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2017年03月07日 10時00分 更新
残業代で会社が傾く前に:
ピンチをチャンスに変える!
中堅中小企業の働き方改革に必須の2大ポイント
中堅・中小企業にとってこそ、働き方改革への取り組みがピンチにもなり、業容拡大と収益アップの大きなチャンスにもなり得る。しかし「どこから手をつけていいのか分からない」と悩んでいる経営者は多い。ポイントとなるのは「制度とITの両軸」――MXモバイリングと「職場マイスター」岩崎仁弥氏に聞いた。
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2016年に突如浮上した「働き方改革」。政府も「働き方改革実現会議」を発足させ、17年は法制面でもさまざまな改革が実施される見通しだ。その一方で、多くの中堅中小企業の経営者や業務部門の幹部は「なぜ今、働き方改革なのか」「これは大企業の話で、当社にはあまり関係ない」「当社にはまだ働き方改革を進める余裕はない」と考えているのも事実である。
しかし、政府の“本気度”を考えると、働き方改革は企業の規模を問わず待ったなしの状況になっている。そして中堅・中小企業にとってこそ、この働き方改革への取り組みがピンチにもなり、業容拡大と収益アップの大きなチャンスにもなり得るのだ。
「今が昭和型の雇用システムから抜け出すラストチャンス」と語るのは、「職場マイスター」として、主に制度面から、中小企業でも対応可能な働き方改革に向けたアドバイスをする社会保険労務士の岩崎仁弥氏だ。
「職場マイスター」社会保険労務士の岩崎仁弥氏
「多くの企業に共通する働き方の問題は、昭和時代の働き方をいまだにベースにしているということです。昭和型の働き方が成功していたのは、高度経済成長期からバブル崩壊までのごく短い期間にすぎない。もう通用しないのです」(岩崎氏)
昭和型雇用システムの特徴は、終身雇用と年功賃金。かつてはうまくいった仕組みも今となっては、長時間労働と低い労働生産性を生み出すことにつながっている。男性は一つの会社で定年まで「モーレツ」に働き続け、女性は家庭で家事や子育てを担当するという考え方は、職場が男性だらけになり、体力がある男性に合わせた長時間労働につながる。さらに、「チームの皆で頑張ろう」という“ノリ”が重視され、生産性が上がらない傾向も生み出す――と岩崎氏は語る。
「こうした働き方が今でも残っているのは、『失われた20年』やリーマンショックの影響で日本経済が停滞し、企業に働き方を変える余力がなかったから。抜本的見直しを先送りし、年功序列なのに昇給をさせなかったり、正社員を増やさずに非正規雇用を増やしたり……と、どんどん歪(いびつ)な構造になっていったからです。それがまた、新しい労働問題を生み出したのです。しかし近年、景気が落ち着き、企業が働き方変革に着手できるようになってきました。今を逃してはもう変革できません」(岩崎氏)
残業代で会社が倒産する!?
