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水素水に国が「効果なし」警告、業界が一斉反発で異例バトル「テストに疑義」「言語道断」
http://biz-journal.jp/2017/03/post_18343.html
2017.03.15 文=深笛義也/ライター Business Journal
今月3日、消費者庁は、水素水関連商品を販売していた3社に対し、「あたかも、本件商品を摂取するだけで、特段の運動や食事制限をすることなく、著しい痩身効果が得られるかのような表示をしていた」ことが、景品表示法違反(優良誤認)に当たるとして、再発防止と消費者への周知を求める措置命令を出した。
水素水に関する国民生活センター(消費者庁所管)のホームページを見ると、これまで国民生活センターと水素水業界は、異例のバトルを繰り広げてきたかのようにみえるが、改めて経緯を振り返ってみたい。
■国民生活センターのテスト結果公表
昨年12月15日、国民生活センターは水素水へのテスト結果を公表したが、これに対して、業界からは以下のような異議が寄せられ、同センターのHP上に1月20日に掲載された。
「今回、テレビ・インターネットなどの報道では『商品テストを受けた商品は効果は無し』と受け止められるような内容となっております。水素水はただの水との認識が独り歩きしている状態だと感じられます」(富士計器)
「測定方法についての定義は確立されておらず、会社によって測定条件に違いがあります。商品テスト部は、その確立されていない定義にも係わらず商品テスト部が設定した定義により測定されていますが、実際に正しい測定方法なのでしょうか」(日省エンジニアリング)
「国民生活センターが検体として選択された製品、ひいては対象製品の企業が、直接に“風評被害”を被ることを強く懸念しております。国民生活センターに寄せられた相談、テスト依頼、との因果関係を明確にされた検体の選択をされ、再度適切な方法でテストされた上で、報道発表されることを、本『意見書』にて依頼させて頂きます」(ビクトリージャパン)
消費者庁が所管する独立行政法人国民生活センターは、総合的見地から国民生活に関する情報の提供及び調査研究を行い、消費者と事業者の紛争が起きた場合に、法による解決のための手続を実施することを目的とする機関である。
国民生活センターのテスト結果では、「未開封のまま20℃で1カ月間保管」「開封後に蓋を閉めて放置」「生成器で作った水をコップに移し替える」など、ある状態においた場合に水素濃度が低下することが示されている。そしてテスト結果の冒頭には、こう書かれている。
「水素水には、公的な定義や溶存水素濃度の基準はありませんが、一般的に、水素分子(水素ガス)の濃度を高めた水と言われています」
水素水に溶け込んでいる水素は、密閉していなければ空気に散ってしまう。だから多くのメーカーはアルミパウチなど密閉性の高い容器で販売している。また冷暗所で保存するようにと表示をしているメーカーも多い。「未開封のまま20℃で1カ月間保管」「開封後に蓋を閉めて放置」「生成器で作った水をコップに移し替える」などしたら、水素濃度が低下するのはメーカーも認識していることで、少々意地悪なテストとも思える。
■各メーカーの見解
このテスト結果について、メーカーはどう受け取っているのか、16社に取材を申し込んだところ、4社から回答が得られた。
【日省エンジニアリング】
「国民生活センターは水素水には定義がないと云っているのに、自ら勝手な定義付けしたテストを行い、それを公の場に公表するのは言語道断と考えます。又、テストに使用した測定器においても一般に使用されている国内メーカーの測定器を使用せず、何処の会社も測定した事がない海外の扱いの難しい測定器を使用するなど測定器や熟練度に甚だ問題があると考えます」
「間違ったテスト結果の公表と水素水の効果効能を表示できない影響により、売り上げに対する影響は甚大です。又、他社では次の仕込を諦めているところも聞いております」
