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FX Forum | 2017年 03月 13日 18:07 JST 関連トピックス: トップニュース
コラム:米保護主義をしのぐドル高の地力
鈴木健吾みずほ証券 チーフFXストラテジスト
[東京 13日] - 2017年に入って以降、円インデックスは横ばいの一方でドルインデックスは上下に振れており、ドル円相場はドルが動かす状況が続いている。
14―15日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ実施を織り込みつつ、ドルは3月序盤にかけて上昇した。ただ、ドル円での1ドル=115円やユーロドルでの1ユーロ=1.05ドルといった心理的節目は明確に抜け切れていない。こうした現状は、米利上げに対する期待と米通商政策に対する懸念がきっ抗している状況を象徴的に表しているかのようだ。
ドルの先行き予想は、この懸念と期待のベクトルのどちらを重視するかで大きく変わってくる。ドル弱気派がその論拠に挙げることが多いのはトランプ米大統領の通商政策だ。その保護主義的な通商政策においてドル高は容認できず、結局はドル安政策を強く押し進めざるを得ないとされる。これに対して、筆者を含むドル強気派の主張は主にトランプ政権の景気刺激策と米連邦準備理事会(FRB)の利上げ政策がドルを押し上げざるを得ないというものである。
確かに、通商政策については、1日に提出された米通商代表部(USTR)の報告書が驚くほどタカ派的だったことから警戒感が増している。同報告書を読むと、米国は今後、2カ国間での自由貿易協定(FTA)を軸に貿易交渉を行い、米国にとって公正な貿易条件獲得のためには相手国への制裁などの圧力を発動させることもあるという。もしこの圧力が世界貿易機関(WTO)の協定違反とされても米国は必ずしもWTOに従う必要はなく、逆に相手国の貿易が公正であるかはWTOではなく米国が判断することも示唆している。かなり前のめりだ。
これまでに示されている米国の具体的な通商政策は、環太平洋連携協定(TPP)からの撤退と北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉ぐらいである。NAFTAについてはロス商務長官が6月頃に向けてメキシコやカナダとの再交渉を開始する意向を示しており、年半ばにかけて注目を集めそうだ。
ドル円にとっては4月から始まる麻生太郎副総理とペンス副大統領の経済対話が事実上、日米2カ国間交渉のスタートとなる。米国は8日、WTOに日本の自動車・農産物の市場開放を求める意見書を提出しており、駆け引きはすでに始まっている状況だ。
<通貨安批判は「けん制球」>
しかし、トランプ大統領自身は為替政策に対する強い意向を実は持っていないのではないかと筆者は考えている。トランプ大統領は貿易赤字削減を志向しており、そのためにはドル安が合理的ではあるが、そもそもの基本的なスタンスは「アメリカ・ファースト(米国第一)」「バイアメリカン、ハイヤーアメリカン(米国製品を買い、米国人を雇う)」だ。
「ラストベルト(さびついた工業地帯)」や「忘れられた人々」の雇用を取り戻すために、米国の工場を閉鎖して海外にアウトソーシングする米国企業を批判し、メキシコで工場建設を予定しているトヨタ自動車に対し「米国内に工場を作れ、さもなくば高い関税を払え」とツイッター上で警告したことは記憶に新しい。
トランプ大統領にとって貿易赤字が悪なのは、おそらく輸入増加によって競合製品が米国製品を駆逐し、輸出減少によって国内産業が縮小すると考えているからだろう。これを変えるために、まず個別のFTA交渉を通じて相手国の輸入障壁を取り払い、米国の製品や農産品の輸入を増加させる。そして、国境調整税の導入も含めて対米輸出の自主規制や米国への直接投資・生産移転を勝ち取るという目算なのではないか。
一時的な通貨安によって貿易赤字が縮小しても非関税障壁などの構造問題が解決できなければ「バイアメリカン、ハイヤーアメリカン」までつながらない。そもそも目的が米国の産業を活性化し雇用を促すことであるから、制度や税制、協定などによる仕組みの変更と構築が重要であって、ドル安といった相場の変動による貿易赤字額の縮小はさほど重要ではないと思われる。
相手国の通貨安誘導などに対する強い批判や攻撃的な発言、WTOへの意見書提出などは、その後の交渉で相手国の輸入障壁を取り去り、米国への投資を勝ち取るための「けん制球」にすぎないと筆者は考えている。
<ドル円の上昇基調は春以降鮮明に>
日本も米国との2カ国間交渉が始まれば一定の譲歩を強いられるだろう。それは、牛肉の関税かもしれないし自動車の輸出数量かもしれない。しかし、金融政策や円安そのものに対する攻撃や影響は、あっても限定的にとどまり、結局は景気刺激策や利上げペース加速期待によるドル高にかき消されてしまうのではないか。
そもそもトランプ政権の景気刺激策はドル高要因として機能するだろう。一定程度はすでに織り込み済みだったとしても、米国経済とFRBの利上げ政策の背中を押す要因となるからだ。
減税案を含む財政政策は、基本的に米国経済を悪化させるものではない。どの程度刺激するのかという「程度の問題」で、少なくとも経済指標は刺激策実施前よりも良好になり、物価も上昇、FRBは基本的には利上げペースを加速させることになるだろう。
