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残業好き社員にはもう、お灸を据えるしかない
キーパーソンに聞く
鍼灸院 Five Elementsの坪井武揚氏に聞く
2017年2月23日(木)
鈴木 信行
先進国の中でも最低レベルにある日本企業の生産性。大手広告代理店の過労死事件などもあって、全国的に働き方を見直す動きが高まっている。一億総活躍社会の実現を掲げる安倍政権も長時間労働の是正に本腰を入れ始めた。
だが、国や企業が様々な施策を打ち出しても、当の働く社員達が本気で働き方を変えようとしなければ、残業削減はままならない。日本企業の社員の中には、大した仕事もないのに頑なに残業を続ける人がいるのも事実。「残業代が減るとローンが払えない」「家に帰っても居場所がない」――。理由は様々だが、そんな“残業好き社員”が所属長クラスになった暁には、部署全体に「有給なんて、とんでもない」「定時帰りなんて、ただじゃおかない」的な空気が漂うのは時間の問題だ。そうした中、「部下であれ上司であれ、残業が多い社員には、たっぷりお灸を据えると良い」との主張を掲げる鍼灸師がいる。“残業好き上司”に日々悩まされている社員には願ってもない話だが、どうお灸を据えるのか。詳しい話を聞いてきた。
聞き手は鈴木信行
坪井 武揚(つぼい・たけあき)
東京都生まれ。サービス業や会社員などを経験した後、社会の疲れた人々を見たり、トレーニングやスポーツの疲労などで自身も悩んだりした経験から、様々な症状で悩む人の助けになればと思い、30代半ばで鍼灸の勉強を始める。鍼灸免許を取得し、さらに鍼灸教員資格を得るために5年間に及ぶ学生生活を終え、鍼灸院「Five Elements」を東京都世田谷区に開業するに至る。働くサラリーマン、特に男性会社員向けのメニューが充実しており、他県からも多くの客が訪れる。
非常に斬新な残業防止策だと思います。どんなに口酸っぱく言っても働き方を見直そうとしない“残業好き社員”も、所詮は人の子。終業時間と同時にアタマにもぐさを乗せられ火を付けられれば、さすがに帰宅するに違いありません。働き方も根本的に見直すでしょう。オフィスで煙を出すと火災探知機が作動するのではないかなど、心配な面もありますが。
坪井:あのー、少し誤解されているようですが、私が言っているのはそういう話ではありません。
ああ、なるほど。“お灸”というのは物の例えでしたか。ではどんな“お灸”がいいんでしょう。「残業したら罰金」「残業したら降格」。いろんな“お灸”があると思いますが。
坪井:いえ、物の例えでもなく、私が提言したい残業対策には、やはり実際に鍼灸を活用します。
ほう。とりあえずお話を伺いましょうか。
鍼灸で残業を減らすメカニズム
坪井:ここ最近、社員の残業が増えることに敏感になっている企業が多いと聞きます。私も鍼灸師をする前、企業に勤めていた時期がありましたが、その頃は残業が美徳とされる時代でした。私自身は「残業はプライベートを圧迫する」という考えでしたので、どうして残業しないのかと会社から注意されていた記憶があります。ところが今は逆だと言う。社員の残業を増やせと言うならともかく、減らせと言うなら鍼灸に出来る事があります。
それは初耳です。
坪井:残業が発生する理由はいくつかあると思います。一つは「作業量と処理能力が一致していない場合」です。これについては、適切な人員配置などにより会社側がその社員の仕事量を見直すしかなく、鍼灸の力を持ってしても如何ともし難い面があります。しかし、「作業量は適切なのに、本人の作業効率が高まらず仕事が終わらない場合」であれば、鍼灸による改善が考えられます。
どのように?