「健康保持増進効果についての表示の指摘については認めますが、テスト方法自体密室でおこなわれており、その結果を認めるわけにはいきませんので、公的機関での測定を考えましたが、以前測定をしていた公的機関も何故か水素水の測定はしておりませんとの回答です。弊社としましては、訴訟を視野にいれ、今後は新たに測定基準を制定した業界団体を設立したいと考えております」
【株式会社ゴーダ水処理技研】
「溶存水素濃度のJIS規格基準がありません。独自のテスト方法を公的な濃度と誤解されることを容易に想像できたにもかかわらず、発表していること。さらに選定されている業者は、ある程度企業的にしっかりしている会社であり、各水素関連商品販売大手三社であること。悪徳業者こそ問題があることであり、なぜ販売実績大手の名前が公表されるのか? 意図が明確ではありません」
「(売り上げへの影響は)あまり影響は受けていないが、発表後の新規販売台数は減少している」
【日本トリム】
「こちらで今お伝えできることとしましては、国民生活センターさんに提出した意見書のみとなります」
(意見書の内容)
「文書公表後のメディアの報道内容をみると、文書に係る報道発表記者会見において、聞き手に誤解がないように十分配慮された説明が国民生活センターによりなされたかという点につき大きく疑念のあるところです。今後、文書及び文書に係る報道発表記者会見に起因して当社及び当社商品等に対する風評被害等が発生することを当社は懸念しております」
【伊藤園】
「疑問を感じた場合は、直接国民生活センターへ問い合わせますが、当社からその内容を公表することはございません」
「(水素水の効用について)当社は食品メーカーで、水素水も食品(清涼飲料)として販売しておりますので、効果・効能については、ご案内しておりません」
ちなみに伊藤園のHP上で同社の水素水を見ると、高濃度であり、水素が抜けにくいことが強調されているが、効果・効能はうたっていない。売り上げへの影響は、特になかったとのことだ。伊藤園は国民生活センターへの意見書も出していない。効用を案内していないのだから、発表への異議もないということだろうか。
■国立健康・栄養研究所の見解
そもそもこの問題の発端は、昨年12月の国民生活センターによるテスト結果公表に先立ち、昨年6月に国立健康・栄養研究所が見解を発表したことだった。そこでは、水素水について以下のように書かれている。
「水素分子はペットボトルなどの容器では時間が経つにつれ抜け出てしまうため、抜け出にくいアルミパウチの容器に入れる対応がとられている。 俗に、『活性酸素を除去する』『がんを予防する』『ダイエット効果がある』などと言われているが、ヒトでの有効性について信頼できる十分なデータが見当たらない。現時点における水素水のヒトにおける有効性や安全性の検討は、ほとんどが疾病を有する患者を対象に実施された予備的研究であり、それらの研究結果は、健康な人が市販の多様な水素水の製品を摂取した時の有効性を示す根拠になるとはいえない。水素分子(水素ガス)は腸内細菌によって体内でも産生されており、その産生量は食物繊維などの摂取によって高まるとの報告がある。従って、市販の多様な水素水の製品を摂取した水素分子の効果については、体内で産生されている量も考慮すべきとの考え方がある」
国立健康・栄養研究所は、大正9年に設立された営養研究所を前身とする、栄養と健康に関する国の研究機関だが、同機関と国民生活センターの見解、およびそれに対する各メーカーの動きについて、どうとらえればよいのか、消費者問題研究所代表で食品表示アドバイザーの垣田達哉氏に話を聞いた。
まず、垣田氏は国立健康・栄養研究所について、次のように解説する。
「厚生労働省の外郭団体なので、同研究所の見解は、国の考え方だと思っていただければいいです。世界中の文献を調べて、そのときどきでホームページに情報をアップしています。事業者は、国民生活センターに対しては反論できますが、同研究所にはできないでしょう」(垣田氏)
そして国民生活センターの発表の重要な点は、医薬品医療機器等法や健康増進法、景品表示法に抵触するおそれがあるので、事業者に対し表示の改善を指導するよう、消費者庁や厚生労働省に求めていた点だという。
■一斉に姿を消した広告
国民生活センターの発表によれば、健康保持増進効果等があると受け取れる、以下のような広告があったと記されている。
