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News | 2017年 02月 24日 09:36 JST
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貧苦に沈むギリシャ、救済7年後の重い現実
2月20日、数十億ユーロを投じたギリシャ救済から7年、貧困の状況はまったく改善されていないどころか、欧州連合のどの国よりも悪化している。写真は15日、貧困に苦しむアテネの人々に食事を提供する教会運営の給食施設のテーブル(2017年 ロイター/Alkis Konstantinidis)
Karolina Tagaris
[アテネ 20日 ロイター] - 年金生活者のディミトラさんは、食料配給に頼る生活にまで落ちぶれるとは想像もしていなかった。今月は、コメ、パスタ2袋、ひよこ豆1パック、デーツ(ナツメヤシ)と牛乳1缶を受け取った。
かつては赤十字の給食施設で生活困窮者の支援に当たっていた73歳のディミトラさんは、ギリシャで増加している生活困窮者の1人だ。数十億ユーロを投じたギリシャ救済から7年、貧困の状況はまったく改善されていないどころか、欧州連合(EU)のどの国よりも悪化している。
「こんなことになるとは思いもよらなかった」と語る彼女は、姓を名乗らなかった。ギリシャでは今も、食料の施しを受けることは不名誉であるという意識があるからだ。「質素な暮らしをしていた。休暇を取ったこともない。何もしたことがない、何ひとつ」
現在、1カ月の収入332ユーロ(約4万円)のうち半分以上はアテネのちっぽけなアパートの家賃に消える。残りは諸々の請求書への支払いだ。
教会が運営する給食施設で食事をとる人々(2017年 ロイター/Alkis Konstantinidis)
グローバル金融危機とその副次的な影響により、ユーロ圏の4カ国は国際融資団に頼らざるをえなくなった。アイルランド、ポルトガル、キプロスはいずれも救済を受けたが、救済が終わった後、これら諸国の経済は成長を再開した。だが2010年にいち早く救済を受けたギリシャは、その後も3次にわたる救済を必要とした。
EUと国際通貨基金(IMF)が供給した救済資金により、ギリシャは破綻を免れたが、国際債権団が課した条件である財政緊縮や改革政策の影響もあって、景気後退は本格的な不況へと転じてしまった。
減税を求めるデモ隊の前で栗を売る老人。14日アテネで撮影(2017年 ロイター/Alkis Konstantinidis)
世論調査での支持が低迷する左派主導政権を率いるギリシャのチプラス首相は、追加支援に反対している債権団との長期交渉の最新段階において、ギリシャ国民の苦境を大義名分にしようと試みた。
「欧州の名の下に略奪を受けた国家に対して、そしてこれほど多くの犠牲を払い、今も払い続けている国民に対して、私たちは皆、注意を払わなければならない」とチプラス首相は今月語った。
巨額の救済資金の多くは、過去の債務の返済に充てるための新規債務という形になっている。だが、生活水準の崩壊の責任は誰にあるかはさておき、EU統計局からの貧困状況を示す数値には驚かされる。
救済から7年、困窮深まるギリシャ
http://static.reuters.com/resources/media/editorial/20170222/greece-poverty.gif
ギリシャはEU内の最貧国ではない。貧困率はブルガリアとルーマニアの方が高い。ギリシャは、この2国からさほど差のない第3位にある。EU統計局のデータによれば2015年、ギリシャ全人口の22.2%が「物質的に深刻に困窮」している。
また、世界金融危機が発生した2008年以降、旧共産圏のバルカン諸国において貧困率の数値が低下している(ルーマニアの場合は約3分の1低下した)のに対して、ギリシャの貧困率はほぼ2倍に上昇した。この時期、EU全体の水準は8.5%から8.1%に低下している。
1カ月分の食料配給。17日アテネで撮影(2017年 ロイター/Alkis Konstantinidis)
<「ニーズは非常に大きい」>
こうした統計が示す状況は、ディミトラさんが毎月の配給を受けるアテネが運営するフードバンク(無料給食施設)のような場所に色濃く反映されている。
ここでは、何十人ものギリシャ国民が、配給を受けるためのチケットを握りしめて粛然と待っている。皆、月約370ユーロという貧困ライン以下の生活にあると登録された人々だ。
フードバンクの責任者である市職員エレニ・カツーリ氏は「ニーズは非常に大きい」と言う。