坪井:社員本人は一生懸命やっている。なのに、細かなミスが多くなったり、上手く頭が働かなかったり、本人も気づかないうちに効率が落ちてしまい、残業してしまう――。そんな方は、往々にして、自律神経のバランスが崩れている恐れがあります。人の体というのは自律神経に支配されています。自律神経というのは交感神経と副交感神経という二つの神経がシーソーのように上がったり下がったりするシステムで、片方が優位の場合は片方が劣勢になります。例えば、昼食後に寝ていたり、ぼーっとしている社員がいますよね。
います。
坪井:あれは気合が入ってないのではなく、自律神経的には当たり前のことなんです。物を食べると人の体は副交感神経が優位になり、消化器が活発になります。それで上手く消化出来るのですが、副交感神経が優位になると体はリラックスし、眠くなってきます。そのぐらい自律神経は人間が活動する上で大切なのですが、そのバランスが崩れると、交感神経を高め集中しなければいけない時間帯に、副交感神経が働いて効率が下がってしまったり、逆に、リラックスしなければいけない時間帯に、交感神経が働いて意味なく頭が冴えてしまったりします。
「残業ダラダラ社員」は自律神経に問題がある
その結果、例えば夜眠れず、昼間ぼーっとしてしまい、作業が進まず残業が増えてしまったりする、と。
坪井:そもそも、現代社会には様々なストレスが溢れています、通勤電車の中、仕事の人間関係…。言いたいことも言えず我慢を強いられることも多い。ストレスは東洋医学で言う「肝」に影響します。「肝」は自律神経も司っているので、肝が乱れると自律神経も乱れるのです。
鍼灸はそうした自律神経のバランスを整えるものだ、と。
坪井:鍼灸は東洋医学に基づいています、東洋医学では心と体は別々に考えません。互いに影響をしあうものとして、心と体が総合的にバランスよく釣り合うことが健康であると考えるのです。例えば、「内関」というツボは安神作用があり、自立神経の乱れを安定させるなどと言われています。東洋医学は一箇所を治すのではなく、複雑に絡み合った症状の原因を正し、正常に巡るよう導く作業なのです。怪しい世界と思われがちですが、きちんとしたロジックに基づいて鍼や灸を使用しています。
――そうなんですか。
坪井:効くか効かないか分からない曖昧な世界と思われがちな鍼灸ですが、じわじわと効くものなので変化が分かりづらいだけだと思っています。鍼とお灸、一番手早くできて心地よく、しかも自分でできるのはお灸です。数年前に「お灸女子」などという言葉を聞いたことがありますが、お灸男子でもいいのです。お風呂が好きな方も多いように、暖かさと言うのはリラックスにつながり、副交感神経を優位にする働きが高いように感じます。
自律神経ではなく、腰や肩が痛いなど体の慢性的なこり・痛みで効率が高まらず、残業してしまう社員もいると思いますが、そういう人にも鍼灸は効きますか。
坪井:自律神経の調整に比べ即効性があり、鍼灸の効果をより実感しやすいのが腰痛や肩こり、筋肉疲労などです。現代の会社員は仕事ではパソコン、プライベートではスマートフォンなどにより目や首の回りを非常に酷使しますし、疲労により「腎」の領域である腰を弱めがちです。じっくりとお灸をして温めるのもいいし、鍼もガツンと効きます。血行を促進し血液内の発痛物質を流すのです。
なるほど。ただ、それだけでは、鍼灸で残業社員を撲滅するのは難しい気がします。
坪井:なぜです?
「家に帰りたくない社員」にも鍼灸が効く可能性
「残業の多い社員」=「効率的に働きたくても体が言うことをきかない人」ではないからです。中には、健康なのに「家に自分の居場所がない」という理由で、無駄な残業をしている人も少なくありません(スペシャルリポート「残業が減らないのは家に帰りたくないから」(参照)。そうした人たちには鍼灸は通用しないのでは?
