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現金好きの国民 知ってほしいコツコツ投資(渋沢健)
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2017/3/6 NIKKEI STYLE
「日本人が現金好きな国民になった原因は株式投資への不信感かもしれない」
長期投資を始めるとしたら、これまで史上最悪だったタイミングと市場はどこであろう。それは日経平均株価が過去最高値をつけた1989年12月末の日本の株式市場ではないだろうか。そのタイミングで日経平均に連動しているファンドを一括購入していたら、27年間を経た今の損益はおよそマイナス50%。一度もプラスになったことがない最悪の長期投資である。
一世代の時を経ても、このトラウマを抱えている日本人はいまだに少なくない。日本人が現金好きな国民になってしまった原因は、この株式投資への不信感かもしれない。日銀の資金循環統計によると、日本の家計は金融資産に占める現預金の比率は52.3%(2016年9月末時点)。これに対し、米国は14.2%(同)、ユーロ圏でも34.6%(16年6月末時点)にとどまる。
■積み立て投資ならマイナスがプラスに
また、同統計によると、日本の家計の金融資産に占める株式の比率は8.6%で、米国の35.4%、ユーロ圏の16.3%を大きく下回る。日本人は自分たちの老後生活に必要な資産づくりへの関心が低いと思わざるを得ない。この傾向が、金融資産の大半を保有する年金生活のライフステージに入っている世代のみならず、将来の自分の生活、子供たちの教育費などを考えなければならない現役世代まで浸透しているのであれば、深刻な問題だ。
けれども、「経済成長が乏しく、長期投資の成功体験がない国だからしょうがないじゃないか」。そんな諦めの声もあるだろう。しかし、諦める必要は全くない。ちょっと視点を変えるだけで、異なる世界観が見えてくる。
仮に、89年12月末に一括ではなく、毎月定額を買い付ける「積み立て投資」を日経平均連動型ファンドで始めたとしよう。一括購入の場合はマイナス50%であったが、積み立て投資の場合、現在の利益はおよそプラス40%になる。
全く同じ期間で、全く同じ金融商品で、全く同じ運用環境において、これほど差が出るのである。これは魔法ではない、れっきとした長期投資の手法である。教科書では「ドルコスト平均法」と記されていて、何十年も前から確立されている投資手法だ。
毎月定額を買うことにより、価格が下がった局面ではより多くの口数を買い付けているが、価格が上がった側面ではより少ない口数を買い付けている。安いときに多めに買って、高いときには少なく買う。これは投資の鉄則といえる。
2月下旬の「東証IRフェスタ2017」で、2010年に結成した「草食投資隊」のメンバーである、セゾン投信の中野晴啓さん、ひふみ投信の藤野英人さんと登壇した
毎月自動的に投資信託などを買い付ける積み立て投資の口座を開設すれば、その時々の自分の相場観から生じる欲望や恐怖に惑わされることなく、コツコツと少額を買い続けられる。これを長期的に継続することによって、景気や相場の波を楽に乗り切れる手法だ。
分散は投資における鉄則であるが、積み立て投資は仮に一つの商品や資産クラスであっても、時間の分散がいかに運用成果に有効的であるかということを示している。
時間とは我々にとって、最も大切な資産である。しかしながら、毎日使わないと減ってしまう資産である。失った損失はその後、取り戻せる手段が多々あるが、失った時間は二度と取り戻せない。時間とは使うことによって生きてくる資産であり、積み立て投資はそれを実現する最も有効な手段といっていい。
積み立て投資の魅力をもっと大勢の日本人に知ってほしい――。こうした思いから仲間たちと創業したのがコモンズ投信である。
昨今、「積み立てNISA(少額投資非課税制度)」も導入が決まり、とてもよい流れになっていると思う。「10年以上の税優遇措置は前代未聞」という常識の壁を乗り越えることに従事した政策関係者には心から敬意を示したい。
■長期投資は手数料の安さだけではない
ただ、販売会社や運用会社からはそれほどの熱意は感じられない。積み立てNISAは「手間がかかる割にはもうからない」と思っているからであろう。長期投資を前提とした積み立てNISAは、信託報酬などの手数料が安い株価指数に連動したインデックス型ファンドに任せておけばいいという風潮さえ感じる。
業者がもうからない(手数料が安い)ファンドは、長期投資に向いているという事実はその通りだろう。それを理解している個人投資家はインデックス型ファンドを絶賛する。運用コストが高いことが長期投資の運用成果の足を引っ張るのは明白なので、そこには議論の余地はない。
金融技術革命を生み出す拠点として活動している東京・大手町の「FINOLAB」で2月初旬に開かれたリニューアル・オープニングレセプションで講演した
しかしながら、運用コストだけで判断するのは最適ではない。長期投資は何より持続的な価値創造を実現している対象に投資することが不可欠だ。過去30〜40年間、米国の企業は新陳代謝によって成長し続けており、S&P500種株価指数は右上がりだ。一方、同じ時間軸でありながら日本の企業は米国と比べると新陳代謝が活発とはいえず、日経平均は長期的に低迷している。
長期投資に最適なファンドとは、適度に低い運用コストに加え、持続的な成長が見込める対象に投資しているかによって選別すべきである。
渋沢健(しぶさわ・けん)
コモンズ投信会長。1961年生まれ。83年米テキサス大工学部卒。87年カリフォルニア大学ロサンゼルス校MBA経営大学院卒。JPモルガンなどを経て、2001年に独立し、07年コモンズ株式会社(現コモンズ投信)を創業、08年会長就任。著書に『渋沢栄一 100の金言』(日経ビジネス人文庫、2016年)など。
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