経営者の中には「働き方改革はコストがかかる」「従業員を甘やかせるだけだ」と考えている人も少なくない。しかし、岩崎氏は「働き方改革をしないことで、会社が倒産することがあるのです」と強調する。実は大きなリスクになり得るのだ。
「早ければ2019年には、中小企業も60時間以上の残業に対して5割増しの残業代を支払う義務が課せられるようになります。長時間労働は生産性を下げる要因といわれています。にもかかわらず賃金は多く支払う結果になるのです。このまま長時間労働を続けていると、人件費で会社が倒産してしまうかもしれない。それまでに自社の働き方を見直すのは喫緊の経営課題。今のうちから準備をしていかないと間に合いません」(岩崎氏)
もちろん、残業代をごまかすことは立派な犯罪行為。残業を減らすべく対策をしていかなければならない。とはいえ「残業をしないようにしろ」という声掛けだけでは、根本的な問題は解決しない。
人手不足、生産性が低い、社風の問題、評価制度の問題、仕事の振り分け不足、給料が低いので残業代で底上げしたいと考える「生活残業」……自社が抱えているさまざまな問題を見つけ、それに合わせた対策をしていく必要がある。いわば「制度面」からのアプローチである。
「本来、日本の法律では、“残業禁止”が原則。例外として、36(サブロク)協定を結んで、労使の話し合いを経て、残業を命じることが可能になる。しかし日本企業はそのプロセスが完全に抜けているし、36協定の存在自体知らない経営者もいます。残業が必要な理由を話し合うだけで、残業は減るんですよ」(岩崎氏)
例えば、残業の理由が「煩雑な業務が多く、対応しているうちに残業が増えてしまう」という企業の場合、効果的なのは「仕事の見える化」だ。「1日にどんな仕事をするか」「この月にはどの仕事をするか」と“仕事の種類”をリストアップし、責任の程度や誰が担当するべきなのかを書き出していく。そうすると、同じような業務を複数人がやっていたり、1人にまとめた方がいい仕事が散らばっていたりといった状態が見えてくる。
また、1日に行う仕事を先に宣言する「朝メール」を上司に送り、「夕メール」でその進捗を報告することも、少ない手間で効果がある。自身で仕事をマネジメントできるようになるのと同時に、自分や部下のスキルや状態を把握できるようになる。
「しかし、一番効果があるのは、根本的に人事制度を変えること。残業せず効率的に働くことが評価につながる制度にしていけば、社員の残業時間はぐっと減ります。結果として、生産性もぐっと上がるはずです」(岩崎氏)
「どこから手をつけていいのか分からない」
岩崎氏は制度の面から企業の働き方改革をサポートするが、「ITツールの活用よる生産性向上」という切り口でこの働き方改革をサポートしているのが、スマートフォンの導入支援やネットワーク構築といった法人向けソリューションを提供するMXモバイリングだ。同社執行役員常務の大橋歳幸氏は、「ここ半年で、大きく風向きが変わりました」と語る。
MXモバイリング執行役員常務の大橋歳幸氏
「2016年に政府が『働き方改革』の方針を大きく打ち出して、テレワーク、女性の活用、柔軟性のある働き方に注目が集まっています。また労使ともに長時間労働に対する意識も変わってきました。こうした状況の中で、いち早く『働き方改革』に本気で取り組み始めた企業とそうでない企業との二極化が進んでいます。これは規模の大小は関係ありません」(大橋氏)
ある大手企業は、数千台のiPadを営業に配布し、自社開発の業務アプリを活用して営業の効率化を進めた。中小企業でも、マイクロソフトのOffice 365を導入し、チャットやビデオ会議を活用して、業務の生産性を上げている例があるという。
MXモバイリングは早くから“モバイルワークで支える働き方改革”を提案してきた。16年、日本マイクロソフトと共同で『働き方改革』をテーマにセミナーを複数回開催。テレワークを実現するためのWindows Phone、SurfaceなどのモバイルデバイスやOffice365をはじめとするクラウドサービス、シングルサインオンソリューションなどを組み合わせた最新の事例、活用法を紹介してきた。「毎回反響は大きかった」と大橋氏は語る。
また、16年1月には、豊洲の自社オフィスにデモルームをオープン。最新のモバイルデバイスやソフトを実際に使ってみることができるほか、Skypeによるビデオ会議を体験できる。
豊洲の自社オフィスにオープンしたデモルーム