織り込み済みとの反応もあり得なくもないが、刺激策の内容が公表され、それが経済に効果を及ぼすまで、1年程度の時間軸の中で景気回復や利上げペース加速が確認されるとみられ、中長期的なドルにとってのリスクはアップサイドリスクの方が大きいことから、結果としてドル円を上昇させる原動力になると考えている。
筆者はこれまで、9月末にかけての予想レンジを1ドル=110―125円とし、「春先にかけては、予想レンジの下半分である1ドル=110―117円、その後はレンジ上半分への上昇」を予想してきた。現状においては、予想よりもトランプ大統領の景気刺激策発表が遅れている印象はあるが、FRBの利上げペースは予想以上に積極的なものになり、これを打ち消している。
上記の通り、米国の通商政策が及ぼすドル安圧力は限定的なものになると考えており、引き続き春以降、ドルの上昇基調がより鮮明になる展開を想定している。
*鈴木健吾氏は、みずほ証券・投資情報部のチーフFXストラテジスト。証券会社や銀行で為替関連業務を経験後、約10年におよぶプロップディーラー業務を経て、2012年より現職。
*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。
(編集:麻生祐司)
*本稿は、筆者の個人的見解に基づいています。
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News | 2017年 03月 13日 18:19 JST 関連トピックス: トップニュース
焦点:金相場は米利上げでも下値不安薄い、欧米政治リスク支え
[10日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)が来週、追加利上げに踏み切るとの見方から、金価格に下落圧力が掛かっている。しかし米欧の政治情勢が不透明な現在、安全資産である金の下落は限定的とみる専門家が多い。
昨年12月半ばの米利上げ後、金価格は10カ月ぶりの安値に沈んだ。来週14、15日の連邦公開市場委員会(FOMC)は追加利上げがほぼ確実視されているが、投資家は前回ほど神経を尖らせていないようだ。
12月の相場下落は、米大統領選でのトランプ氏勝利をはやして株価が上昇したことも背景にあった。しかしトランプ氏の政策がはっきりしない上、欧州各国で控える選挙への懸念もあり、金は底値からいったん約7%反発した。
その後、金は2月24日の高値から約5%下げて現在はオンス当たり1198ドル前後となっている。
UBSウェルス・マネジメント(香港)のアナリスト、ドミニク・シュナイダー氏は「利上げ予想は金相場に織り込み済みだ。(年)4回の利上げ観測が高まれば別だが、当社の見るところ、それはありそうにない」と言う。
シュナイダー氏は「トランプ大統領の政策が失望を誘う可能性はかなり高い。議会が彼の思うように動かないだろう」と付け加えた。
利子を生まない金は、金利が上がると魅力があせる。ドル相場の上昇も、他通貨建ての買い手にとって金価格を押し上げるという難点がある。
<建玉が増加>
COMEXではヘッジファンドなど投機筋による金の買い建玉が今年3倍近くに膨らんだ。しかし絶対水準で見ると2月28日時点で12万1720枚と、2016年7月の28万6921枚の半分にも満たない。当時は投機的な金買いがピークに達し、金価格が2年ぶり高値の1374.91ドルをつけていた。
このためコメルツバンクのアナリスト、カーステン・フリシュ氏は、投機ポジションが巻き戻された時に価格が急落する恐れは小さいとみる。
UBSのシュナイダー氏は、主要国で幅広く物価が上昇していることも、債券の魅力を損ねて金相場を支えると指摘。「価格が1200ドルを割り込んだ水準には実需が存在する」と言う。
英国の欧州連合(EU)離脱や、欧州各国での選挙といった政治リスクも金相場の支援材料となりそうだ。
INTL・FCストーンのアナリスト、エドワード・メイル氏は「フランスの大統領選がFRBの利上げの影響を相殺するだろう。今年はドイツ、オランダ、イタリアでも選挙があり、どれも予想外の結果になる可能性を秘めている」と言う。
デグサ・プレシャス・メタルズ・アジアのマネジングディレクター、マイケル・ケンピンスキ氏は「価格が1150ドルに近付くと力強い実需が確認できる。特にドイツ市民は購入に熱心だ。ドイツでは利上げのことなど話題に上らない。欧州の人々は日々、不透明感に対峙しており、価格が下がればさらに買う」と語った。
(Sethuraman N R記者 Arpan Varghese記者)
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日銀の3月購入計画、1年間で18%のテーパリングを示唆−市場の見方
Masaki Kondo
2017年3月13日 17:05 JST
日本銀行が今月から適用した長期国債買い入れ運営方針を1年間継続すると、年間の購入目標を18%下回ることを意味する。このため、密かなテーパリング開始ではないかとの観測が投資家の間に浮上した。
