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名鉄百貨店メンズ館の前にそびえ立ち、道行く人びとを睥睨するナナちゃん。可愛い名前に似合わない貫禄と風格のある待ち合わせスポット(撮影/写真部・堀内慶太郎)
「家訓は貯蓄」「合コンは割り勘」「車移動だからおしゃれしない」――日本一の“嫌われ”都市・名古屋とは?〈AERA〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20170301-00000108-sasahi-life
AERA 2017年3月6日号
「230万都市の田舎」「ケチで見えっ張り」「排他的」「ミーハー」──。そんなふうに揶揄される名古屋。実際はどうなのか。
「名古屋」と聞くと、あなたは何を想像するだろうか?
東京と大阪という2大ライバル都市の狭間に位置しながら、どちらにも引っ張られることなく独特の文化を誇る日本第3の都市。戦国大名が覇を競った時代から、トヨタが盤石な経済圏を築く現代まで、名古屋人の自信は確かな根拠に裏打ちされている。愛知県は各界で活躍する著名人が輩出しており、それも同郷人のプライドをくすぐる。
しかしその自信が、周囲の目には「上から目線」「自分のことばかり」と映ることもしばしば。「豊田佐吉(トヨタグループ創始者)は静岡出身」との静岡県民の声もあった。
味噌煮込みうどんのように濃厚で、あんかけのようによく絡む。名古屋という巨大な謎を解く鍵は、どこにあるのか。
●都会と田舎あわせもつ
名古屋近郊で生まれ育ち、名古屋市内の病院に勤務する医師の女性(35)は、4年前に結婚した。夫の実家も名古屋市内だ。結婚と同時に、市内に一軒家を購入。資金は親が支援をしてくれた。2年前に出産。夫婦共働きで、子育てをしている。週末には、名古屋近郊に住む自分の親から電話がかかってきて、頻繁に会う。夫の実家にも、月に1回くらいは訪ねていく。
買い物はだいたい栄へ車で行く。名古屋市内でメインの買い物スポットは栄か名駅(名古屋駅)の二択だ。「選択肢がありすぎなくてちょうどいい」のだ。コンパクトな街なので、栄を歩いていると、中高の同級生や大学の同期など知り合いに偶然よく会う。
「名古屋のよいところは、まとまり感。街もまとまっているし、人間関係もまとまっている。同じコミュニティーが続いて、ずっと仲がいい。住んでいると不満はないし、他のところに住みたいとは思いません」
人口230万人を抱える都市の一方で、コミュニティーが狭く地縁や血縁が強い、田舎のような特徴を持つのが名古屋だ。
女性向けの情報紙などを発行する名古屋リビング新聞社の中島幸子さん(53)はこう話す。
「名古屋は都会の良さと田舎の良さをあわせもった街。とても住みやすいですね」
福岡で生まれ育ち、仕事の都合で約20年前に名古屋へ引っ越してきた。来たばかりのころは、名古屋の人は閉鎖的で、外から来た人を警戒している感じがしたが、暮らすうちに、
「いったんなじむと、懐が深くて、住みやすい」
と印象は変わった。
●就職ならトヨタ系
例えば昨年のこと。仲間たちと熊本・大分復興支援チャリティーイベントを大須のお寺で開催すると、地元の人たちが200人ほど参加。
「名古屋人の心意気を感じました」
と、中島さんは笑顔を見せる。
都会なのに、田舎。閉鎖的なのに、外の人を受け入れる。そんな名古屋人を生み出す素地にあるのが、製造業が支える名古屋圏の豊かな経済だ。
「名古屋圏はトヨタ系企業をはじめとして、多くの職があります。そのうえ土地や物価も東京と比べて安いので、豊かな生活ができます」
と、名古屋近郊在住で、就活支援やコミュニティー活性化の研究を行っている大学教員の今永典秀さん(35)は説明する。
名古屋で生まれ育った今永さんは大学卒業後、東京の大手金融機関に就職したが、結婚を機にトヨタ系企業に転職し、名古屋に戻ってきた。その後、通っていた社会人大学での地域活動に取り組んだことをきっかけに大学に移った。
