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ガス自由化に伴い、きっと様々な料金プランが登場するだろう。スマホも光回線もそうだが、その中から「おトク」な料金プランを見つけ出すのは難しい
スマホや電気の料金プランにどれも「おトク感」がない理由
http://diamond.jp/articles/-/120548
2017.3.10 鈴木貴博:百年コンサルティング代表 ダイヤモンド・オンライン
■ガス自由化で混迷に拍車?
世間に溢れる料金プランは複雑すぎる
いよいよ4月から始まるガス自由化。東京電力は日本瓦斯(ニチガス)と提携して、東京ガスの販売エリアで都市ガスの供給を始める。関西でも関西電力がガスの販売に参入する。自由化による各社の競争の中で、「ガス料金が今までよりも安くなるのでは」と期待されている。
昨年4月に実施された電力の小売自由化でも、首都圏では東京ガスをはじめ、インターネットプロバイダや中国電力など他地域の電力会社が参入した。
しかし、自由化で価格が安くなるのはいいのだが、多くのプランが入り乱れて「いったいどこから電気を買うのが安いのかわからない」という声が多く上がった。その状況は、今回のガスの自由化でさらに混迷しそうだ。
電力の場合、そもそも毎月の使用料が変動することもあり、契約時に試算した電力料金の比較通りには安くならないという人も頻出した。
それに加えて、さらに比較をわかりにくくしているのが「セット割」だ。価格コムなどの比較サイトを使う際にも、ガス、電気、光回線、スマホ(携帯電話)、ガソリンスタンド、ケーブルテレビ、ポイントや電子マネーの還元を事細かに入力して比較しなければ、どの会社のプランが自分にとって「本当におトク」なのかがわからない。
直感的には、電気とガスとインターネットをまとめたプランにした方が、それぞれを別々に購入するよりも安くなるような気がするのだが、実際に比較サイトに情報を入力して、筆者の自宅の近辺で自宅の電力使用量を前提にして詳細に比較すると、結局は中国電力から電気を買ったほうが安いという結果が出たりする。
さて、そこで今週の本題だ。日本には料金プランが溢れすぎている。なぜ「最もおトクなプラン」を簡単に探すことができないのか。そこには、我々コンサルタントも関係するある理由が存在する。コモディティ(他の商品と品質の差がない商品)の販売競争では、なるべく価格を比較しづらい料金表をつくることが重要なのだ。
このセオリーは、私の場合は1990年代の中盤くらいに当時勤務していたコンサルティングファームの研修で、アメリカのコンサルタントから手ほどきを受けた記憶がある。日本だけでなくどの国でも、この手法は広まっている。なるべく料金プランを複雑にした方が消費者が比較できなくなるため、販売する側が価格競争に巻き込まれなくなる。そのような「経営理論」が蔓延して、その結果、どこの国のどこの会社でも、どの商品・サービスの販売プランでも複雑化してしまったのだ。
2000年代に入ると、イギリスのヴァージングループの『ヴァージン・モバイル』が、消費者が複雑な料金プランに辟易していることを突き止め、「シンプルな価格プラン」を提案してシェアを伸ばしたこともあった。が、結局のところそれが成立したのは、他社が追随せず、シンプルな価格プランと複雑な価格プランのどちらが得なのか、誰もわからなかったからである。
世の中は、ヴァージン・モバイルが提案したようなシンプル化ではなく、相変わらず90年代に編み出された複雑なプラン化の方に突き進んでいる。なにしろ、複雑にしてしまったほうが価格競争に巻き込まれずに済むという、企業にとってのメリットが大きいのだから。
■セットで「おトク感」を出す
ジャパネットたかたの販売戦略
お気づきかどうかわからないが、この手法を家電業界に持ち込んで大成功したのがジャパネットたかただ。
ただデジカメを売るだけなら、ヤマダ電機やビックカメラとの価格競争になる。そこでジャパネットたかたは、デジカメを売る際にプランで売った。デジカメ単体ではなく便利にその場でプリントできるデジカメプリンタ付きで売る。プリント用紙もケーブルもセットになる。
これを通販業界独特の「セットでお得感を出して売る」売り方と捉えることもできるのだが、ただオマケを付けて安く売っているだけではなく、必要なものをセットにしたプランとして売ることで、他の小売店とは単純な価格比較をしづらくするという点も重要なのだ。
同様に家電小売業界では、近年、長期保証を売ることが流行になっているが、アメリカでは保証はもっと複雑で多様なプランを小売店が用意する。これも比較をできなくする工夫である。
旅行業界の通販サイトの「じゃらん」と「楽天トラベル」も、よく見ると宿を売っているのではなくプランで売っている。だから大阪に出張する際にどのホテルが安いのかを、単純に比較することは難しい。
朝食付きかどうかだけでなく、アーリーチェックアウトだと安いとか、夜食になべやきうどんが付いているとか、女性向けのアメニティセットが付いているとか、プランによって内容と価格が違う。同じホテルも「じゃらん」と「楽天トラベル」のプランが違うので、どちらで予約をすればいいのか比較できなかったりする。
究極的なことを言うと、このような世界では「どっちがおトクか比較しよう」と考えるのは労力の無駄かもしれない。なにしろ「比較ができないようにしよう」とプロが必死になって考えた複雑なプランが、世の中には蔓延しているからだ。
■消費者は原理原則で対抗せよ
惑わされないための2つの心得
それに対峙する消費者は、計算力ではなく、もっと大きな原理原則で対抗すべきである。例えとして2つだけ、考え方のヒントをお教えしよう。
1つは、おトクな理由が見つかるかどうかだ。おトクなものはおトクにできる理由があるはずだ。たくさん集客したい、とにかくにぎやかな状態にしたい。だからキャンペーンでびっくりするほどおトクなプランを提示するというのなら、ウラはないだろう。安い理由が何となくわかるものに関しては、警戒を解いて手を伸ばしても構わないという考え方だ。
そしてもう1つは、それが必要かどうかで考えること。いくら電気やガスの料金が安くなると言っても、普通はそのために携帯を買い換える必要はないだろう。ホテルの夕食プランがおトクだと言っても、「せっかく大阪に行くのだったら行きたいお店がある」という人は、そのプランを選ぶ必要はない。
スマホという比較に便利な手段が誕生した結果、比較しにくいプランが蔓延したのだ。我々はそのような世界で暮らしているのだと諦めて、原理原則を念頭に置いて生きていく以外、解決策はない。
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