アテネ中央部をカバーするこのフードバンクの数字を見ると、EU統計局による広範囲のデータと同じ傾向がローカルレベルでも確認できる。
カツーリ氏によれば、このフードバンクの登録者は約1万1000世帯(約2万6000人)で、2012年のわずか2500世帯、2014年の6000世帯から大幅に増加している。約5000人は子どもだ。
ここにある倉庫の棚や冷蔵庫の多くは空だ。フードバンクによる配給の内容は支援企業からの寄付次第だが、これらの企業もやはり経営に苦しんでいる場合が多い。
「これらの人々のニーズに今後も応えられるかどうか分からないので、心配している」とカツーリ氏は言う。「幼い子どもがいる家庭もあるが、日によっては、彼らのためのミルクさえ入手できない」
<「ただ生きているだけ」>
寄付された衣類を物色する老女。アテネで15日撮影(2017年 ロイター/Alkis Konstantinidis)
経済開発協力機構(OECD)などの国際機関は、ギリシャ政府に対し、貧困や格差対策を優先するよう促している。
失業率はピーク時の28%から23%へとわずかに低下したが、依然としてEU内で最悪の水準に留まっている。危機が始まって以来、ギリシャ経済は4分の3の規模に縮小し、何千社もの企業が倒産した。
困窮世帯に配る子どもの衣類が積まれている。17日、アテネで撮影(2017年 ロイター/Alkis Konstantinidis)
今年は経済が上向くのではないかという期待が強いものの、先週発表されたデータでは、2四半期連続で成長が続いたあと、10─12月期には再び後退に転じた。
生活水準の改善となると、これまで以上に遠い夢だ。
経営者団体のGSEVEE及び世論調査会社マルクの調査結果によれば、昨年は75%以上の世帯で所得が大幅に減少した。少なくとも1人の失業者を抱える世帯は全体の3分の1、食費を削らざるを得なかったと回答した世帯は40%に及んだ。
アテネの教会が運営する給食施設で食べる人々。15日撮影(2017年 ロイター/Alkis Konstantinidis)
グリーク・オンブズマンによれば、水道・光熱費の支払いに苦しむ人の数が増えているという。アテネ近隣の質素な一角では、ギリシャ正教会が運営する給食施設が1日400食を提供している。
「誰もが苦しんでいる。すべてのギリシャ人が」。ここでボランティアとして働く61歳の元教師Eva Agkisalakiさんはそう漏らす。
彼女には年金受給資格がない。救済プログラムに基づいて定年退職年齢が67歳に引き上げられたときに契約が切れており、次の仕事を見つけられなかったからだという。やはり国際債権団が要求する改革に基づいて、夫の年金は980ユーロから600ユーロに削減されたが、その一部は息子や娘の家庭への仕送りに回している。
ボランティアの見返りとして、彼女は給食施設からの配給を受け取り、それを失業中の娘や息子と分け合っている。
「私たちは何もしていない」。豆のスープ、パン、卵、ピザ1切れ、リンゴという次回の給食に向けて木製の長いテーブルの用意を整えながら、彼女は語った。「ただ生きているというだけ。ほとんどのギリシャ人は、ただ生きているだけだ」
アテネの給食施設で順番を待つ人々の長い列。15日撮影(2017年 ロイター/Alkis Konstantinidis)
この給食施設の監督者であり、自らの企業から肉類を供給しているEvangelia Konsta氏によれば、この施設で食事を摂る人の数は2年間で2倍以上に増えた。利用者の電気料金や水道料金を教会が肩代わりすることも多いという。
「状況は悪くなっている。改善は見られないし、それが人々のニーズに反映されている」と同氏は語る。「1ユーロさえも持っていない人もいる」
アテネ近郊の貧困者の多い一角。15日撮影(2017年 ロイター/Alkis Konstantinidis)
(翻訳:エァクレーレン)
2010年のギリシャ救済、IMFは債務軽減求めず=報告書
ギリシャ財政目標は現実的、来年夏の資本市場復帰目指す=財務相
ギリシャ、20日に期限迎えたECB保有国債を償還=政府筋
ESMの役割拡大要請、条件設定や財政監視も=独連銀
ギリシャ金融安定基金、取締役らが退任 第3次支援の条件満たすため
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http://jp.reuters.com/article/eurozone-greece-poverty-idJPKBN1620TW
【第10回】 2017年2月24日 村上尚己
日本の自殺者数はなぜ「激減」したのか?