坪井:いえ、大丈夫です。鍼灸は、「仕事が終わらないのではなく、家に帰りたくないから残業している」という社員にも、効果をもたらす可能性があります。
本当ですか。
坪井:家に帰りたくない理由には、「一人だと寂しい」とか「家庭に何かしらの問題がある」など様々なケースが考えられますが、私は「そもそも早く帰っても何をすればいいのか分からない人」が増えているのではないかと思います。ここにも自律神経が関係しているというのが私の考えです。仕事が忙しく、交感神経から副交感神経への切り替えが上手にできず、その結果、「仕事以外に何をすればいいか思い浮かばない」という状況に陥っている可能性です。つまり、リラックスできづらい体になってしまっているのです。
自律神経のバランスを整えると、仕事以外にやってみたいことが思い浮かんでくる。その結果、残業を減らして効率的に働くようになる、と。
坪井:その可能性はあります。
会社員の現状に非常にお詳しいですが、お客さんには男性社員が多いのでしょうか。
坪井:世田谷と言う場所柄か、忙しくお仕事をされている方が多く、出張や会議のストレスでぐったりした方がよくいらっしゃいます。中には、房総半島の方や神奈川、埼玉などから来る方もいらっしゃいます。
そんな遠方から来るとは、何か他の鍼灸院にないメニューなどがあるんですか。
男性専用メニューがある利点
坪井:男性専用コースというものを用意しており、それを目当てにいらっしゃる方が多いですね。鍼灸院の世界でも「女性による女性のための治療」はよくありますが、「男性による男性のための治療」というのはあまり見かけません。ですが、男性の体を治療する場合、ソフトな治療ではあまり効果が望めません。女性に比べ厚みのある筋肉の深部にアプローチするには、ノウハウが必要です。 筋肉の厚みに慣れていない、鍼を深く刺すことが苦手、長い鍼を刺せない…。そんな鍼灸師だと、表面のごく浅い筋肉に物足りない刺激だけを与えるため、結果的に「鍼が効かなかった」と思われてしまいます。特に、当院で鍼灸とセットで施術する「男性による男性のためのオイルトリートメント」は対応できる者が少ないため、探しているお客様も多いようです。オイルトリートメントを男性限定にしている理由は、最近ニュースで話題になっている施術者のセクハラ問題とも関係があります。女性の場合、デリケートな部分に触れてしまうと問題になる可能性がありますから。
なるほど。
坪井:個室対応も特徴の一つです。鍼灸院というとカーテンだけで仕切られたベッドがいくつかあって、横に人の気配を感じます。当院は完全入れ替え制になっているため周りには誰もいません。また、鍼灸院に行くと、数人の患者さんを1人の鍼灸師が対応することがありますよね。 鍼を打った後にしばらく打ったままにしておき、その間に他の患者さんに対応するため、お客様からは「鍼を打たれたまま一人ぼっちで不安」という声もよく聞かれます。当院は完全マンツーマン対応なので、そういう心配はほぼありません。特にお灸の場合、火傷の心配があるので、マンツーマンでない鍼灸院の中には、安全上、最初からやらない鍼灸院もあります。
背中などを除けば、お灸は自分でもできますよね。
坪井:そうです。近くのドラッグストアに行けば販売されています。ネット上にもお灸をするポイントなどが解説されています。ただ、自分でできないところも沢山あるので、そういう時は私たちにご依頼いただければリセットのお手伝いができると思っています。
いずれにせよ、残業好き社員にはこってりお灸を据えた方がよさそうですね。
このコラムについて
キーパーソンに聞く
日経ビジネスのデスクが、話題の人、旬の人にインタビューします。このコラムを開けば毎日1人、新しいキーパーソンに出会えます。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/interview/15/238739/022000238
「“出家”して何が悪い」
遙なるコンシェルジュ「男の悩み 女の嘆き」
「死なない」。そのことについて、よかったと思う
2017年2月24日(金)
遙 洋子
ご相談
芸能界を騒がしている清水富美加さんの「出家騒動」、遙さんはどう見ましたか。(20代女性)
遙から