今や、サーバやPCなど従来の社内環境とスマートフォン、タブレット、2in1 PCといったスマートデバイスやクラウドサービスを組み合わせれば短期間、低コストで『働き方改革』を実現できる。
しかしこの改革はITだけで完結できるものではない。在宅勤務、モバイルワークなどの新しい働き方に関しては、それに合った人事評価制度や就労規則などの見直しがなければ、せっかくの改革も絵に描いた餅になってしまう。真の改革の実現には「制度」と「ITの活用」を同時に検討する必要があるのだ。
「中堅・中小企業の経営者の方々からは、働き方改革について『どこから手をつけていいのか分からない』といったご意見を多くいただきます。差し迫ったニーズはあるけれど、具体的に何から手を打ったら良いのか分からないと悩むお客さまが多いのです。これは制度とITを同時に相談できる相手がいなかったからではないでしょうか」(大橋氏)
そこでMXモバイリングは、社会保険労務士の岩崎氏とタッグチームを組み、「制度」と「ITツール」の両軸で『働き方改革』を全面支援する体制を整えた。
「制度とITは寄り添ってこそ真価を発揮するもの。両者の適切な融合が改革成功のカギだと考えます。今回タッグチームを組む岩崎先生は、早くからこの『働き方改革』に着目し、社会保険労務士の立場で企業に対し、改革の意義、今後の法制度改正の企業への影響、それに対する打ち手などについてセミナー等を通じてアドバイスを行ってきています。弊社はこのタッグチームで中堅・中小企業様の改革推進を全面的に支援して参ります」(大橋氏)
働き方改革には、制度とITツールの両軸が必要
MXモバイリングは「制度とITの両軸から考える働き方改革」をテーマとしたセミナーを、4月5日を皮切りに月次ベースで開催。同時に、豊洲デモルームで少人数を対象とした体験型のセミナーも随時開催するという。
働き方改革には、「制度改革」と「ITツール」の両軸が必要だ。制度だけ、ツールだけ変えてもうまくいかない。「どうしていいか分からない」と不安を抱えている経営者や業務部門の担当者は、社会保険労務士とMXモバイリングの強力なタッグチームに相談し、“不安の棚卸し”をしてみてはいかがだろうか。
関連リンク
MXモバイリング
http://www.itmedia.co.jp/business/articles/1703/07/news010.html
ヤマト:労使交渉合意、配達時間帯の見直しや休息時間確保で環境改善
松田潔社
2017年3月16日 23:17 JST
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ヤマトホールディングス傘下のヤマト運輸は大口法人顧客との配達契約内容を見直して取扱数量を抑制する。さらに、配達の一部時間帯指定サービスの廃止や商品を見直すことで労働環境の改善に取り組む。ヤマト運輸が16日夜、労使交渉妥結後に文書で発表した。
サービスの見直しでは、6月中に正午−午後2時までと午後8−9時の時間帯指定の配達を廃止し、新たに午後7−9時の時間帯を新設して運転手などの負担を緩和する。4月24 日からは、労働時間を引き延ばす要因となっていた再配達の受付締め切り時間を午後8時から午後7時に1時間繰り上げる。また、アマゾン・ジャパンなど複数の大口顧客との契約内容を見直し、取り扱う荷物の量を抑制する。
さらに、来年度の総労働時間を今年度比8時間減らし2448時間とした。在宅勤務制度の導入検討や、10月からインターバル制度を導入し、最低10時間の休息時間を確保することも合意内容に含まれた。基本給のベースアップや定期昇給相当分を含んだ賃金の引き上げについては平均6338円とし、前年の5024円を上回った。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-03-16/OMWTQ96KLVR501
Fリテイリ柳井氏:リードタイムを大幅短縮、首位ZARA並みに
黄恂恂、Kazunori Takada
2017年3月16日 13:30 JST 更新日時 2017年3月16日 16:17 JST
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商品企画から製造に必要な期間を13日間に−従来半年から1年程度
中国と東南アジア、毎年100店ずつ出店へ
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「ユニクロ」ブランドを展開するファーストリテイリングは、これまで六本木(東京・港区)のオフィスでユニクロの主要業務を担当していた社員を物流施設に併設した有明(江東区)に移転。これに伴い従来半年から1年程度かかっていた商品の企画から販売までに必要なリードタイムを13日間に短縮する方針だ。
