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自由業は「不」自由業?「会社を辞めて独立」の落とし穴…会社員優遇の様々な保障失い…
http://biz-journal.jp/2017/02/post_18102.html
2017.02.22 文=黒田尚子/ファイナンシャルプランナー Business Journal
パート勤務のA美さん(55歳)の夫(58歳)は、中堅食品メーカーに勤務する営業マン。やっと子どもも大学を卒業し、今年就職が決まって、ほっとしたところだ。
夫の会社の定年は63歳で、A美さんとしては、夫がこのまま定年まで今の会社に勤務し、その後数年は、嘱託などで引き続き会社員として働くものと思っていた。
ところがある日突然「会社を辞めて独立したい」と言い出した。どうやら、飲み仲間と数人で、有機野菜を専門にしたお店を立ち上げるというのだが、どうやらA美さんにも手伝ってもらいたい様子。
驚いたA美さんは、賛成するか反対するかはさておき、まずは自営業者のマネープランをどう考えればよいか知りたいと筆者の元へ相談に見えたわけである。
■働く人のうち、会社で働く「雇用者」は約88%を占める
ずっと会社で働いていると、「独立して、自分自身のチカラを試してみたい」という気持ちになるものだが、その理由はお察しできる。
しかし、会社員と自営業・自由業者(以下、「自営業者等」)を比較すると、前者が圧倒的に多い。総務省の労働力調査(平成27年)によると、就業人口(6376万人)の内、会社や自営業主に雇われ給料をもらっている従業員などの「雇用者」(経営者、役員等を含む)は5640万人、一方、「自営業主・家族従事者」(いわゆる家事手伝いを含む)は705万人となっている。
つまり前者は約88%と大多数を占めている上、自営業者等は年々減少傾向にある(【図表1】参照)。
日本の起業活動率は先進国のなかでも最低レベルだというが、先行き不透明な昨今の経済状況のなかでは、「起業して一か八かやってみたい!」という人が少ないのもうなずけるだろう。
しかし、働き方の多様性という観点から考えると、定年退職後やアーリーリタイヤ後に、雇用者ではなく、自営業者等になるという選択肢もまったくゼロではない。そのときに慌てないためにも、自営業者等のマネープランについて考えてみよう。
■自営業者等の3つのメリット〜定年後も年金が調整されない!〜
筆者自身もフィナンシャルプランナー(FP)として独立開業して20年ほどになるが、たまに「独立したい」というご相談を受けることがある。自営業者等のメリットは、おもに次の3つに集約できるのではないだろうか。
(1)定年退職がなく、本人のやる気とやり方次第でいつまでも働ける
(2)実力と努力に応じて収入が増える
(3)自分のやりたいこと・好きなことを仕事にできる
安定的かどうかは別にしても、長期で収入を得られるという点では、(1)(2)は魅力的だ。とりわけ収入に関しては、60歳以降の人に知っておいてもらいたいことがある。
定年退職後のベースとなる公的年金だが、60歳以降も厚生年金に加入して働く場合、年金の一部または全額が支給停止になる点だ。
つまり、引き続き会社員でいると年金のほうが減らされるのだが、この仕組みを「在職老齢年金制度」という。支給停止の方法は60歳台前半(60歳〜64歳)と、60歳台後半(65歳〜69歳)で異なる(平成19年4月以降、70歳以上の被用者も在職老齢年金の適用対象)。これが、自営業者等になれば、公的年金の調整は行われず、満額受給できる。
また(3)についても、私自身を振り返ってみると、独立した当初は無我夢中で、とにかく舞い込んだ仕事のオファーを一生懸命こなすのが精一杯。それが徐々に、自分の仕事の方向性が見えてくると、案件をプロデュースしたり、クライアントに提案したりといった機会も増え、それが非常に面白いし、モチベーションにつながっていく。
■自営業者等の4つのデメリットとは?
