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グローバル企業はなぜ貧しい母子を見殺しにしたのか 自分の子や孫を「貧困層」に落とさないために 将来の年収、大学よりも父親
http://www.asyura2.com/17/hasan119/msg/726.html
投稿者 軽毛 日時 2017 年 3 月 05 日 22:25:02: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 

グローバル企業はなぜ貧しい母子を見殺しにしたのか
大企業への告発を描いた映画『汚れたミルク』が日本で世界初公開
2017/03/02
小川たまか (ライター・プレスラボ取締役)
 映画『汚れたミルク/あるセールスマンの告発』は1990年代から今も続く事実に基づくフィクションだ。2014年の完成後、海外の映画祭では何度か上映されたことがあるが、その後、公開されることがなく、今年になって世界で初めて日本での公開が予定されている。

 公開が遅れた理由は、作品を見ればすぐにわかるだろう。この作品は、あるグローバル企業に対する1人の労働者の告発を描いている。彼はこの告発のために脅迫を受け、祖国に帰れず、家族とも離れて暮らすことになった。


『汚れたミルク/あるセールスマンの告発』は3月4日公開予定
(公式HP http://www.bitters.co.jp/tanovic/
『汚れたミルク/あるセールスマンの告発』あらすじ
1997年.ある大手グローバル企業が、パキスタンで粉ミルクを強引に販売したことによっ
て、不衛生な水で溶かした粉ミルクを飲んだ乳幼児が死亡する事件が発生した。セールスマンのアヤンは、自らが販売した商品が子どもたちの命を奪っていることに気づき、世界最大企業を訴えようとする。アヤンの前に立ちはだかる、途方もなく巨大な権力の壁。しかし、男は人生の全てを投げ打って立ち向かう。子どもたちを守るため、そして愛する家族のために――。これはパキスタンで実際に起こった事件を基に描かれる、隠された真実の物語。
WHOが粉ミルクより液体ミルクを推奨する理由

 日本では昨年末、液体ミルク解禁のニュースが報じられた。今年に入り、国内販売開始について2020年を目標とすることが発表されている。

 液体ミルクは常温で保存することが可能で、粉ミルクのようにお湯で溶く手間がかからない。熊本地震の際に特例としてフィンランドから液体ミルクが贈られたことが話題となったが、緊急時の備蓄用のほか、外出時の負担削減などのために販売を求める声が挙がっていた。※ミルクは始めから液体では…と思われる方もいるかもしれないが、“粉”ミルクとの比較で“液体”ミルクと名付けられている。

 実はWHO(世界保健機関)は、日本では一般的な粉ミルクよりも液体ミルクや母乳を推奨している。これは主に発展途上国に対する啓発だ。

 映画の中では下水道が整備されていない地域で、衛生的ではない水で粉ミルクを溶く母親の姿が登場する。ミルクを与えられた乳児は下痢などの症状を起こし、命の危険にさらされる。母親たちは大手グローバル企業(※)の販売する粉ミルクは質が良いと医師から勧められていた。

(※)作中に実名が登場する。インターネット上でもすぐに検索できる。

 発展途上国における粉ミルクの危険性は不衛生な水だけが問題ではない。貧しい家庭では、粉ミルクを節約するために薄めて使ってしまうことさえあった。もちろん、これでは乳児が必要な栄養分を接種できず、栄養失調につながる。さらに、粉ミルクだけを与えることが続くと、多くの場合、母親は母乳が止まってしまう。粉ミルクを買うお金がなくなった母親が母乳を与えようとしたとき、母乳が出なければ乳児は栄養を摂ることができなくなる。

 海外では、メーカーが無料配布した粉ミルクのサンプルを使ったために母親の母乳が止まり、深刻な事態に陥ったケースも報告されている。このため、WHOは粉ミルクメーカーが母親たちに直接接触することについて注意喚起を行っている。


「メーカーがこの映画の公開を好ましく思っていないことは確か」

 映画の主人公アヤンのモデルになったのは、現在トロントに暮らすサイヤド・アーミル・ラザ・フセイン氏だ。フセイン氏にスカイプで共同取材を行い、いくつかの質問をした。

 この映画で糾弾されているグローバル企業がパキスタンで粉ミルクを販売する際、医師や母親に対して「衛生的な水を使う」「薄めてはいけない」「母乳が出なくなる可能性がある」などの指導を行うことはなかったのだろうか。賄賂を受け取って母親たちに粉ミルクを進めていた医師は、この危険性に気づいていなかったのだろうか。