「妻は名古屋で仕事をしているし、家族は名古屋にいる。それなら、自分が転職をして名古屋へ戻ろうと思いました。名古屋のほうが経済的にも生活の面でも暮らしやすい」(今永さん)
刈谷市で生まれ育ったYさん(34)は名古屋大学に進学し、新卒で地元のトヨタ系の企業に就職。大学は経済学部だが、「企業に就職するなら、トヨタ系企業一択だった」と話す。Yさんが育った刈谷市には、デンソーやアイシン精機、豊田自動織機といったトヨタ系の企業がたくさんある。
「会社といえばトヨタ系と、子どもの頃から考えていました。地元の高校の友達は、6〜7割がトヨタ系企業で働いているのではないでしょうか」(Yさん)
●家訓は「貯蓄せよ」
愛知県の製造業従事者数は全国1位。製造業は大手だけではなく中小企業などの裾野が広い。そのため、家業を継ぐ人が多いのも、名古屋の特徴だ。
「名古屋に帰ってきて、家業を継いでほしい」
名古屋市内の名門私立高校を卒業後、慶應義塾大学に進学、大手自動車メーカーに就職して東京で暮らしていた男性(38)は10年前、機械部品商社を経営する父親に、そう請われた。
「兄貴が家業を継ぐと思っていましたが、それでもいつかは名古屋に戻ると思っていました。友人も家業を継ぐ人が多い」
●合コンは割り勘
経済的に豊かである一方で、名古屋人は「ケチ」と言われることが多い。なぜか。
都道府県別貯蓄現在高(2人以上の世帯)で、愛知県は全国4位。貯蓄の主な目的はマイホーム。前出の中島さんは、
「家計簿のコーナーに寄せられる8割くらいが、マイホームのために貯蓄をしたいという相談です。20代や30代前半で1千万円の貯蓄がある人もいますね」
と話す。
前出の今永さんは名古屋に帰ってきて次の年にマンションを購入。
「名古屋郊外だと1千〜2千万円で買えます。市内中心部でも4千万もかかりません。家を買えば、他に特に使うこともないのでたまっていきます」
前出のYさんはこう話す。
「貯蓄をしておけ、というのが我が家の教えです」
子どものころからお年玉は貯金するように親から教えられた。就職してからは、一軒家を購入したいと住宅積立も始めた。毎年海外旅行に行くが、今は実家暮らしということもあり、
「貯蓄はたくさんある」
と明かす。
名古屋市内の大手航空機メーカーに勤務する会社員男性(33)は4年前に結婚、市内の中心部に3LDKの新築マンションを3千万円で購入した。その後も貯蓄を続けているが、
「目的は特にないけれど、貯蓄はするものだと思っている」
という。
目的はなくてもとにかく貯蓄にいそしむ。そのために、「ケチ」といわれてしまうこともあるようだ。
「トヨタの人と合コンをするといつも均等に割り勘。東京の人はおごってくれるのに。稼ぎはいいのに、何であんなにケチなの?」
と、名古屋出身で今は東京に住む会社員女性(30代)は、20代で名古屋に住んでいたころの合コンを振り返り、呆れる。
前出の今永さんはこう話す。
「東京では都心に出かけるとみんながおしゃれをしていますが、名古屋はそうでもない。それに車に乗って出かけることが多いので、特におしゃれをしなくてもデートは成り立ちます」
一方、
「名古屋は生活都市。親の支援を得られやすいし、安定して、気心の知れた人たちがいるので、生活しやすい。高校の同窓会も毎年ありますが、家族で集まることが多いですね」
と話すのは、北名古屋市出身で名古屋市内の大学に通い、仕事の都合で今は京都市内に住む大学教員の男性(41)。両親の実家は、名古屋近郊の農家だ。
「家が大きいので、子どもの頃は親戚一同20人くらいがお正月やお盆に集まった。いとこの結婚式は家で開いて、菓子まきをしました」
●家族親族を大事に
愛知県の婚姻率は東京、沖縄に次ぐ全国3位。出生率も沖縄、滋賀、福岡に次ぐ4位だ。家族やコミュニティーを大切にするという特徴があるのだ。
製造業を背景にした「家業」に支えられた親子の絆、貯蓄や一軒家の所有、車移動だからおしゃれはしないという合理性。
他の都市とは異なる名古屋の独自性は、こういうところから生まれてくると言えそうだ。(編集部・長倉克枝)
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