一方のデメリットとしては、以下の4つが挙げられる。
(1)成功も失敗もすべて自己責任
(2)会社の社会的信用などがない
(3)時間の融通が利かなくなる
(4)自己管理能力が問われる
このうち(3)については、「独立すれば自由な時間が手に入れられる」と考える人が多いかもしれないが、現実はそう甘くない。仕事がなければ、空いた時間は自由といえばそれまでだが、仕事をしていなくても、勉強会に参加したり、メールチェックや請求書作成などの雑務をこなしたりしている。個々の裁量で働く時間を調整できる幅はあるが、業務内容等によっては、“不”自由業の可能性も高くなる。
また、代替がきかない業務が多いので、自営業者等は、体力・健康が第一である。スケジュール調整や健康管理などの自己管理能力が問われる。「自分で自分を律するのは自信がない」という人は、向いていないかもしれない。
■自営業者等のマネープランの二大ポイントとは?
これらのメリット・デメリットを踏まえて、自営業者等が考えておくべきマネープランを立てる上での注意点は次の2つである。
(1)収入が不安定になりやすいこと
(2)保障(補償)が薄いこと
まず(1)について詳しくみてみよう。
多くの人が独立開業できない理由として挙げるのが、「やってみたいプランがない」と「収入が得られるか不安だから」である。とくに後者は、今後の生活を考えると躊躇してしまうだろう。
したがって、自営業者等にとって重要なのは、少なくても毎月安定した収入を得ることなのだが、マネープランを考える上で、この収入に対する経済的リスクがあるため、決まった貯蓄もできず、イザという時にローンやクレジットに頼ってしまいがちだ。
ただし、もちろん自営業者等も、マイホーム購入や子どもの教育費、老後の生活資金といった人生の三大支出はサラリーマン世帯同様抱えている。また冒頭のA美さんのような年代のご家庭の場合、子どもの教育費負担が終わってから、本格的に老後生活に入るまでのこの期間が最後の“貯め時”である。この間にしっかり家計管理をして将来にも備えたいところだ。
自営業者等は、仕事上の必要経費と生活費の区別がつかないことが家計管理できない一番の原因である場合が多い。
したがって、まずは仕事上の報酬の振込用口座と生活用口座は分けて管理する習慣をつけることだ。
例えば、収入は安定しているのに、その月によって貯蓄の金額がバラバラなのは、きちんと支出を把握していないため。予想される最低年収を12で割って月収平均を把握し、収入の多い月も、平均額の範囲内で家計を管理しよう。そして、収入の多かった月は専用口座にプールしておき、少ない月に備えておくこと。
この備蓄口座は、病気やケガで収入が途絶えたときなどイザというときのためのお金として、少なくとも生活費の6カ月分を目標に貯蓄しておきたい。
■自営業者等は自助努力が不可欠
さらに、自営業者等はほとんどの場合、ボーナスや退職金もなく、公的年金や健康保険、雇用保険など社会保険制度上でも、会社員に比べて保障が手薄である(【図表2】参照)。
したがって、その分を私的年金や私的保険というかたちで、自分で確保しておく必要がある。例えば、国民健康保険の場合、健康保険の所得補償の仕組みである「傷病手当金」がないため、民間保険の所得補償保険や就業不能保険で備える方法がある。また、年金を補填する方法としては、個人型確定拠出年金(iDeCo)やNISA(少額投資非課税制度)を利用したい。
前者に加入できるのは60歳までだが、手厚い税制優遇が受けられる。また後者については、平成29年度税制改正で、非課税期間20年、投資上限が年40万円の「積立NISA」が創設される予定(平成30年1月開始)となっている。
FPとして、さまざまな会社員の方の保障制度や福利厚生を拝見する機会も多いが、そのたびに心底うらやましいと感じる。その一方で、この究極の自己実現が可能となる働き方は止められない、というのが正直なところだろうか。
(文=黒田尚子/ファイナンシャルプランナー)
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