「金融緩和を批判するリベラル」という奇妙な状況
「アベノミクスによる金融緩和は無益で、実体経済にはその効果が行き届いていない」といった言説がメディアでは絶えず繰り返されている。しかし、それが嘘であることは、失業率や自殺者の数字を見れば明らかだ。なぜメディアは、日銀の金融緩和によるポジティブな結果を封じようとしないのか?
日本の大新聞・テレビが垂れ流す「通説」を徹底的に批判した村上尚己氏の最新刊『日本経済はなぜ最高の時代を迎えるのか?』から一部をご紹介しよう。
アベノミクス前後で
自殺者が大きく減少している!
前回までで見てきた、YCCやオーバーシュート型コミットメントの意義、消費増税の負の影響が十分に報じられないのは、日本のメディアが根本的にアベノミクス批判の姿勢を持っているからである。「アベノミクスの金融緩和は、実体経済には効果が出ていない」というお決まりのフレーズを見ていると、正直なところ、背後には一種の政治的デマゴーグがあるのではないかと思えてくる。
というのも、第二次安倍政権の政策メニューのなかで、金融緩和策ほど顕著な効果を発揮している政策はないからだ。「豊かになっているのは一部だけで、われわれ庶民の生活は潤っていないではないか!」といった煽り文句も、人々の共感を得るための決め台詞になっているが、日本人の生活は明らかにアベノミクス以降でよくなっている。というわけで、今回はこちらの通説を見ておこう。
[通説]「実体経済への好影響なし。庶民の生活は改善見られず」
何よりも典型的なのは、失業率のデータだ。アベノミクス発動以前と比較すれば、雇用が改善しているのは明白である。
これを言うと、「増えているのは非正規雇用ばかりだ」などと主張する人もいるが、人々の生活を本気で考えるなら、職があることがまず重要である。データを見ればわかるとおり、デフレを容認・加速してきた過去の政権下では、職に就けない人が大勢いた。
さらに、失業率のデータと関連しているのが、自殺者数の数字だ。アベノミクスがはじまった2013年以降、日本の自殺者数は、3万人超に急増した1998年よりも前の水準にまで顕著に減少している。依然として喜べるような数字ではないのはたしかだが、自ら命を断つ人が減っている意義は大きい。
日本の失業率と自殺者数
http://diamond.jp/mwimgs/8/b/600/img_8ba1d943debe092075bc3dff1cc18708200219.jpg
私自身は、生きていくうえで「経済的に豊かになること」は大切だと考えているが、世の中にはきっと違う価値観を持つ人もいるだろう。自分の価値観を押しつけるつもりはまったくない。
ただ、どちらを選ぶにしても、それは命あってのことである。経済政策は国民の自殺件数にもダイレクトに響いてくる。経済上の失策は、死ななくていい人たちの命を奪う。だからこそ、これまでのデフレ放置は許し難いのだ。日本のデフレは比喩でもなんでもなく、人災なのである。
「脱成長」を唱える
日本のガラパゴス経済メディア
アベノミクスの金融政策の根幹をなしているのが、金融緩和によって一定のマイルドなインフレをキープし、経済を成長させていくリフレーション(リフレ: Reflation)という考え方である。
日本ではリフレ派などという呼び名もあるが、これは一定の派閥というよりは、世界の標準的な経済学の基本理論をもとにした「当たり前の政策」と考えるほうが正確だ。日銀の黒田総裁も「何か特別な奇策を打っている」というよりは、「基本的なフレームのなかで最善策を採用している」という感覚で仕事をしているはずだ。
それにもかかわらず日本のメディアは、アベノミクスが「危険な賭け」であるかのような報道をいまだに続けている。この背後には、日本の経済学界特有の「ねじれ」があるのだが、学者ではない私がこの点にこれ以上踏み入るのはやめておこう。ただ、世界から見れば「トンデモ」と呼ばざるを得ないような「独自進化を遂げた理論」を振りかざす「有識者たち」が日本の経済論壇に大勢いるのはたしかである。
彼らが象牙の塔のなかに籠っているのであれば問題はない。深刻なのは、そうしたガラパゴス経済学者のレクチャーをまことしやかに拡散するガラパゴス経済メディアの存在である。彼らは「脱成長」だとか「デフレ容認」を人々に説き、日本社会の閉塞感を加速させることに加担している。その結果が「自殺者数や失業率の高止まり」であったという事実は顧みようとしない。