 フセイン氏は、母親たちに対する指導は「全くなかった」と答えた。

 「医者たちは(下水道が整備されていないパキスタンでは)母乳が一番良いことはわかっていたが、情報を分かち合うことはなかった。記憶にある限り、母親たちに情報を伝えるプログラムはなかった。ただ、それにもかかわらずベビーショーなどで母親たちに接触し、『賢い子になりますよ』と言いながらサンプルを渡す行為は、違反行為にもかかわらず行われていた」(フセイン氏)

 また、彼が務めていたグローバル企業は日本でも展開しているが、日本国内での粉ミルクの製造販売は行っていない。このことと、世界で初めて公開が決まった国が日本であることについて関連があると思うかを聞いた。

 「関係はないと思うけれど、理由の一部なのかもしれない。少なくとも、メーカーがこの映画の公開を好ましく思っていないことは確かだと思う。当初の予定ではインドや中東で公開される予定があったけれど、とにかく公開が決まったことがうれしい」(フセイン氏)

 このグローバル企業は児童労働などの問題でも糾弾され、国際的なイメージは非常に悪い。しかし日本ではほとんど報じられておらず、関心が払われていない。また、映画内ではこの企業だけではなく、他のグローバル企業でも同じことが行われている可能性があることも示唆されている。

「巨悪の出どころは、強さではなく、弱さ」

 映画のパンフレットには、このような社会問題をどうやって「説教臭くならずに」伝えるかが大きな課題だったと書かれている。妻子を愛する普通の市民だったフセイン氏が大企業との闘いに身を投じていく姿が違和感なく描かれている。


 試写を見たという、液体ミルクの国内販売を求める「乳児用液体ミルクプロジェクト」代表の末永恵理さんからはこんな感想が寄せられた。

 「構成が面白い映画で、社会派だけど居心地悪くならず楽しみながら観られました」

 「観客は主人公の成功を追体験し、その成功を手放し家族を危険にさらすことの過酷さも目の当たりにします。これは同時に、粉ミルクに関わる社員や医師たち全員が突き当たる壁でもあります。(悪から)目をそらす一人ひとりの弱さが集まったとき、赤ちゃんを死に追いやる巨悪に化けてしまうのです」

 「巨悪の出どころは、強さではなく、弱さである。目をそらす弱さが、ときに、さらに弱い人への暴力になり得る。だから、まずは自分が、目をそらさずに見つめること。特殊な状況を描いた映画ですが、そこから浮かび上がるメッセージはとても普遍的で共感できて、自分の糧にしたいと感じるものでした」

 「ちなみに、衛生状態のよくない場所では粉ミルクはリスクとなり、液体ミルクの普及が本気で命を救えることも良く分かる内容となっていますよ」

 弱さは誰の中にもあるものだろう。この映画で描かれる事実は「遠くの貧しい国で起こったこと」ではない。

 フセイン氏の告発はすでに20年近く昔のことだ。しかし作品を最後まで観れば、この問題が昔のことではなく、今現在も続いていることがわかるだろう。

『汚れたミルク/あるセールスマンの告発』
© Cinemorphic, Sikhya Entertainment & ASAP Films 2014
3/ 4(土)より、新宿シネマカリテほかで全国順次ロードショー。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/9015


 
自分の子や孫を「貧困層」に落とさないために私たちができること=山田健彦

2017年2月28日 ニュース

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教育水準と将来の収入には、高い相関関係があるとされます。自分の子どもや孫が経済的に困窮しないように、と願うのは人情でしょう。ただし、いま議論が活発化している「教育無償化」だけに頼っていては、片手落ちになるリスクがありそうです。(『資産1億円への道』山田健彦)

「我が子の生涯賃金」は何に左右されるのか。最重要の要素とは?

活発化する「教育無償化」をめぐる議論

誰しも自分の子どもや孫が健康でいられると同時に、経済的に困窮しないようにと願うのは世の常だと思います。

さて、教育水準と将来の収入には高い相関関係がある、というのが定説になっています。文部化科学省の調査でも、

両親の収入が高いほど4年制大学への進学率が高くなる
どのような学校段階に進んだかは、卒業後の就業状態や所得に影響を与える
とあります。

貧困により高校、大学、あるいは大学院へ進むことができないのは、本人にとってのみならず、国にとっても大きな損失です。このような社会的問題がクローズアップされて、教育費の無償化をめぐる議論が国会で活発になってきました。

【関連】安倍政権の命取りに?森友学園小学校の地下に眠る「最大のタブー」=近藤駿介

国会での議論がアテにならない理由

国会では教育無償化を実現するにあたって、憲法改正が必要/必要ナシなどの議論があり、かたや財源確保でも各党の主張はバラバラで、一致する点を見いだすのは容易ではなさそうです。

教育無償化は授業料などを免除する政策ですが、その範囲をめぐっては就学前の幼児教育から大学や大学院を含む高等教育までと幅広く、一口に無償化と言っても、その対象をどこで線引きするかによって国の財政負担額は大きく変わります。