清水富美加さん、今は千眼美子さんというそうだが、清水さんだった時のことから辿りたいので、清水さんとお呼びして書くことにする。清水さんの「出家宣言」に対するメディアの反応に、あれこれ違和感を覚え、そのひとつひとつを自分の言葉で置き換えていきたいと思う。
仕事していて「死にたい」と思う人は清水さんだけだと思わないし、睡眠時間3時間というのも、安すぎる給料というのも、清水さんだけではないだろう。「給料5万円」は過去のことと横に置いたとしても、世の中は清水富美加さんだらけではないのか、という問いがよぎった。
宗教的行為としての「出家」の是非も横に置き、精神的に追い詰められた状況からいかに抜け出すかという点に目を向ければ、芸能界のみならず、多くの人が向き合う可能性のある問題だと思うからだ。
違和感その1
「死にたいというけれど、仕事で一緒だったときには全然そうは見えなかった」という周囲の発言について。
バカかと思う。死にたいと思うことと、死にたいと見せることは違う。しんどそうに見せられない立場にあったり、それを許されない環境や職業にあったり。そうしたこと自体も「死にたい」と感じさせるストレスの一要因になっていることなど普通にある。「そうは見えなかった」と発言するメディアの奴は、自分の鈍さをさらけ出しているにすぎない。その問題に気づいていない分、「そういうお前も、ストレス要因なんだよ」と教えてあげたい。「死にたい」という言葉を本人が口に出した時、それは他者が判断することではなく、本人がそういうなら、そうなのだ。それ以上でも、それ以下でもない。
先般、娘が過労自死をし「死ぬまで働いてはいけません」と涙ながらにメディアに訴えた母親の姿が重なった。「死にたい」と思うほどに追い詰められた本人に、冷静な判断を求めるのは酷だ。本人のいう「死にたい」は悲しいことに本気なのだ。「そうは見えなかった」という人には「あなたが見ようとしなかっただけではありませんか」と返したい。
違和感その2
「出家するにしても、周りに迷惑をかけないタイミング、というのがあったはず。これほど迷惑をかけるのはいかがなものか」的発言について。
結論から言おう。私は迷惑はかけていいと思う。私も芸能界で30年以上働いている。せっかく収録したものが台無しになる、ということは、あってはならないことだが、実際にはある。選挙時の立候補問題などもその一例。収録したものがボツになるなど見慣れた光景だ。
一個人の生き方の選択で、大勢のスタッフと共演者の努力が台無しになる。でも、「立候補止めました」で、復帰もできるのが芸能界のユルさでもある。
私はこういうユルさも芸能界の救いだと思っている。何か一発迷惑かけたら追放だ、くらいの厳しい社会のほうがよほど怖い。迷惑かけたら、かけられたほうは「もおー!」といって、そして許す。いい職場じゃないか。
清水富美加さんは、撮影が途中なのに中断してしまった映画もあるという。もちろんこれも迷惑だ。こうしたことが起きないに越したことはない。
しかし、スポンサーが逃げてしまっての撮影中断だってある。すべて撮影し終わったのに、代理店がカネ持って逃げる、という騙され方もある。芸能界はそういうとても胡散臭い職場なのに、そこで"周りに迷惑をかけない"と正論を言うことがどれほどの説得力を持つだろう。
死にたいと思いながらも周りの迷惑を考え、正しく区切りまで働ける精神力の人もいるだろう。だが、正しく区切りまで精神が持たない人もいる。そりゃ、人間だもの。何が正しいか分かっていても、その正しさを貫ける人と弱い人とがいて当たり前だ。自分の精神力を基準に弱い精神力の人を批判するのはいかがなものか。
「死にたい」と思う人が、本当に死ぬくらいなら、そして、後に「死ぬまで働いてはいけません」と大事な人を泣かせるくらいなら、私は、職場にとんでもない迷惑をかけてもいいから、「生きろ」と言いたい。その拠りどころが宗教だって、不倫だって、ロクでもない男との遁走だってかまわない。生きることが、あらゆるものを超えて最優先されるべき、というのが私の考えだ。
違和感その3
「結局、移籍騒動にすぎないんじゃないか」という発言について。