メディアに洗脳された人たちは、「もはや日本経済は成長フェーズではない。もう右肩上がりを目指す時代は終わったんだ」などと訳知り顔で語っている。そう語ることが、何か身の丈をわきまえた、知的な態度だとされるような風潮すらある。しかし、そもそもその思想を植えつけて回っている当事者たちが、高い給料をもらっている大学教授や省庁の役人、金融機関・マスコミに勤務する人間たちであるということには思いが至っていない。
人々がしかるべき仕事に就く機会が与えられ、生活に困って自殺したりしない「まともな国」を目指すのであれば、過去の叡智が解明してきたリフレ政策に勝るものはない。第二次安倍政権が高い支持率を保っているのは、政治的なイデオロギー云々以前に、そうした「当たり前のこと」を日銀と歩調を合わせながら実行しているからだろう。
世界的には「リフレ=庶民救済策」
以上の議論からもわかるとおり、リフレ政策は本来的には雇用政策としての側面を持っている。実際、欧米諸国でも、雇用の創出・確保を重視するリベラルな左派政党ほど、金融緩和には積極的である。金融緩和によって適度なインフレをキープしたほうが、庶民の生活にはプラスになると知っているからである。
また、日銀と同様にインフレ目標を導入している米FRBでは、金融緩和の効果を判断するときに、インフレ率だけでなく失業率も基準にしている。2016年末にFRBが利上げを決めたのは、米国の雇用環境がかなり改善してきたからにほかならない。
これと対照的なのが、日本で一応「リベラル」とされている民進党などの政党である。民主党時代から、彼らはデフレを放置し、増税などの緊縮政策を積極的に打ち出してきた。アベノミクスがはじまって目に見える結果が出たあとでも、相変わらず安倍政権の経済政策を批判するばかりで、労働者のスタンスで対案を出すことをしていない。
「金融緩和を批判するリベラル政党」―これは諸外国からすれば、耳を疑うような奇怪な響きを持った表現だ。世界のマーケットで投資をしている外国人の同僚にこうした状況を説明すると、「いったいどうして日本ではそんなことが起きているんだ?」と心底不思議がられる。
もちろん、民進党にもそれなりの考えがあるのかもしれない。しかし、保守派とされる安倍政権が先にリフレ政策をはじめてしまったため、民進党はお株を奪われた格好になり、無策の状況が続いているというのが実情ではないだろうか?(無策以前に、単に無知なだけかもしれないが…)。
有権者たちの生活改善を本気で考えるのであれば、日本の野党の政治家は、少なくともアベノミクスの成果をリアリスティックに評価する姿勢を持ったうえで、政治活動を行っていくべきだろう。
この「ねじれ」に気づいていないのは、政治家だけではない。日本の経済メディアすらも、「庶民の生活が……」などと報じながら、同時に金融緩和には批判的なスタンスを変えようとしない。なぜ自殺者数や失業率などの具体的な成果をしっかりと報じようとしないのだろうか?いったい、いつになったらこんなことが終わるのだろうか?
[通説]「実体経済への好影響なし。庶民の生活は改善見られず」
【真相】否。自殺者が激減。過去のデフレは「人災」である。
村上尚己(むらかみ・なおき)
アライアンス・バーンスタイン株式会社 マーケット・ストラテジスト。1971年生まれ、仙台市で育つ。1994年、東京大学経済学部を卒業後、第一生命保険に入社。その後、日本経済研究センターに出向し、エコノミストとしてのキャリアを歩みはじめる。第一生命経済研究所、BNPパリバ証券を経て、2003年よりゴールドマン・サックス証券シニア・エコノミスト。2008年よりマネックス証券チーフ・エコノミストとして活躍したのち、2014年より現職。独自の計量モデルを駆使した経済予測分析に基づき、投資家の視点で財政金融政策・金融市場の分析を行っている。
著書に『日本人はなぜ貧乏になったか?』(KADOKAWA)、『「円安大転換」後の日本経済』(光文社新書)などがあるほか、共著に『アベノミクスは進化する―金融岩石理論を問う』(中央経済社)がある。
http://diamond.jp/articles/-/116548
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