現行憲法では「義務教育は無償」とする規定はありますが、就学前の教育や高等教育には何も言及していません。「改憲が必要」とする人たちは、政権が代わっても教育無償化が維持されるために改憲の必要性を主張しています。

必要な費用は、各党の見積もりベースで3.5兆円から5兆円と幅があります。その中で最も高い比率を占めるのが、大学や大学院などの高等教育にかかる負担額。文部科学省などによると、全国の大学や短大が学生から集めている年間授業料が約3兆1千億円に上り、無償化にはこの程度のお金がかかることになります。

安倍首相が1月の施政方針演説で意欲を示したのは、高等教育の無償化です。政府は来年度予算案に大学の給付型奨学金創設で70億円を盛り込みましたが、無償化実現には遠く及ばない金額です。

Next: 「大学の選択=高等教育は将来の賃金に影響しない」米経済学者の主張

将来の年収に影響するのは大学よりも父親?

一方では、反対論もあります。代表的なのは、「大学教育をすべて無料にするとか、返済不要の奨学金を広く用意すると、自分の学費と生活費を親から面倒を見てもらっている人は得をする。対して、家計を支えるために、大学なんぞにいっておれない人々に対しては増税などで負担増を強いるだけではないか」というものです。このように、社会制度が教育制度やその成果に与える影響を研究するのを「教育社会学」と呼ぶそうです。

もう1つ、メディアではほとんど報道されていませんが、「教育経済学」的見地からの議論もあります。慶応大学SFC(湘南藤沢キャンパス)の教育経済学者・中室牧子准教授の研究によると、「どの高校や大学にいっても、将来の年収に影響しない」「父親が勉強を見ると、子どもの学習時間は長くなる」そうです。
※参考:「じつは学歴で年収は変わらない」日本の教育を変えるエビデンス・ベーストとは? 中室牧子さんに聞く – The Huffington Post

教育社会学と教育経済学の違いですが、中室准教授は「教育社会学は、教育格差や不平等に注目し、親の所得や子どもの学力との関係を分析します」「教育経済学では、子どもが自分で選べない“親”や“遺伝”などの影響を制御したうえで、子どもの学力を上げるために、私たちに何ができるのかを分析します」と言っています。

教育経済学の代表的な成果としては、米国プリンストン大学の経済学者らが「大学の選択は将来の賃金に影響しない」ことを明らかにしています。この結果を踏まえ、米国では高校の進路カウンセラーは生徒に「偏差値で大学を選ばずに、何をやりたいのかで選ぶことが大事だ」とアドバイスしているそうです。

生涯賃金に影響を与えるのは、5歳以下での教育かもしれない

どこの大学に行くのかで将来の収入に影響が出ないのなら、いったい何が影響を与えるのでしょうか。

アメリカでは、「5歳以下の教育や健康への投資が、生涯に渡って大きな影響を与える」という研究が多数報告されているとのことです。子どもや孫に、学習する習慣を身に着けさせることも大事です。

中室准教授の調査によれば、「親が勉強時間を決めて、子どもに守らせる」「親が勉強を見ている」と、子どもが自ら学習する習慣を身につけるそうです。調査では「父親が、机に座って勉強を見ている」場合に、もっとも学習時間が長くなる傾向が見られました。

また親ではなく、大人が子どもの勉強を見た場合でも、子どもの学習時間が増える結果が得られたとのことです。親や大人の行動によって、子どもの学習時間は変わるのですね。

また、中室准教授は「『親の学歴・収入が高いほうが、子どもの学力が高い』という相関関係を明らかにした研究成果とも照らし合わせると、下位層の子どもの保護者の学歴や収入は、高くないと考えられます。貧困の世代間連鎖は、深刻な社会問題です。これを断ち切るために、下位層の子どもたちの学力をどう上げていくかが重要です」と述べています。

どのようにすれば子どもたちの学力が伸びるのかを調べることなく、「教育の無償化」のみに焦点を当てている今の国会の議論には、ちょっと問題があるのではないでしょうか?

なお筆者のブログにも補足で、シカゴ大学のジェームズ・ヘックマン教授(2000年、ノーベル経済学賞受賞)の研究について載せています。

【関連】高等教育無償化の財源に?「教育国債」にひそむ日本の問題点=久保田博幸

【関連】さらに貧困化する日本人。「エンゲル係数急騰」本当の理由=内閣官房参与 藤井聡

【関連】春が来た!「国の教育ローン」を使いこなす11のポイント=新美昌也

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『資産1億円への道』(2017年2月22日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
http://www.mag2.com/p/money/34826
 

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