同社はアパレルチェーンで世界首位の「ZARA(ザラ)」ブランドを展開するスペインのインディテックスを売上高で超えることを目指している。Fリテイリの柳井正会長兼社長は10日のブルームバーグのインタビューで、13日間に短縮できればリードタイムが短いことで知られるインディテックスと「同じくらい」になると話した。また、16日には記者団に対し「リードタイムの短縮はコスト削減に寄与する」と述べた。
柳井正会長兼社長
柳井正会長兼社長 Photographer: Akio Kon/Bloomberg
同社は1月に「ユニクロ」ブランドの商品開発やマーケティングなどの業務を東京で担う社員約1000人を、湾岸地域の倉庫の最上階フロアにある新オフィスに移転させた。目指すのは、消費者の声を瞬時に反映させられる商品作り。そもそも「ファーストリテイリング」という社名には「要望した商品を早く届けられる、早い小売業」との思いが込められていると柳井氏は語る。「楽しく仕事ができて、すぐ打ち合わせできる場所がある」ことが有明のオフィスの利点だ。
モーニングスターのアナリスト、チェルシー・タム氏は「有明に期待されるのはサプライチェーンの効率化」だと話す。商品の輸送にかかる時間を短縮できれば、スペースが限られる店舗に必要以上の在庫を抱えなくて済むというメリットもあると指摘した。
ユニクロは現在、着丈や袖丈を消費者が自分好みに指定できるセミオーダー式のジャケットやシャツを販売している。今後、色やフィット感など消費者が好みに合わせてカスタマイズできる商品を増やすことも計画している。スマートフォンなどの普及により、消費者の好みをくみ取りやすい環境ができあがったことに対応する。商品の開発から製造、販売までの流れを再構築し、消費者の声を聞きながら「瞬時に商品を作って瞬時に売る」仕組みづくりを目指すという。
柳井氏によると、今では人々はお店で買う前に「スマホやタブレット、PCでものを見て、それで買いに行く」ため、「店舗とデジタルがシームレスにつながる環境」が必要だという。消費者が商品に対してコメントできる機能もウェブサイト上で構築する考えも明らかにした。
ライフウエアを提供
同氏は「ZARAの場合、お客さまの要望というよりファッション自体を売っている」と指摘する。一方で「われわれはライフウエアというお客さまの生活に根ざしたもの」を扱っていることから、消費者の声を聞きそれに沿ったものを売りたいと話した。
スピードと正確性を追求するため業務の過程に自動化を積極的に取り入れ、出荷や配送の状況を細かく追跡し、人工知能(AI)を使った商品の売れ行き予測などを行うことも検討している。有明の施設には自動化を積極的に取り入れており、こういった次世代の物流施設を今後2−3年で海外にも設ける考えを明らかにした。
有明の新オフィスの光景
有明の新オフィスの光景 Photographer: Akio Kon/Bloomberg
デジタル化とグローバル化を成長戦略に掲げる同社は、国内での人口減少を背景に海外への店舗展開を加速させている。柳井氏は今後、毎年100店舗ずつ中国と東南アジアでそれぞれ出店していくと明らかにした。中国については2017年8月期の出店計画と同じペースになる見通しだが、経済成長が著しい東南アジアの出店数は同計画比で約3倍になる見通しだ。赤字の米国事業では、ブランドの価値を高めるために店舗を商圏の大きい地域や大都市の中心地に集中させる考えを示した。
海外が国内を上回る体制に
度重なる値上げによる客離れなどで国内事業が伸び悩んだFリテイリは昨年、5兆円としてきた21年8月期の売上高目標を3兆円に引き下げた。このうち、柳井氏は1兆円が国内、1兆円がアジア、残りの1兆円がその他の海外市場になるとし海外売上高が国内を上回る見通しを示した。しかし、同社の16年8月期の実績では国内売上高は全体の6割弱だった。
Fリテイリ株の年初来下落率は14%。日経平均構成銘柄では35%下落した東芝に次いでワースト2位となっている。同社は4月13日に上半期(9−2月期)の決算を発表する予定。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-03-16/OML6BZ6S972B01
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