幅広い協力案件の推進を約束した。

 サウジと激しく対立するイランとの関係強化も探る。イランは欧米の制裁解除を受け、外資のエネルギー開発への参入を拡大する方針を打ち出した。日本にとって新たな権益を獲得する好機が訪れている。

 だが、米トランプ政権はオバマ前政権と打って変わってイランに強硬姿勢を取る。下手に近づけばサウジとだけでなく、米国ともぎくしゃくする恐れがある。

 「日本はサウジとイランの両国と付き合う必要がある。しかし当面、対イランは様子見だ」。経産省幹部はこう漏らす。


経済協力頼み限界

 経済協力をアメと位置づける戦略は、中国に支援規模で負けるリスクもある。

 世耕氏のUAE訪問から間もない2月、中国は同じUAEのアブダビ陸上油田で初めて12%の権益獲得に成功した。日本の5%を上回り、政府関係者は「まさか中国が取るとは」と驚きを隠さない。中国の習近平国家主席は16日、日本に続いて中国を訪問したサウジのサルマン国王と巨額の経済協力で合意した。

 日本近海には「燃える氷」と呼ばれるメタンハイドレートが、国内のガス消費量の約100年分眠っているとされる。自主開発比率の大幅な上昇につながる「夢の国産資源」も実用化のメドは立っておらず、なお「夢」の域を出ない。

 原油価格はこの20年間、1バレル10ドル台から100ドル超まで乱高下した。それに惑わされず、資源を安定的に確保する長期戦略をどう立てていくか。エネルギーの世界で起きている地殻変動を見極めつつ、したたかに各国と渡り合っていく外交力が必要になる。

 古賀雄大が担当しました。

[日経新聞3月17日朝刊P.5]

 

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コメント
 
1. 無段活用[1638] lrOSaYqIl3A 2017年3月22日 07:07:01 : M6HpazQrhk : TxtHyfEykqc[2]

分かる人にだけ教えるような書き方。

日経も苦労している。


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