「水素は悪玉活性酸素のみを無害化し、水として排出する特性があります。もちろん非常に毒性の高い悪玉活性酸素である『ヒドロキシルラジカル』も無害化してくれる頼もしい存在。水素がたっぷり含まれた水素水を飲むことで、 さざまな症状や老化から身を守ることができるのです」
「水素水を飲むことで血行が良くなり新陳代謝もアップするので、発汗効果があるといわれているそうです。水素水を飲んで代謝が活発化することでダイエット効果も期待できるといわれているよ!! 」
「水素水を摂取すると、水素水に多く含まれて いる水素が体の中の活性酸素を排除し、活性酸素が引き起こしていた老化や様々な生活習慣病、がんなどの様々な病気の予防や治療に効能効果があると期待されています」
「水素が体の中の体に害のある酸素を選んで無毒化する働きがあることが2007年にネイチャーメディシンで最初に発表され、以降世界中で様々な研究が行われ、300報を超える論文で発表されてきたからです。この水素水に含まれる水素の働きにより、体に害のある酸素が引き起こしていた様々な病気の予防や治療に期待され、現在も様々な研究機関がさらな る発展的な研究を重ねているのです」
これらの表現は、国民生活センターの発表以後、姿を消した。
「不当な表示をしていた場合、5000万円以上の売上がある企業は、景品表示法違反で課徴金を取られるため、事業者はそちらのほうが怖いのです」(垣田氏)
回答してくれた事業者のうち、日省エンジニアリングは以下のように水素水の効用を述べた。
「国民生活センターは、その効用効果については一切表示してならず、研究機関が公表した内容や、当社独自の大学との共同研究の記載もしてはならない。つまり単なる水として販売しなさいとの事で、健康でいたいなら薬やサプリメントを飲めと言うことですので効用効果については述べることはできません。しかしながら、弊社は水素水生成器を販売して5年以上経過しており、その間数多くのお客様からその様々な効果について数多くの声が寄せられており、弊社としましても何らかの効果があるものと信じております」
「何らかの効果」という、きわめて遠慮がちな表現だ。
「結局、同じ土俵に上がってないんですよ」(垣田氏)
実証的なデータを掲げて、「水素水には効用がある」と言うのではなく、水素濃度に関するテストに関して異議を唱えているので、本質の部分で噛み合っていないというのだ。
■日本水素水振興協会の見解
日本水素水振興協会という機関がある。2月の事務局だよりとして、国民生活センターのテストに対して、以下のように問題を指摘している。
(1)水素濃度測定器は、少なくとも5社の性能を比較し、専門家の意見を聞いた上で測定に使用するべきだったのではないでしょうか
(2)水素水の濃度について国家基準がないので、仮の基準を定め、その根拠を示すべきだったのではないでしょうか
(3)いきなり19社の水素水濃度を測定するのではなく、相談事例の内、苦情事例が多かった企業にデータ提出を求め確認すべきだったのではないでしょうか
(4)薬事法に抵触する恐れのある企業については厚生労働省か消費者庁に任せるべきだったのではないでしょうか
(5)水素水の相談件数は2011年から2,260件寄せられているが、その内、苦情件数が何件あったのか、かつ内容を明らかにすべきだったのではないでしょうか
(6)調査対象企業は売れている企業でなく、苦情件数の多い企業を対象にすべきだったのではないでしょうか
(7)水素濃度測定は、調査対照製品の取り扱い説明書を確認の上、測定すべきだったのではないでしょうか
同協会に問い合わせて聞いたところ、国民生活センターにアクションを起こすことは考えておらず、自衛のための戦略セミナーを行う、とのことだった。
また事業者からの異議に対して、国民生活センターに質問したところ、追加のテストや発表の修正は行う予定はないとの回答であった。
そして今回、前述のとおり、ついに消費者庁が「著しい痩身効果が得られるかのような表示をしていた」ことが、景品表示法違反に当たるとして措置命令を出すに至ったわけだが、これまで行政に対し強い姿勢で反発していた各メーカーがどのような対応をみせるのかが注目される。
(文=深笛義也/ライター)
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