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プレミアムフライデーと「滅びゆくローマ帝国」 将来の不安など忘れてカネを使うのが幸せなのか?(写真=Thinkstock/Getty Images)
プレミアムフライデーと「滅びゆくローマ帝国」 将来の不安など忘れてカネを使うのが幸せなのか?
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170301-00000022-zuuonline-bus_all
ZUU online 3/1(水) 17:40配信
「働き方改革」
「プレミアムフライデー」
新聞やテレビでは耳当たりの良い言葉が繰り返される。過労死、ブラック企業の問題を受け「政府は国民の労働環境を改善するために懸命に取り組んでくれている」表面的には確かにそのように受け止めることもできるだろう。
しかし、銀行員は政治家が思うほど暇ではない。銀行員の私には午後3時に仕事を終えることなどできっこない。苦々しい思いで一杯だ。
それはともかく、私にはこのプレミアムフライデー、「働くな」「残業するな」「カネは貯めずに浪費しろ」と命じられているようでどうにも釈然としない。率直に言って余計なお世話だ。そもそも、働き方・生き方に対する考えは、人それぞれではないのか。なぜ、そんなことまで政府にコントロールされなければならないのだろうか。
■プレミアムフライデー、楽しんでますか?
「今日はプレミアムフライデーですが、いつもの金曜とは違って特別な予定はありますか?」テレビのワイドショーでは、レポーターがこんな街頭質問を繰り返し投げかけていた。
政府が経団連などと連携して導入したプレミアムフライデー。月末の金曜日は仕事を早めに切り上げ、夕方から買い物や飲食、旅行を楽しもうという消費喚起策だ。2月24日、この日は初めてのプレミアムフライデーということもあり、マスコミはこぞって取り上げていた。
だが、上記のインタビューに答えていた人たちの多くが、現役を引退したと見られるシニア世代や学生だったのは、ご愛嬌だろうか。それとも何かの皮肉だろうか。そんなふうにさえ思えてくる。
■何のための「働き方改革」なのか?
経済産業省いわく「個人が幸せや楽しさを感じられる体験(買物や家族との外食、観光等)や、そのための時間の創出を促すことで、充実感、満足感を実感できる生活スタイルの変革への機会になる」という。これがプレミアムフライデーの目的だそうだ。
やはり私は釈然としない。政府が率先して「余暇を楽しもう」「外食しよう」と働きかける光景に強烈な違和感を覚える。汗を流して力一杯働くことの何が悪いのか。
一方で、様々な業種で労働人口の減少による懸念が報じられている。職場でのパワハラにより心を病んだり命を絶つ人も絶えない。そんな状況で、一体どれだけの人々が「働く喜び」を実感できているというのか。働くことに満足感を得られてこそ初めて、余暇を楽しむことが出来るのではないのか。
私にはプレミアムフライデーにより「無理やり捻出した時間」を消費に使えと命令されているように思えてならない。我々の生活の質は向上するどころか、将来に対する不安が高まるばかりなのに。そう、問題の本質は多くの人が抱いている「将来の不安」であり、「働く喜び」を実感できない状況にあるのだ。
にもかかわらず、「働き方改革」で議論にあがるのは残業時間を制限することばかりだ。まるで働くことの価値は残業時間で評価される、とでも言わんばかりである。時間外労働が月60時間を超えるかどうかで、労働の価値が変化したり、労働者の幸福を測れると本気で考えているのだろうか。
一体何のための「働き方改革」なのか?
私がプレミアムフライデーに強烈な違和感を覚えるのはそこなのだ。
■そして、ローマ帝国は滅んだ
現在の労働に対する議論や政府の方針は「古代ローマ帝国」を想起させる。民衆に政治に対する不満を抱かせないために、ローマ帝国はパンを配り、コロッセオで動物を殺すばかりか、人間同志にも殺し合いをさせ、見せ物にした。娯楽で民衆の不満をそらそうとしたのだ。
ローマ帝国はまだパンを配っただけマシかも知れない。現在、我々が生活するこの国の政府は「将来の不安など忘れてカネを使え」と言わんばかりに、多くのものを我々から奪い取ろうとしている。それは単に増税により我々の財産を奪い取ったり、福祉や年金を削減するだけではない。もっと大切な「働く喜び」「働くことの価値」まで奪い取ろうとさえしている。
政府が言うように、買い物や外食や旅行によって生活を充実させることが本当に我々の幸せにつながるのだろうか。そんなことよりも「働くことが幸せ」だと心の底から思える社会を目指すべきではないのだろうか。「働く者の権利」がしっかりと守られたうえで、「安心して」余暇を楽しめる社会を目指すべきではないのだろうか。
どんなに残業が減り、余暇が増えたとしても、我々は必ずしも幸せになれるとは思えない。働くことに満足感・充実感を得られてこそ初めて、余暇を楽しむことが出来るのだ。(或る銀行員)
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