2月28日公表の3月購入額をその後の11カ月も継続した場合、1年間での購入規模は純額66兆円となり、年間80兆円の保有拡大目標を18%下回る。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の六車治美シニアマーケットエコノミストは、日銀が年間目標を繰り返し引き下げれば明らかなテーパリングのように見えるだろうと指摘。それを望まない場合、目標を年間から月額に変える可能性があると分析した。
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/ipePOrvggJeE/v1/-1x-1.png
原題:BOJ March Plan Would Taper Bond Buying by 18% in Coming Year (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-03-13/OMQRCC6JTSEB01
News | 2017年 03月 13日 14:14 JST 関連トピックス: トップニュース
訂正:アングル:G20のGDP連動債市場構想、主導役不在で停滞
3月10日、G20が債務危機回避の一環として取り組んでいるGDP連動債市場の創設構想が行き詰まっている。香港の両替所前で2015年8月撮影(2017年 ロイター/Tyrone Siu)
3月10日、G20が債務危機回避の一環として取り組んでいるGDP連動債市場の創設構想が行き詰まっている。香港の両替所前で2015年8月撮影(2017年 ロイター/Tyrone Siu)
[ロンドン 10日 ロイター] - 20カ国・地域(G20)が債務危機回避の一環として取り組んでいる国内総生産(GDP)連動債市場の創設構想が行き詰まっている。構想を支持する先進国の中で、率先して発行しようという動きが見当たらないためだ。複数の関係者がロイターに語った。
GDP連動債は、投資家への返済額が経済成長次第で変わる特徴を持ち、景気後退で歳入が減れば返済も少なくなる。つまりある国が経済的に困難な状況に陥っても、例えば最近のプエルトリコなどのようなデフォルト(債務不履行)を避けられる可能性がある。
G20の政策担当者は昨年、同債市場立ち上げを目指すことで合意。国際通貨基金(IMF)に同債に関する専門的な報告書の取りまとめを委託した。
今年に入り、IMFが4月終盤にも公表する報告書の内容がG20の事務方に伝えられた。彼らは3月(訂正)17─18日にドイツで開くG20財務相・中央銀行総裁会議にそうした情報を報告するとみられる。
2人の関係者の話では、IMFはGDP連動債にとって一番の障害は投資家の需要がないことと、そうした債券を発行することで国の評判が悪くなることだ、との見方をG20の事務方に示した。評判が悪化するのは、これまでのGDP連動債が新興国の債務再編において投資家に償却を受け入れてもらうための手段として発行されたケースしかないからだ。
昨年、G20で提唱された計画の1つは、先進国がまず発行して投資家のGDP連動債に対する許容度を高めるというものだった。ところが関係者によると、どの国も真っ先に発行してリスクを引き受けようとしたがらず、計画は頓挫した。
<懐疑的なドイツ>
関係者の1人は、今年のG20議長国であるドイツの国内で、GDP連動債について非常に懐疑的な見方が出ていることも、市場創設の障害だと指摘した。
ドイツでは、投資家にこの先のGDP連動債市場のリスクにさらされるのを甘受してもらうためには、株式より安全な投資先とみなされている同債といえども、政府が支払う必要があるプレミアムがあまりに大きくなるのではないかと懸念する声が多い。
IMFの報告書取りまとめに協力して投資家や潜在的な発行体などの市場参加者への聞き取りを行った投資助言会社ニューステート・パートナーズのラファエル・モリーナ氏によると、市場参加者は関心を持っているが、GDP連動債のメリットや具体的な発行方法を知りたがっている。
モリーナ氏は「GDP連動債の市場が誕生する前に、まだ解決すべき不安要素や疑問が数多く存在する」と話した。
<長い時間必要>
これまでにアルゼンチンは2005年と2010年の債務再編時にGDP連動のワラントを導入したが、景気回復とともに利払いコストが膨らんでいる。
またイングランド銀行(英中央銀行、BOE)はGDP連動債の法的枠組み整備を進める作業を主導してきたとはいえ、英国経済の道筋が欧州連合(EU)離脱によって不透明化している以上、同債の妥当性を証明できそうにはない。
先月にはシンクタンクのCIGIが、米国こそGDP連動債の先鞭をつける条件が最も整っていると提言した。ただ米国経済を犠牲にして他国がより恩恵を受けるような市場を育成しようとすれば、トランプ大統領が掲げる米国第一主義と衝突する、と関係者は予想する。
フランスはユーロ圏で初めて物価連動債を販売し、調達資金を環境対策に限定するグリーンボンドもいち早く発行した実績を持つ。それでもある政府高官は、大統領選と議会選が迫り、政権交代が見込まれている中ではGDP連動債の発行は視野に入ってこない、と述べた。
歴史を紐解けば、新しい債券の市場が相当な規模に達するには何十年もかかる可能性があることが分かる。物価連動債は英国が1980年代初めに発行を開始したが、米国とフランスが追随したのは1990年代終盤で、そこでようやく一定規模を確立した。
(John Geddie記者)
*見出しを修正します。
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