そうなのかもしれない。それでもいいと私は思う。移籍とはとても難しいことを私は自らも経験している。清水富美加さんくらいの年齢の頃、私も事務所移籍というのをしたかった、が、事務所はさせてなるものか、と、時には脅し、時には無視し、時には「もう次の仕事が入っている」と言いくるめにかかり、契約書の区切りなど仕事が入っていれば無効になるといわんばかりの扱いをする。結果、私は出家ではなく、弁護士に駆け込むことにした。なんと、弁護士は契約書を手にし、電話一本で、その場で事務所を辞めることを事務所に納得させたのだ。
20代の女性が、手ごわい大人相手ににっちもさっちもいかない時に、弁護士は一本の電話で事を済ませた。これが、20代の女性が経験する社会だ。自分一人では舐められる。頼りになる大人の登場で、やっと戦うべき大人を議論の場に引っ張り出すことができる、ということ。
私と似た経験を清水さんもした。頼る大人の種類は違ったが、それで事務所を移籍できるというのなら、ここでも事務所側の意向を横に置けば、本人にとっては、いい結果ということになる。それから売れようが売れまいが、それは見る側が決めること。その結果も本人が引き受けること。辞めたいことを辞められず苦しむ人がいて、その人を助けてくれる人がいた。そんなこと、この業界に限らず、どこにだってある話だと思うが。
違和感その4
「告白本出すの早くない? 告白というわりに中身薄いし」
もう、笑ってしまう。『全部、言っちゃうね。』というタイトル、添えられた「本人しか語れない、ほんとうの気持ち」という惹句を見ただけで、見えてこないだろうか。その中身の薄さが。そもそも「ほんとうの」という発想というか、言葉選びに、私は幼さを見る。「ほんとうの」というのはあくまで主観に基づくものだから、その中身が読み手に手ごたえがあろうがなかろうが、関係ない。本人にとっての「本当」とか「真実」とかはそもそも客観性を求めておらず、どれほどの大事件を起こした人の告白本を読んでも、主観に基づく得手勝手なものであることなど、めずらしくもない。
仮に、本の中身がこちらが期待するものでなかったにせよ、それはそういうものだと諦めるしかない。
主観に基づく「本当」を描いたのなら、本人にとって本当であることが大事。他人の期待に応える衝撃的事実とそれが重なれば確かに衝撃的であろうが、きっとそれはなかなか重ならない。客観的事実を積み上げて読み解いた"田中角栄氏の真実"やら"あの事件の衝撃的事実"の並びに、"出家の衝撃的真実"が、書かれていると思うほうが間違いだろう。
批判する人には、いったい何を期待しているのか、と、逆に問いたい。
清水さんはそもそも作家ではない。作家なら300枚くらいの原稿用紙を、編集者がブラッシュアップを重ね、出版まである程度の歳月を要する。が、いわゆる"タレント本"のカテゴリーだと、数回の"語り"取材で、代理のライターが言葉起こしをしてちゃっちゃと出版など、常識的なこととして、日常的に行われている。
清水富美加さんをかばおうが、批判しようが、私は「20代女性、仕事に疲れた女性、男性社会の中で、戦う精神力がまだ未完成な女性」という意味で、フツーの女性の悩みが、これほど共有されないものか、と、改めて、メディアの言論で感じるのだ。
件の本を読んだ後、「随所に、疑問が残る」という男性タレントもいる。
当然だ。お前らに20代女性の疲労感など、わかってたまるか、と、私は思う。
自分で戦う未来
月5万円の給与? 私なんか月8000円だった。主演なのに嫌な仕事? 私なんか死体役だ。嫌だった。でも、私は死にたいとは思わなかった。
「安すぎる。移籍しよう」とは思ったし、やった。
清水富美加さんが、「安い」と思い、「死にたい」と思い、仮に「移籍したい」と思い、それらが解決されたなら、私から届ける言葉があるとすれば、「おめでとう」だ。
ただし、これから先、“大人”を頼るのではなく、自分で判断し、自分で戦わねばならない時もやがてやってくるだろう。その未来の清水富美加さんに期待したい。
とりあえず、おめでとう。でも、人生、そこで終わらないからね。先輩である私からの言葉として届けたい。
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『私はこうしてストーカーに殺されずにすんだ』
『私はこうしてストーカーに殺されずにすんだ』
ストーカー殺人事件が後を絶たない。
法律ができたのに、なぜ助けられなかったのか?
自身の赤裸々な体験をもとに、
どうすれば殺されずにすむかを徹底的に伝授する。
このコラムについて
遙なるコンシェルジュ「男の悩み 女の嘆き」
働く女性の台頭で悩む男性管理職は少なくない。どう対応すればいいか――。働く男女の読者の皆様を対象に、職場での悩みやトラブルに答えていきたいと思う。
上司であれ客であれ、そこにいるのが人間である以上、なんらかの普遍性のある解決法があるはずだ。それを共に探ることで、新たな“仕事がスムーズにいくルール”を発展させていきたい。たくさんの皆さんの悩みをこちらでお待ちしています。
前シリーズは「男の勘違い、女のすれ違い」
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/213874/022200043/
熊本のメーカーに見た「働き方改革」の答え
記者の眼
「知られざる世界企業」で発見した秘策
2017年2月23日(木)
池松 由香
「働き方改革」は今や、日本企業が取り組むべき最重要課題の一つとなっている。だが、実践者となるはずの働き手の多くは、こう思っているのではないだろうか。
「やれやれ。働く時間を短くしても仕事を減らしてもらえるわけじゃなし。仕事を家に持ち込まなければ終わらないのに、残業代は減る。良いことなんか一つもない」
一方、残業代を減らせる経営者は喜んでいるのかというと、これもまた違う。働き手たちが上述のような理由で「働き方改革」を「労働対価の減少」と捉えてやる気を失うので、生産性は上がるどころか落ちる可能性の方が高い。コストは減っても売上高も減れば意味はない。声高には言わないが、本音では「誰も得をしないのではないか」と疑心暗鬼になっている経営者も少なくないのではないだろうか。
2017年2月20日には、味の素が4月から、従業員の給与を一律1万円、ベースアップ(ベア)することを決めたとの報道が流れた。働き方改革で減った残業代を補填し、社員のやる気を維持するのが目的だという。こうした報道を見聞きするたびに記者は、「経営者も悩んでいるのだろうな」と考えていた。
そんな矢先、働き方とは全く別の取材で「それが答えか!」と目からウロコが落ちるような話を聞くことができた。
熊本の知られざる優良メーカー
それは平田機工という熊本市に本社を置くメーカーを取材した時のこと。3代目(社長としては4人目)の平田雄一郎社長が、こんなことを言っていた。
「社員の仕事を減らした方が会社の業績は良くなる。社員の仕事を減らすことこそが経営者の仕事ですよ」
同社は業界では世界にその名をとどろかせる「世界屈指のトップメーカー」だが、一般の人たちにはほとんど知られていない。というのも、同社が作っているのは、メーカーが製品を作るために必要な「生産ライン」だからだ。
その生産ラインを購入する顧客は、聞けば誰でも知っているような大手自動車メーカーや家電メーカーなど。同社が明かしている顧客名はインテルやダイソンだ。
工場の中に隠れて見えないモノを作っているので、業界に詳しい人以外はほとんど知らない。平田機工の高い生産技術力は優良な顧客を引き寄せ、2017年3月期の売上高は前年同期比で250億円増の780億円、経常利益は同37億円拡大の65億円を見込んでいる。
平田機工の強さの秘密は2017年3月6日号の本誌に掲載する「企業研究」欄をお読みいただくことにして、ここでは同社の働き方改革につながる取り組みに焦点を当てる(平田社長自身は「働き方改革」という呼び方はしていなかったが……)。
平田機工は1951年に設立。生産ラインを作るのが仕事なので、1500人を超える社員のほとんどが、何らかの技術を持つ「エンジニア」だ。写真は熊本の工場で働くエンジニアたち(写真:浦川祐史)
技術者の仕事を減らすと会社が儲かる?
まず平田社長が目標の一つに据えているのが、生産ラインを設計・製造する各種エンジニアの仕事量の削減だ。「仕事量」と言っても漠然としていて見えないので、平田社長は「生産ラインの元となる設計図の枚数」とした。
普通に考えれば、設計図の枚数が減れば、それだけ会社としての売上高も減ることになる。ところがそうはならなかった。取り組みの結果、2016年3月期の設計図の枚数は2014年3月期に比べて25%削減できたが、売上高は逆に13%増加した。
なぜこんなことが起きたのか。そのカラクリは、少し冷静になって考えてみると分かる。
たね明かしをする前に、まず一般的な企業が働き方改革をすると、結果として売上高が下がるカラクリについて考えてみる。
知識集約型の仕事ほど働き方改革は機能しない
記者の仕事を例に取る。ある記者が1本の記事を書くのに平均4時間かかっていたとしよう(実際には取材したり記事の構成を考えたりする時間も必要になるが、ここでは話が複雑になるので除外する)。この記者が1日に書ける記事の本数は、単純計算で2本。これ以上はどう頑張っても書けない。
無理をすれば3本、書けるかもしれないが、慌てて書くので自ずと品質は下がる。間違いが生じれば後で修正が必要になり、後工程(記事をチェックするデスクや、記事をレイアウトに流し込む制作担当者など)に余計な負荷をかけることになる。
これは平田機工のようなメーカーで働く設計者も同じだ。無理に量産して設計図の品質が落ちるようなことになれば、後工程である製造工場で作ったモノにも不具合が生じ、作り直し(場合によっては設計変更)が必要になる。顧客にも迷惑がかかるので、長期的に見れば顧客の減少、すなわち売上高の縮小につながる。
記者や設計者のような知識集約型、かつ上流工程での品質の作り込みが商品そのものの品質に大きな影響を与える仕事であればあるほど、この傾向は顕著になる。経営者が「短い時間で多くの仕事をしろ」と言ったところで、結果的に何の生産性向上にもつながらないという悲しい結果を招きかねない。
ではそこに解はないのかというと、ある。
量は減らすが付加価値は上げる
その答えが、平田社長が進める「社員の仕事を減らす」ということだと記者は感じた。
ただし、売上高を落とさないためには、ある条件をクリアしなければならない。「仕事1件当たりに得られる対価を上げる」ということだ。記者の仕事で言えば「記事1本の付加価値(値段)を上げる」こと、平田機工の仕事で言えば「設計図1枚の付加価値(値段)を上げる」こととなる。
「そんなこと、できるならとうの昔にやっていた!」というツッコミが聞こえてきそうだが、平田社長の取り組みの本質はまさにそこにある。
働き方改革を進めるのは社員ではなく経営者
平田機工はこれまで一貫して、「顧客が喜ぶ仕事」にトコトンこだわるよう社員を教育してきた。顧客が喜ぶ仕事とは、「お客様の工場で、効率よく、不具合なく高品質な製品を製造できる生産ラインを作ること」(平田社長)だ。
ところが、そんな仕事ができる設計者を育てるのには、相応の時間がかかるのは言うまでもない。時間をかけたとしても、ただルーチンワークをやらせているだけではダメだ。普通の設計者なら根を上げてしまいそうな難しい課題を与え続け、頭と心を鍛え上げる必要がある。
一人前の設計者を効率よく育てる方法が、仕事の件数を減らすことだった。受注件数を減らす一方、競合他社が難しいからと引き受けたがらない仕事を率先して受け、仕事の付加価値を上げた。
すると、常に難しい案件にチャレンジして鍛えられた設計者は、さらに難しい仕事を請け負えるようになり、会社の競争力も上がって売上高が拡大した。すると、付加価値の高い仕事がより一層、平田機工に集まってくるようになり、さらに設計者は鍛えられ……という好循環が生まれた。
社員の仕事を減らす(高付加価値案件にシフトする)ことができるのは、経営者しかいない。働き方改革を本当の意味で推進できるのは、社員ではなく経営者の方ではないだろうか。
このコラムについて
記者の眼
日経ビジネスに在籍する30人以上の記者が、日々の取材で得た情報を基に、独自の視点で執筆するコラムです。原則平日毎日の公開になります。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/221102/022200414
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